日経俳句会第162回例会

 

「秋風」と「曼殊沙華」を詠む

8点句3人をはじめ高得点句目白押し

 

日経俳句会の平成29年9月例会(通算162回)は9月20日(水)午後6時半から、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。台風18号が残暑を運び去り、涼しい風に誘われるように22人が出席(投句参加13人)、高得点句続出で合評会は秋の夜長に熱く盛り上がった。

兼題は「秋風」と「曼殊沙華」。投句総数105句、5句選の結果、大熊万歩さんの「封印の郵便受けや曼珠沙華」と岡田臣弘さんの「友逝きてひとり烏鷺置く秋の夜」、徳永正裕さんの「秋蝶を追ふ目の優し車椅子」の3句が最高8点で並んだ。次いで植村博明さんの「赤銅の警備員ゐて秋の風」が7点を獲得、6点句には藤野十三妹さんの「曼珠沙華燃ゆる真中に石舞台」と向井ゆりさんの「曼珠沙華遺品整理の嫁二人」が入った。このほか5点に5句、4点に5句、3点8句と続いた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「秋風」

赤銅の警備員ゐて秋の風         植村 博明

秋風や棚田は海になだれ落ち       嵐田 双歩

落書きのかすれしハート秋の風      大熊 万歩

秋風に大口開けて寺の門         今泉 而云

わが影にふと老い見たり秋の風      大倉悌志郎

秋風を探して百段登りきる        大沢 反平

ふうふうと犬の毛動く秋の風       鈴木 好夫

まばらなる回転木馬秋の風        星川 佳子

仏壇のバーゲンセール秋の風       横井 定利

「曼殊沙華」

封印の郵便受けや曼珠沙華        大熊 万歩

曼珠沙華燃ゆる真中に石舞台       藤野十三妹

曼珠沙華遺品整理の嫁二人        向井 ゆり

へなへなと笑ふ羅漢や曼珠沙華      嵐田 双歩

野仏の赤き台(うてな)や曼殊沙華         中村  哲

合はす手の赤いマニキュア曼殊沙華    水口 弥生

曼珠沙華棚田に浄土現るる        中嶋 阿猿

曼珠沙華積み上げられし無縁墓      星川 佳子

曼珠沙華不知火型のせり上がる      大下 綾子

曼珠沙華見頃を告げる車内吊り      野田 冷峰

「当季雑詠」

友逝きてひとり烏鷺置く秋の夜      岡田 臣弘

秋蝶を追ふ目の優し車椅子        徳永 正裕

午前二時ピタリ鳴き止む虫の声      久保田 操

秋の日のすとんことんと落ちにけり    嵐田 双歩

爽やかや野鍛冶に生きて八十年      大倉悌志郎

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。(投句参加)岩田三代、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田靑水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、廣上正一、星川佳子。

(報告・中村哲)

 

 

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酔吟会第130回例会

 

出席13人、投句参加4人で「水澄む」「南瓜」を詠む。

「南瓜」は春陽子さんが7点、「水澄む」では佳子さんが6点

 

酔吟会は、9月9日(土)午後1時、東京・千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)会議室で、平成29年度第5回例会(通算130回)を開催した。兼題は「水澄む」と「南瓜」で、選句7句で句会を進めた。出席者13名、投句参加は4名、投句総数は83句だった。

最高点は玉田春陽子氏の「助手席にシートベルトの大南瓜」の7点であった。次点6点句は星川佳子さんの「水澄むやエイもあらわる浜離宮」。佳子さんは雑詠句「秋澄むや外階段を下りる音」でも5点を獲得しており、投句した全部に票が入る好調ぶりを発揮した。以下4点句が2句、3点句6句、2点句13句、1点句は21句であった。兼題別高点句(3点以上)は次の通り。

「南瓜」

助手席にシートベルトの大南瓜     玉田 春陽子

目鼻口あけて酒屋の赤南瓜       須藤 光迷

妻に見せる男の沽券南瓜割る      徳永 正裕

髑髏シール貼られ花屋の南瓜かな    星川 佳子

南瓜煮や記憶の底のすきつ腹      玉田 春陽子

「水澄む」

水澄むやエイもあらわる浜離宮     星川 佳子

地の鼓動湧水澄むや柿田川       久保田 操

水澄むや磯野小蟹の隠れ穴       徳永 正裕

「雑詠」

秋澄むや外階段を下りる音       星川 佳子

様子見の雀ひょんひょん野分あと    大澤 水牛

火の山へ走る畦道曼珠沙華        玉田 春陽子

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、久保田操、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰(投句参加)岡田臣弘、澤井二堂、藤野十三妹、星川佳子      (まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第143回例会

「身に入む」と「相撲」を詠む

中村哲さんが7点句でトップ

番町喜楽会の平成29年9月例会(通算143回)は、4日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で「身に入む」と「相撲」を兼題として投句5句、選句6句で行った。最高は中村哲さんの「宮相撲四股踏む少年白き尻」で7点。次席6点は田中白山さんの「我一人身にしむ卓の広さかな」と徳永正裕さんの「妻の指す花の名知らず赤とんぼ」の2句が並んだ。5点は谷口命水さんの「手の皺の目立つ齢や鰯雲」と白山さんの「場所入りの風呂敷一つ夢一つ」の2句、4点は1句、3点は11句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「身に入む」

我一人身にしむ卓の広さかな      田中 白山

独り居の病の床の身にしみて      山口斗詩子

身に入むや戦力外の小さき記事     玉田春陽子

身に入むや訃報をつげる留守電話    玉田春陽子

漁火の身に入む旅や北の宿       前島 幻水

「相撲」

宮相撲四股踏む少年白き尻       中村  哲

場所入りの風呂敷一つ夢一つ      田中 白山

原っぱや三角ベースと草相撲      嵐田 双歩

番付にさがす故郷大相撲        谷川 水馬

買ひ出しの自転車小さき相撲取     廣田 可升

肥満児の英雄となる草相撲       前島 幻水

「雑詠」

妻の指す花の名知らず赤とんぼ     徳永 正裕

手の皺の目立つ齢や鰯雲        谷口 命水

きなくさき雨の降るなり敗戦日     大澤 水牛

孫帰るばあば一人の処暑の風      高井 百子

負けて泣き勝って泣く児ら夏終わる   中村  哲

秋蝉のホース跨ぎて動かざる      廣田 可升

参加者(出席十八人)嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、谷口命水、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、星川佳子、前島幻水。(投句参加四人)齊山満智、澤井二堂、廣田可升、山口斗詩子       (報告・須藤光迷)

 

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日経俳句会第161回例会

阿猿さん、ゆりさん七点句で並ぶ

お盆の例会、「盆」句に票集まる

日経俳句会の平成29年度8月例会(通算161回)は、8月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。8月は半月も雨模様の日が続き、送り日のこの日は肌寒いほど。盆休みとあって、出席17人、欠席投句20人と欠席者が上回ったものの合評会は白熱し、大いに盛り上がった。

兼題は「処暑」と「盆」。37人から109句の投句があり6句選(欠席5句選)の結果、中嶋阿猿さんの「星屑を夜空に戻す送り盆」と、向井ゆりさんの「あら盆や音なき家に風抜けて」の盆の句がそれぞれ7点で並んだ。5点句は岩田三代さんの「盂蘭盆会花なき墓の増えてゆき」や髙石昌魚さんの「残る日々如何に過ごさむ蝉時雨」など5句。以下、4点5句、三点が17句もあり、2点25句、1点26句と票がばらけた。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「処暑」

炊き立ての白きご飯や処暑の朝   今泉 而云

処暑の風水上バスの川下り     大倉悌志郎

九九表を暗唱する子処暑の朝    德永 正裕

灯明の揺らぐ風来し処暑の夕    水口 弥生

水の音処暑の平たき石に座し    橫井 定利

フルートの深きラ音や処暑の杜   池村実千代
子ら消えて大波寄せる処暑の海   岩田 三代

疲れたる物干し竿や処暑の庭    大熊 万歩

木漏れ日と処暑の風とのハーモニー 加藤 明男

埴輪武者たたずむ処暑の展示室   金田 青水

高々と球なげて受く処暑の空    星川 佳子

「盆」

星屑を夜空に戻す送り盆      中嶋 阿猿

あら盆や音なき家に風抜けて    向井 ゆり

盂蘭盆会花なき墓の増えてゆき   岩田 三代

うぶすなへ帰る伝手なし盆果つる  廣上 正市

迎え火や親の写真に声かけて    嵐田 双歩

開け放つ夕餉の座敷盆の客     大熊 万歩

今年から派遣僧侶や盂蘭盆会    谷川 水馬

新盆や卒寿写真の笑ひ皺      德永 正裕

盆僧の青き頭に風通る       中村  哲

送り火の一人は淋し慣れにけり   橫井 定利

「当季雑詠」

残る日々如何に過ごさむ蝉時雨   髙石 昌魚

まあ座れまずは落ち着け水羊羹   中嶋 阿猿

ひとり言増えしこの頃萩くくる   星川 佳子

水底に揺れる藻の見ゆけさの秋   大倉悌志郎

幼子の身振り手振りや盆踊り    髙石 昌魚

わが句歴喜寿に船出しはや米寿   直井  正

紫陽花の土の色なる晩夏かな    廣上 正市

廃校が決まりし年の盆踊り     向井 ゆり

【参加者】(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、星川佳子。(投句参加)池村実千代、和泉田守、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(まとめ・嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第142回例会

兼題は「花火」と「鰻」。堤さん、孫を詠んで最高点

番町喜楽会の平成29年8月例会(通算142回)は、8月5日(土)午後6時から、「花火」と「鰻」を兼題として九段下の割烹「味さと」で開いた。投句者は21名、投句総数101句。当夜は16名が出席した。選句6句で披講の結果、堤てる夫さんの雑詠「小一が俺と言ひ出す夏休み」が7点でトップに輝いた。兼題句では、大下綾子さんの「鰻重を昼食べしこと言ひ出せず」の5点句が最高。以下、4点6句、3点8句、2点13句、1点26句という結果だった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「花火」

蹲踞して力士の線香花火かな      今泉 而云

手花火や痩せて落ちゆく闇の中     髙瀨 大虫

波音を渚に残し花火果つ        玉田春陽子

妻映る夜汽車の窓に遠花火       谷川 水馬

役終える湯屋の煙突遠花火       谷川 水馬

ベランダに並ぶ妻なし遠花火      中村 哲

庭花火あせし写真の兄妹        星川 佳子

「鰻」

鰻重を昼食べしこと言ひ出せず     大下 綾子

鰻待つ酒一合の嬉しさよ        今泉 而云

盥桶のの字くの字の鰻かな       高瀬 大虫

鰻屋の煙に巻かれ仲直り        池内 健治

「雑詠」

小一が俺と言ひ出す夏休み        堤 てる夫

夏野菜スープカレーに九種類      高井 百子

すぐ吠える犬は寝てをり百日紅     嵐田 双歩

夢十夜一夜読んでは冷やし酒      池内 健治

はよ上がれネクタイとれと冷し酒    玉田春陽子

《参加者》

【出席16人】嵐田双歩、池内健治、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、谷口命水、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島幻水。【投句参加5人】今泉而云、大下綾子、澤井二堂、中村哲、野田冷峰。      (報告・谷川水馬)

 

 

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酔吟会・金指正風さん死去

 

日経俳句会酔吟会の創設メンバーの金指正雄(俳号正風)さんが7月18日午前亡くなられた。ここ数年体調を崩し病院・施設での療養を余儀なくされ、句会活動も中断状態だった。葬儀、告別式は23、24日、自宅近くの横浜市栄区公田町の「鎌倉ファミリー公田斎場」で行われ、日本経済新聞社の現役、OBや知人ら多数がお見送りした。享年80歳。

正風さんは、昭和37年、日経入社、東京・社会部、政治部を経て論説委員・編集委員として健筆を振るった。本名・俳号にある「正」の文字が示す通りの「正義感」溢れるお人柄で、後輩、先輩の別なく「愛された」お人であった。

俳句の道は、堀口星眠さん(結社「橡」主宰)の指導する「薫風会」に入会したのが始まりで、俳号も師から頂いたもの。確かな俳論をもって酔吟会の談論に参加された姿が懐かしい。斎場に飾られた遺影は満面の笑みを湛えていた。祭壇には「日経俳句会」の供花も飾られ、日経俳句会からは、大澤水牛、今泉而云、中村哲氏らが参列した。    (堤てる夫記)

 

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日経俳句会第160回例会

日経俳句会第160回例会

 

「夕立」と「凌霄花」に高得点句続々

 

日経俳句会の平成29年度7月例会(通算160回)は7月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室に22人が出席して開かれた。兼題は「夕立」と「凌霄花」。梅雨明け直後の季節に相応しいテーマに、高得点句が続出、句会は暑さを吹き飛ばす盛り上がりとなった。5句選の結果、最高点は大澤水牛さんの「出稼ぎの島や凌霄散りやまず」が8点を獲得、二席の7点句には大熊万歩さんの「夕立や町の匂ひも走り過ぐ」、中島阿猿さんの「凌霄花スナック街の眠る午後」など6句が並んだ。6点句に谷川水馬さんの「青柿を踏みて不覚の捻挫かな」が入り、以下5点6句、4点4句、3点1句と高得点句が多かった。2点句17句、1点句37句を含め、投句105句の7割にあたる73句に点が入った。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「夕立」

夕立や街の匂ひも走り過ぐ      大熊 万歩

夕立ちの過ぎてひと葉の雫かな    堤 てる夫

味噌汁の熱きをすする夕立あと    大下 綾子

夕立やただ打たれ往く山頭火     藤野十三妹

荒川にカーテンを引く驟雨かな    向井 ゆり

夕立や山駆け下りて田をたたく    岩田 三代

夕立のはじめは草間彌生めき     大下 綾子

「凌霄花」

出稼ぎの島や凌霄散りやまず     大澤 水牛

凌霄花スナック街の眠る午後     中嶋 阿猿

凌霄花踏切抜けて浜の道       星川 佳子

凌霄花に生気吸はれて古館      高瀬 大虫

凌霄花男住まひに迫り来る      植村 博明

当季雑詠

篝火に影絵の舞や鵜飼船       中村  哲

すかんぽを噛んで生国はるかなり   廣上 正市

青柿を踏みて不覚の捻挫かな     谷川 水馬

白南風や横浜元町坂の街       久保田 操

七夕の竹のしなりや願ひごと     澤井 二堂

炎帝や水のにほひの吾妻橋      大沢 反平

冷房車本読み耽る眼鏡の子      髙石 昌魚

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、高石昌魚、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、野田冷峰、流合研士郎、廣上正一、横井定利。

(まとめ・中村哲)

 

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酔吟会第129回例会報告

出席11人、投句参加6名

「巴里祭」「大暑」を詠む

酔吟会は、7月8日(土)午後1時、東京・千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)会議室で、平成29年度第4回例会(通算129回)を開催した。兼題は「巴里祭」「大暑」で、出席者11名、投句参加6名、投句総数は85句だった。

九州地方は豪雨が続き甚大な被害に見舞われ、東京は猛暑。そのせいか欠席投句が多くなり、選句数が通常より多い8句となった。本日の最高点は5点で、今泉而云さんの「何故の何の怒りぞ梅雨荒るる」、玉田春陽子さんの「梅雨晴間返し損ねし女傘」と雑詠2句がトップの座を占めた。続く4点句は、兼題の「大暑」では、大澤水牛さんの「大暑烈日禿頭に乱反射」、久保田操さんの「レジ袋伸びて重たき大暑かな」、今泉而云さんの「大暑かな玉砂利を踏む音ばかり」の3句。雑詠では今回から酔吟会に加わった須藤光迷さんの「くちなしの花朽ちはじむ勝手口」の1句。半面、兼題の「巴里祭」には3点以上が出なかった。以下、3点句がわずか2句、2点句が15句、1点句は22句であった。兼題別高点句(3点以上、「巴里祭」のみ2点句を掲載)は次の通り。

「大暑」

大暑かな玉砂利を踏む音ばかり     今泉 而云

大暑烈日禿頭に乱反射         大澤 水牛

レジ袋伸びて重たき大暑かな      久保田 操

人の住む気配なき街大暑なり      久保田 操

「巴里祭」

古びたり友の詩集も巴里祭も      今泉 而云

オムレツに好子の歌やパリ祭      須藤 光迷

齢とは足し算ばかり巴里祭       玉田春陽子

「雑詠」

何故の何の怒りぞ梅雨荒るる      今泉 而云

梅雨晴間かへし損ねし女傘       玉田春陽子

くちなしの花朽ちはじむ勝手口     須藤 光迷

寝そべって星と蛍と露天の湯      高井 百子

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕。(投句参加)岡田臣弘、久保田操、澤井二堂、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子。   (まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第141回例会

 

21人で「夏」と「朝顔市」を詠む

 

番町喜楽会の平成29年7月例会(通算第141回)は、3日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で行った。九州に台風3号が接近していたものの、東京は日中の気温が32.5度に上り、兼題の「夏」そのもの。そのせいか「夏」の句は44句を数えた。もうひとつの兼題は「朝顔市」で、こちらは秋の季語の「朝顔」を詠んだものを含めて31句。当季雑詠が29句だった。

句会は、投句5句、選句6句で行った。最高は徳永正裕さんの「ひげ生えて少年の夏始まりぬ」で6点。次席の5点には田中白山さんの「二人にはほど良き傾斜夏の土手」、廣田可升さんの「さいたまの子から朝顔買ふ入谷」と、堤てる夫さんの「炎帝の畑にひとつ丸き背」の3句が並んだ。4点は中村哲さんの「亡き母と同じ仕草や梅仕事」など6句、3点は池内健治さんの「母の夢夏の租界の人力車」など5句だった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏」

ひげ生えて少年の夏始まりぬ      徳永 正裕

二人にはほど良き傾斜夏の土手     田中 白山

炎帝の畑にひとつ丸き背        堤 てる夫

向こうから同じユニクロ夏真昼     廣田 可升

母の夢夏の租界の人力車        池内 健治

白熊の大飛び込みや夏真昼       星川 佳子

「朝顔市」

さいたまの子から朝顔買ふ入谷     廣田 可升

朝顔の鉢抱いて来る下校の子      池内 健治

浴衣着て朝顔市の客となる       中村  哲

「雑詠」

お囃子の町家に籠る半夏雨       徳永 正裕

亡き母と同じ仕草や梅仕事       中村  哲

今年また青梅火酒に酔わせけり     山口斗詩子

ぬけぬけと李下に冠正したる      今泉 而云

手を合すわらべ地蔵や苔の花      谷川 水馬

さりげなく道ゆづりあひ白日傘     玉田春陽子

《参加者》(出席17人)嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、谷口命水、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、廣田可升、山口斗詩子。(投句参加4人)齊山満智、野田冷峰、星川佳子、前島幻水。              (報告・須藤光迷)

 

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双牛舎、「俳句の殿堂」構想を発表

6月21日「俳句の殿堂」旗揚げ式に38人

八十歳以上の長寿会員を祝う

NPO法人・双牛舎の新事業である「俳句の殿堂」の旗揚げ式が、6月21日に千代田区大手町の日経ビル内で開催され、参加者の総意でプロジェクト推進が決まった。来年1月の殿堂発足を目標に運営選考委員会を立ち上げ、実行計画づくりを急ぐことになった。

旗揚げ式には双牛舎に加わっている三つの句会(日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会)の会員38人が雨をついて出席。日経俳句会の中沢義則会長が開会の辞を述べた後、双牛舎の大澤水牛代表が殿堂について「数年前から温めていた構想で、双牛舎のホームページに専用ページを設け、70歳以上の会員の代表作を集めて、誰でもいつでも閲覧できるようにする」と概要を説明した。さらに今泉而雲代表が、放浪俳人・井上井月の弟子の句を引きながら、「名もなき市民、アマチュアの佳句を電脳空間上に永遠に残す」のが構想の核心と語った。

このあと質疑に入り、日経俳句会の高石昌魚氏が「殿堂入りを励みに90歳を超えても句作を続けたい」と積極的な支持を表明。番町喜楽会の前島幻水氏は「本棚の隅で忘れられる俳句集よりもネット上の作品集が時代に合っている」と意義を語った。さらに今年90歳で最長老の井上庄一郎氏が登壇し、「わが意を得た構想だ。実現を切望している」と熱い思いを語り、出席者全員が大きな拍手で殿堂構想を承認した。続いて片野涸魚氏の発声で乾杯、歓談に移った。日ごろ顔を合わせない他の句会の会員との貴重な交流の場となった。

この日は殿堂旗揚げと連動する形で、三句会の長寿会員をお祝いするイベントも開催した。日経俳句会の堤てる夫幹事長が「今年80歳を迎える方が8人おられ、既に80歳を超えた方も8人いらっしゃる。これはお祝いしなければという話になった」と趣旨を説明。出席した長寿会員15人が紹介されて前方に並ぶと、女性会員からお祝いの赤いバラが各人に贈られ、大きな拍手が沸いた。

各句会から武居照芳氏、杉山智宥氏、中島阿猿さんらがお祝いの言葉を述べたのに対し、長寿会員は「バラの花を贈ったことはあったが貰ったのは初めて」(田中白山氏)、「嬉しくて飲めないお酒を飲み足元がふらつく」(宇野木敦子さん)、「若いと見られていたのに歳がばれた」(高瀬大虫氏)と、ユーモアを交え喜びを語った。

締め括りとして番町喜楽会の高井百子会長が「殿堂構想実現を通じて三つの句会の相互交流を深め、さらに殿堂を足場に外に開かれた句会に成長したい」と閉会の辞を述べ、最後に日経俳句会・野田冷峯さんの音頭による関東一本締めが会場に響き渡った。(報告・中村哲)

 

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