日経俳句会第130回例会

日経俳句会は、大暑の日の7月23日(水)、平成26年第6回例会(通算130回)を内神田・日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「大暑(たいしょ)」「金魚(きんぎょ)」で、熱暑をついて24人が出席、10人が投句参加した。投句総数は164句、7句選句の結果、最高は大倉悌志郎さんの「出目金に留守番頼み落語会」の9点1句。次席8点は須藤光迷さんの「縁日の金魚と五年ともにあり」と、廣上正市さんの「遠雷や自画像多き無言館」の2句。三席は6点で、大澤水牛さんの「肋骨の折れて大暑のコルセット」と、堤てる夫さんの「雨蛙畳の上に居る不思議」の2句。

次いで5点句には「深刻な話をいなす金魚かな 大下綾子」、「水打てば大暑の八百屋生き生きと 金田青水」、「山門の仁王大暑を吐き続け 直井正」、「石狩川(いしかり)の蛇行ここより雲の峰 正市」、「糸杉の絵のゆらぎをる大暑かな 星川佳子」の5句。続く4点は3句、3点12句、2点25句、1点49句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「大暑」

肋骨の折れて大暑のコルセット    大澤 水牛

水打てば大暑の八百屋生き生きと   金田 青水

山門の仁王大暑を吐き続け      直井  正

糸杉の絵のゆらぎをる大暑かな    星川 佳子

蛇口より先ずは湯の出る大暑かな   植村 博明

錆色の線路のゆがむ大暑かな     大熊 万歩

諍ひのなほ続きゐる大暑かな     高石 昌魚

焼き鳥屋耳朶まで赤き大暑かな    植村 博明

動かないメタボの鯉の大暑かな    鈴木 好夫

山の神と言ふバス停あり大暑     徳永 正裕

撒き水に蝿の寄り来る大暑かな    水口 弥生

「金魚」

出目金に留守番頼み落語会      大倉悌志郎

縁日の金魚と五年ともにあり     須藤 光迷

深刻な話をいなす金魚かな      大下 綾子

金魚に名つけて挨拶母の朝      嵐田 啓明

帰宅して金魚に声をかけてをり    今泉恂之介

揺れる藻に金魚口づけ泡一つ     大熊 万歩

嫁がせて金魚二匹と過ごす日々    大沢 反平

水替へて金魚の踊るスロージャズ   高瀬 大虫

うなじ見せ金魚掬ふも女かな     徳永 正裕

「雑詠」

遠雷や自画像多き無言館       廣上 正市

雨蛙畳の上に居る不思議       堤 てる夫

石狩川の蛇行ここより雲の峰     廣上 正市

うす紅はいのちの色よ古代蓮     田中 頼子

はまなすの砂丘登るや海の青     徳永 正裕

 

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、水口弥生、村田佳代、横井定利(投句参加)池村実千代、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、田中頼子、流合研士郎   (まとめ・堤てる夫)

 

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酔吟会第111回例会

酔吟会は7月12日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で平成26年度第4回例会(通算111回)を開いた。梅雨台風8号が西日本に豪雨禍をもたらし、東日本には猛暑を置いて去った翌日とあって、湿度が高い上に気温が30℃を超え、大変な蒸し暑さだった。

それでも今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、徳永正裕、藤村詠悟、野田冷峰の11名が出席する好成績。大石柏人、金指正風、堤てる夫、藤野十三妹、星川佳子の5名が投句参加した。

兼題は「梅雨明」と「鰻(蒲焼も可能)」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は5点で、「うなぎ待つ瓜漬で待つ小半刻 大澤水牛」1句。続く4点は堤てる夫さんの「窓枠に天下窺ふ青蛙」と金指正風さんの「世に残す句ひとつなし半夏生」の2句だった。三席3点句は大石柏人さん「梅雨明けや書『特選』のハガキ来る」と片野涸魚さんの「あの寺もこの寺もまたあぢさゐ寺」の2句が並んだ。以下、2点14句、1点が26句もひしめき合った。兼題別の2点以上獲得句は次の通り。

「梅雨明」

梅雨明や書「特選」のハガキ来る    大石 柏人

梅雨明けや龍馬のにらむ桂浜      星川 佳子

梅雨明けの目にささりくる白きビル   星川 佳子

家中の窓開け放つつゆの明け      久保田 操

梅雨明けや孫の襁褓もとれたるぞ    岡田 臣弘

梅雨明はいつのことかと買ふ日傘    藤野十三妹

梅雨明や飛鳥古仏の頬光る       徳永 正裕

「鰻」または「蒲焼」

うなぎ待つ瓜漬で待つ小半刻      大澤 水牛

憂しと云ひ嬉しと云ひて鰻飯      大澤 水牛

鰻焼く香り砂町銀座かな        星川 佳子

行く末の諸事はさておき鰻飯      大沢 反平

「雑詠」

窓枠に天下窺ふ青蛙          堤 てる夫

世に残す句ひとつなし半夏生      金指 正風

あの寺もこの寺もまたあぢさゐ寺    片野 涸魚

今はただ自然に生きむ山法師      片野 涸魚

憲法九条絶滅危惧種になりし夏     金指 正風

乗り過ごし鳩と仔猫と梅雨の駅     大澤 水牛

ブロックの風の穴から額紫陽花     堤 てる夫

ザック・ジャパンとんだ鬼味噌夏の夢  藤野十三妹

(まとめ 大澤水牛)

 

 

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番町喜楽会第106回例会

番町喜楽会の7月例会(通算106回)は7月7日(月)、どんぴしゃり「七夕句会」となり、会場の千代田区九段の区立生涯学習館には定刻前に出席者11人が勢揃い。兼題は「七夕(たなばた)」「向日葵(ひまわり)」で、投句参加者の作品を含め投句総数79句、6句選句で句会を進めた。その結果、最高は4点で「向日葵やあつけらかんと転職す 今泉而雲」「向日葵に負けぬブラウス選びけり 岩沢克恵」「短冊に追伸もあり星祭り 玉田春陽子」「向日葵の出迎へありて無人駅 前島巌水」の4句が並んだ。続く3点は7句、以下2点19句、1点17句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「七夕」

短冊に追伸もあり星祭り         玉田春陽子

魚屋の閉じた通りや星祭         今泉 而雲

色紙のくさりで舫ふ星の恋        高瀬 大虫

「向日葵」

向日葵やあつけらかんと転職す      今泉 而雲

向日葵に負けぬブラウス選びけり     岩沢 克恵

向日葵の出迎へありて無人駅       前島 巌水

向日葵や闘牛場の砂埃          須藤 光迷

陽に背く向日葵もあり偕生園       高井 百子

「雑詠」

ハンカチにけふ一日の皺あまた      玉田春陽子

麦秋や土曜日午後のコンバイン      堤 てる夫

気がつけばユニクロずくめ夏衣      前島 巌水

 

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、大下綾子、高井百子、徳永正裕                (まとめ・堤てる夫)

 

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日経俳句会平成26年度上期合同句会

日経俳句会は6月18日(水)午後6時半、内神田の日経広告研究所会議室で、平成26年上期合同句会(通算18回)を開催した。兼題は「父の日(ちちのひ)」「時鳥(ほととぎす)」で、当季雑詠句と合わせ3句投句。幹事と会員が事前にメールなどやり取りして投句・選句を済ませ、合同句会は選句結果の発表でスタートした。出席者は21人、投句参加者14人で、投句総数は105句。

今回の最高点は九点で「どの田にも水走らせよ時鳥 嵐田啓明」と「父の日も草むしる父背丸し 大澤水牛」の2句。次席は6点で「父の日や無口息子のメール来る 高石昌魚」と「父の日やイトウを釣りし話など 廣上正市」の2句。次いで5点は「富士隠す雲切り裂きて時鳥 水牛」、「父の日のいつかも知らず老いにけり 片野涸魚」、「父の日よ祝日の無い六月よ 杉山智宥」、「父の日や区立図書館閉じるまで 鈴木好夫」と4句が並んだ。

続く4点は6句、3点8句、2点19句、1点27句。兼題別、3点以上の高点句は次の通り。

「父の日」

父の日も草むしる父背丸し       大澤 水牛

父の日や無口息子のメール来る     高石 昌魚

父の日やイトウを釣りし話など     廣上 正市

父の日のいつかも知らず老いにけり   片野 涸魚

父の日よ祝日の無い六月よ       杉山 智宥

父の日や区立図書館閉じるまで     鈴木 好夫

父の日や四十娘のありがたう      大沢 反平

父の日や玄関で待つ去年の杖      澤井 二堂

父の日は笑顔で過ごす日と決めて    横井 定利

「時鳥」

どの田にも水走らせよ時鳥       嵐田 啓明

富士隠す雲切り裂きて時鳥       大澤 水牛

ほととぎす山懐の阿弥陀堂       堤 てる夫

衝撃の訃報聞く朝ホトトギス      片野 涸魚

裏山を声明に和し時鳥         星川 佳子

「雑詠」

足の裏拭ひたくなり梅雨に入る     植村 博明

思ふこと違ふ二人やソーダ水      大倉悌志郎

紫陽花や佐倉義民の眠る墓       徳永 正裕

万緑の荒涼として友の逝く       大沢 反平

荒梅雨や贔屓チームの負け続け     大下 綾子

まぼろしの特攻基地や蛍飛ぶ      須藤 光迷

若き継母父を奪ひし梅雨の入り     藤野十三妹

電車撮る小さき脚立夏はじめ      星川 佳子

 

参加者(出席)池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、藤村詠悟、星川佳子、横井定利(投句参加)嵐田啓明、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、片野涸魚、金田青水、久保田操、田中頼子、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、村田佳代、山田明美(まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第105回例会

番町喜楽会は6月7日(土)午後1時から、千代田区二番町の番町ハイム会議室で、平成26年第6回例会(通算105回)を開催した。

兼題は「梅雨(つゆ・ばいう)」と「冷奴(ひややっこ)」。暦の入梅は11日であり、関東地方の梅雨入りは暦より遅れるのが普通なので、この兼題は少し早すぎ、もしかしたらカンカン照りで大汗掻きの中かも知れない、そうなれば「冷奴」の兼題が生きて来るだろうというのが出題者の目論見。そうしたらまさに「梅雨」がどんぴしゃり。今年は例年より5、6日早く5日に梅雨入りとなってしまい、それもとんだ荒梅雨でこの日も朝から強い雨が降りっぱなし。気温も20度くらいしかなく、薄ら寒い。

そんな悪天候も影響したか出席者は8人に止まった。投句参加は6人。出席者が少なかったので選句数を7句として句会を進めた。最高点は6点で堤てる夫さんの「満満の田水に飛沫はしり梅雨」という、新しい故郷塩田平風景を詠んだ句が選ばれた、次席5点は「ともかくも喜寿となりけり冷奴 水牛」の1句。三席4点は「キャンパスのオープンカフェ夏燕 而雲」「エアコンが臭ふと騒ぐ梅雨の入 水牛」の2句だった。次いで三点句は7句、以下二点9句、一点が23句もあった。兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「梅雨」

満満の田水に飛沫はしり梅雨     堤 てる夫

エアコンが臭ふと騒ぐ梅雨の入    大澤 水牛

梅雨晴れて園児くるりと逆上がり   今泉 而雲

肥後守錆びて候走り梅雨       玉田春陽子

つり革の二の腕眩し梅雨晴れ間    高瀬 大虫

「冷奴」

ともかくも喜寿となりけり冷奴    大澤 水牛

冷奴ゆうべと同じ話聞く       玉田春陽子

いまふたりいずれ一人や冷奴     玉田春陽子

冷奴喰ふ身も揺れてガード下     谷川 水馬

「雑詠」

キャンパスのオープンカフェ夏燕   今泉 而雲

片手あぐ小さき仏や青葉光      須藤 光迷

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子。(投句参加)高井百子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子。    (まとめ・大澤水牛)

 

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日経俳句会第129回例会

日経俳句会は5月21日午後6時半から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で、平成26年度第5回例会(通算129回)を開いた。出席者17人、投句参加者14人の計31人から148句の投句があった。

この日の兼題は「夏めく」と「茄子」で、選句7句で行った結果、最高点は8点で今泉而雲さんの「意地といふものかも知れず茄子の棘」だった。続く7点も而雲さんの「鋸を挽けば木の香や夏めける」の一句。次いで三席6点は「素足にて土踏んでみる喜寿の朝 大澤水牛」と「「雑巾で磨きし廊下夏めきぬ 横井定利」の二句だった。以下5点が3句、4点9句、3点9句、2点11句、1点40句と続いた。相変わらずの激戦だが、今回は特に4点、3点が目立った。3点以上獲得した句を季語別に掲げる。

「夏めく」

鋸を挽けば木の香や夏めける     今泉恂之介

雑巾で磨きし廊下夏めきぬ      横井 定利

腐葉土の芳しき香の夏めきて     金田 青水

夏めいて陽気な雨となりにけり    嵐田 啓明

夏めきて床屋のはさみ動き出す    植村 博明

夏めくや塩気のつよき握り飯     大下 綾子

夏めくや背になじみきしランドセル  須藤 光迷

夏めくや夜風を入れるレストラン   堤 てる夫

製糸場百年煉瓦に夏兆す       杉山 智宥

夏めくや棚田に映る風の影      髙石 昌魚

夏めきて水重くなる神田川      高橋ヲブラダ

夏めくや被災の海の息遣ひ      水口 弥生

「茄子」

意地といふものかも知れず茄子の棘  今泉恂之介

焼き茄子や宇宙飛行士帰還せり    嵐田 啓明

茄子紺や宇宙に果てはありますか   大沢 反平

煮て焼いて炒めて漬けて茄子の膳   直井  正

弁当の中に程よき小茄子かな     大熊 万歩

賀茂茄子の特等席の八百屋かな    大熊 万歩

茄子苗の早も小さな花ひとつ     大澤 水牛

焼茄子を剥けば可憐なうすみどり   髙瀨 大虫

「当季雑詠」

素足にて土踏んでみる喜寿の朝    大澤 水牛

腹の傷ゆつくりさすり衣がへ     金田 青水

あめんぼの足の先より二つの輪    星川 佳子

職に在りしごと大股に夏日影     横井 定利

ポリープを取られ戻れば大夕焼    須藤 光迷

閑かなる山寺を這ふ若葉風      水口 弥生

《参加者》(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、髙石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、水口弥生。(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大下綾子、岡田臣弘、金田靑水、久保田操、須藤光迷、田中頼子、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子、村田佳代、横井定利。

☆     ☆     ☆

なお、句会前日の5月20日夕刻、日経俳句会の幹事だった吉野光久氏が亡くなった。2年半前に悪性リンパ腫が発見され、検査・治療に何回か入院、今年に入って大いに元気を回復し、3月の酔吟会例会に颯爽登場、「病躯ゆるされて春野に歩き出す」という素晴らしい句で最高点を獲得、出席者一同から拍手喝采を浴びた。「しばらくは夜間の外出は控えねばならないが、昼間なら大丈夫なので、これからは酔吟会例会に出席します」と宣言された記憶が新しいだけに、この訃報には会員一同言葉を失った。

吉野邸に詰めかけていた同期生の堤てる夫さんが遅れて句会会場に現れ、故人のことをしみじみ語り、一同深く冥福を祈った。

(報告 大澤水牛)

 

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番町喜楽会第104回例会

番町喜楽会は5月12日(月)午後6時半、千代田区九段下の区立生涯学習館4階集会室で、平成26年第5回例会(通算104回)を開催した。兼題は「薄暑(はくしょ)」「牡丹(ぼたん)」で、出席13人、投句参加5人から計90句の投句があった。6句選句の結果、最高点は5点、大下綾子さんの「夏場所や厨に立てるタブレット」の1句。次席4点は、星川佳子さんの「トルソーの残るアトリエ夕薄暑」「円朝の眠れる寺や黒牡丹」の2句と、須藤光迷さんの「推敲を重ねつ柏餅ふたつ」、高井百子さんの「花びらに風のかよへり白牡丹」、堤てる夫さんの「花の雲墓碑に六連一円貨」の合計5句が並んだ。次いで3点句は7句、以下2点12句、1点27句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「薄暑」

トルソーの残るアトリエ夕薄暑    星川 佳子

娘らの軽きパンプス薄暑かな     高井 百子

犬連れのいつもの仲間夕薄暑     田中 白山

呼鈴を押して待つ間や夕薄暑     玉田春陽子

老犬の息遣ひ聞く薄暑かな      山口斗詩子

「牡丹」

花びらに風のかよへり白牡丹     高井 百子

円朝の眠れる寺や黒牡丹       星川 佳子

雄蕊からふつと吐息の白牡丹     田中 白山

法事了へ三々五々や白牡丹      玉田春陽子

「雑詠」

夏場所や厨に立てるタブレット    大下 綾子

推敲を重ねつ柏餅ふたつ       須藤 光迷

花の雲墓碑に六連一円貨       堤 てる夫

大屋根の御台所や散る桜       堤 てる夫

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(投句参加)岩沢克恵、大下綾子、高井百子、三好六甫、山口斗詩子    (まとめ・堤てる夫)

 

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酔吟会第110回例会

酔吟会は5月10日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で平成26年度第3回例会(通算110回)を開いた。朝晩はまだ少々肌寒さを感ずることもあるが、日中は25度を記録する夏が到来、この日も朝から晴れ上がり上々の天気だった。

今回から日経俳句会水木会の大平睦子さんが正式参加、清新な風を吹き込んでくれた。この日の出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟、星川佳子の10名、投句参加が片野涸魚、金指正風、野田冷峰の3名だった。

兼題は「初夏」と「月見草」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は4点で、長老藤村詠悟さんの「黄海に沈む若者初夏の難」という痛ましい韓国船沈没事故を詠んだ時事句だった。続く3点はこれまた長老片野涸魚さんの「垂れ下がるメランコリイや藤の花」をはじめ7句も並んだ。以下、2点10句、1点が22句となった。。兼題別の2点以上獲得句は次の通り。

「初夏」

黄海に沈む若者初夏の難        藤村 詠悟

初夏や網戸かがりに日は暮れて     岡田 臣弘

初夏の小松菜育つ早さかな       大澤 水牛

登りけり真田山城初夏の風       大澤 水牛

初夏の背ばかり伸びる少女かな     今泉恂之介

ナマ足で初夏を蹴り上げ原宿や     野田 冷峰

瓶の栓ぽんと抜きたる初夏の朝     星川 佳子

迷ひなく水玉シャツで初夏の朝     大平 睦子

初夏の露店で試すサングラス      岡田 臣弘

「月見草」

月見草陸軍伍長の墓の裏        大沢 反平

月見草雫一滴野辺送り         野田 冷峰

裏路地にゲタ屋頑張り月見草      星川 佳子

「雑詠」

垂れ下がるメランコリイや藤の花    片野 涸魚

柿若葉力余って庭占拠         藤村 詠悟

夏つばめ山河きらめくものばかり    今泉恂之介

少子化に揺れる行末鯉のぼり      金指 正風

初つばめ老いまた少し進む朝      大沢 反平

花林檎さかんに香る信濃かな      堤 てる夫

(まとめ 大澤水牛)

 

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三四郎句会第29回例会

第29回三四郎句会は4月24日、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。会員12人中、10人が出席、印南進さんの「昭和の世語る仲間や花の宴」と、腰痛のため急きょ欠席した田村豊生さんの「今しばし眺めてゐたき春の海」が最高点の5点を獲得した。

4点句はなく、3点の3句はすべて田村さんの作品であった。そのため田村さんが高点5句中の4句を占めるという空前の快挙を達成した。

合評会では2点句も対象にした。しかし2点は16句にも及んだため、合評対象句は高点句作者を除き各人1句ずつとした。

合評会にかけられた作品は次の通り。

「潮干」

潮干潟子等の笑顔は泥まみれ     田村 豊生

潮干潟ひとでうみうし玉手箱     深瀬 久敬

夕干潟白鷺一羽ひそと立つ      竹居 照芳

白波の遠くに見ゆる潮干かな     後藤 尚弘

潮干かご横目で量る日暮れ道     河村 有弘

「麗か」

うららかや段畑どこも人のゐて    岡本  崇

春うらら雷門に車夫群れて      篠田 義彦

麗らかや江南の子は牛を曳く     今泉恂之介

「雑詠」

昭和の世語る仲間や花の宴      印南  進

今しばし眺めてゐたき春の海     田村 豊生

引き揚げを生きて盤寿や春衣     田村 豊生

ランドセル弾む野道や風光る     田村 豊生

花冷えや客が列なす鯛焼き屋     石黒 賢一

(記録 今泉恂之介)

 

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平成26年度NPO法人双牛舎総会・俳句大会

俳句の普及・振興に取り組んでいるNPO法人双牛舎(今泉恂之介・大澤水牛代表理事)は4月19日(日)、東京都千代田区二番町の「東京グリーンパレス」で第7回年次総会を開催した。傘下の日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会のメンバー39人が参加した。総会のビッグイベント、俳句大会には投句参加を含めて42人が2句ずつ合計84句を投句・選句し大いに盛り上がった。

総会では今泉代表理事が年次報告すると共に、故山口志郎氏(俳号詩朗、平成24年3月死去)の後任理事と体制強化のための理事増員を行うことを提案、堤てる夫、徳永正裕(日経俳句会)、玉田春陽子、谷川水馬(番町喜楽会)の4氏を新理事に、また監事に須藤光迷氏(日経・番町)を推薦、出席者全員の賛同を得た。

双牛舎は平成20年1月からブログ「みんなの俳句」を発信しており、その第六集(25年1月〜12月発信分)が出来上がったので会場で配布した。

総会が終了し最長老の井上庄一郎氏(日経俳句会)の乾杯の発声で俳句大会、懇親会に移行した。まず昨年の俳句大会入選者に、書家の赤池渓舟師揮毫の短冊が贈呈された。俳句大会は2句投句・5句選句で、事前にメールなどで投句を済ませ、大会当日は事務局で用意した大きな選句表が会場に掲示され、参加者は自分の選んだ作品にシールを貼って選句する仕組みで行った。

その結果、最高は12点で、番町喜楽会の高橋楓子さんの「口紅を控えめにして花衣」に「天」賞、次席11点は日経俳句会吉野光久さんの「人混みに独りと思ふ花の下」で「地」賞が贈られた。三席は8点で、日経俳句会・番町喜楽会星川佳子さんの「朝まだき手水鉢にも花筏」と、番町喜楽会玉田春陽子さんの「行く春をかき回したるチンドン屋」、三四郎句会岡本祟さんの「投了の友に淹れやる新茶かな」の計3句が「人」賞に選ばれた。7点までの入賞者には水牛、光迷両氏制作の陶器が贈られた。

双牛舎の新体制は次の通り。

代表理事=今泉恂之介、大澤水牛

理事=井上啓一、高井百子、堤てる夫(新)、徳永正裕(新)、玉田春陽子(新)、谷川水馬(新)

監事=澤井二堂、須藤光迷(新)

☆     ☆    ☆

 

双牛舎俳句大会入賞句(氏名の後のカッコ書きは所属句会の略号。日=日経俳句会、番=番町喜楽会、三=三四郎句会)

「天」

口紅を控へ目にして花衣       高橋 楓子(番)

 

「地」

人混みに独りと思ふ花の下      吉野 光久(日)

「人」

行く春をかき廻したるチンドン屋   玉田春陽子(番)

朝まだき手水鉢にも花筏       星川 佳子(日・番)

投了の友に淹れやる新茶かな     岡本  崇(三)

「選」

行く春を手水に掬ふ朝かな      谷川 水馬(番)

春雨の描く路面や江戸小紋      大熊 万歩(日)

墨堤の色の移ろひ春行けり      井上 啓一(番)

行く春やかばんに詰めし講義録    大下 綾子(日・番)

亀鳴くやこんなに自由妻の留守    井上 啓一(番)

行く春に一円玉を数へをり      大澤 水牛(日・番)

春逝きて蘂のたゆたふ岸辺かな    高瀬 大虫(日・番)

障子切る鳥影の濃し春や行く     深瀬 久敬(三)

気短になってきたかな葱坊主     廣上 正市(日)

(記録 堤てる夫)

 

 

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