日経俳句会第189回例会

参加34人で「初夏」「空豆」を詠む

芳之さん「ナース」で断トツ10点

日経俳句会の令和2年5月例会(通算189回)は、新型コロナの緊急事態宣言を受け、三、四月に続き3カ月連続のメール句会となった。兼題は「初夏」と「空豆」。長引く外出自粛にも創作意欲は衰えず、通常月並みの34人から102句の投句があった。5月20日を締め切りにしたメール5句選の結果、旙山芳之さんの「夜勤明けナース二年目初夏の風」が断トツの10点を獲得、コロナに立ち向かう医療従事者への共感が広がった。6点句に杉山三薬さん「笛太鼓蔵を出でずも夏初め」と中村迷哲さん「安曇野に山並映し田水張る」、廣上正市さん「夏来たる取水口より水けむり」の3句が並び、5点句には「焼き空豆心配なほど焦げてをり 水兎」と「弧をなして水平線に夏来る 反平」の2句が入った。以下4点4句、3点20句、2点32句、1点24「句だった。また今月から大下綾子さんが明古(めいぷる)の俳号を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「初夏」

夜勤明けナース二年目初夏の風        旙山 芳之

笛太鼓蔵を出でずも夏初め          杉山 三薬

本堂の初夏の陽眩し写経会          岡田 鷹洋

まだ来ないアベノマスクや初夏となる     髙井 百子

初夏の空に大独楽投げ上げる         今泉 而云

自転車のペダル踏み込み初夏の風       植村 博明

雑草と追駆けっこの初夏の庭         大澤 水牛

起き抜けに一巡りする初夏の庭        金田 青水

樹に草にみなぎる光夏初め          水口 弥生

「空豆」

焼き空豆心配なほど焦げてをり        星川 水兎

はじき豆五粒の妻の食細き          大沢 反平

空豆や三つ子そろひの野球帽         谷川 水馬

空豆の端の小さき弟よ            今泉 而云

荷解けば父の空豆ぎっしりと         岩田 三代

空豆の白きワタにも親心           中嶋 阿猿

空豆を噛むや鼻腔に青き風          中村 迷哲

つれあひと蚕豆を剥く幸不幸         横井 定利

当季雑詠

安曇野に山並映し田水張る          中村 迷哲

夏来たる取水口より水けむり         廣上 正市

弧をなして水平線に夏来る          大沢 反平

一メートルあけてレジ前夏マスク       大澤 水牛

薔薇色の薔薇のあふるる垣根かな       大下 明古

ペタペタと素足幼な児こっちこっち      大平 睦子

籠の鳥黄金週に妻多弁            荻野 雅史

小満や露地の野菜に一番果          金田 青水

祖父震災父召集二度我コロナ         鈴木 雀久

花片のふれなば散らむ白牡丹         髙井 百子

久々の飛行機雲や薄暑光           谷川 水馬

連休や家でゆるりと柏餅           旙山 芳之

教会の細き十字架薔薇の雨          星川 水兎

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。   (報告 中村迷哲)

 

 

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番町喜楽会第172回

「浴衣」と「卯の花」を詠む

木葉「おすそ分け」と迷哲「子供の日」が8点で並ぶ

番町喜楽会は、令和2年5月の例会(通算第172回)をメール句会として開催した。兼題は「浴衣」と「卯の花」、締め切りは投句(5句)が5月4日、選句(6句)が5月11日。その結果、最高の8点に徳永木葉さんの「お隣へ卯の花越しのおすそ分け」と中村迷哲さんの「遊具みなテープで縛る子供の日」が並び、次席は5点で大澤水牛さんの「糊こはき浴衣六方踏むやうに」、斉山満智さんの「浴衣着て異国の宴の花となり」、山口斗詩子さんの「化粧せず着替えもせずに初夏迎ふ」の3句。4点句は六つ、3点句は八つだった。なお、大下綾子さんが今回から明古(めいぷる)という俳号を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「浴衣」

糊こはき浴衣六方踏むやうに        大澤 水牛

浴衣着て異国の宴の花となり        斉山 満智

ヨーヨーと金魚ぶら下げ浴衣の子      須藤 光迷

出番なき浴衣の山や温泉街         嵐田 双歩

浴衣の輪団地広場を埋めし頃        中村 迷哲

古浴衣裁ちてマスクに変身す        山口斗詩子

「卯の花」

お隣へ卯の花越しのおすそ分け       徳永 木葉

卯の花や女人高野へ太鼓橋         谷川 水馬

卯の花や縁側といふ応接間         玉田春陽子

卯の花に思はず唱歌口ずさむ        前島 幻水

卯の花やいざ鎌倉の切通し         玉田春陽子

せせらぎへ卯の花こぼる城下町       前島 幻水

「当季雑詠」

遊具みなテープで縛る子供の日       中村 迷哲

化粧せず着替えもせずに初夏迎ふ      山口斗詩子

家中に香気立ち籠め自家製茶        大澤 水牛

緊急事態宣言下女児誕生

あたらしき命さづかる穀雨かな       廣田 可升

湾奥の無人の干潟こあじさし        田中 白山

手毬花揺らす雀や雨上がり         谷川 水馬

地蔵まで赤いマスクの立夏かな       玉田春陽子

《参加者》(22人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、大下明古、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・須藤光迷)

 

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酔吟会第146回例会

メール句会「立夏」「鮎」に115句

最高6点はてる夫さんの「千曲に重機」

新型コロナウイルスの暗雲垂れ込める中、酔吟会の令和二年第三回は5月9日(土)に予定した例会をメール句会に切り替えて実施した。三月例会に続いて二度目のメール句会で、兼題は「立夏(りっか)」と「鮎(あゆ)」。23人から合計115句の投句があった。6句選句の結果、最高は堤てる夫さんの「鮎来るや千曲は重機工事中」が6点。次席は嵐田双歩さんの「夏来る来るな来るなと観光地」の5点。三席4点句は、双歩さんの「さういへば近頃ずっと子供の日」、大沢反平さんの「大窓を拭けば確かな夏が来た」、玉田春陽子さんの「妻の乗る脚立を支え立夏かな」、徳永木葉さんの「冷コーの消えし浪速夏に入る」の4句が並んだ。次の3点句は向井ゆりさんが3句並べたのを含め計12句に上った。以下2点19句、1点28句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立夏」

夏来る来るな来るなと観光地       嵐田 双歩

大窓を拭けば確かな夏が来た       大沢 反平

妻の乗る脚立を支え立夏かな       玉田春陽子

冷コーの名消えし浪速夏に入る      徳永 木葉

夏立つや蟄居の居間に風わたる      久保田 操

こぼれゆく巣ごもりの日々はや立夏    徳永 木葉

川風にただ吹かれおる立夏かな      向井 ゆり

「鮎」

鮎来るや千曲は重機工事中        堤 てる夫

川へ入る男は無口鮎解禁         須藤 光迷

魚釣るや真正面なる浅間山        玉田春陽子

当季雑詠

さういへば近ごろずっと子供の日     嵐田 双歩

万緑や日本列島家籠り          金田 青水

たとう紙の絽に母浮かぶ衣更え      久保 道子

湧水で作る豆腐屋今朝の夏        高井 百子

皐月晴れ家事と雑事と酒の日々      藤野十三妹

メールにも飽きて初夏を長電話      藤野十三妹

花守に刈られし花の山となり       向井 ゆり

柏餅母子手帳など見返して        向井 ゆり

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり。

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第188回例会

緊急事態宣言下、三月に続くメール句会

「朧」と「入学」を詠む

水牛「見る人の無き夜桜」が7点で一席、

博明「貨物船」、三薬「誰が誰」、定利「足ぶらぶら」6点で続く

日経俳句会は4月15日(水)、令和2年度4月例会(通算188回)を3月に続きメール句会で開いた。新型コロナウィルスの感染者が急速に増加し、「ステイホーム」が合言葉に。やむを得ないメール句会もいつまで続くか見通せない状況下、先月と同じ32人から96句の投句があった。兼題は「朧」と「入学」。5句選の結果、「見る人の無き夜桜や冷えまさる」の水牛句が7点を獲得、一席に輝いた。二席は「貨物船少し進みて朧月(博明)」、「新入生みんなマスクで誰が誰(三薬)」、「椅子に掛け足ぶらぶらと入学す(定利)」の3句が6点で並んだ。以下5点6句、4点も6句と続き、3点11句、2点8句、1点32句と票がばらけた。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「朧」

貨物船少し進みて朧月       植村 博明

春おぼろ水琴窟の独り言      谷川 水馬

人類は何処へも行けず朧月     嵐田 双歩

志村けん朧月夜の再放送      堤 てる夫

土の香が重く漂ふ朧かな      岩田 三代

海峡の落暉散じて夕朧       大沢 反平

朧夜や今日も聞こえるレクイエム  加藤 明生

朧月好きな映画をまた観てる    杉山 三薬

癌という朧なものと共に生き    須藤 光迷

朧夜の姉の横顔祖母ゆずり     水口 弥生

「入学」

新入生みんなマスクで誰が誰    杉山 三薬

椅子に掛け足ぶらぶらと入学す   横井 定利

欠けた歯を舌で確かめ入学す    嵐田 双歩

入学の吾より若き教授かな     大下 綾子

入学の日より道草おぼえたり    金田 青水

入学の子の声上がる兎小屋     星川 水兎

吾子は今つくり笑顔で入学す    池村実千代

「当季雑詠」

見る人の無き夜桜や冷えまさる   大澤 水牛

川沿いを行ったり来たり春暮るる  植村 博明

年寄りの庭にはびこる犬ふぐり   堤 てる夫

寂寞と春の夜更けてポトフ煮る   中嶋 阿猿

母子草ほかに九種の咲く更地    大下 綾子

夕厨浅蜊汐吹く気配あり      中村 迷哲

この春は神ウィルスを蒔き給ふ   今泉 而云

コロナ禍をよそに花咲き花散りぬ  岩田 三代

散る桜スーパームーン観てますか  大平 睦子

通勤も立派な花見これでよし    髙橋ヲブラダ

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第171回例会

今回もメール句会で「春雨」と「草餅」を詠む

而云11点句で断然のトップ

番町喜楽会はコロナウイルス対策のため、三月例会に引き続きメール句会として令和2年4月例会(通算171回)を開催した。「春雨」と「草餅」を兼題として3月28日(土)に投句締切り、4月4日(土)選句締切りとして開催した。投句者は20名で、投句数は100句。選句6句の結果、今泉而云さんの「プラネタリウム出でて地球は春の雨」が断然トップの11点を獲得。次点は斉山満智さんの「春風の掃き清めたる空の青」が5点句で続いた。以下、4点が6句、3点句11句、2点10句、1点27句あった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春雨」

プラネタリウム出でて地球は春の雨         今泉 而云

春雨を眺めてをりぬテレワーク           嵐田 双歩

米農家継ぎに帰る子春の雨             谷川 水馬

人気なきおとぎの国に春の雨            徳永 木葉

春雨や路地に蛇の目の神楽坂            玉田春陽子

春雨やまだ底冷えの一人鍋             山口斗詩子

「草餅」

朝市の人気は婆の蓬餅               嵐田 双歩

草餅を蒸す花柄の三角巾              高井 百子

担ぎ屋の老婆の膝に草の餅             中村 迷哲

古里の野辺の香りや蓬餅                       前島 幻水

遙か昔母との思い出

よもぎ摘み母と丸めた草だんご           山口斗詩子

「当季雑詠」

春風の掃き清めたる空の青             斉山 満智

身の程の桜を選ぶ花見かな             塩田 命水

出会より別れの多き老の春             田中 白山

こちら向く女の素描花曇              大下 綾子

ウィルスの寄せ来る気配春の闇           斉山 満智

風光る尻にリュックを弾ませて           須藤 光迷

たんぽぽや五人つながる汽車ポッポ         玉田春陽子

山笑ふ妻はそろばん少数派             玉田春陽子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。

(報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第187回

 

ウイルス禍でメール句会

「暖か」「木瓜の花」を詠み合う

青水「暖か」で最高8点、二堂、正市7点で追う

日経俳句会の令和2年3月例会(通算187回)は、新型コロナウイルスの感染防止のため会場に集まっての句会を自粛、3月19日を締め切りにメール句会の形で実施した。吟行ではメール句会はよく行われるが、月例会では初めて。兼題は「暖か」と「木瓜の花」。ウイルス騒動が影響したのか、参加32人,投句総数95句とやや少なめ。5句選の結果、金田青水さんの「水音や掌に欄干のあたゝかさ」が最高8点を獲得。7点句に澤井二堂さん「暖かき朝は歩幅の少し伸び」と廣上正市さん「木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり」が並んだ。6点句には「大槌の春献奏のトランペット てる夫」と「父の庭荒れたるままに木瓜の花 迷哲」の2句が入った。以下5点4句、4点4句、3点10句、2点15句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「暖か」

水音や掌に欄干のあたゝかさ        金田 青水

暖かき朝は歩幅の少し伸び         澤井 二堂

じゃんけんをして進む子ら暖かし      植村 博明

暖かや巨象の鼻の藁が舞ふ         岡田 鷹洋

深みより浮かび来し鯉暖かし        鈴木 雀九

草はらに大の字地球暖かし         岩田 三代

暖かや大仏様の細き眉           加藤 明生

暖かや標本木に花一輪           久保田 操

暖かや老婦老犬いたはり合ひ        堤 てる夫

「木瓜の花」

木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり     廣上 正市

父の庭荒れたるままに木瓜の花       中村 迷哲

枝ぶりも棘も活けたり木瓜の花       谷川 水馬

偽りは棘に刺されて木瓜の花        今泉 而云

木瓜咲くや江戸の名残の一里塚       大澤 水牛

木瓜の花割となんでもあるお店       星川 水兎

「当季雑詠」

大槌の春献奏のトランペット        堤 てる夫

菜の花や思ひ出なべてほろ苦く       今泉 而云

大欅芽吹かんとする息づかひ        大澤 水牛

首伸ばし鶯を聴く駝鳥かな         谷川 水馬

スタンドに歓声沸かず春疾風        杉山 三薬

鍵盤のジャズのフォルテに跳ねる春     岡田 鷹洋

虫好きの子らみんな来よ春の野へ      金田 青水

村ごとの春望たどる山のバス        中村 迷哲

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、水口弥生、横井定利。

(報告・中村迷哲)

 

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酔吟会第145回例会

コロナウイルスおさまらず、メール句会に

「啓蟄」と「霞」、最高五点に水牛、百子、鷹洋、三薬、可升が並ぶ

新型コロナウイルスの感染者が増え続け、酔吟会の第145例会は3月14日(土)の開催を断念、メール句会に切り替えた。平成8年(1996年)5月発足の酔吟会は、「座の文芸」の伝統に則り、メンバーが席について短冊に句を書いて投句、清記、選句、講評という伝統的な句会形式で運営してきた。世界的なウイルス蔓延の中で発足以来24年目にして初めて伝統形式を破った。

メール句会は兼題「啓蟄(けいちつ)」「霞(かすみ)」と「当季雑詠」の計5句を投句、幹事が作成した選句表を会員に配信し、選句6句と短評を幹事に送信、それを整理集約する方式でメール句会を実施した。参加者は22人、投句総数は110句だった。最高点は5点で、「考へる人となりをり春霞 水牛」、「撥ねて散る洗車の水の春もよう 鷹洋」、「虫穴を出て子供らは家の中 三薬」、「啓蟄や散歩嫌いの夫の居て 百子」、「啓蟄の蟻見て飽きぬ子の背中 可升」の5句が勢揃い。続く4点句には7人が並んだ。以下、3点6句、2点12句、1点27句。3点以上の兼題別高点句は次の通り。

「啓蟄」

虫穴を出て子供らは家の中        杉山 三薬

啓蟄や散歩嫌いの夫の居て        高井 百子

啓蟄の蟻見て飽きぬ子の背中       廣田 可升

啓蟄の古物回収おんな声         徳永 木葉

啓蟄や一鍬大地動き出す         野田 冷峰

「霞」

考へる人となりをり春霞         大澤 水牛

復興の千曲河岸霞立つ          高井 百子

春霞ナビにない道現れて         徳永 木葉

ぽつくりの音する花街夕霞              廣田  可升

朝霞女駅長白スーツ           星川 水兎

「当季雑詠」

撥ねて散る洗車の水の春もよう      岡田 鷹洋

列つくりかるめ焼き買ふ日永かな     谷川 水馬

花輪立てパン屋開店春日向        玉田春陽子

春場所や空の客席空柄杓         堤 てる夫

睡蓮の紅の芽のぞく暖かさ        大澤 水牛

山笑ふ鉄橋の貨車長々と         岡田 鷹洋

歩き来て手に掬ひ呑む春の水       金田 青水

初午に地口行灯朱の鳥居         久保 道子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、星川水兎。

(報告 高井百子)

 

 

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番町喜楽会第170回例会

新型コロナウイルス蔓延で中止、メール句会に

番町喜楽会の令和2年3月例会(通算170回・3月1日開催予定)は、新型コロナウイルスのために中止、メール句会になった。クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の船客・船員七百余人の集団感染は別件と見做すべきで、そうなると日本国内で見つかった感染者は300人程度なのに、安倍首相以下国内は蜂の巣を突いたような大騒ぎで、いろいろな催しが次々に中止になり、国や地方公共団体の施設は休館。句会をやりたくても会場が無いということになってしまった。

安倍首相は突然、日本全国の小中高校を一斉休校に言い出し、4月に迎えるはずだった習近平中国国家主席の訪日の延期を決めた途端に中国韓国からの旅行者を事実上シャットアウトするといった遅蒔きながらの“水際作戦”を打ち出している。ウイルス感染者を一刻も早く見つけて隔離するのが今最も求められていることなのに、「検査体制が整っていない」のでそれが出来ない。ウイルス検査能力は一日4千人弱で、韓国の十分の一以下である。「韓国では一日に500人もの新たな感染者が発見されているが、日本は30数人」などと言って喜んでは居られない。検査人数が少なければ感染者発見数が少なくなるのは当たり前である。何とかして東京オリンピックはやりたい。そのために感染者数を増やさぬよう、検査体制の不備を言っているのではないかと勘繰りたくもなる。

句会が出来なくなった腹立ち紛れにこんなことを言っているわけではない。今回のコロナウイルス騒動で日本政府が打つ手がどうも腑に落ちないことが多すぎるのだ。クルーズ船の船内でウイルス感染者が出たというのに、厚生労働省は従来の検疫方法を守り、乗客乗員を密閉空間の船内に半月も閉じ込め、実にノロい検査をやっていた。この間に新たな感染者を次々に増やしてしまった。国内でのウイルス検査体制の整備増強にも手をこまぬいていた。それが災いして市中感染が増え始め、日本国内での新たな感染者はむしろ増える傾向にある。これはもう、行政の責任であり、政治の責任である。

オリンピックなどイギリスが肩代わりしてもいいよと言っているのだから、さっさと譲り渡して、ゆっくり句会が開ける平和な日本を取り戻して欲しい。

句会報告とは全然関係無い話になってしまった。

第170回の兼題は「春の日」と「蛤」。本来なら雛祭を中心に、麗らかな春の日を謳歌する句会になった筈だったのである。メール句会の結果、兼題別の高点句は以下のようになった。

「春の日」

春の日や再雇用とて白髪染め      谷川 水馬

かさかさの手に春の日のやはらかし   金田 青水

渡されし子に春の日の匂ふかな     今泉 而云

「蛤」

塗り椀に蛤汁のうすにごり       星川 水兎

魚河岸で煮蛤の握り昼の酒       中沢 豆乳

「当季雑詠」

雛祭ふたりで祝う家となり       須藤 光迷

ウイルスが巨船を止める春寒し     前島 幻水

八幡の隣は不動草の餅         徳永 木葉

春浅し膝いそがしき三輪車       玉田春陽子

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第186回例会

渦中のクルーズ船から投句した実千代さん、「数独をとく」12点ほか3句合わせて22点獲得。次席は双歩さんの「土のやさしさ」11点。

日経俳句会は2月19日(水)、令和2年度2月例会(通算186回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。新型コロナウィルスの脅威が世界中を駈け廻り、日本でも感染者がじわじわと広がっていることもあり、開催を危ぶむ声もあったが、どこ吹く風の元気な会員15人が集い、兼題の「日永」と「蕗の薹」などの105句を俎上に熱い句会を繰り広げた。この日の話題は何といっても、あのダイヤモンドプリンセス号の船上で詠んだ池村実千代さんの作品。「永き日や数独をとく船の上」は前書きがなくとも素晴らしいと12点、ほか「客船で戦友となり日永かな」が8点、「本当の豊かとはなに蕗の薹」が2点、合わせて22点を独り占めした(実千代さん夫妻は句会当日の19日に無事下船した)。次席は双歩さんの「ひと雨の土のやさしさ蕗の薹」が11点。三席は実千代句と並び操さんの「改札の先に広がる日永かな」が8点を獲得した。次いで青水さんの「母校失せ友失せし里ねこやなぎ」が7点。以下6点1句、5点4句、4点5句、3点4句、2点20句、1点31句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「日永」

永き日や数独をとく船の上       池村実千代

客船で戦友となり日永かな       池村実千代

改札の先に広がる日永かな       久保田 操

このままの往生ねがふ日永かな     金田 青水

来て逃げて雀の群れの日永かな     堤 てる夫

永き日や寄せ波引き波幾千年      大沢 反平

チョキチョキと園丁鋏日永かな     加藤 明生

「蕗の薹」

ひと雨の土のやさしさ蕗の薹      嵐田 双歩

蕗の薹ザルツブルグの塩振つて     谷川 水馬

まだ動く水車ごとごと蕗の薹      植村 博明

アマゾンで買いし一キロ蕗の薹     髙橋ヲブラダ

釣れぬ日の魚籠にはせめて蕗の薹    杉山 三薬

当季雑詠

母校失せ友失せし里ねこやなぎ     金田 青水

マッチ擦る仕草の記憶春のカフェ    中沢 豆乳

堰越えの水の膨らみ冬をはる      廣上 正市

音すれど姿の見えぬ雪解水       井上庄一郎

梅二本早や満開の老い始め       大平 睦子

朧なりカークダグラス顎えくぼ     杉山 三薬

氷瀑の便り来ぬまま春立ちぬ      徳永 木葉

《参加者》【出席】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、星川水兎。【投句参加】池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大倉悌志郎、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会「年間優秀作品賞」表彰制度創設

“令和元年記念”受賞者は6人 2月例会で表彰式を開催

番町喜楽会は、初めての試みである「令和元年記念年間優秀作品賞」の受賞句を、令和2年初の例会(第169回例会)で発表・表彰式を行った。この賞は、番町喜楽会会員の年間作品の中から、特に優秀と思われる作品を顕彰しようと創設したものである。昨年は「令和元年」の記念の年でもあったことから名称を「令和元年記念」として、選者を今泉而云氏と大澤水牛氏に委嘱し、会員の2019年の全作品千数百点の中から下記の6句が選ばれた。表彰式では、受賞作の発表、賞品(図書券)が高井百子会長より手渡され、今泉、大澤両氏が作品の講評を述べた。句会後の九段下「味さと」での恒例の反省会では、受賞者が喜びの弁を語った。受賞作品は以下の通り。

令和元年記念「番町喜楽会年間優秀賞作品賞」

つないだ手誰が離した夏の果て   斉山 満智(11月4日第167回)

旅芸人しゃぼんの玉に入りけり   塩田 命水(7月1日第163回)

毬栗の青きを拾ふ無言館      高井 百子(9月2日第165回)

地の起伏あらはにみせて野火走る  玉田春陽子(2月2日第158回)

かなかなの声戻りくる雨後の宿   中村 迷哲(9月2日第165回)

AIとゲノムの未来原爆忌       前島 幻水(9月2日第165回)

(まとめ 高井百子)

 

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