番町喜楽会第163回例会

 

「夏の山」と「心太」を詠む

てる夫さん「梅雨の雲」、可升さん「桜桃忌」が6点で並ぶ

 

番町喜楽会は、令和元年七月例会(通算第百六十三回)を、一日の午後六時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行った。兼題は「夏の山」と「心太」。投句五句、選句六句の結果、堤てる夫さんの「梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな」と、廣田可升さんの「すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌」がともに六点でトップを分け合った。次席は四点句で、徳永木葉さんの「ところてん酢の香にむせる初デート」と、中村迷哲さんの「稜線に原色の列夏の山」の二つ。三点句は七つを数えたものの、稀にみる点のばらけ方だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の山」

稜線に原色の列夏の山         中村 迷哲

踏切を渡ればいよよ夏の山       野田 冷峰

忽然と岬あらはる夏の尾根       廣田 可升

「心太」

ところてん酢の香にむせる初デート   徳永 木葉

蒸しますねなどと言ひ合ひ心太     大澤 水牛

豆腐屋の隅っこ暮らし心太       須藤 光迷

「雑詠」

梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな    堤 てる夫

すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌       廣田 可升

栗の花レゲエを刻むギタリスト     谷川 水馬

水打つて赤提灯の灯りけり       玉田春陽子

昨日とは違う風吹き未草        星川 水兎

参加者(出席14人)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。(投句7人)池内的中、大下綾子、澤井二堂、徳永木葉、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子     (報告・須藤光迷)

 

 

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NPO法人双牛舎 第12回総会を開催

 

29名出席、俳句大会には45名参加

俳句の普及振興を事業目的とするNPO法人双牛舎は6月29日(土)、東京・二番町の東京グリーンパンレスのレストラン「ジャルダン」で第12回年次総会を開催。メンバーである日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会の会員ら29名が出席した。総会は同会理事の高井百子さんの司会で行われ、まず一年を総括する大澤水牛代表理事の挨拶に続いて、堤てる夫理事が双牛舎の運営状況などの報告を行った。続いて、昨年度俳句大会の上位入賞者に赤池渓舟先生揮毫の短冊が贈呈され、その後は恒例の「俳句大会」が開催されて総会は大いに盛り上がった。

俳句大会は第2回総会から実施され、今回が11回目。総会出席者29名と投句参加者16名の計45名から、兼題の「夏」の句および当季雑詠各2句の合計90句が集まった。句会は、事前投句された90句を並べた大型選句一覧表を会場に張り出し、出席者が「選句シール」を選んだ5句に貼付する例年通りの方式で行った。欠席投句・選句の人たちの選句シールは幹事が貼付した。

その結果、最高の「天」賞に輝いたのは、岩田三代さんの「亡き父母の声残りをり夏の家」の12点句。「地」賞は7点で嵐田双歩さんの「椰子蟹が路上をのそり島の夏」、印南進さんの「家じゅうの網戸を洗う夏来る」、大沢反平さんの「夏座敷寝っころがって志賀直哉」、深瀬久敬さんの「緑蔭のひかり濃淡万華鏡」であった。また、「人」賞6点は池村実千代さんの「六月やお洒落談義は傘の色」と須藤光迷さんの「越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ」の2句だった。「入選」5点句は11句も出た。「天」「地」「人」「入選」の作者はじめ高点獲得者には須藤光迷さんの陶芸作品や大澤水牛さんの手造り梅干、梅酒などが賞品として贈られた。また今回の入賞作(天、地、人及び入選)は書家の赤池溪舟さん揮毫の短冊に仕立て、来年の俳句大会でそれぞれの作者に贈られる予定。

第11回俳句大会入賞作品は次の通り。

「天」

亡き父母の声残りをり夏の家      岩田 三代

「地」

椰子蟹が路上をのそり島の夏      嵐田 双歩

家じゅうの網戸を洗う夏来る      印南  進

夏座敷寝っころがって志賀直哉     大沢 反平

緑蔭のひかり濃淡万華鏡               深瀬 久敬

「人」

六月やお洒落談義は傘の色       池村実千代

越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ     須藤 光迷

「入選」

サンダルの赤きマニュキュア夏はじめ  池村実千代

夏帽子もすこし生きたし妻ともに    岡田 鷹洋

宵の水そそぐ出窓の茄子に花      金田 青水

時刻表栞をくわえ夏に入る       玉田春陽子

蟻の列寝釈迦の蝉を運びくれ      田村 豊生

バス待ちの列楽しませ濃紫陽花     廣田 可升

結ひ上げし黒髪凛々し夏女       深瀬 久敬

百年の茅葺き屋根の夏炉かな      星川 水兎

移ろへる国のゆくすえ南天花      星川 水兎

痩せすぎのいかでこの夏乗り切らむ   山口斗詩子

逆上がり靴先に広がる夏の空      渡邉  信

(記録・報告 谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第28回上期合同句会

 

博明さん「守衛室の紫陽花」が10点

反平さん「妻の夏」9点ほか7点、4点句と “サイクルヒット”

 

日経俳句会は6月19日(水)、令和元年上期合同句会(通算28回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。梅雨の晴れ間が数日続き、やや蒸すものの凌ぎやすい夕べ。半年に一度の合同句会は、「梅雨」と「螢」の兼題に37人から111句が寄せられた。5句選の事前選句の結果、植村さんの「紫陽花をコップに生けて守衛室」が10点でトップ。二席は大沢反平さんの「一歩ずつ杖と帽子の妻の夏」が9点。反平さんは「また一つ書店の消えし梅雨の町」が7点、「故郷へ母の蛍に会いたくて」が4点と大谷祥平ばりの “サイクルヒット”を放った。このほか7点句に木葉さんの「いろはにほ闇に描いて蛍舞う」が入り、6点句に三代さんの「幼子の拳開けばてんと虫」、水牛さんの「大太鼓合羽かけられ走り梅雨」、可升さんの「梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草」が続いた。以下、5点4句、4点4句、3点12句、2点16句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「梅雨」

また一つ書店の消えし梅雨の町   大沢 反平

大太鼓合羽かけられ走り梅雨    大澤 水牛

梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草    廣田 可升

母と子の自転車速し梅雨晴れ間   谷川 水馬

目白には古書店二店梅雨晴れ間   鈴木 好夫

梅雨に入る二本杖の身傘させず   井上庄一郎

ブレーキの音も重たし梅雨のバス  岩田 三代

梅雨のなか色香漂ふ蛇の目傘    久保田 操

大橋も小橋もけぶる梅雨最中    廣田 可升

ぎぎと鳴る雨戸なだめて梅雨の朝  星川 水兎

「螢」

いろはにほ闇に描いて蛍舞う    徳永 木葉

螢火や闇深ければ水にほふ     嵐田 双歩

背中せなの声寝息となりて蛍の夜    谷川 水馬

故郷へ母の蛍に会いたくて     大沢 反平

蛍舞ふ縄文人の住居跡       加藤 明生

蛍火やあの世信じてみたき夜    廣田 可升

老ひし母幼女となりて蛍呼ぶ    岩田 三代

蛍来る大虫さんの破顔かな     堤 てる夫

「当季雑詠」

紫陽花をコップに生けて守衛室   植村 博明

一歩ずつ杖と帽子の妻の夏     大沢 反平

幼子の拳開けばてんと虫      岩田 三代

お揃いのリボン跳ね行く更衣    中村 迷哲

食べて寝て笑って泣いて今日は夏至 嵐田 双歩

霧晴るる会津への道桐の花     大倉悌志郎

可愛いと言われる妻や夏の月    須藤 光迷

万緑や愛憎すべて包み込む     髙石 昌魚

緑縫う仙石線のホタテ飯      中沢 豆乳

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、藤野十三妹、政本理恵、横井定利。(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第162回例会

 

「入梅」と「水馬」を詠む

春陽子さん、「蛇の衣」でトップ7点句

 

番町喜楽会は令和元年6月例会(通算162回)を6月1日(土)午後6時から、「入梅」と「水馬」を兼題として九段下の千代田区立九段生涯学習館で開いた。投句者は20名で、投句数は98句。そのうち14名が会場に集まり句会を始めた。投句5句、選句6句で行った結果、玉田春陽子さんの雑詠句「ゆるやかに脱ぎすててあり蛇の衣」が7点でトップに輝いた。これに、須藤光迷さんの「ミッキーの傘が先頭梅雨に入る」と「金色の鯉の背を越す水馬」、谷川水馬さんの「畝合(うねあい)を泳ぐ合鴨梅雨に入る」の4点3句が続いた。以下、3点6句、2点19句、1点が39句と選句が大きく分かれた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「入梅」

ミッキーの傘が先頭梅雨に入る          須藤 光迷

畝合(うねあい)を泳ぐ合鴨梅雨に入る     谷川 水馬

田圃たんぼ越後くまなく梅雨に入る       堤 てる夫

入梅や独鈷の帯の締まる音            廣田 可升

「水馬」

金色の鯉の背を越す水馬            須藤 光迷

あめんぼう流され前へ前へ行く         田中 白山

あめんぼのレガッタ始まる水たまり       前島 幻水

「雑詠」

ゆるやかに脱ぎすててあり蛇の衣        玉田春陽子

朝焼を見て満ち足りし二度寝かな        嵐田 双歩

原っぱの大樹に集ふ夏帽子           塩田 命水

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加6人】池内的中、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、徳永木葉、山口斗詩子。     (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第179回例会

37人が「五月」「風薫る」を詠む

定利さん「香水びん」11点、双歩さん「水切り石」10点

日経俳句会は令和元年の初開催となる五月例会(通算179回)を5月15日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。兼題に合わせたように爽やかな風の吹くこの日は21人が出席、令和新時代の幕開けにふさわしく新旧メンバーが活発に議論を交わす句会となった。

兼題は「五月」と「風薫る」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、横井定利さんの「空つぽの香水のびん百二歳」が11点を集め最高。これに嵐田双歩さんの「水切りの石の眩しき五月かな」が10点で続き、8点句に加藤明生さんの「ジーンズの似合ふ少女や風五月」が入った。

7点句には「就職の次女のアパート風五月 芳之」と「さん付けで妻呼ぶ朝の新樹光 反平」が、6点句に「薫風や港見下ろす風見鶏 水馬」と「初鰹皿は小鹿田(おんた)の飛び鉋 双歩」がそれぞれ並んだ。このほか5点2句、4点7句、3点11句、2点21句、1点38句で、八割近い句に点が入った。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「五月」

水切りの石の眩しき五月かな     嵐田 双歩

ジーンズの似合ふ少女や風五月    加藤 明生

就職の次女のアパート風五月     旙山 芳之

匂ひ立つ故郷の五月笹だんご     大倉悌志郎

烏賊刺に生姜醤油の五月かな     今泉 而云

風五月つるりと光る椿の葉      澤井 二堂

五月来て青き葉擦れの渡りけり    水口 弥生

連休が明けて五月は元の顔      杉山 三薬

風五月空き家の貝塚伊吹かな     廣上 正市

「風薫る」

薫風や港見下ろす風見鶏       谷川 水馬

薫風や一羽の飛べば一羽追ひ     大下 綾子

薫風に空飛ぶ菩薩平等院       久保田 操

風薫る庭のパーティー三家族     堤 てる夫

掃き立ての団地緑道風薫る      旙山 芳之

「当季雑詠」

空つぽの香水のびん百二歳      横井 定利

さん付けで妻呼ぶ朝の新樹光     大沢 反平

初鰹皿は小鹿田(おんた)の飛び鉋  嵐田 双歩

蹴りあげたボールの向こう夏の雲   岡田 鷹洋

叱られて漕ぐぶらんこの空にじむ   大倉悌志郎

夏祭寄り眼で笑ふ狐面        谷川 水馬

行李から緋鯉目をむく五月晴れ    中沢 豆乳

自転車で来て緑陰の読書かな     今泉 而云

吊革に白き腕の薄暑かな       髙石 昌魚

堰上げや水路田毎に生き返る     堤 てる夫

紫陽花を描くパレット万華鏡     中沢 豆乳

空豆を噛めば故郷の野山見ゆ     中村 迷哲

振り返りなほ振り返る桐の花     廣上 正市

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高井百子、髙石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、水口弥生。(投句参加)岩田三代、植村博明、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、政本理恵、向井ゆり、横井定利。      (報告・中村迷哲)

 

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酔吟会第140回例会

令和元年の初例会、「麦秋」「雹」を詠む

水牛さん、最高の四点二句、三点一句

酔吟会は5月11日(土)午後1時から、令和の初句会(通算140回)を東京・内神田の日経広告研究所(MIFビル)で開催した。出席17人、投句参加3人、兼題は「麦秋(ばくしゅう)」「雹(ひょう)」で、5句投句、7句選で句会を進めた。その結果、最高の4点に6句が並び、この内2句が大澤水牛さんの作。続く3点句は7句で、うち水牛作が1句あり、酔吟会の令和は「水牛デー」でスタートした感じ。2点句は16句、1点句は34句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「麦秋」

麦秋の野に大の字のずる休み      大澤 水牛

麦秋や白黒がよし小津映画       片野 涸魚

陽に浮かぶゴッホの髭や麦の秋     久保田 操

道草を今日も叱られ麦の秋       谷川 水馬

麦秋や満蒙帰国開拓地         玉田春陽子

「雹」

木々の葉を雹打ち鳴らしパーカッション 藤野十三妹

雹過ぎて行くや酒場の安普請      今泉 而云

「雑詠」

メーデーを茄子苗植うる日と決める   大澤 水牛

母の日や電話に妻の晴れやかさ     大沢 反平

句会果てて野の花残る夏座敷      廣田 可升

薫風のひと日江東橋めぐり       大澤 水牛

ホームレスの顔彫り深し木下闇     廣田 可升

えごの花陽の暮れのこる跨線橋     星川 水兎

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井ゆり。(投句参加)澤井二堂、星川水兎、藤野十三妹。

(まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第161回例会

旧中川沿い吟行及び廣田可升亭句会

初めての席題方式で「立夏」と「橋」を詠む

双歩、木葉、水兎、5点句でトップを分ける

 

元号が平成から令和に改まった初回の番町喜楽会第161回例会は、10連休最後の一日、令和元年5月6日(月)に開催した。振替休日に当たりいつもの九段下・生涯学習館が閉館、一時は例会中止の案がだされたが、廣田可升さんのご好意により、江東区旧中川沿いの吟行と廣田可升亭を会場とした吟行句会を開催することができた。

午前十時、都営新宿線東大島駅大島口に15名が集合。亭主可升が席題「立夏」「橋」を発表、いよいよ江戸の歴史をたどる吟行がスタート。まずは江戸の水運の玄関口に置かれた関所、中川船番所跡に出来た資料館を訪問、キュレーターから当時の江戸湾、荒川、中川、そして隅田川に繋がる小名木川の様子などを聞いた。その後は川の駅で水陸両用バス「スカイダック」が水しぶきを上げて川に飛び込む情景を見物、小松川公園を経由して旧中川沿いをふれあい橋まで、土手に群れ咲く晩春初夏の野の草花を愛でつつ吟行した。凡そ一万歩強の散策後、廣田可升亭で昼食、句会を始めた。

投句3句、選句5句で句会を行った結果、嵐田双歩さんの「大橋を三つ並べて夏の川」、徳永木葉さんの「水陸車上がるしぶきも夏の入り」、星川水兎さんの「野の花を摘んで立夏の川の道」の3句が5点でトップに輝いた。以下、4点句が3句、3点句が6句、2点句が7句、1点句が16句という結果だった。席題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立夏」

水陸車上がるしぶきも夏の入り      徳永 木葉

野の花を摘んで立夏の川の道       星川 水兎

水滑るオールの先に夏来る        嵐田 双歩

一人乗り蛇行カヌーの立夏かな      堤 てる夫

逆上る立夏の潮や小名木川        今泉 而云

駅出て青龍像の立夏かな         玉田春陽子

「橋」

大橋を三つ並べて夏の川         嵐田 双歩

夏帽子飛んで追いかけ亀小橋       星川 水兎

初夏のふれあい橋でおり返す       高井 百子

「雑詠」

川またぐ駅は五月の川の駅        田中 白山

薫風や江東江戸川くまたがり       大澤 水牛

連休は父の子守や初夏の風        高井 百子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、澤井二堂、高井百子、田中白山、

谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、

星川水兎、前島幻水、山口斗詩子(以上15名)    (報告・谷川水馬)

 

 

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日俳・番喜・三四郎3句会合同蕪村生誕地と興福寺吟

総勢27人で淀川堤を散策、興福寺中金堂を仰ぐ

賑やかな連句会、メール句会も

4月21日(日)、22日(月)の両日、与謝蕪村の生誕地・大阪の旧毛馬村と奈良を訪ねる吟行会を日経俳句会、番町喜楽会合同で開催、三四郎句会にも参加を呼びかけて総勢27人の大規模行事が実現した。

昨年十月に落慶した興福寺中金堂を参拝して眼福を得、ついでに奈良吟行をしようというのが当初の目的であった。興福寺の訪問は、日経の『私の履歴書・多川俊映貫主(昨年十月連載)』を担当した中沢義則(豆乳)会長の伝手によるものでこれぞ絶好の機会。どうせ奈良に行くのなら、大坂に途中下車して蕪村の故地毛馬堤まで足を延ばそうと、大澤水牛顧問の提案で今回の旅となった。二日間とも好天に恵まれ、毛馬では堤防沿いに休日を楽しむ家族連れに交って歩き、蕪村生誕の碑、蕪村公園、淀川神社の蕪村像を見学した。スマホによると、この日の歩数は1万4千歩、ゴルフのワンラウンド並み。その夜は猿沢池畔の旅館「飛鳥荘」に泊まり、なんと連句会を開いて歌仙を巻いた・

翌22日は興福寺訪問。通常は非公開の本坊で薄茶とお菓子を頂き、多川貫首のお話を伺う。その後、新装なった中金堂から宝物館へと回り、天平の空気をたっぷり吸った。三四郎句会の面々と別れ、日俳・番喜両会メンバーは猿沢池畔に戻り蕎麦屋「季のせ」で、奈良の銘酒「春鹿」超辛口で乾杯、流れ解散となった。

参加者は日経俳句会、番長喜楽会から、嵐田双歩、須藤光迷、徳永木葉、廣田可升、大澤水牛、玉田春陽子、澤井二堂、岩田三代、植村博明、岡田鷹洋、片野涸魚、工藤静舟、田中白山、中村迷哲、中沢豆乳、山口斗詩子、堤てる夫、大下綾子、高井百子、向井ゆり、高橋ヲブラダの21人、三四郎句会から今泉而云、渡辺信、深瀬久敬、小泉基靖、後藤尚弘、竹居照芳の6人、計27人(順不同、敬称略)。   (報告 植村博明)

*     *     *

蕪村生誕地・奈良興福寺吟行メール句会

吟行句会は慣例に従い、帰京後、嵐田双歩幹事に3句をメール送信し、幹事が編集した選句表を送信、参加者が5句選句して選評をつけて返信する「メール句会」方式で行った。

その結果、最高は今泉而云さんの「春愁を眉の辺りに阿修羅像」の10点句。次点は7点で廣田可升さんの「行く春の奈良の茶粥のかぐはしき」。三席は綾子さんの「うららかやシャンパンたこ焼き蕪村句碑」の6点。5点句は「毛馬橋を渡る春風手に句帳」(二堂)、「新駅に蕪村口あり木瓜の花」(可升)、「連衆の春は車座飛鳥荘」(双歩)、「奈良漬を土産に詰めて春暮るる」(博明)の4句。以下4点3句、3点12句、2点10句、1点19句と得点句がまんべんなく広がった。参加27人の代表句は以下の通り(上記の高得点句を除く)。

行く春や阿修羅の像に影二つ     嵐田 双歩

毛馬堤はるばると来てうまごやし   今泉 而云

淀川の風閉じ込めてシャボン玉    岩田 三代

老僧の振る舞ふ薄茶風青し      植村 博明

春の夢蕪村と歩む毛馬堤       大澤 水牛

長堤に機影間近し春惜しむ      大下 綾子

桜蕊こっそり抜ける連句会      岡田 鷹洋

千年の薫風のなか阿修羅像      片野 涸魚

春深し不比等の里の大伽藍      工藤 静舟

時を越え奈良の都の八重桜      小泉 基靖

春風や幾世に伝ふ盧舎那仏      後藤 尚弘

春愁ふ無着の像や興福寺       澤井 二堂

蒲公英の馬堤をゆるり一万歩     須藤 光迷

清明や中金堂の甦へり        高井 百子

晴天にたこ焼き食めば亀が鳴く    高橋ヲブラダ

揚げ雲雀見下ろす土手に蕪村の碑   竹居 照芳

貫首説く寺の有り様夏近し      田中 白山

鴟尾称え春たけなわの興福寺     玉田春陽子

花あせび貫首講話の大広間      堤 てる夫

藤の寺あぐらで喫す振舞茶      徳永 木葉

春闌けて五二段の菩薩坂       中沢 豆乳

春の市浪花言葉の売りと買ひ     中村 迷哲

釈迦弥勒薬師その後よもぎ餅     廣田 可升

還らずの毛馬蕪村碑にビール置き   深瀬 久敬

花水木千年先を語る僧        向井 ゆり

中金堂鴟尾輝きて春深し       山口斗詩子

はらはらと水面を埋める遅桜     渡邊  信

(報告 嵐田双歩)

 

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日経俳句会第178回例会

 

「春燈」と「竹の秋」を詠む

青水さんの「若き一家来る」が第一席

 

日経俳句会は4月17日(水)、平成31年度4月例会(通算178回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。四月に入って花冷えが続き、ようやく春めいたこの日、20人が出席(欠席投句15人)し、兼題の「春燈」と「竹の秋」の作品を中心に賑やかな合評会を繰り広げた。参加35人の104句から6句選(欠席選句は5句)で行った結果、一席は青水さんの「春の灯やとなりに若き一家来る」が8点。次席7点は、てる夫さんの「春燈やレッスン室の影ふたつ」、水兎さんの「宿下駄で降りる石段春燈」、木葉さんの「竹の秋片頬かげる摩崖仏」と而云さんの「春風を見てをり杖に手を重ね」の4句が並んだ。珍しく兼題句に高点句が揃った平成最後の句会となった。以下6点2句、5点4句、4点8句、3点9句、2点18句、1点32句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春燈」

春の灯やとなりに若き一家来る   金田 青水

春燈やレッスン室の影ふたつ    堤 てる夫

宿下駄で降りる石段春燈      星川 水兎

山峡に春燈ぽつり無人駅      井上庄一郎

春の燈や回覧板の行くところ    植村 博明

春燈や宿の図書室ひとり占め    大下 綾子

路地裏に三味の爪弾き春あかり   久保田 操

「竹の秋」

竹の秋片頬かげる摩崖仏      徳永 木葉

まんぷくのこども食堂竹の秋    野田 冷峰

大王の墳丘鎮め竹の秋       大沢 反平

鎮魂の旅の終りや竹の秋      中嶋 阿猿

廃線を抱くようにして竹の秋    藤野十三妹

窯元の並ぶ街道竹の秋       嵐田 双歩

ひと息に令和と書けり竹の秋    大下 綾子

残されし俳句手帳や竹の秋     高井 百子

にべもなく切れし電話や竹の秋   星川 水兎

「当季雑詠」

春風を見てをり杖に手を重ね    今泉 而云

田起こしや土黒々と命棲む     岩田 三代

風やはらか慣らし保育の涙跡    向井 ゆり

新しき朱の春帽子六地蔵      髙石 昌魚

うぐひすの呼ぶよ下総酒処     大澤 水牛

眠る田の畦をふちどり蓮華草    徳永 木葉

花散らし風は嘯くまた逢おう    藤野十三妹

散る花を頭に乗せて帰る道     植村 博明

平成の残りはわづか春惜しむ    加藤 明生

白蓮に色を重ねて春の雪      高井 百子

葉桜に急かれ露店の旅支度     中村 迷哲

花冷えや寄添ふ影に月明かり    流合研士郎

【参加者】(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中澤豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、植村博明、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、旙山芳之、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。     (報告 嵐田双歩)

 

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墓参・花見吟行を開催、恒例の「メール句会」も

英尾先生没後14年

花見の名所小金井公園へ10人参加

日経俳句会と番町喜楽会の有志が3月30日(土)、村田英尾先生の墓参と桜狩吟行を行った。午前10時、JR高尾駅には、大澤水牛、今泉而雲、田中白山、澤井二堂、野田冷峰、中村迷哲、嵐田双歩と幹事の杉山三薬と堤てる夫の9人が顔をそろえた(向井ゆりさんが後刻参加し計10人に)。桜前線の早い動きを予想しての日取りだったのだが、都立八王子霊園や森林公園桜保存林の辺りは満開には程遠く、曇り時々晴れで少々寒さを感じるほどだった。墓参後JR駅に戻り武蔵小金井駅下車、花の名所小金井公園を訪れた昼頃には晴れ間も多くなり、気温も上がる花見日和となった。

日経俳句会主宰の英尾先生が亡くなったのは平成17年3月2日だから没後もう14年たった。花を供え線香を焚き、一人一人墓前にぬかずいた。

小金井公園は昭和54年開園、1800本の桜が植えられて、花見の名所となった。公園南側には玉川上水が流れ、この桜並木は1737年(元文2年)に植樹されたのが始まり。「小金井桜」として1924年(大正13年)に名勝指定された。しかし年とともに並木は衰え、今では小金井公園に「桜の名所」を譲った。

1993年(平成5年)には「江戸東京たてもの園」が開設、公園の名物施設となった。園内には二・二六事件で惨殺されたダルマ蔵相高橋是清邸はじめ、江戸中期の茅葺農家、八王子千人同心組頭家など茅葺の家々。明治末期の三階建洋館、大正期の実業家別邸などのほか、下谷言問通りにあった居酒屋「鍵屋」、千住元町の唐破風の銭湯「子宝湯」、昭和の写真館「常盤台写真場」など、ぐるぐる回って飽きなかった。

吟行の締めくくりは小金井駅傍の割烹酒処「一駒」、江戸東京たてもの園から参加した向井ゆりさんも加わって、疲れた脚を伸ばし、早めの夕食懇談となった。

墓参・花見吟行句会は、堤幹事に5句送信し、幹事から選句表が参加者に送信され、選句選評を送る恒例の「メール句会」方式で行った。結果は最高点が5点で、中村迷哲さんの「宰相の受難の屋敷春茶会」の1句。次席4点は嵐田双歩さんの「線香の火のつきにくし桜東風」と、杉山三薬さんの「花の下昭和息づく写真館」の2句。三席3点は「三役の要石たる花幹事 双歩」「芽柳や唐破風屋根の子宝湯 白山」「咲き継ぎし玉川上水山桜 水牛」「花盛り鍵屋の土間の懐かしさ 水牛」の計4句だった。続く2点句は水牛さんの「花見上ぐ人を見上ぐる鯉の群れ」「呼売りのお湯割焼酎花の冷え」「花のもと知らず一万四千歩」の3句と、白山さんの「上水の土手のあちこち諸葛菜」、向井ゆりさんの「桜咲く上水沿いのカフェテリア」を合わせて計5句だった。   (報告 堤てる夫)

 

 

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