酔吟会第162回例会

森下文化センターで13人が「蟇」「新茶」を詠み合う

双歩、可升さんの五点がトップ並立

酔吟会は5月13日(土)、令和5年3回目となる句会を江東区森下の「森下文化センター」で開いた。この日の出席は13人。時々雨がぱらつく日の午後、会場に迷った杉山三薬さんの到着を待って、持ち寄った作品を短冊に書くことから和気あいあいと始まった。例会の兼題は「蟇」と「新茶」、雑詠を含め1人5句、投句総数65句。選句6句で句会を進めた結果、最高は5点で、嵐田双歩さんの「戦争はテレビの中や新茶飲む」と廣田可升さんの「子も孫も去って新茶の夜静か」だった。続く4点句は可升さんの「蟇の鳴く村にコンビニ一号店」と杉山三薬さんの「夏半纏神田淺草隅田川」の2句が入った。3点句は、今泉而云さん、大澤水牛さん、須藤光迷さん、高井百子さん、玉田春陽子さん、それに高得点を制した可升さん、三薬さんの計7句だった。可升さんは投句した5句が「5点、4点、3点、2点、1点」というサイクルヒットを達成した。

会終了後には、午後2時から開店しているという森下交叉点近くの大衆居酒屋「きんちゃん屋森下店」に9名が集結し、今後の酔吟会の在り方、新企画などの俳句談義が楽しく繰り広げられ、午後6時すぎまで大いに盛り上がった。

兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り
「蟇」

蟇の鳴く村にコンビニ一号店        廣田 可升

蟇蛙真夜の環七渡り行く           今泉 而云

大海の海鼠を知るや蝦蟇           杉山 三薬

蟇出でて文句あるかの面構         玉田春陽子

「新茶」

戦争はテレビの中や新茶飲む       嵐田 双歩

子も孫も去って新茶の夜静か       廣田 可升

走り茶としわくちゃばばに差し出さる   大澤 水牛

粉を吹きし羊羹切って新茶かな        須藤 光迷

赤タスキの勧め上手や新茶買ふ        高井  百子

「当期雑詠」

夏半纏神田淺草隅田川             杉山 三薬

浜離宮池に海月の遊ぶ午後          廣田 可升

《出席者13名》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。

(まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第205回例会

「冷奴」と「若葉」を17人で詠む

首位は水馬さん「つるりと冷奴」

番町喜楽会は令和5年5月例会(通算第205回)を8日に東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。兼題は「冷奴」と「若葉」で、雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、首位は谷川水馬さんの「癌とりし喉につるりと冷奴」で6点、次点は玉田春陽子さんの「蔵一つ残す旧家や柿若葉」で5点、三席には大澤水牛さんの「蹴つまづく我を笑ふか踊子草」、徳永木葉さんの「難病の癒ゆる日ありや薄暑光」、廣田可升さんの「水打てば遠く豆腐の喇叭かな」、前島幻水さんの「若葉風スケートボードで塾通ひ」の4句が4点で並んだ。3点は8句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冷奴」

癌とりし喉につるりと冷奴      谷川 水馬

冷奴女将に小さき依怙贔屓      玉田春陽子

懐も手間も端折って冷奴       山口斗詩子

「若葉」

蔵一つ残す旧家や柿若葉       玉田春陽子

若葉風スケートボードで塾通ひ    前島 幻水

日々に増え日々に濃くなる若葉かな  金田 青水

聖橋上に下にと若葉風        玉田春陽子

「当季雑詠」

蹴つまづく我を笑ふか踊子草     大澤 水牛

難病の癒ゆる日ありや薄暑光     徳永 木葉

水打てば遠く豆腐の喇叭かな     廣田 可升

風薫るマチスのダンス回り出す    須藤 光迷

山ひだの影移り行く春夕焼け     高井 百子

いいちこの瓶で生き過ぐ葱坊主    堤 てる夫

鯉幟あにおとうとの半世紀      堤 てる夫

<句会出席者13人>嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。<投句参加者4人>澤井二堂、徳永木葉、向井愉里、山口斗詩子。 (報告 須藤光迷)

 

 

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日経俳句会第218回例会を開催

愉里さん「花吹雪」が最高10点、水牛さん「名残の花」が9点で続く

中野枕流さん、初参加

日経俳句会は4月19日、内神田の日経広告研究所会議室で4月例会(通算218回)を開いた。一気に暖かくなり、あちこちで夏日が観測され、東京もシャツ一枚で過ごせるほどの気温だった。陽気に誘われた訳でもないだろうが17人が出席、いつになく賑やかな句会となった。また、今月から新しく会員になった日経編集局文化部の中野稔さんが、俳号「枕流(ちんりゅう)」を名乗り初参加。拍手で迎えられた。今回の兼題は、「穀雨」と「花」。36人から106句が集まり、選句6句(欠席5句)の結果。一席は向井愉里さんの「花吹雪浴びたくて行きまた戻り」が10点と二桁得点。二席には大澤水牛さんの「番町の名残の花も散りにけり」が9点。三席は「干し若布縺れをほどく風のあり」今泉而云さんと「パンプスで急ぐ穀雨の丸の内」金田青水さんが7点で並んだ。以下6点4句、5点3句、4点6句、3点7句、2点26句、1点28句だった。

兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「穀雨」

パンプスで急ぐ穀雨の丸の内         金田 青水

寛解の報あたたかき穀雨かな         大沢 反平

街路樹の日々艶をます穀雨かな        久保田 操

茄子胡瓜植場所決めて穀雨かな        大澤 水牛

前髪の伸びる速さや穀雨の夜         中嶋 阿猿

麦畑砲弾孔に降る穀雨            篠田  朗

ため池をななめに打ちし穀雨かな       星川 水兎

「花」

花吹雪浴びたくて行きまた戻り        向井 愉里

(黒羽亮一さんを悼む)

番町の名残の花も散りにけり         大澤 水牛

墓誌刻む系譜の絶えて花の下         高井 百子

青空や大坂城は花の陣            溝口戸無広

金髪の遍路過ぎゆく花の下          岩田 三代

城めぐる舟道ふさぐ花筏           中村 迷哲

二眼レフ構える亡父に花八分         大沢 反平

けふもまた車窓の花と対話せり        金田 青水

花の名を忘るる度に教えびと         工藤 静舟

当季雑詠

干し若布縺れをほどく風のあり        今泉 而云

(坂本龍一逝く)

戦メリは昭和の嗚咽月おぼろ         金田 青水

初孫は名付けて翔平鯉のぼり         中沢 豆乳

大口を真上に開けて春の鯉          植村 方円

春昼や待合室のあくびリレー         須藤 光迷

大あくび向かいもつられ春霞         杉山 三薬

晴ればれと後期高齢ミモザ咲く        廣上 正市

ママチャりのヘルメット行く黄砂中      横井 定利

《参加者》【出席17人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村方円、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加19人】伊藤健史、岩田三代、加藤明生、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第204回例会

18人参加で「陽炎」「桜餅」を詠む

迷哲さん高点句三連発

番町喜楽会は令和5年4月例会(通算第204回)を4月1日、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。18人から投句があり、11人が顔を揃えた。兼題は「陽炎」と「桜餅」。選句は6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、中村迷哲さんの「陽炎やジャンボ機ゆらり地を離る」が6点で一席を飾った。二席には嵐田双歩さんの「よくしゃべる女房元気で桜餅」と「残り香のしばらく指に桜餅」、玉田春陽子さんの「仏壇に慶事を報せ桜餅」、中村迷哲さんの「陽炎やどこでも停まる村のバス」と「菜の花や色とりどりのランドセル」、廣田可升さんの「春昼や波郷の町に踏むペダル」の5点句が続いた。また、三席には大澤水牛さんの「陀羅尼助噛みしめてをり菜種梅雨」と廣田可升さんの「喜捨受ける雲水の背の陽炎へり」の4点句が入った。以下、3点が4句、2点12句、1点が21句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「陽炎」

陽炎やジャンボ機ゆらり地を離る          中村 迷哲

陽炎やどこでも停まる村のバス           中村 迷哲

喜捨受ける雲水の背の陽炎へり           廣田 可升

「桜餅」

よくしゃべる女房元気で桜餅            嵐田 双歩

残り香のしばらく指に桜餅             嵐田 双歩

仏壇に慶事を報せ桜餅               玉田春陽子

戦火なき国の幸せ桜餅               須藤 光迷

品の良き金継ぎ九谷桜餅              玉田春陽子

酒気帯びし父の土産や桜餅             山口斗詩子

「当季雑詠」

菜の花や色とりどりのランドセル          中村 迷哲

春昼や波郷の町に踏むペダル            廣田 可升

陀羅尼助嚙みしめてをり菜種梅雨          大澤 水牛

掃除機に跨る少女龍天に              谷川 水馬

≪参加者≫【出席11人】今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、廣田可升、前島幻水。【投句参加7人】嵐田双歩、池内的中、澤井二堂、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、山口斗詩子。

(報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第217回例会

最高9点に三代句と朗句、二席は百子句「春人事」

36人が「彼岸」「囀」詠む

日経俳句会は令和5年の三月例会(通算217回)を3月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。季節変わりで忙しかったり体調を崩す人もいて出席は13人だったが、女性会員の高点句が相次ぎ、桜の開花と呼応したような華やかな句会となった。兼題は「彼岸」と「囀」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、最高9点に岩田三代さんの「故郷へ帰れぬ彼岸重ねけり」と篠田朗さんの「囀や窓を五センチ開けた朝」の2句が並んだ。二席8点は高井百子さんの「見開きの紙面あふれる春人事」、三席7点は池村実千代さんの「山ほどのセーター洗ふ彼岸入り」と中村迷哲さんの「せせらぎに囀交じる峡の宿」がそれぞれ入った。さらに6点に髙石昌魚さんの「小さき手をつなぐ皺の手彼岸道」をはじめ4句が並び、5点4句、4点6句、3点10句と高点句が19句にのぼる活況だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「彼岸」

故郷へ帰れぬ彼岸重ねけり              岩田 三代

山ほどのセーター洗ふ彼岸入り            池村実千代

小さき手をつなぐ皺の手彼岸道            髙石 昌魚

よー来たと小豆煮る祖母入彼岸            中村 迷哲

青錆の腕時計巻く彼岸かな              伊藤 健史

戒名のことひそひそと春彼岸             今泉 而云

サーファーの日毎にふえて彼岸かな          須藤 光迷

薄紅に山の膨らむ彼岸過               向井 愉里

入彼岸墓に愛とか絆とか               嵐田 双歩

父母としばしの会話彼岸かな             堤 てる夫

山門を開け放ちてや彼岸来る             溝口戸無広

「囀」

囀や窓を五センチ開けた朝              篠田  朗

せせらぎに囀交じる峡の宿              中村 迷哲

谷越の囀を聞く朝湯かな               大澤 水牛

囀りに覚める実家の長寝かな             向井 愉里

囀りや一日千歩目標に                横井 定利

囀れば上にはカラス下にネコ             杉山 三薬

囀りの聞こえぬと言ふ老いうらら           高井 百子

「当季雑詠」

見開きの紙面あふれる春人事             高井 百子

空の青大地に散らし犬ふぐり             岩田 三代

山笑ふ草食む牛の大あくび              加藤 明生

卒業式初めましてと言いそうに            杉山 三薬

宇宙への夢挫かれて春の塵              須藤 光迷

雛納め妻の背中が丸くなる              旙山 芳之

春愁を丸め飲込むティータイム            久保田 操

スマホだけポッケに入れて春の町           植村 方円

春昼や人みな吾を追ひ抜きて             金田 青水

春キャベツ耳たぶのよな餃子茹で           中嶋 阿猿

絵手紙は貰ふばかりよ葱坊主             今泉 而云

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、中村迷哲、星川水兎。【投句参加23人】伊藤健史、植村方円、大沢反平、荻野雅史、加藤明生、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、向井愉里、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

 

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酔吟会第161回例会

深川・芭蕉記念館で「春光」「菜飯」を兼題に開催

体調不良を押して参加の木葉さん最高6点で意気軒昂

酔吟会は3月11日(土)、令和5年第2回例会を江東区常盤の「芭蕉記念館」で開いた。同館で開催するのは今年初。この日の出席者は、昨年末から体調を崩していた徳永木葉さんを含めて14人。急に春めいてきた穏やかな日の午後、恒例により持ち寄った作品を短冊に書くことから和気あいあいと始まった。

例会の兼題は「春光」と「菜飯」、雑詠を含め投句は1人5句の計70句、選句6句で進めた結果、最高は木葉さんの「母の忌の菜飯にぎりのほろ苦き」の6点句だった。次席は4点で大澤水牛さんの「春光の隅田河畔にカレーパン」、金田青水さんの「春光や我れ単線の客となる」、玉田春陽子さんの「入彼岸こゑ聞くだけと電話来る」と「のどけしや窯入りを待つ鬼瓦」の二連発、そして廣田可升さんの「湾に満つ大漁旗や春の風」の5句がひしめいた。続く3点句には嵐田双歩さん、青水さん、谷川水馬さん、春陽子さんら手慣れの4句が並んだ。以下2点は13句、1点が20句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春光」

春光の隅田河畔にカレーパン      大澤 水牛

春光や我れ単線の客となる       金田 青水

立読みの列春光の神保町        嵐田 双歩

春光や寝釈迦の起る気配なく      玉田春陽子

「菜飯」

母の忌の菜飯にぎりのほろ苦き     徳永 木葉

百万遍おんなじ話菜飯碗        金田 青水

「当季雑詠」

入彼岸こゑ聞くだけと電話来る     玉田春陽子

のどけしや窯入りを待つ鬼瓦      玉田春陽子

湾に満つ大漁旗や春の風        廣田 可升

春昼や寝落ちてばさり文庫本      谷川 水馬

【参加者14人】嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、金田靑水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井愉里

(まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第203回例会

 

「春風」と「雀隠し」を詠む

水牛、水兎、春陽子が首位6点に並ぶ

番町喜楽会は令和5年の3月例会(通算第203回)を6日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。兼題は「春風」と「雀隠れ」で、雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、首位の6点に大澤水牛さんの「亀鳴くや卒寿の姉の長電話」、玉田春陽子さんの「街角に地図読む人や春の風」、星川水兎さんの「押せば出る箪笥なだめて春の風」の3句が並んだ。次席は5点で中村迷哲さんの「春風を懐に入れ龍馬像」のみだったが、三席の4点は5句にのぼり、3点は6句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春風」

街角に地図読む人や春の風        玉田春陽子

押せば出る箪笥なだめて春の風      星川 水兎

春風を懐に入れ龍馬像          中村 迷哲

五十段あと五十段春の風         今泉 而云

しいたけの駒打つ山に春の風       谷川 水馬

春風や宝石つけて髙島屋         星川 水兎

「雀隠れ」

猫の墓雀隠れとなりにけり        廣田 可升

ロンパース雀隠れをよいこらしょ     大澤 水牛
「当季雑詠」

亀鳴くや卒寿の姉の長電話        大澤 水牛

手間かけてロールキャベツの日永かな   高井 百子

火の神を風の神追ふ野焼かな       玉田春陽子

猫の子にミルク持ち寄る校舎裏      中村 迷哲

ぽつねんとひいな飾りの前に座す     山口斗詩子

春疾風ドミノ倒しの駐輪場        廣田 可升

勝浦の大石段に雛揃ひ          向井 愉里

【句会出席者】(15人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、向井愉里。【投句参加者】(4人)澤井二堂、谷川水馬、徳永木葉、山口斗詩子。

(報告 須藤光迷)

 

 

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23年英尾忌墓参八王子吟行

夕焼け小焼けの里を巡りアイリッシュパブへ

2月28日、日経俳句会と番町喜楽会の有志7人で春の恒例行事「村田英尾先生墓参吟行」を催行した。午前11時半にJR高尾駅に集合、八王子霊園に眠る英尾先生の墓参後、バスに揺られて八王子市恩方の「夕焼小焼ふれあいの里」に行った。ここは甲州街道の裏街道に当たり、「これが東京都?」と言うような山間で、童謡「夕焼け小焼けで日が暮れて、山のお寺の鐘が鳴る」の作詞家中村雨紅の生まれ育った場所だ。雨紅の生まれた神社や小学校、関所跡などを吟行、高尾山口のアイリッシュ・パブ「ケルティック・ムーン」で懇親会を開いた。

吟行俳句会は杉山三薬幹事の出した席題「唱歌・童謡・わらべうた」と、当日嘱目の投句3句をその日に集め、選句表を参加者にメール送信、「5句選句、句評を付けてまとめ役の水牛宛送信する」方式で行った。参加者の作品は以下の通り。

校舎より春の小川の童歌        嵐田 双歩

水温む宮尾神社の手水鉢

春眠し通学バスの童たち

英尾碑に合格祈る春陽射し       池村実千代

春うらら短調で弾くわらべ歌

レンギョウや古き学舎夢ありて

眠む眠むの児を抱きつつ春の風     今泉 而云

青空へ樹々の競へる春の山

股ぐらの下やちらほら春の草

早春の夕焼け小焼け急ぎ足       大澤 水牛

野蒜萌ゆ武田の姫の隠れ里

のどけしや高尾のパブの黒ビール

墓参行峰見上げれば杉の花       杉山 三薬

童謡の里ゆくバスを待つうらら

春の宴モーリンオハラを前菜に

お墓前一年ぶりのすみれかな      田中 白山

けやきの芽青空によく似合ひけり

ものの芽や席ゆずる子等地元の子

師の墓参〆はギネスや春の宵      玉田春陽子

旧仮名の童謡歌碑や春高尾

うららかや裏街道の番所跡

(まとめ 大澤水牛)

 

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府中市郷土の森観梅吟行

13人参加、早春の花を愛で、連句も挙行

日経俳句会と番町喜楽会合同で、2月11日(土)建国記念の日に府中市にある郷土の森公園を訪れる吟行を催行した。前日、関東全域にドカ雪が降り積もり開催が危ぶまれたが、当日はすっきりと晴れ上がった。ちょうど「梅まつり」が開かれていた園内では梅、福寿草、金縷梅などの早春の花が開き、残る雪の中の散策を楽しんだ。さらに、明治天皇が兎狩の際に休憩・宿泊所として使われた旧田中家住宅を借りて連句の会も開催大いに盛り上がった。吟行には総勢13人が参加。旧田中家をお休みどころにして、梅園や歴史を物語る移築建築物などを散策し、連句を14句目(全体36句の「歌仙」様式)まで巻いたところでお開きとなった。

吟行句会は兼題を「梅」、席題を「戦、諍い」、嘱目の三句とし、当日その場で句会を開く予定だったが、杉山三薬吟行幹事の采配で恒例のメール句会とすることに決定、12人から36句の投句があった。5句選の結果、最高6点には三薬さんの「大欅囲む手と手の暖かさ」が輝いた、また二席5点には嵐田双歩さんの「大店の遅日の部屋を昼の酒」が入った。

《参加者13人》嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、杉山三薬、鈴木雀九、鈴木玲子(夫人)、須藤光迷、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、向井愉里。

《吟行参加者代表句》

大店の遅日の部屋を昼の酒      嵐田 双歩

古民家へ一歩一歩や春の泥      今泉 而云

春の雪藁屋根つたひ滴りぬ      岩田 三代

白梅の香り立ちたる行在所      大澤 水牛

大欅囲む手と手の暖かさ       杉山 三薬

土黒く土温くして福寿草       鈴木 雀九

七段の雛は薬種屋蔵造り       須藤 光迷

梅見する心の隅にウクライナ     田中 白山

日の匂ふ昔戦さ場福寿草       谷川 水馬

せめぎあふ和洋たんぽぽ古戦場    玉田春陽子

苦吟する連句の庭に梅二輪      廣田 可升

残雪に青き武者像凛と立ち      向井 愉里

(まとめ 谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第216回例会

反平句「添い寝」が最高10点、二席9点方円句「サプリ」

兼題の「獺祭」にみんな苦吟

日経俳句会は2月15日、内神田の日経広告研究所会議室で2月例会(通算216回)を開いた。この日は厳しい寒の戻りで、冷たい北風に震え上がった。体調を崩した会員もいて出席は13人とやや寂しかったが、合評会に入ると議論百出。熱気で暖房温度を下げるほどだった。

兼題は、この日に相応しく「余寒」と珍しい季語「獺祭」。特に獺祭は苦吟の跡のにじむ句が多かった。36人から106句が集まり、選句6句(欠席5句)の結果、一席は大沢反平さんの「介護の夜妻に添い寝の余寒かな」が10点。二席には植村方円さんの「気休めのサプリ並べて獺祭」が9点で続いた。三席は「おばちゃんもモンローになる春一番」中沢豆乳さんと「梅東風や茶筒の蓋のぽんと鳴る」星川水兔さんが7点で並んだ。以下6点3句、5点4句、4点6句、3点9句、2点27句、1点18句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「余寒」

介護の夜妻に添い寝の余寒かな            大沢 反平

ダウン着て少女ビラ撒く余寒かな           中村 迷哲

熱燗を飛切燗とする余寒               大澤 水牛

真鍮の手摺に宿る余寒かな              中嶋 阿猿

夜の地震掴む柱の余寒かな              星川 水兎

花柄の傘の手すくむ余寒かな             溝口戸無広

きーきーと鳥姦しき余寒かな             嵐田 双歩

らっしゃいの笑顔が溶かす余寒かな          金田 青水

吉報に余寒吹き飛ぶ受験生              篠田  朗

衣装箱再び荒るる余寒かな              髙石 昌魚

「獺祭」

気休めのサプリ並べて獺祭              植村 方円

膏薬を肩に背中に獺祭                嵐田 双歩

片付かぬ部屋にこもりて獺祭             岩田 三代

ほろ酔ひて書店漁るや獺祭              溝口戸無広

老いてなほ食べ盛りなり獺祭             加藤 明生

獺祭り口伝も絶えて村廃る              篠田  朗

獺祭の部屋から長女いざ国試             旙山 芳之

当季雑詠

おばちゃんもモンローになる春一番          中沢 豆乳

梅東風や茶筒の蓋のぽんと鳴る            星川 水兔

増え続く空き家どうする猫の恋            須藤 光迷

雪掻けば近所交流始まりぬ              高井 百子

ゆらゆらと光の波紋水温む              岩田 三代

終バスのまた一人減り冴返る             嵐田 双歩

春浅し巣穴の熊の二度寝かな             篠田  朗

朝のミサ何だか嬉し春の雪              池村実千代

百まではまだ十五年春うらら             横井 定利

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加23人】伊藤健史、岩田三代、大沢反平、大下明古、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。 (報告 嵐田双歩)

 

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