酔吟会第167回例会

 

13人が「ふらここ」「あかんべ」を詠む

水馬句「日本アルプス蹴っ飛ばす」8点で首位

酔吟会は令和6年の3月例会(通算第167回)を9日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「ふらここ」、席題に大澤水牛さんが「あかんべ(あかんべー、あっかんべ)」を提示、雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)で句会を進めた結果、谷川水馬さんの「ふらここや日本アルプス蹴っ飛ばす」が8点で首位、次点には岡田鷹洋さんの「春満ちていまはの床であかんべえ」と中村迷哲さんの「校長にあっかんべーと卒業す」が7点で入り、三席にも鷹洋さんの「木瓜の花金婚なるも未知あまた」と迷哲さんの「焼け跡をうっすら隠す春の雪」が6点で並んだ。5点、4点、3点がそれぞれ3句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「ぶらんこ」

ふらここや日本アルプス蹴っ飛ばす     谷川 水馬

ぶらんこや誰が忘れし野球帽        須藤 光迷

ぶらんこや静かなゆらぎやみの中      久保 道子

鞦韆や靴先で蹴るスカイツリー       廣田 可升

席題「あかんべ」

春満ちていまはの床であかんべえ      岡田 鷹洋

校長にあっかんべーと卒業す        中村 迷哲

雛あられねだるや姉のあっかんべ      中村 迷哲

春人事別れ惜しむもあっかんべ       向井 愉里

佐保姫のあっかんベーや今日の風      嵐田 双歩

「当季雑詠」

木瓜の花金婚なるも未知あまた       岡田 鷹洋

焼け跡をうっすら隠す春の雪        中村 迷哲

転けたのは引力のせい亀の鳴く       廣田 可升

すこやかに舟漕ぐ妻や春の宵        須藤 光迷

さきたまの古墳円やか草の餅        徳永 木葉

<句会参加者13人>嵐田双歩、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。

(報告 須藤光迷)

 

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番町喜楽会第214回例会

首位に満智「母の手順」と春陽子「ガンダム」, 水兎「バスの揺れ」が二席に

十九人が「遅日」と「木の芽和」を詠む

番町喜楽会は令和6年の3月例会(通算第214回)を4日午後六時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。天候に恵まれ温かい日和だったが、出席者は7人と近年にない少なさだった。兼題は「遅日」と「木の芽和」、雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)の結果、斉山満智さんの「うろ覚え母の手順で木の芽和え」と玉田春陽子さんの「ガンダムも隅に飾りて雛祭り」が6点で首位を並走、二席に星川水兎さんの5点句「うとうとと遅日のバスの揺れ心地」が入り、三席に金田青水さんの「歯ごたへの良き地蛸にて木の芽和」、徳永木葉さんの「昼席の追い出し太鼓暮遅し」、中村迷哲さんの「品書は女将の細字木の芽和」の4点3句が並んだ。3点は8句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「遅日」

うとうとと遅日のバスの揺れ心地      星川 水兎

昼席の追い出し太鼓暮遅し         徳永 木葉

釣り人に魚の名聞くも遅日かな       嵐田 双歩

「木の芽和」

うろ覚え母の手順で木の芽和え       斉山 満智

歯ごたへの良き地蛸にて木の芽和      金田 青水

品書は女将の細字木の芽和         中村 迷哲

木の芽和え赤べこ色の会津塗        玉田春陽子

「雑詠」

ガンダムも隅に飾りて雛祭り        玉田春陽子

ザボン剥く太刀打ちできぬ指力          澤井 二堂

菜の花のペペロンチーノテラス席      高井 百子

出勤のペンギン歩き春の雪         谷川 水馬

春雪の庭に舞ひ来る尾長二羽        堤 てる夫

下駄箱にすまし顔なる夫婦雛        廣田 可升

雛飾り華やぐ今日のケアハウス       前島 幻水

<句会出席者7人>大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、廣田可升、星川水兎、前島幻水。<投句参加者12人>嵐田双歩、池内的中、斉山満智、澤井二堂、高井百子、田中白山、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、向井愉里、山口斗詩子。

(報告 須藤光迷)

 

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日経俳句会第226回例会

36人参加「春めく」「目刺」を詠む

三薬句「雪かき」が最高11点、二席に方円・朗・迷哲・戸無広句

日経俳句会は2月21日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で2月例会(通算226回)を開いた。前日の時ならぬ初夏の気温から一転、この日は真冬に逆戻り、朝から冷たい雨模様の生憎の天気。急に来られなくなった人が何人かいたが、「雨ニモマケズ」の11人が出席、和やかな句会となった。「春めく」と「目刺」の兼題に36人から108句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、杉山三薬さんの「雪かきに出てくる人ぞ喜寿傘寿」が11点と二桁得票で断トツ一席。二席には植村方円さんの「春めくや軽トラで来る野菜売り」、篠田朗さんの「舟唄を鼻歌交り目刺焼く」、中村迷哲さんの「身を焦がし潮の香放つ目刺かな」、溝口戸無広さんの「頰刺や駿河の海の銀の波」の4句が6点で並んだ。以下、5点句には中野枕流さんの「豆まかず太巻を食む鬼やらひ」など6句、4点9句、3点13句、2点16句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春めく」

春めくや軽トラで来る野菜売り            植村 方円

春めいてやりたい事が三つ増え            池村実千代

大股で街ゆく女春めける               岩田 三代

女流書展誘いの葉書春めきて             工藤 静舟

春めきぬ新型ロケット天を抜く            高橋ヲブラダ

春動く紙面に人事どっと載る             堤 てる夫

弁当に早緑の菜や春めけり              徳永 木葉

春めくや目尻に涙の大あくび             中沢 豆乳

春めくや還暦祝う赤い酒               中野 枕流

ランドセル春めくミントブルーかな          溝口戸無広

墨堤のベンチでごろ寝春めきぬ            谷川 水馬

春めくやセールで買った靴おろす           旙山 芳之

春めくや降りみ降らずみ三番瀬            星川 水兎

春めきし川瀬にリズム生れけり            水口 弥生

「目刺」

舟唄を鼻歌交り目刺焼く               篠田  朗

身を焦がし潮の香放つ目刺かな            中村 迷哲

頰刺や駿河の海の銀の波               溝口戸無広

ピンと反る目刺の矜持海の色             岩田 三代

独り居のわびし楽しや目刺焼く            廣上 正市

縄のれん酒一合と目刺二尾              横井 定利

当季雑詠

雪かきに出てくる人ぞ喜寿傘寿            杉山 三薬

鬼やらひお面とりても赤ら顔             谷川 水馬

雪解水待つ用水路底黒し               徳永 木葉

豆まかず太巻を食む鬼やらひ             中野 枕流

春疾風ジッポーの火がフラメンコ           中沢 豆乳

マエストロ悼む信州雪はらふ             堤 てる夫

洗濯物吹き飛ばしたり春一番             嵐田 双歩

春の雪黒き瓦の古刹かな               岩田 三代

両肩を時折り浮かせ春露天              植村 方円

梅の花夫は米寿で妻は喜寿              加藤 明生

気象庁どこかに引っ越し跡土筆            鈴木 雀九

鉄道員(ぽっぽや)の駅は遺構に春の雪         須藤 光迷

安曇野をしばし旋回鳥帰る              中村 迷哲

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、今泉而云(選句のみ参加)、植村方円、大澤水牛、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、中野枕流、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加26人】池村実千代、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会令和5年度優秀作品表彰式

最優秀作品賞は中村迷哲さん

的中、青水、百子、愉里、可升各氏に優秀作品賞

番町喜楽会は2月3日に開催の第213回例会に先立って、令和5年最優秀作品および優秀作品の表彰式を行った。

【令和5年度最優秀作品】

図書館の顔白き子ら夏行けり          中村 迷哲

【優秀作品】

園児らの黄帽子雀隠れかな       池内 的中

駅前へ移り行くとやそぞろ寒      金田 青水

手間かけてロールキャベツの日永かな  高井 百子

どんぐりの転がる帰路のリアシート   廣田 可升

目標を下方修正する二月        向井 愉里

≪選考経過≫

本賞の選考に当たっては、令和5年12月例会終了後、まず番町喜楽会の年間全作品集(約1200句)を作成し、その中から代表作品120句を選び、そこから最終的に、最優秀作品1句、優秀作品5句を選んだ。受賞者6人には番町喜楽会からの賞品である図書カードに加え、選者である大澤水牛氏作のぐい呑が送られるというサプライズもあり、13名の出席者全員共々大いに盛り上がる表彰式となった。なお、これまで本賞は番町喜楽会顧問の今泉而云・大澤水牛両氏により選考されて来たが、昨年今泉氏が退会されたことに伴い、本年より大澤氏による単独選考となった。

(報告;廣田可升)

 

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番町喜楽会第213回例会

19人が「節分」と「梅」を詠み合う

玉田春陽子さんが6点でトップ

番町喜楽会は令和6年幕開けとなる2月例会(通算第213回)を2月3日、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。19人から投句があり、13人が顔を揃えた。兼題は「節分」と「梅」。選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、玉田春陽子さんの「節分や仕事の鬼の帰り待つ」が6点で一席を飾った。二席には高井百子さんの「梅咲いて祖母の産着の宮参り」、谷川水馬さんの「愚痴りつつ土筆の袴外しけり」と向井愉里さんの「クレヨンの鬼の目優し節分会」の5点句が続いた。三席には大澤水牛さんの「払ふべき鬼多すぎる節分会」と「大根炊匂ひもれ来る老の家」の2句、前島幻水さんの「梅咲いて色無き庭の初化粧」、向井愉里さんの「年の豆戸を少しだけ開けて撒き」と「老梅のぽつりぽつりと語るごと」の2句の4点句が入った。以下、3点が4句、2点17句、1点句21句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「節分」

節分や仕事の鬼の帰り待つ             玉田春陽子

クレヨンの鬼の目優し節分会            向井 愉里

払ふべき鬼多すぎる節分会             大澤 水牛

年の豆戸を少しだけ開けて撒き           向井 愉里

節分や三日に分けて年の豆             池内 的中

「梅」

梅咲いて祖母の産着の宮参り            高井 百子

梅咲いて色無き庭の初化粧             前島 幻水

老梅のぽつりぽつりと語るごと           向井 愉里

「雑詠」

愚痴りつつ土筆の袴外しけり            谷川 水馬

大根炊匂ひもれ来る老の家             大澤 水牛

斑雪輪島朝市焼野原                須藤 光迷

寒の池鴨とは群れぬ鷺白し             堤 てる夫

冬茜大キャンパスに影絵富士            中村 迷哲

≪参加者≫【出席者13人】嵐田双歩、池内的中、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。【投句参加6人】斉山満智、澤井二堂、徳永木葉、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。  (報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第225回例会

 

初句会、「息白し」と「羽子板」に37人から投句

光迷句「二刀流と八冠」が最高7点

日経俳句会は令和6年の初句会(通算225回)を1月17日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。寒波で外出を控えた人もいて、出席は11人にとどまったが高点句が相次ぎ、熱気のこもった句会となった。兼題は「息白し」と「羽子板」。37人から109句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、須藤光迷さんの「羽子板に二刀流をり八冠も」が最高7点を獲得した。二席6点には今泉而云さんの「走り来て子ら告げ口の息白し」をはじめ、高井百子さん「寸止めの決まりし杖や息白し」、金田青水さん「羽子板は生れ変りて猫の墓」、大澤水牛さん「菜園の白菜太り寒に入る」、中村迷哲さん「ぼけ封じ互ひに願ふ冬温し」の5句が並んだ。さらに三席5点には徳永木葉、迷哲、而云、植村方円、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬の7氏7句が入る活況。以下、4点6句、3点10句と続き、高点句が29句にのぼった。そのほかは2点18句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「息白し」

走り来て子ら告げ口の息白し             今泉 而云

寸止めの決まりし杖や息白し             高井 百子

息白く始発待つ人みな無言              徳永 木葉

揺れる地や息白き人立ち尽くす            中村 迷哲

絵馬に書く志望校名息白し              嵐田 双歩

能登に雪雪よりもなお息白し             澤井 二堂

托鉢の四条大橋息白し                谷川 水馬

野の鳥に何かを言へば息白し             中嶋 阿猿

白ら息を見ること稀に温暖化             大澤 水牛

息白し厚着足踏み始発待ち              篠田  朗

「羽子板」

羽子板に二刀流をり八冠も              須藤 光迷

羽子板は生れ変りて猫の墓              金田 青水

羽子板や娘は栄転の支店長              今泉 而云

羽子板や裏を表に変えた絵師             植村 方円

羽子板の大谷・藤井・えびす様            加藤 明生

大谷の羽子板買うてもんじゃ焼            谷川 水馬

色褪せし羽子板二枚捨てられず            中村 迷哲

羽子板と睦みて姉妹八十路かな            水口 弥生

当季雑詠

菜園の白菜太り寒に入る               大澤 水牛

ぼけ封じ互ひに願ふ冬温し              中村 迷哲

不都合は補聴器のせい日向ぼこ            岡田 鷹洋

ベランダのセリを加えて七草粥            澤井 二堂

火の用心目白御殿の今むかし             杉山 三薬

むさぼらず我欲捨てよと初神籤            中沢 豆乳

元日に言葉失う大地震                旙山 芳之

冬晴れや龍翔ぶジェットコースター          岩田 三代

大吉に心も弾む初みくじ               久保田 操

三日はや朝食パンにハムエッグ            須藤 光迷

いつのまに目を覚ましてや庭水仙           中嶋 阿猿

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、池村実千代、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加26人】今泉而云、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生。

(報告 中村迷哲)

 

 

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新春酔吟会例会

兼題「去年(去年今年)」、席題「縁」

深川・森下文化センターに14人が参集

酔吟会は令和6年初の例会を江東区森下の「森下文化センター」で開いた。今回の席題は、高井百子さんから提示された「縁(えん、えにし、ふち、へり)」と兼題の「去年(こぞ)、去年今年」。新年初句会にふさわしく14人参加の盛会だった。投句合計70句、6句選句で句会を進めた結果、最高の「天」は、5人の選者の内4人から特選という評価を得て総得点13点となった玉田春陽子さんの「小さき手を大きく構へ寒稽古」だった。続く「地」は高井百子さんの「異母妹といふ名の縁根深汁」の8点句。「人」は、徳永木葉さんの6点句「核の冬破滅の縁にある地球」だった。続く5点句には、嵐田双歩さん、大澤水牛さん、金田青水さん、須藤光迷さん、徳永木葉さんが続いた。以下、4点2句、3点5句、2点13句、1点句11句で、席題の「縁」の句の健闘が目立った。次回の「席題」選定者は、くじ引きの結果大澤水牛さんに決まり、句会は午後4時半に終了した。3点以上の高得点句は以下の通り。

「去年(去年今年)」

にょろにょろと歯磨チューブ去年今年   大澤 水牛

日の出待つ西に溶けゆく去年の月     金田 青水

変わらぬは分断社会去年今年       徳永 木葉

天仰ぎ目薬差すも去年今年        嵐田 双歩

天に星地に妻の笑み去年今年       須藤 光迷

護摩の火をたぐる老師や去年今年     谷川 水馬

「縁(えん、えにし、ふち、へり)」

異母妹といふ名の縁根深汁        高井 百子

核の冬破滅の縁にある地球        徳永 木葉

川縁に鴨の寄り来る小名木川       嵐田 双歩

縁かな百歳までの扶け合ひ        岡田 鷹洋

この爺に良縁ありと初御籤        玉田春陽子

一心に娘の縁を初参り          向井 愉里

「当季雑詠」

小さき手を大きく構へ寒稽古       玉田春陽子

積ン読の二冊減りたる松の内       須藤 光迷

まだ逝くな花の宴のあるものを      岡田 鷹洋

(出席14名)嵐田双歩、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。

(まとめ 高井百子)

 

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新年恒例七福神吟行

日経俳句会・番町喜楽会19人千住宿を元気に歩き通す

令和6年1月7日(日)、番町喜楽会と日経俳句会のメンバー19人が恒例の七福神詣を北千住で開催した。この日は朝から晴、気温11度の寒中にしては穏やかな吟行日和。三薬幹事の先導で旧日光街道に踏み出した。

七福をもらいに朝の千代田線       二堂

仲間先しんがり嬉し初詣         雀九

福詣矢立のはじめ千住宿         水馬

芭蕉翁旅立ち偲び福詣          幻水

北千住には2006年の東京藝術大学の千住キャンパス開校を皮切りに、07年には東京未来大学、10年には帝京科学大学、12年には東京電機大学と、大学キャンパスが次々とできて、元々あった放送大学の東京足立学習センターを加えて合計五つの大学が誕生した。昔の少々いかがわしい宿場町の雰囲気はガラリ一変、明るく活発な雰囲気の街になっている。

若者の街をシニアの福詣         三代

ちょい飲み屋かき分けて行く福詣     方円

今回巡った七福神詣は①千住本氷川神社(大黒天)、②五丁目大川町氷川神社(布袋尊)、③元宿神社(寿老神)、④氷川神社(弁財天)、⑤稲荷神社(福禄寿)、⑥八幡神社(毘沙門天)、⑦千住神社(恵比寿天)であった。千住の七福神巡りは、もともと千住の町を活性化する目的で始まったようだが、北千住駅西口周辺の神社七箇所を旧千住宿の雰囲気を味わいながら歩くことができる。また、すべてが神社で、その内の三ケ所が氷川神社(千住神社も祭神が須佐之男命なのでこれも氷川神社であり、計4ヶ所となる)というのもユニークなところ。

街道に千の寿ぎ初吟行          愉里

七福神千寿と千住語呂合せ        白山

骨接ぎの名倉家ここに初詣        而云

冬温し骨接ぎ医院二百年         木葉

蒼穹の荒川土手や初吟行         青水

いかのぼり下町の空独り占め       双歩

軒先の福神拝む初湯かな         迷哲

寿老神接待の茶の呆け予防        鷹洋

まず三ヶ所の神社巡りを終えて、一旦バスで北千住駅に戻り三々五々昼食タイム。その後、駅西側の氷川神社(弁財天)、稲荷神社(福禄寿)、八幡神社(毘沙門天)、千住神社(恵比寿天)の四社を回って大願成就。

人日の陽を満身に福禄寿         水牛

溶岩の聳ゆ富士塚寒桜          可升

恵比寿像三遍まわし掛けし願       光迷

これで総距離約五キロの七福神巡りを無事終了。

満を持しての打ち上げ懇親会の会場は北千住駅東口の「牡蠣と燻屋かつを」という妙な名前の飲み屋。吟行衆19人のうち15人参加の大懇親会となった。四つのテーブルに分かれた連衆は、それぞれ日本酒やワインを楽しみながら歓談。ラストメニューの〈台湾まぜそば〉まで数々の料理を堪能、今年一年の健康と名句量産を祈った。

寒鰹足よこの日もありがとう       三薬

(報告 谷川水馬・廣田可升)

 

 

 

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日経俳句会令和5年度下期合同句会

日経俳句会令和5年度下期合同句会

一席は水兎句「冬すみれ」、二席春陽子句「空っ風」

17人出席し、納めの会

日経俳句会は12月20日(水)、内神田の日経広告研究所会議室で下期合同句会を開いた。季節外れの陽気は何処へやら、急に寒くなり師走らしい気候となったこの日、17人が出席し今年最後の熱い句会となった。「年の暮」の兼題に、当季雑詠含め39人から117句の投句があり事前選句の結果、星川水兎句「冬すみれ城の名残の野面積」が10点を獲得し一席に輝いた。次いで二席には玉田春陽子句「全集に朱文字の値札空つ風」が9点で続き、三席にはこの日、日経俳句会賞英尾賞を受賞した徳永木葉さんの「この年の傷を浸して柚子湯かな」(7点)が入った。6点句には澤井二堂句「何もかも妻の仕切りや年の暮」、溝口戸無広句「理髪師の刻むリズムや年の暮」、廣田可升句「伴侶といふ不思議の縁冬の旅」、水口弥生句「年の暮三倍速のひと日ずつ」の4句が並んだ。以下、5点4句、4点5句、3点14句、2点19句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「年の暮」

何もかも妻の仕切りや年の暮             澤井 二堂

理髪師の刻むリズムや年の暮             溝口戸無広

年の暮三倍速のひと日ずつ              水口 弥生

一年の一日のごとく年暮るる             嵐田 双歩

今年こそマニキュア塗って年の暮           池村実千代

年の暮我慢できずに犬を買う             鈴木 雀九

一年の禍福煮こごる年の暮              中沢 豆乳

喜寿こえてヨットレースや年の暮           池村実千代

いくつかの不義理ともども年の暮           和泉田 守

拍子木の一夜一夜に年果つる             今泉 而云

この星もヒトも狂ひて年の果             岩田 三代

夫婦して初期認知症年暮るる             大澤 水牛

年の暮流るる雲の迅さかな              加藤 明生

酒干て生きて迎えし年の果              久保 道子

鼻歌を歌へば破調年の暮れ              髙橋ヲブラダ

腹立ちも右へ左へ年の暮               向井 愉里

当季雑詠

冬すみれ城の名残の野面積              星川 水兎

全集に朱文字の値札空つ風              玉田春陽子

この年の傷を浸して柚子湯かな            徳永 木葉

伴侶といふ不思議の縁(えにし)冬の旅         廣田 可升

凪ぐ海に星瞬くや十二月               加藤 明生

ペンギンの一列縦隊冬うらら             谷川 水馬

雑踏を歩くも楽し手帳買う              和泉田 守

川音の轟渡る冬露天                 植村 方円

もみ殻の林檎を掘りし幼き日             中村 迷哲

オラショ聴く祈りの島に冬の月            岩田 三代

孫と子と婿と師走の水天宮              金田 青水

狂い咲きもう振り向かぬ自然界            工藤 静舟

新海苔の香の束の封を切る              玉田春陽子

片っぽの靴下みっつ冬座敷              中沢 豆乳

《参加者》【出席17人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加22人】和泉田守、伊藤健史、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

 

 

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第19回日経俳句会賞決定

英尾賞に徳永氏「ゆすらうめ」

篠田・嵐田・須藤・中嶋氏に俳句会賞

今泉・大澤両氏の健吟に特別賞を贈る

《日経俳句会賞英尾賞》

ゆすらうめ幸運なんていつも小粒   徳永 木葉(三回目、英尾賞は初受賞)

《日経俳句会賞》

囀や窓を五センチ開けた朝       篠田  朗(初受賞)

戦争はテレビの中や新茶汲む      嵐田 双歩(四回目受賞)

虫の音を全て消したる妻の声      須藤 光迷(三回目受賞)

大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首     中嶋 阿猿(二回目受賞)

《次点》

介護の夜妻に添い寝の余寒かな                 大沢 反平

空の青大地に散らし犬ふぐり     岩田 三代

青梅雨や古社千年の杉木立      堤 てる夫

《特別賞》

合掌の肘に傘提げ梅雨の葬      今泉 而云

処方箋一行増えて梅雨に入る     大澤 水牛

第19回(令和5年度)の『日経俳句会賞』の授賞式が12月20日の下期合同句会後に行われた。英尾賞は徳永木葉氏の「ゆすらうめ幸運なんていつも小粒」が受賞。俳句会賞には篠田朗「囀や窓を五センチ開けた朝」をはじめ嵐田双歩「戦争はテレビの中や新茶汲む」、須藤光迷「虫の音を全て消したる妻の声」、中島阿猿「大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首」の四作品が選ばれた。徳永氏は3回目だが英尾賞は初の受賞。嵐田氏は4回目、須藤氏は3回目、中嶋氏は2回目、篠田氏は初受賞となった。次点には大沢反平、岩田三代、堤てる夫3氏の句が入った。また4年ぶりに開かれた双牛舎俳句大会(6月)で天賞を分け合い、双牛健在ぶりを印象付けた今泉而云、大澤水牛両氏に特別賞が贈られた。来年米寿を迎える両氏の衰えぬ創作意欲に敬意を表す意味もある。

選考委員の中村迷哲幹事長から選考経過の説明があり、受賞者に賞状と副賞が手渡された。この後、大澤水牛、今泉而云両顧問が掛け合いの形で温かみあふれる句評を披露した。

授賞式に引き続いて年末懇親会を開催。コロナ五類移行により制限がなくなり、以前のように立食形式で歓談した。テーブルには持ち寄りも含め、いろんな飲み物とつまみが並び、グラスを手に句友との会話が弾んだ。特別賞を含め、受賞の7人(中嶋氏は代読)がそれぞれ喜びを語ると大きな拍手が沸いた。

 

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