番町喜楽会第148回例会を開催

 

21名参加で「長閑」と「草の芽」を詠む

 

番町喜楽会の平成30年3月例会(通算148回)は、5日午後6時半から、「長閑」と「草の芽」を兼題として東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。七福神吟行などの関係で一月は例会を見送ったので、この会場で顔を合わせるのは久々のこと。当日は生憎の雨に降られ、突風に見舞われもしたが、気温は20℃近くまで上昇、木々は緑の色を濃くしていた。

句会には17人が出席、投句参加は4人で、投句総数は101句。投句5句・選句6句で句会を行った結果、最高は玉田春陽子さんの「のどけしや下駄の裏干す山の宿」で8点。次席は5点で嵐田双歩さんの「やはらかな雨やはらかな草の芽に」、塩田命水さんの「のどけしや日向に猫の裏返り」、高井百子さんの「しばらくは摘まずにおこう蕗の薹」、前島幻水さんの「如月や兜太秩父へ帰りけり」の4句が並んだ。4点は2句、3点12句と佳句が続出した。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「長閑」

のどけしや下駄の裏干す山の宿    玉田春陽子

のどけしや日向に猫の裏返り     塩田 命水

長閑なり乳膨れたる山羊の声     高瀬 大虫

のどかさや平船渡る蔵の街      谷川 水馬

のどけしや空の牛舎に鳴るラジオ   玉田春陽子

長閑さや仔牛に肘を吸われをり    星川 水兎

「草の芽」

やはらかな雨やはらかな草の芽に   嵐田 双歩

草芽吹く音聞いている寝覚めかな   大澤 水牛

たのもしき芍薬の芽の太さかな    大澤 水牛

年長の子の歯の抜けて名草の芽    須藤 光迷

草の芽やあぜ道じわり色付きぬ    堤 てる夫

制服に光る校章名草の芽       徳永 木葉

「雑詠」

しばらくは摘まずにおこう蕗の薹   高井 百子

如月や兜太秩父へ帰りけり      前島 幻水

路地裏の着付け教室桃の花      大下 綾子

ちゃん付けで呼び合ふ婆や梅の園   谷川 水馬

住み家失せ施設に集ふ雛かな     高瀬 大虫

嘘一つ四つと重ね春の泥       徳永 木葉

大けやき天へ吸ひ上ぐ春の水     中村  哲

【参加者】(出席17人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、(投句参加4人)斉山満智、澤井二堂、高瀬大虫、野田冷峰

(報告・須藤光迷)

 

 

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日経俳句会第166回例会

 

「春光」「若布」に36人投句、今泉、谷川、徳永、廣上四氏が7点句

春まだ浅い2月21日(水)、日経俳句会の平成30年度2月例会(通算166回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。余寒続きで体調を崩したのか、風邪などで急遽欠席する人が多かったものの21人が出席し賑やかな句会となった。この日の兼題は「春光」と「若布」。投句参加者を咥え36人から107句の投句があり、5句選の結果、「春光やもう子分持つ四歳児」(而云)、「春光を瞳に宿し岬馬」(水馬)、「堰の水春の光になりにけり」(正市)、「み仏の千の手妖し春燈下」(木葉)の4句が7点で並んだ。次席は6点句の「椀の底病棟食の若布かな」(万歩)。5点句は「春光のカップルの横掛けてみる」(綾子)など6句と高点句に票がばらけた。以下、4点8句、3点7句、2点11句、1点26句だった。兼題別の高点句(三点句以上)は以下の通り。

「春光」

春光やもう子分持つ四歳児     今泉 而云

春光を瞳に宿し岬馬        谷川 水馬

堰の水春の光になりにけり     廣上 正市

古靴に春光入れて磨きおり     植村 博明

春光のカップルの横掛けてみる   大下 綾子

春光や隣の駅に都電見え      嵐田 双歩

春光やデイケアバスに保育バス   大澤 水牛

春光や挨拶交わす犬どうし     高橋ヲブラダ

脇道がおいでおいでと春の色    星川 佳子

春光やカーテン眩し退院日     大熊 万歩

春光や薩摩切子は万華鏡      高瀬 大虫

浦々の春望縫ひて五能線      中村  哲

「若布」

椀の底病棟食の若布かな      大熊 万歩

若布刈る大蝙蝠のやうに浮く    今泉 而云

新若布縄文人の如く噛む      中村  哲

老妻の酢若布褒めて仲直り     岡田 臣弘

若布売り訛り優しや輪島市     岡田 臣弘

三陸の磯の香立ちぬ若布汁     和泉田 守

熱き湯にほどけて若布エメラルド  岩田 三代

ひとつかみおまけの朝市若布売り  大倉悌志郎

房州の若布は怒涛が連れてくる   大沢 反平

「当季雑詠」

み仏の千の手妖し春燈下      徳永 木葉

ひと雨の物みな芽吹く匂ひかな   嵐田 双歩

風光る鯉と分け合ふパンの耳    橫井 定利

芽吹く木の根元は雪の洞深し    岩田 三代

余寒なほ郷(さと)の厠の二燭光      谷川 水馬

《参加者》(出席)=嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、杉山三薬、鈴木好夫、高橋ヲブラダ、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

 

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番町喜楽会第147回例会

 

「日脚伸ぶ」と「クロッカス」を詠む

齊山満智さん、8点句でトップ飾る

 

番町喜楽会の平成30年2月例会(通算147回)が、節分の2月3日(土)午後6時から、「日脚伸ぶ」と「クロッカス」を兼題として九段下の割烹「味さと」で開かれた。16名が出席、5名が投句参加、投句総数は101句だった。選句6句で句会を進めた結果、齊山満智さんの「熱燗にゆるゆる溶ける癇の虫」が8点でトップに輝いた。これに嵐田双歩さんの「饒舌な妻いて窓にクロッカス」と塩田命水さんの「クロッカス試しに背負うランドセル」の5点句が続いた。以下、4点句2句、3点8句、2点11句、1点句23句という結果だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「日脚伸ぶ」

日脚伸ぶ自転公転異常なし       高瀬 大虫

日脚伸ぶ買ってよ黄色のワンピース   中村 哲

赤ちゃんの小さきあくび日脚伸ぶ    嵐田 双歩

老犬の深まる眠り日脚伸ぶ       星川 水兎

「クロッカス」

饒舌な妻いて窓にクロッカス      嵐田 双歩

クロッカス試しに背負うランドセル   塩田 命水

赴任地に小さき庭ありクロッカス    大下 綾子

「雑詠」

熱燗にゆるゆる溶ける癇の虫      齊山 満智

山小屋の夕餉に響く遠雪崩       池内 的中

賀状書く小一の子へ様付けて      塩田 命水

日と話し風と語るや野水仙       玉田春陽子

口下手の男掻きをり春の雪       廣田 可升

寒月や山峡の湯に客二人        廣田 可升

《参加者》【出席十六人】嵐田双歩、池内的中、大澤水牛、齊山満智、塩田命水、

須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加五人】今泉而云、大下綾子、澤井二堂、高瀬大虫、野田冷峰。   (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第165回例会

 

参加36名で「冬の月」と「水洟」を詠む

 

日経俳句会は平成30年度の初句会一月例会(通算165回)を1月17日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。風邪で体調を崩す人が多いうえに雨も重なり、出席者は19人とやや少なかったが、寒さを吹っ飛ばす熱気のこもった句会となった。兼題は「冬の月」と「水洟」。投句参加者を含め36人から108句の投句があり、5句選の結果、今泉而云さんの「水洟を抑へてうなじ美しき」と谷川水馬さんの「陽だまりのオランウータン水っ洟」がともに最高6点を獲得した。5点句には大沢反平さんの「神鈴の鳴り止まぬ杜冬麗」など6句、4点句に廣上正市さんの「冬の月一本道を靴の音」など6句が入った。このほか3点に8句、2点に47句が並び、全体に点がバラついた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「冬の月」

一村の田に煌々と冬の月        今泉 而云

満天の星を纏ひて冬の月        嵐田 双歩

ヒマラヤの峰鋭角に冬の月       中村  哲

冷凍庫から出したのよ冬の月      徳永 木葉

冬の月一本道を靴の音         廣上 正市

茹でたまごつるりとむけば冬の月    藤野十三妹

ご飯だとメールで呼ばれ冬の月     植村 博明

冬満月婚約せりと四十歳        堤 てる夫

亡き友と居場所探すや冬の月      流合研士郎

「水洟」

水洟を抑へてうなじ美しき       今泉 而云

陽だまりのオランウータン水っ洟    谷川 水馬

水洟をかみマドンナの顔となり     横井 定利

音高く洟水かむや通夜の席       植村 博明

「当季雑詠」

神鈴の鳴り止まぬ杜冬麗        大沢 反平

この時を選ぶ不思議や寒桜       星川 水兎

初日の出なに変わるでもないけれど   和泉田 守

西に向ひ歩くのが好き冬夕焼      大倉悌志郎

田は元の荒地に戻り冬雀        岩田 三代

月冴える昔高女の門構え        杉山 三薬

風流と貧乏の味薺(なずな)粥      高瀬 大虫

冴ゆる夜のスマホ突然光りけり     徳永 木葉

「酌みたし」のひと言のある賀状かな  廣上 正市

《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。

(報告・中村哲)

 

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酔吟会第132回例会

15人集まり初句会

嵐田双歩、工藤静舟両氏が新加入

 

平成30年の酔吟会は1月13日(土)の昼下がり、東京内神田・鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所会議室で、本年初句会(通算第132回例会)を開催した。兼題は「雪(ゆき)」「海鼠(なまこ)」で5句投句。出席15人、投句参加3人、投句総数89句と大賑わい。5句選句の結果、玉田春陽子さんの「雪の原墨一条の信濃川」が6点で最高だった。次席は今泉而云さんの「地吹雪や息絶え絶えにバス来る」と、谷川水馬さんの「おほらかな妻の七草六日粥」の5点2句。三席は嵐田双歩さんの「一里一尺雪深めゆく北信濃」の4点句。新年を機に新規参加の双歩さんは4点句で悠々のデビュー。日経の相撲記者で活躍した工藤静舟(本名憲雄、元論説・編集委員)さんも3点句で手慣れたところを見せた。

以下3点は7句、2点11句、1点は26句。兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「雪」

雪の原墨一条の信濃川       玉田春陽子

地吹雪や息絶え絶えにバス来る   今泉 而云

おほらかな妻の七草六日粥     谷川 水馬

一里一尺雪深めゆく北信濃     嵐田 双歩

吹雪く日は小豆ことこと塩を振る  工藤 静舟

雪起こし屋号の並ぶ漁師町     徳永 木葉

「海鼠」

引潮の浜にごろ寝の海鼠哉     久保田 操

ふるさとの海鼠欲しさに納税す   谷川 水馬

「雑詠」

くえ鍋や妻に勧める眼の周り    谷川 水馬

地に伏して月に打たるる寒鴉    藤野十三妹

成人式さはさりながら振袖禍    藤野十三妹

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰(投句参加)嵐田双歩、藤野十三妹、星川水兎。

(まとめ:堤てる夫)

 

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新春恒例七福神吟行報告

 

平成30年は「山手七福神」

日経俳句会・番町喜楽会合同で23人が参加

 

新春恒例の七福神巡り吟行。平成30年は、江戸で最初に始まったとされる「山手七福神」を選び、目黒・白金六ケ寺を歩いた。1月6日(土)の昼下がり、地下鉄南北線・三田線「白金高輪駅」に日経俳句会、番町喜楽会の23人が勢揃い。寒の候とは思えない穏やかな冬日を浴びて高層マンション、オフィスビルに圧されるように点在する古刹、名刹に詣でた。

吟行を締めくくる句会は、いつものようにメール句会とし、投句は3句、選句は5句で実施した。秀句、佳句続出の中、廣田可升さんの「好日や手に万両の実のぬくみ」が10点という飛び抜けた点数で最高点。次席は5点句で、大下綾子さんの「おみくじを見せ合ひながら日向ぼこ」と、谷川水馬さんの「双六のやうに一駅戻り酒」の2句。三席は4点で、岡田臣弘さんの「初春や犬が先ゆく太鼓橋」、須藤光迷さんの「お神籤を腹に七福神だるま」、高井百子さんの「初詣御籤は凶ぞ大黒天」、星川水兎さんの「降りきって行人坂の遅紅葉」の4句が並んだ。以下、3点が9句、2点15句、1点13句。なお今回から徳永正裕さんは俳号「木葉(もくよう)」を名乗ることになった。参加者の代表句は下記の通り。

寒晴を映して青き目黒川          嵐田 双歩

青空を受けて西日に梅一輪         池内 的中

七福や母も詣りし百度石          池村実千代

弁天を拝む晴着の尻丸し          大澤 水牛

七福神余生を互ひに占いつ         大沢 反平

おみくじを見せ合ひながら日向ぼこ     大下 綾子

七福神巡り納めて墓参り          大平 睦子

初春や犬が先ゆく太鼓橋          岡田 臣弘

やせ迦葉ふとっちょ布袋に福詣       澤井 二堂

福詣日中印の神に会ひ           塩田 命水

目鼻消え白粉地蔵日向ぼっこ        杉山 三薬

お神籤を腹に七福神だるま         須藤 光迷

大吉の出るまで引くや福詣         高井 百子

福詣羅漢の顔も見て回り          高瀬 大虫

冬晴の高層ビルの底の寺          田中 白山

双六のやうに一駅戻り酒          谷川 水馬

福詣願ひあれこれ一万歩          玉田春陽子

冬の日の五百羅漢や嘆き侘ぶ        堤 てる夫

冬木の芽満を持したる鴟尾の空       徳永 木葉

寒の水一身に浴び不動立つ         中村  哲

晴れ着の娘インスタ映えする布袋様     野田 冷峰

好日や手に万両の実のぬくみ        廣田 可升

賽銭のはじけ飛んだり初笑ひ        星川 水兎

参加者=嵐田双歩、池内的中、池村実千代、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、澤井二堂、塩田命水、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎。     (まとめと報告 堤てる夫)

 

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日経俳句会2017下期合同句会

春陽子さん「電車区」の句が10点、「太陽系」の双歩句が9点

12月20日(水)、日経俳句会の平成29年度下期合同句会(通算25回)が、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、日経俳句会総会に続いて開かれた。兼題は「蒲団」と「帰り花」で38人から114句の投句があった。冒頭、事前選句(五句選)の結果が発表され、1位は10点の春陽子さんの「駅端の電車区詰所蒲団干す」。次点は9点の「蒲団干す太陽系の片隅に」(双歩)と蒲団の句が上位を占めた。以下、8点「鮟鱇の不屈の上目遣ひかな」(而云)、7点「眠る子がふいに笑へり冬銀河」(ゆり)、6点「雪吊りのハープ弾いてよ雪女」(悌志郎)と「住所録ひとりまた消す年の果」(てる夫)など高点句が続いた。以下5点は5句、4点は7句、3点9句、2点24句、1点16句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

なお、杉山智宥さんはこの日から俳号を「三薬」と名乗ることになった。

「蒲団」

駅端の電車区詰所蒲団干す     玉田春陽子

蒲団干す太陽系の片隅に      嵐田 双歩

二次会の二つに折りし宿布団    星川 水兎

夫逝きてダブル蒲団に抱き枕    野田 冷峰

脱け殻の蒲団そのまま朝支度    深田森太郎

冬蒲団重きがよしと祖父の弁    今泉 而云
子ら眠る蒲団平和にふくらみて   岩田 三代

夜勤明けせんべい布団抱きしころ  岡田 臣弘

雪の通夜重き蒲団に泊まりけり   高瀬 大虫

「帰り花」

たらればの恋を語れば忘れ花    向井 ゆり

誘はれて谷中寺町帰り花      久保田  操

よぎりたる遠き日のこと帰り花   廣上 正市

帰り花色なき巷(ちまた)灯しけり      嵐田 双歩

わが身にも狂ひて咲けよ帰り花   高瀬 大虫

城跡の登りくだりや帰り花     星川 水兎

「当季雑詠」

鮟鱇の不屈の上目遣ひかな     今泉 而云

眠る子がふいに笑へり冬銀河    向井 ゆり

雪吊りのハープ弾いてよ雪女    大倉悌志郎

住所録ひとりまた消す年の果    堤 てる夫

おでん種即答の人迷う人      大熊 万歩

年の瀬やシルバーシートに細く座す 玉田春陽子

卓上に冷めた鯛焼き置手紙     中嶋 阿猿

ダイソンの掃除機届く年の暮れ   高井 百子

連山を刹那に浮かべ冬の雷     中村  哲

大腸を廻(めぐ)るカメラも十二月     橫井 定利

おでん酒辛子のせいと涙拭き    嵐田 双歩

後ずさりして見るビルの大聖樹   星川 水兎

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、片野涸魚、澤井二堂、鈴木好夫、高井百子、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)岩田三代、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大平睦子、金田青水、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生。   (まとめ・嵐田双歩)

 

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金沢吟行句会の結果発表

金沢吟行句会報告

最高点は水牛さん8点句、次席二堂、白山、徳永三氏

11月26,27両日挙行した逆回り奥の細道吟行金沢編は恒例のメール句会で仕上げとなった。吟行に参加した19人全員が帰京後メールで3句投句、5句選句し幹事が集計した。その結果、大澤水牛さんの「一笑の墓にごろりと花梨の実」が8点を得て最高点に輝いた。次席は5点で、澤井二堂さんの「木虫籠(きむすこ)にもれる茶屋の灯冬構え」、田中白山さんの「犀川のしぶきに朝の冬日差し」、徳永正裕さんの「冬雲のこらえきれずに加賀の雨」の3句が並んだ。続く4点句には「もてなしは加賀の冬の日まいどさん」(嵐田双歩)、「一人去り一人来たれり冬ぬくし」(大下綾子)、「寺町を迷ふ楽しみ冬構」(白山)、「へしこ買ひおみちょ市場で燗の酒」(谷川水馬)、「共に喰ふ治部煮の鉢のぬくみかな」(廣田可升)、「読みさしの北国新聞冬の旅」(可升)の6句。3点句は「どの路地も落葉踏む径加賀の道」(双歩)、「のどぐろや濁音やさし加賀言葉」(水牛)、「冬の旅丈六釈迦の笑みに逢ふ」(岡田臣弘)、「雪吊の今は休めの姿勢かな」(玉田春陽子)、「寺町の瓦くろぐろ加賀時雨」(中村哲)の5句だった。参加者の作品集は以下の通り。

☆       ☆       ☆

どの路地も落葉踏む径加賀の道       嵐田 双歩

もてなしは加賀の冬の日まいどさん

バス待てどみんなづぶ濡れ加賀時雨

無住寺無住の家や帰り花           今泉 而云

丈六に金箔残る冬微光

屋根屋根の遥かや冬の日本海

のどぐろや濁音やさし加賀言葉       大澤 水牛

丈六の御胸のあたり冬日射し

一笑の墓にごろりと花梨の実

冬の町どこ歩きても水の音         大下 綾子

一人去り一人来たれり冬ぬくし

冬うらら声よく通るまいどさん

寒さ来る荒廃寺社も古木延ぶ         大平 睦子

時雨後つや出た瓦石垣美

初冬の思ひは静か犀の川

冬の旅丈六釈迦の笑みに逢ふ        岡田 臣弘

赤門寺わらじ痛かろ冬の旅

W坂人生模様冬吟行

丈六の木肌のぬくもり加賀の冬        澤井 二堂

木虫籠(きむすこ)にもれる茶屋の灯冬構え

雪吊の綱あたらしや兼六園

鳶を追ふ鴉の母や冬座敷          塩田 命水

主なき寺に日差しや冬紅葉

育つ子へわらじの恵み山眠る

まいどさん成すすべもなし加賀時雨     高井 百子

冬吟行宿のもてなし「瓜なすび」

古池や黄葉舞ひ落つ蓮の上

犀川はセーヌに似たり黄の落葉       高瀬 大虫

つまされる北枝の話し雪催

あぶらのる加賀の喉黒これ絶品

城下町あちらこちらに実南天        田中 白山

寺町を迷ふ楽しみ冬構

犀川のしぶきに朝の冬日差

冬の雨リュックの酒も濡れにけり      谷川 水馬

へしこ買ひおみちょ市場で燗の酒

絡みつく枯蔓踏み宝泉寺

犀川や瀬音にまぎれ時雨をり        玉田春陽子

雪吊の今は休めの姿勢かな

貸衣裳色をともすや加賀の冬

丈六の釈迦如来像障子背に         堤 てる夫

雪吊の縄目匂へり加賀の朝

枯葉踏む北枝の墓所に詣けり

金沢に寺町三つ小春かな          徳永 正裕

黄落や丈六仏は金の顔

冬雲のこらえきれずに加賀の雨

寺町の瓦くろぐろ加賀時雨         中村  哲

文字消えし句碑を隠すや散紅葉

手取川戦国遠し冬夕焼

落鱸相聞知りて句碑巡り          野田 冷峰

寺町の上り下りて冬ぬくし

深々と雪降る予感加賀時雨

共に食ふ治部煮の鉢のぬくみかな      廣田 可升

読みさしの北國新聞冬の旅

しとど打つ加賀の甍や冬の雨

冬紅葉心の道のうねうねと         星川 水兎

どの家にも雪吊すみし城下町

冬の雨に軒先借るも能登の旅

(吟行句会取りまとめと報告;堤てる夫)

 

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日経俳句会・番町喜楽会合同「金沢吟行」

 

総勢19人で金沢中心に芭蕉の足跡を訪ねる

ビッグイベント「逆回り奥の細道」がようやく完結

 

日経俳句会と番町喜楽会は11月26、27両日、北陸の加賀路のスポット、金沢を中心に芭蕉の足跡を辿った。「逆回り奥の細道」吟行は平成26年1月、足掛け6年かけて終着の深川・採茶庵跡に着いて一応締め括った。ただ毎回一泊二日の旅を9回重ねるうちに金沢の地をスキップしていたのが心残り。「補習編」として今回の金沢吟行挙行となった。

参加者は大澤水牛、今泉而云両氏はじめ総勢19人。初日の夕刻、激しい時雨に遭遇したほかは晩秋の行楽日和。芭蕉金沢入りを記念する「巡錫地」碑の小坂神社を皮切りに、金沢城北側の卯辰山山麓寺院群を訪ねた。蕉門十哲のひとり立花北枝の墓がある心蓮社、金沢三大仏「丈六の釈迦如来立像」がある蓮昌寺、浅野川越しに金沢市街の景観をうかがう宝泉寺などを巡って、「ひがし茶屋街」をぶらぶら歩き。浅野川大橋傍の「禁煙室」という名の珈琲館(実は灰皿完備)で、大休止した。お昼に北陸新幹線金沢駅に集合し、バスを乗り継いだ他は歩きづめ。コーヒー一杯でつい長居している内に本降りの雨となった。

夕刻の時雨とあって道路は渋滞、バスもタクシーもままならない。バス停で小半時も立ちつくす中、なんとかタクシーを捕まえ宿の「由屋るる犀々」に。犀川大橋の上手、川沿いの道路に面した六階建ての宿は、団体客よりは家族旅行に向いた作り。しかし大広間は至極広い空間が用意されていた。

加賀料理の極め付きはのどぞぐろの姿焼き。一同しばらく声も立てずに箸を動かした。のどぐろを「季語」にと衆議一決、吟行句会には「のどぐろ」の句とやはり晩餐に出された治部煮の句が目立った。呑み放題の「手取川」を詠んだ句もあった。

二日目の金沢は朝9時出発。初日に引き続き金沢観光協会のボランティア・ガイド「まいどさん」の穴田克美さん、福岡澄子さんのお二人が迎えに来て下さった。前日来、馴染みとなった黄色いジャンパーが頼もしい。早朝の小雨がすっかり上がって、宿から犀川沿いの道をくだり、桜橋傍の左手「W坂」を上る。斜行を繰り返して急斜面を上がって行く階段は、下から見上げるとWの字に見える。ハイカラな名付けは金沢文人か。

坂を登った寺町の寺院群には、長久寺の「秋涼し手毎にむけや瓜茄子」、成学寺の「あかあかと日はつれなくも秋の風」など芭蕉の句碑がある。願念寺は小杉一笑の菩提寺。芭蕉の来訪を心待ちにしながら逢えぬまま亡くなった一笑に、芭蕉は「塚も動けわが泣く声は秋の風」の句を手向けた。

犀川大橋に戻って金沢きっての繁華街、香林坊方面に向かう。その手前、片町の大通りに、今はゲームセンターなどが入る巨大なアミューズメント・ビルが建っている。「ここが芭蕉が金沢滞在の10日間のほとんどを過ごした宿屋の跡です」と「まいどさん」が説明して下さる。説明されなければ到底分からない、町の変貌ぶりである。ここで穴田さん、福岡さんのお二人と別れの挨拶を交わした。金沢吟行団もここで解散、三々五々昼食兼ねての自由行動に。市内の金沢城址公園や兼六園見学に回った人たち、小松市で芭蕉碑巡りを続けた人、逆方向の高岡市に向かった人たち、様々な展開をみせた。

金沢で「逆回り奥の細道」吟行の幕引きをした一行の顔ぶれは、大澤水牛、今泉而云両氏のほか、嵐田双歩、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、澤井二堂、塩田命水、高瀬大虫、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎各氏と、幹事の堤てる夫。(吟行報告者;堤てる夫)

 

 

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番町喜楽会第146回例会

「狐火」と「湯豆腐」を詠む

水馬さん、8点句でトップ飾る

番町喜楽会は平成29年12月例会(通算146回)を12月2日(土)午後6時から九段下の割烹「味さと」で、「狐火」と「湯豆腐」を兼題に開催した。投句者は22名、投句総数105句。そのうちの18名が会場に集まり、いつものように食べかつ飲みながらの賑やかな句会を始めた。投句5句、選句6句で行った結果、谷川水馬さんの「相棒は子と同い年おでん酒」が8点でトップに輝いた。これに玉田春陽子さんの「湯豆腐や夢は大方夢のまま」、星川佳子さんの「玄関をポインセチアであたためり」の6点句が続いた。以下、5点が2句、4点2句、3点10句、2点18句、1点24句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「狐火」

狐火に寄り添うほどの孤独かな     齊山 満智

狐火や北國街道山に入る        高井 百子

狐火のふらとあらはる登り窯      廣田 可升

狐火や母の記憶の手の温み       前島 幻水

「湯豆腐」

湯豆腐や夢は大方夢のまま       玉田春陽子

湯豆腐や葱は嫌ひと言ふ男       須藤 光迷

好物は湯豆腐ですと婿候補       齊山 満智

湯豆腐やかつて諍ひありし仲      廣田 可升

来ぬ人や湯豆腐つひに暴れだす     大澤 水牛

湯豆腐や密談めきし隅の客       玉田春陽子

湯豆腐の踊れば止まる愚痴話      徳永 正裕

「雑詠」

相棒は子と同い年おでん酒       谷川 水馬

玄関をポインセチアであたためり    星川 水兎

牡蠣打ちの女の尻の並びをり      田中 白山

ぼやき節ご破算にして日記買ふ     谷川 水馬

ジーパンの二本干されて冬の空     中村 哲

瘡蓋のごと年重ね暮れてゆく      廣田 可升

《参加者》【出席18人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加4人】池内的中、大下綾子、澤井二堂、山口斗詩子。 (報告・谷川水馬)

 

 

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