日経俳句会第198回例会

4月もメール句会

てる夫句「姿見」・双歩句「潮干狩」が9点で並ぶ

日経俳句会の令和3年4月例会(通算198回)は、まん延防止等重点措置なるものが出され、3月に引き続いてメール句会となった。変異株の感染拡大で先の見通しがたたない事態の中、3月同様35人から105句の投句があった。兼題は「遅日」と「柳」。4月21日締め切りで5句選の結果、一席は堤てる夫さんの「ため池を姿見にして若柳」と嵐田双歩さんの「気がつけば尻の冷たき潮干狩」が9点で並んだ。二席の7点句も2人で、「御飯だよ~語尾長々と遅日かな」の須藤光迷さんと「老木もなほやはらかき柳の芽」の向井ゆりさん。以下、6点句が植村方円さんと向井さん。次いで、5点3句、4点5句、3点12句、2点15句。1点30句だった。なお、4月例会より篠田朗さんが新入会員として投句参加し、合計3点を獲得しデビューを飾った。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「遅日」

御飯だよ~語尾長々と遅日かな        須藤 光迷

遅き日や部活終わりのトンボがけ       向井 ゆり

予後の身で炙る肴や暮遅し          谷川 水馬

ゆるり鳴る柱時計の暮遅し          水口 弥生

ペンキ屋の鼻歌まじる遅日かな        植村 方円

能登瓦黒匂ひ立つ遅日かな          徳永 木葉

念を入れ糠床まぜる遅日かな         金田 青水

暮遅し遊び惚ける鴉二羽           久保田 操

家族写真庭先で撮る遅日かな         中嶋 阿猿

遅き日や延長に入る草野球          中村 迷哲

徘徊のごと歩きたる遅日かな         廣上 正市

「柳」

ため池を姿見にして若柳           堤 てる夫

老木もなほやはらかき柳の芽         向井 ゆり

江戸の海この辺までと老柳          植村 方円

いくたびの試練の銀座柳かな         旙山 芳之

風さえも緑に染めて糸柳           岩田 三代

青柳や修行僧行く沈下橋           谷川 水馬

漆喰の壁の白さや若柳            中嶋 阿猿

湯めぐりの相方の待つ柳陰          中村 迷哲

「当季雑詠」

気がつけば尻の冷たき潮干狩         嵐田 双歩

花吹雪両手に受けて吾子駆ける        岩田 三代

徒長枝を伐れば春愁消えにけり        金田 青水

硯海に溶かす想ひや春の宵          谷川 水馬

草餅を丸める祖母の手際良さ         工藤 静舟

偲ぶ雨枝も重かろ八重桜           工藤 静舟

押し花となりし車道の椿かな         斉藤 早苗

《参加者35人》嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。   (報告 嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第182回

「春眠」と「雀の子」を詠む

高井百子さんぶっちぎりの10点

番町喜楽会は令和3年4月例会(通算182回)を4月3日(土)に九段下の千代田区立生涯学習館で開催した。兼題は「春眠」と「雀の子」。新型コロナウイルスがなかなか収束しない影響もあり、出席者数の少ない句会となったが投句者は21名で投句総数は105句であった。選句6句で句会を進めた結果、高井百子さんの「復旧の一番電車さくら咲く」が群を抜いた10点を獲得しトップに輝いた。次席は谷川水馬さんの6点句「子雀を抱いてきた子も早や四十路」で、三席には田中白山さんの「ライオンの檻を自由に雀の子」と玉田春陽子さんの「子のまねる二礼二拍手山笑ふ」の5点句が続いた。以下、4点句が3句、3点4句、2点20句、1点19句となった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春眠」

深海の海月となりて春眠す             徳永 木葉

春眠のパソコン画面謎の文字            谷川 水馬

一行を行きつ戻りつ春眠し             池内 的中

「雀の子」

子雀を抱いてきた子も早や四十路          谷川 水馬

ライオンの檻を自由に雀の子            田中 白山

群れ遊ぶときは短し雀の子             高井 百子

「雑詠」

復旧の一番電車さくら咲く             高井 百子

子のまねる二礼二拍手山笑ふ            玉田春陽子

亡き人と似た人に会う春霞             斉山 満智

街角にモンロー見たり春の風            中村 迷哲

桜さくら今日もどこかで人が死ぬ          嵐田 双歩

【参加者】(出席11人)嵐田双歩、今泉而云、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、徳永木葉、堤てる夫、廣田可升、前島幻水。(投句参加10人)池内的中、大澤水牛、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子。  (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第197回例会

3カ月連続でメール句会、「陽炎」「蛙」を詠む

日経俳句会の令和3年3月例会(通算197回)は、緊急事態宣言の延長に伴い3カ月連続のメール句会となった。兼題は「陽炎」と「蛙」。35人から105句の投句があり、5句選の結果、大沢反平さんの「久々に妻笑ひけり桜餅」が最高8点に輝いた。二席7点には嵐田双歩さんの「昼蛙次の札所へ誘へり」と水口弥生さんの「灯を消せば俄かに近く蛙聞く」が並び、三席6点には大澤水牛さんの「横浜にまだ田舎あり昼蛙」と杉山三薬さんの「行く春に車と免許手放せり」が入った。このほか5点2句、4点7句、3点12句と高点句が26句に及び、2点21句、1点20句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「陽炎」

陽炎や二輪エンジン機嫌よし           岡田 鷹洋

突堤に釣り人二人陽炎へる            岩田 三代

整へし畝くろぐろと陽炎ひぬ           大澤 水牛

母の椅子押し行く庭の陽炎へり          中村 迷哲

この辺り太古は海やかげろへる          廣上 正市

海よ凪ぐ3・11の陽炎へる           水口 弥生

かぎろへる浅瀬を渡る水牛車           嵐田 双歩

陽炎やスコアボードの点変はる          大下 明古

陽炎やジャンボ機やつと離陸せり         加藤 明生

「蛙」

昼蛙次の札所へ誘へり              嵐田 双歩

灯を消せば俄かに近く蛙聞く           水口 弥生

横浜にまだ田舎あり昼蛙             大澤 水牛

婆さんの連弾の技春の風             池村実千代

黙々と給食の子ら蛙鳴く             杉山 三薬

小蛙の金環の目に見つめられ           今泉 而云

戯画なれど国宝ですと蛙言ふ           堤 てる夫

初蛙理科の教師の白衣より            徳永 木葉

「当季雑詠」

久々に妻笑ひけり桜餅              大沢 反平

行く春に車と免許手放せり            杉山 三薬

蒲公英やくるくる回る立ち話           嵐田 双歩

春異動送別の辞もオンライン           荻野 雅史

ワクチンを打つも打たぬも四月馬鹿        須藤 光迷

春の風十年前の癌手術              髙橋ヲブラダ

川沿いの子供マラソン花菜風           中村 迷哲

剪定の音のいろいろ暖かし            水口 弥生

焼夷弾降りし深川花を待つ            横井 定利

《参加者三十五人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 中村迷哲)

 

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酔吟会第150回例会

対面句会成らずメール句会に

「水温む」「紫雲英」に98句

最高は水馬句「春菜摘」の8点

 

酔吟会は3月13日に予定した例会(通算150回)をコロナ禍緊急事態宣言の延長で会議室が使えず、メール句会に切り替えて実施した。兼題は「水温む」「紫雲英」で、参加者は20人、投句5句、選句6句の結果、最高は谷川水馬さんの「節節のよく鳴ることよ春菜摘」の8点句。次席は玉田春陽子さんの「水温むたった五分の渡し舟」の6点句だった。三席は4点で、「春の水堰にくるくる回るもの 大沢反平」、「紫雲英咲く彦根は城と湖の町 須藤光迷」、「紫雲英田や道草をする雲ひとつ 春陽子」、「げんげんや花輪編む子の横座り 徳永木葉」、「鳩時計五分遅れて鳴くうらら 廣田可升」の5句が並んだ。酔吟会は新年1月例会を恒例七福神吟行に振り替え、3月例会をコロナ禍対応のメール句会に切り替えた結果、メンバーが対面して席に着く機会は、5月例会に持ち越された。薫風例会の開催に期待しよう。3月例会の兼題別高点句(3点以上)は次の通り。

「水温む」

水温むたった五分の渡し舟       玉田春陽子

白鷺の抜き脚差し脚水温む       杉山 三薬

ランドセルなでる六歳水温む      徳永 木葉

水温む魚影を探す聖橋         向井 ゆり

「紫雲英」

紫雲英咲く彦根は城と湖の町      須藤 光迷

紫雲英田や道草をする雲ひとつ     玉田春陽子

げんげんや花輪編む子の横座り     徳永 木葉

「当季雑詠」

節々のよく鳴ることよ春菜摘      谷川 水馬

春の水堰にくるくる回るもの      大沢 反平

鳩時計五分遅れて鳴くうらら      廣田 可升

春うらら肉饅買ひに中華街       大澤 水牛

銃で殴る仏の国の昏い春        堤 てる夫

参加者20名=嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大澤反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田清水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井ゆり。

(まとめ 高井百子)

 

 

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番町喜楽会第181回例会

「黄砂」と「雛祭」を詠む

百子さんの「崩落鉄橋」が7点でトップ

次席に双歩、水馬、迷哲、可升の4人

番町喜楽会は令和3年3月の例会(通算第181回)を1日、メールで開催した。投句は3句以上5句以内で2月22日に締め切り、3月1日までに各自6句選句して選評を付けて幹事に送信した。今回の兼題は「黄砂」と「雛祭」。選句結果は、高井百子さんの「春立つや崩落鉄橋繋がりぬ」が最高7点でトップを独走、6点と5点が無く次席は4点で、嵐田双歩さんの「子も孫も今年は来ない雛祭」、谷川水馬さんの「落書きのへのへのもへじ黄砂降る」、中村迷哲さんの「つちふるや玄関先に小砂漠」、廣田可升さんの「土雛の点が三つの目鼻かな」の4句が並んだ。3点は13句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「黄砂」

落書きのへのへのもへじ黄砂降る   谷川 水馬

つちふるや玄関先に小砂漠      中村 迷哲

コロナ禍に黄砂加わり子は愚図り   須藤 光迷

東京は皆エトランゼ黄砂降る     中村 迷哲

宅配のバイクつちふる中回る     野田 冷峰

新疆発香港経由つちふれり      廣田 可升

「雛祭」

子も孫も今年は来ない雛祭      嵐田 双歩

土雛の点が三つの目鼻かな      廣田 可升

雛の日のひとりとなりし夕厨     嵐田 双歩

客来れば微かに揺れて吊るし雛    今泉 而云

雛の顔家族誰にも似ておらず     斉山 満智

受付に手彫りの雛や婦長作      玉田春陽子

吊るし雛揺らす潮風安房の宿     廣田 可升

籠り居や雛と分け合ふ菓子あられ   前島 幻水

「雑詠」

春立つや崩落鉄橋繋がりぬ      高井 百子

記さねば句は消えてゆく春霞     今泉 而云

春めくや水切り石の音走る      玉田春陽子

抱き上げてこれが梅よと若き母    山口斗詩子

参加者(21人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・須藤光迷)

 

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日経俳句会第196回例会

「みちのくの」双歩句9点、「エコバッグ」明古句8点など高点句続出

緊急事態宣言延長、再びメール句会

日経俳句会の令和3年2月例会(通算196回)は、緊急事態宣言が延長になり、1月に続きメール句会となった。兼題は「冴返る」と「辛夷」。34人から102句の投句があり、2月17日までに5句選んでもらった。その結果、嵐田双歩さんの「みちのくの重き歳月花辛夷」が9点で一席。二席8点は大下明古さんの「エコバッグはみ出す野菜春一番」、三席7点には星川水兎さんの「一本の白き森なる大辛夷」が入った。続いて植村方円さんの「花辛夷これより先は奥州路」と、向井ゆりさんの「荷造りを終えし夜半や冴返る」が6点で並び、全体的に兼題句を中心に特定の句に票が集まった。以下、5点3句、4点6句、3点15句、2点10句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冴返る」

荷造りを終えし夜半や冴返る         向井 ゆり

訃報欄あの人がいて冴返る          植村 方円

提灯の消えて横丁冴返る           大澤 水牛

プレハブの発熱外来冴返る          嵐田 双歩

歩道橋ヒールの音の冴返る          岩田 三代

早暁の般若心経冴え返る           加藤 明生

冴え返る味覚嗅覚ある安心          杉山 三薬

スタジアム人影途絶へ冴返る         中嶋 阿猿

冴返る始発ディーゼル入線す         中村 迷哲

夜汽車より見ゆる外灯冴返る         星川 水兎

冴返るこの深川に八十年           横井 定利

「辛夷」

みちのくの重き歳月花辛夷          嵐田 双歩

一本の白き森なる大辛夷           星川 水兎

花辛夷これより先は奥州路          植村 方円

雲一つ無き大空や花辛夷           大澤 水牛

 

まぶしさの四方より寄せぬ花辛夷       大下 明古

辛夷咲き世の片隅を明るくす         旙山 芳之

閉校の門のあおぞら辛夷咲く         廣上 正市

当季雑詠

エコバッグはみ出す野菜春一番        大下 明古

春めくやスカイツリーの影を踏む       加藤 明生

春一番歩幅広げて黄信号           和泉田 守

中腰の介護の日々に春浅し          大沢 反平

並ぶ列知る人ありて桜餅           鈴木 雀九

小指立て髪切る妻や春立ちぬ         須藤 光迷

畝ごとの蟹さん歩き麦を踏む         谷川 水馬

ベランダの父に鼻歌春夕焼け         横井 定利

仏の座歴史探偵ペンを擱く          堤 てる夫

まどろみつ旅の日想ふ春炬燵         徳永 木葉

雛飾る七つの吾と祖母と居り         向井 ゆり

《参加者34人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告・嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第180回

コロナ緊急事態宣言の再発出でまたまたメール句会に

参加22人で「東風」と「猫の恋」を詠む

番町喜楽会は、令和3年2月例会(通算180回)を2月6日(土)に「東風」と「猫の恋」を兼題とした句会を開催した。新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が出されている影響もあり、メールでの句会となったが投句者は22名で、投句総数は106句となった。投句5句、選句6句で句会を行った結果、大澤水牛さんの「水洟や幼馴染の店たたむ」と塩田命水さんの「相槌の途切れぬ電話春障子」が7点でトップに輝いた。次席は玉田春陽子さんの6点句「胸の傷なめて終わりぬ猫の恋」で、三席には谷川水馬さんの「6ミリのバリカン坊主東風強し」と玉田春陽子さんの「駅毎に寒風入れて終電車」の5点句が続いた。以下、4点句が4句、3点句が9句、2点句が16句、1点句が27句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「東風」

6ミリのバリカン坊主東風強し           谷川 水馬

梅東風や絵馬に「けい算がんばる」と        嵐田 双歩

梅東風や子はぐつすりと乳母車           谷川 水馬

一斗缶に火を焚く漁港東風強し              徳永 木葉

島東風やタイヤ並べた船着場            嵐田 双歩

皆中を外す矢羽根に東風強し            池内 的中

強東風や一息ついて杖の人             星川 水兎

「猫の恋」

胸の傷なめて終りぬ猫の恋             玉田春陽子

窓猫の丸き背中や恋終わる             谷川 水馬

「雑詠」

水洟や幼馴染の店たたむ              大澤 水牛

相槌の途切れぬ電話春障子             塩田 命水

駅毎に寒風入れて終電車              玉田春陽子

投了と妻に伝えて寒に逝く             今泉 而云

初孫は女の子とや福寿草              谷川 水馬

五両ほど畳に零れ実千両              玉田春陽子

友逝けり斑鳩の里凍て返る             堤 てる夫

守り人の消えし灯台野水仙             中村 迷哲

奥久慈に氷花(しが)流るるや春隣         中村 迷哲

【メールによる参加者22人】嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、大下明古、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、堤てる夫、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水、星川水兎、山口斗詩子。   (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第195回例会

緊急事態宣言再発令でまたまたメール句会

「御降」と「鎌鼬」、難解季語を詠む

日経俳句会の令和3年1月例会(通算195回)は、コロナ第三波の急拡大で緊急事態宣言が出されたため、再びメール句会に切り替えた。兼題は「御降」と「鎌鼬」。37人から111句の投句があり、1月20日付で5句選の結果、徳永木葉さんの「エクセルのふつりと消えり鎌鼬」が最高10点を獲得し一席に輝いた。二席は嵐田双歩さん「日脚伸ぶ間違いさがしあと二つ」と大澤水牛さん「老人の祈り短し初詣」の雑詠2句が9点で並んだ。7点句には旙山芳之さんの「御降や掃き清めたきこの世かな」、6点句には双歩さんの「草に樹に土に御降やはらかく」が入った。このほか5点2句、4点6句、3点15句と高点句が28句を数え、2点19句、1点22句だった。なお植村博明さんが、今月から俳号「方円(ほうえん)」を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「御降」

御降や掃き清めたきこの世かな            旙山 芳之

草に樹に土に御降やはらかく             嵐田 双歩

御降じや足りぬ冬菜へじょろの水           金田 青水

御降や天使の歌とふとおもふ             池村実千代

御降りや巫女の持つ札少し濡れ            植村 方円

御降や相合傘の石畳み                工藤 静舟

御降や立往生に蕪鮨                 堤 てる夫

御降りや恐竜の背濡れそむる             徳永 木葉

御降の白く舞ふ里家五軒               中村 迷哲

「鎌鼬」

エクセルのふつりと消えり鎌鼬            徳永 木葉

皺の手や七十年前の鎌鼬               大澤 水牛

空気とて刃(やいば)となりき鎌鼬          向井 ゆり

小走りの新聞少年鎌鼬                大沢 反平

鎌鼬鬼滅の刃受けしかな               須藤 光迷

煮魚の背にざつくりと鎌鼬              谷川 水馬

「当季雑詠」

日脚伸ぶ間違いさがしあと二つ            嵐田 双歩

老人の祈り短し初詣                 大澤 水牛

杖ついて動かぬ人よ冬日差し             植村 方円

たっぷりと寒九の水を小豆煮る            大下 明古

目で笑ふ難しきこと冬籠り              池村実千代

雪晴れや夕日眩しき五能線              加藤 明生

大雪の中を落ちゆくエレベーター           星川 水兎

裸木のてっぺんに鳥動かざる             岩田 三代

疎ましき消毒薬とあかぎれと             大沢 反平

落ち葉焚き話題も尽きて尻炙り            岡田 鷹洋

面取りの大根煮込む窓白し              斉藤 早苗

お年玉センキューと言ふ二歳半            堤 てる夫

具を足して二夜連続のおでん酒            旙山 芳之

《参加者37人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告者 中村迷哲)

 

 

 

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コロナ封じ願い亀戸七福神吟行を挙行

一月九日の土曜日、日経俳句会、番町喜楽会合同で恒例の七福神吟行を行なった。前日に一都三県に緊急事態宣言が再発令されたこともあり、どのように実施すべきかが問われる吟行となった。人口比で考えると決して感染者数は多くないというご意見もあり、それはその通りだとは思ったが、一方で医療機関の逼迫状況や医師・看護師の方々の悲痛な声も偽らざる現実と思え、参加者全員が高齢者の集まりであることも考慮すれば、極力感染リスクの低いやり方で吟行を実施すべしと考えた。その為に、昼間の吟行以上に楽しみにされている方の多い、夜の懇親会を早々に中止とさせていただいた。また、参加申込をされた方で、参加すべきかどうか悩まれている方は申し出て欲しい、というような異例の呼びかけも直前に行なった。
今回の吟行の舞台は亀戸七福神。JR亀戸駅にそれでも十名が元気に集合してくれたのは有難かった。常光寺(寿老人)→東覺寺(弁財天)→香取神社(恵比寿・大黒天)→普門院(毘沙門天)→天祖神社(福禄寿)→龍眼寺(布袋尊)と回り、最後は七福神詣の対象ではないが、亀戸天神社にお参りし散会とした。三々五々亀戸駅に引き返したが、会食を楽しみにしておられた方には、やはり申し訳ない気持ちが残った。なお、今回の新年吟行を期して、植村博明さんが俳号「方円」を名乗られることを明らかにされた。メール句会は投句三句、選句四句で行なったが、「みんなの俳句」のコメント常任執筆者が参加者の中に三名しかいなかったことから、吟行の選句としては異例なことだが、今回参加されなかった常任執筆者の方にも二句選句で加わっていただくようにお願いした。得票が分散した結果、最高点は四点句で「福詣終えて見上げるタワーに灯 三代」「水かぶる恵比寿大黒寒の行 木葉」「七福神巡り終へての一人鍋 水牛」の三句が並んだ。参加十名の代表句(上記三句を除く)は以下の通り。

冬晴れや亀戸の路地昭和の香        岩田 三代

福詣スカイツリーも見え隠れ        植村 方円

寒四郎野菊の墓のうらさびれ        大澤 水牛

梅の香を愛でて渡るや太鼓橋        岡田 鷹洋

御仏の右ほほ染める寒あかね        金田 青水

マスク取り香りをかぐや寒の梅       田中 白山

天神の裏路地梅のはや三分         玉田春陽子

句友集ふコロナ封じの福参り        徳永 木葉

七福神息子の肩借りスタートす       野田 冷峰

天神の空の青さや寒四郎          廣田 可升

(幹事:廣田可升記)

 

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日経俳句会令和2年下期合同句会(通算31回)

コロナの年の詠み収め

百子さん「仏壇に朝日」9点で一席。「嗚呼嗚呼嗚呼」の操さん、「ポインセチア」のゆりさん、「売り言葉」の阿猿さんと女性が上位独占

日経俳句会は12月16日(水)、令和2年度下期合同句会を千代田区九段の区立九段生涯学習館で開催した。新型コロナ感染予防のため、いつもの日経広告研究所会議室では十分な距離がとれないとあって、広い会場に切り替えた。東京都の感染者数は増え続けており、またこの日は一段と寒くなったが、21人が集い今年最後の句会に興じた。

兼題は「冬桜」の一つだけ。38人から113句の投句があり、5句選の事前選句の結果、高井百子さんの「仏壇に朝日の届く冬至かな」が9点で一席。次いで、久保田操さんの「師走くる嗚呼嗚呼嗚呼と鴉鳴く」と向井ゆりさんの「独り居にポインセチアを招き入れ」が7点で並んだ。さらに中嶋阿猿さんの「売り言葉買つてぶらぶら冬桜」が6点で続き、上位4人は女性ばかり。男性陣は形無しの句会となった。以下、5点3句、4点7句、3点12句、2点26句、1点30句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冬桜」

売り言葉買つてぶらぶら冬桜       中嶋 阿猿

冬ざくら二つ違いの姉のこと       横井 定利

ああ今朝も生きていたなあ冬桜      大澤 水牛

冬桜山道下る子らの声          加藤 明生

旅の夜のそこだけ明かし冬桜       廣田 可升

城跡に郷土館あり冬桜          須藤 光迷

藁を焼く合戦の地や冬桜         谷川 水馬

しまなみを見晴かす城冬桜        中村 迷哲

連日の喪中はがきや冬桜         旙山 芳之

しずけさを身にまといたり冬桜      星川 水兎

幼な子の小さき指先冬桜         向井 ゆり

「当季雑詠」

仏壇に朝日の届く冬至かな        高井 百子

師走くる嗚呼嗚呼嗚呼と鴉鳴く      久保田 操

独り居にポインセチアを招き入れ     向井 ゆり

夜回りに女の声のまざりけり       鈴木 雀九

白髪を束ねて婆の畑終ひ         高井 百子

キャベツ巻九つ巻いて冬の暮       大澤 水牛

初雪や狸堂々畑行く           工藤 静舟

冬の灯や術前に書く遺言書        中村 迷哲

書割に似たる茶屋町雪催         廣田 可升

看護婦の母出勤の雪催ひ         今泉 而云

晩年の只中にいて年の暮れ        植村 博明

冬空に阿吽の呼吸足場組み        谷川 水馬

冬ぬくし昭和を流すちんどん屋      玉田春陽子

山茶花の散りつひたすら咲きにけり    廣上 正市

蒼穹に憂さの一撃大嚏          水口 弥生

《参加者》【出席21人】=嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村博明、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、旙山芳之、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。【投句参加17人】和泉田守、岩田三代、大沢反平、大下明古、大平睦子、加藤明生、工藤静舟、久保道子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、中村迷哲、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。 (報告 嵐田双歩)

 

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