川越七福神吟行を開催

日経俳句会と番町喜楽会は合同で1月5日(日)に新春恒例七福神吟行を開催した。今年は「小江戸」をキャッチフレーズに町おこしに注力している埼玉県川越市の「川越七福神」で、参加者は16人。正午過ぎ東武東上線川越駅近くの一番妙善寺(毘沙門天)からスタート、二番天然寺(寿老人)、三番喜多院(大黒天)、四番成田山(恵比寿天)、五番蓮馨寺(福禄寿神)、六番見立寺(布袋尊)、七番妙昌寺(弁財天)と、地図をそのまま舐めるように辿った。途中、喜多院の五百羅漢や観光スポットの蔵の町・時の鐘、菓子屋横丁などに寄り、締め括りは老舗鰻屋「いちのや」で新年会を行った。

朝の天気予報は芳しくなかったが、午後はすっかり好転、寒の入りとは思えぬ穏やかな日和となり、恵まれた初吟行となった。

句会は、今回もこの会独特のメールによる投句・選句方式をとった。吟行途中や懇親会席上で限られた時間内に慌ただしく句を投じ、論じると、まことにまとまりのつかないものになりがちなので、帰宅後、幹事にメール送信し、返送されて来る選句表を元に選句・選評して再送信、それを幹事がまとめて発表する「吟行メール句会」を実施している。

投句は三句以上五句、選句は「天=5点」、「地=3点」、「人=2点」(各1句)「入選=1点」(2句)の計5句とし、採点・集計した。二ケタ得点の好評句は次の通り。

福詣横に逆さに小江戸地図     20点 玉田春陽子(番町喜楽会)

のつけから迷ひ笑ひて福巡り    14点 谷川 水馬(番町喜楽会)

蔵の町リュックにおどる破魔矢かな 12点 須藤 光迷(両会に加入)

七福神福ほどほどに印五つ     12点 山口斗詩子(番町喜楽会)

水清く寒鯉の朱定まれり      10点 嵐田 啓明(日経俳句会)

鬢頭蘆の頭もなでて福詣      10点 大澤 水牛(両会)

空つ風居留守決め込む弁財天    10点 高井 百子(番町喜楽会)

湯豆腐や傘寿の人の陽気酒     10点 徳永 正裕(両会)

参加者=嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大澤水牛、片野涸魚、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、水口弥生、山口斗詩子、(投句参加)野田冷峰。

(まとめ 堤てる夫)

 

 

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おめでとうございます

平成26年、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。午年の今年は、この「NPO法人双牛舎ホームページ」の拡充に取り組みます。具体的な内容はまだ固まっていませんが、俳句に関する「なんでも辞典」のようなブロックを拵えたり、連句のコーナーを設けたり、あれこれアイデアを練っております。

yahoo!ブログで発信している「みんなの俳句」もおかげさまで皆様のご支持を得て丸6年経過しました。つい先日、2013年12月30日には発足以来の累計訪問者が5万人を超えました。全く宣伝もせず、地味なブログですが双牛舎会員以外の読者もぼつぼつ現れて来たようです。

日本で最初の「俳句振興」を事業の柱に据えたNPO法人双牛舎です。どうぞ一日一回はこのページと「みんなの俳句」をのぞいて下さるようお願いいたします。

俳句振興NPO法人 双牛舎 代表 今泉恂之介 大澤水牛

 

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三四郎句会第27回例会

三四郎句会は12月19日、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で平成25年最後を飾る第27回例会を開催した。今回は久しぶりに会員12人全員が出席した。

兼題は「年惜しむ」と「梟(ふくろう)」。三四郎句会に入会して満一年、田村豊生さんの「ふくろうのみつめる森の深さかな」が最高の5点を獲得した。続いて「アンパンマン真中に吊るす聖樹かな」(岡本祟)、「ふくろうの飛び去る影や月青し」(石黒賢一)、「ふくろうの声で酒飲むログハウス」(深瀬久敬)、「短日の妻正座して針に糸」(今泉恂之介)の4句が4点で続いた。

句会終了後、大手町の「景気園」で忘年会を行い、年間の秀句三句を選ぶ全員投票の結果が発表され、上位3句が表彰された。第1位「舫(もやい)杭(ぐい)鴉丸まり時雨かな」(印南進)、第2位「百一歳トマト三本育ており」(竹居照芳)、第3位「いざ行かむ傘寿の先へ更衣」(田村豊生)だった。

(記録 今泉恂之介)

 

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平成25年下期合同句会

 

年末恒例の合同句会は12月17日(火)の年次総会に引き続いて開催、「狐火(きつねび)」「日記買ふ(にっきかふ)」の兼題2句に雑詠1句の合わせて3句を37人(投句参加12人)が詠み、投句総数は111句に上った。

事前投句・事前選句方式(選句5句)で嵐田幹事が集計し、選句結果発表から句会が始まった。その結果、流合研士郎さんの「狐火と見えし旅路の遠灯り」が最高の10点句。次席は大澤水牛さんの「ぽっと狐火秘密保護法成立す」で7点句。三席は金田青水さんの「退院し迷はず十年日記買ふ」と、星川佳子さんの「運不運平たくなれり日記買ふ」の6点2句。

次いで5点が9句、4点3句、3点12句と続いた。以下2点12句、1点34句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「狐火」

狐火と見えし旅路の遠灯り        流合研士郎

ぽっと狐火秘密保護法成立す       大澤 水牛

狐火や森は記憶を閉じたまま       佐々木 碩

原発の廃炉作業や鬼火見ゆ        徳永 正裕

狐火や未練怨念慙愧燃え         澤井 二堂

狐火に逢へず今夜は寺泊         横井 定利

狐火ともイーハトーブ夜汽車とも     吉野 光久

「日記買ふ」

退院し迷はず十年日記買ふ        金田 青水

運不運ひらたくなれり日記買ふ      星川 佳子

砂時計のごとき余生日記買ふ       徳永 正裕

日記買ふこの一年も生きるべく        直井  正

日記買ふ余白余生のせめぎ合い      野田 冷峰

日記買ふもう書きません悪口は      嵐田啓 明

来年の命は知らず日記買ふ        片野 涸魚

日記買ふ東京音頭を口ずさみ       須藤 光迷

見回して日記買ふ娘の薔薇の頬      高橋ヲブラダ

来る年の良きこと願ひ日記買ふ      田中 頼子

空白の日記に詫びて日記買ふ       流合研士郎

「雑詠」

放牧の牛引揚げて山眠る         大倉悌志郎

葱に土寄せて仕舞ひにしたりけり     廣上 正市

逆立ちの尻をふりふり池の鴨       加藤 明男

彗星は太陽に消え毛糸あむ        星川 佳子

乾鮭は古武士の貌や雪催         須藤 光迷

忘年会老ひ先数え全部出る        高瀬 大虫

寝巻とも外着ともつかず着ぶくれて    吉野 光久

恩師なき書斎に杖と冬帽子        今泉恂之介

駅前や石焼芋の間延び声         植村 博明

詫助や結界越しに紅ゆかし        岡田 臣弘

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大熊万歩、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、村田佳代、山田明美(投句参加)大倉悌志郎、大沢反平、片野涸魚、加藤明男、金田青水、久保田操、佐々木碩、高橋ヲブラダ、流合研士郎、藤村詠悟、横井定利、吉野光久

(まとめ 堤てる夫)

 

 

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平成25年度年次総会と日経俳句会賞

 

日経俳句会は12月17日(火)夕、鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所(MIFビル)会議室で、年次総会、年末合同句会を開催し平成25年度の活動を締めくくった。また第9回日経俳句会賞の受賞者発表、贈賞式を行い、引き続き懇親会で歓談、和やかに行く年を打ち上げた。

 

年末恒例の日経俳句会賞(第9回)の受賞者は次の通り。

 

日経俳句会賞・英尾賞

国東は鬼さへやさし麦の秋       野田 冷峰

 

日経俳句会賞

飛魚の群れ青空の底一直線       直井  正

オルガンの惜春の音や奏楽堂      水口 弥生

右向いて左向いても暑さかな      山田 明美

ゆく春にもの憂き日々もさようなら   大平 睦子

 

平成25年度年次総会では、大澤水牛幹事長が年間の活動報告を行い「例年になく豪華絢爛」と述べるとともに、平成26年度も同様の例会活動、広報活動を行う方針を説明した。また期中に再編成した幹事団についてはそのまま全員を再任した。大平睦子会計幹事の「財務状況は健全」とする会計報告を廣上幹事が代読、出席者全員の了承を得た。

(記録 堤てる夫)

 

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第99回番町喜楽会

平成25年の掉尾を飾る番町喜楽会12月例会(通算第九十九回)は7日(土)午後1時から番町ハイム1階会議室で開かれ、14人が出席、3人が投句参加した。

兼題は「山眠る」と「蜜柑」。投句5句、選句6句で句会を行った。最高は6点で、手術を受けて退院したばかりの堤てる夫さんの病中吟「みかん一つ病院膳の彩りに」が選ばれた。次席5点句は井上啓一さんの「浅間山薄目をあけて眠りをり」、三席4点は「中腹に鳥居の赤や山眠る」と「どう言おう蜜柑の筋を取りながら」の水牛句2句が入った。以下、3点が8句、2点13句、1点28句と続いた。

折柄この日は二階の双牛舎事務所で「双牛舎所蔵陶磁器頒布会」が開かれており、句会後、そちらに移って一同交々品定め、双牛舎ホームページ拡充資金援助の手を差し伸べた。その後、市ヶ谷駅そばの「鮨乃家」で忘年懇親会を行った。

句会で3点以上獲得した句は以下の通り。

『山眠る』

浅間山薄目をあけて眠りをり     井上 啓一

中腹に鳥居の赤や山眠る       大澤 水牛

眠る山ときをり響く銃の音      井上 啓一

オリオンの三つ星ひかり山眠る    星川 佳子

平日は住職不在山眠る        今泉 而雲

裾広げ裾を重ねて山眠る       玉田春陽子

『蜜柑』

みかん一つ病院膳の彩りに      堤 てる夫

どう言おう蜜柑の筋を取りながら   大澤 水牛

空部屋に正月用の蜜柑つむ      星川 佳子

日の色のどっさり届くみかんかな   大下 綾子

『雑詠』

冬ざれや昭和の残る線路沿ひ     玉田春陽子

徘徊や聖樹をひとつ持ち帰る     須藤 光迷

 

(第99回例会参加者)【出席】井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島厳水、三好六甫。【投句参加】大下綾子、野田冷峰、山口斗詩子。

(記録 大澤水牛)

 

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日経俳句会第124回例会

日経俳句会は平成25年第10回例会(通算124回)を11月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で開いた。兼題は「七五三(しちごさん)」「鮪(まぐろ)」で、出席20人、投句参加15人からの171句をめぐり7句選句で句会を進めた。

その結果、廣上正市さんの「杖立てて動かぬ人や冬薔薇」が8点の最高点。次席は7点で、水口弥生さんの「着疲れて父の背温し七五三」と、吉野光久さんの「田仕舞の風かぐはしき信濃かな」の2句。次いで6点句は、金田青水さんの「写真館つかひまはしの千歳飴」、澤井二堂さんの「鴨来る勝手知ったる顔をして」の2句。続く5点句は、大澤水牛さんの「にぎやかに母系の仕切る七五三」、杉山智宥さんの「手で開けて降りる電車よ風寒し」、徳永正裕さんの「人住めぬ地を棄てし子や七五三」、流合研士郎さんの「中空をにらみすえたる鮪の眼」の4句が並んだ。以下、4点5句、3点11句と続き、2点は18句、1点が56句に上った。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「七五三」

着疲れて父の背温し七五三    水口 弥生

写真館つかひまはしの千歳飴   金田 青水

にぎやかに母系の仕切る七五三  大澤 水牛

人住めぬ地を棄てし子や七五三  徳永 正裕

七五三横目で睨む少年期     大熊 万歩

父の背に笑顔で眠る七五三    久保田 操

七五三照れる男児と笑む女児   高石 昌魚

七五三記憶の底に幣の音     今泉恂之介

おてんばも姫となりきる七五三  佐々木 碩

七五三子にしてやれず孫にする  高瀬 大虫

七五三祝うからやからも華やぎて 水口 弥生

主役より取り巻き多き七五三   吉野 光久

 

「鮪」

中空をにらみすえたる鮪の眼   流合研士郎

口数の少なき男鮪船       植村 博明

大鮪とるはロマンと老漁師    大倉悌志郎

骨の身も刮ぎ喰はるる鮪かな   高瀬 大虫

 

「雑詠」

杖立てて動かぬ人や冬薔薇    廣上 正市

田仕舞の風かぐはしき信濃かな  吉野 光久

鴨来る勝手知ったる顔をして   澤井 二堂

手で開けて降りる電車よ風寒し  杉山 智宥

冬瓜の透けて伊万里の絵皿かな  田中 頼子

冬帽子竹馬の友と気づかざり   徳永 正裕

老いの身の置き所なき時雨道   藤野十三妹

冬来たる動物園に猫眠る     横井 定利

今日からは歯ブラシ二本小鳥くる 横井 定利

 

参加者(出席)井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大熊万歩、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、星川佳子、山田明美。(投句参加)嵐田啓明、池村実千代、大沢反平、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、高瀬大虫、田中頼子、野田冷峰、流合研士郎、深田森太郎、村田佳代、横井定利、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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第98回番町喜楽会

番町喜楽会は11月11日(月)午後6時半から千代田区二番町の東京グリーンパレスホテルのレストラン「ジャルダン」で第98回例会を開いた。これまで奇数月の月曜日夜は九段下の千代田区立生涯学習館の会議室を借りて例会を行って来たのだが、今月は区の行事と重なり会議室の予約が取れなかったために会場を変更し、レストランで酒食を楽しみながらの句会を繰り広げることとした。出席者は11名、投句参加者が5名だった。

今回の兼題は「北風」と「蒲団」。食べながら飲みながらの句会では、選句披講を各人が筆記するのも大変なので、今回は須藤幹事にお骨折りいただき、あらかじめ参加者に全投句を並べた選句表を送って選句してもらい、それを集計して会場で「選句結果」を披露し、句会は合評会から始める型式を採用した。

投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高点は6点で「北風激し初めての名の魚食ふ 大虫」「人間も蒲団も軽くなりにけり 綾子」の2句。次席5点は「亡父の香いまだ薄れぬ蒲団かな 斗詩子」の1句。4点句は3句あり「北風や手になじみたる志野茶碗 佳子」「布団打つ母の姉さん被りかな 百子」「北風や猫に取られし小座布団 水牛」だった。以下3点が9句、2点13句、1点が20句続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「北風」

北風激し初めての名の魚食ふ      高瀬 大虫

北風や手になじみたる志野茶碗     星川 佳子

北風や猫に取られし小座布団      大澤 水牛

シベリアンハスキー吠ゆる北の風    今泉 而雲

大北風に挑む舳先の高さ哉       谷川 水馬

北風に力見せたる旗の紐        玉田春陽子

すぎし日や石鎚山の北おろし      三好 六甫

 

「蒲団」

人間も蒲団も軽くなりにけり      大下 綾子

亡夫の香未だ薄れぬ蒲団かな      山口斗詩子

布団打つ母の姉さん被りかな      高井 百子

尾鰭つく噂話や蒲団越し        玉田春陽子

夢浅き羽毛布団の軽さかな       野田 冷峰

 

「雑詠」

地面すれすれ赤あか信州林檎かな    大澤 水牛

荒れ庭も甦へりけり草紅葉       高井 百子

着るものは着て珈琲を今朝の冬     田中 白山

 

(第98回例会参加者)【出席】井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子【投句参加】岩沢克恵、高井百子、堤てる夫、三好六甫、山口斗詩子

(記録 大澤水牛)

 

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第107回酔吟会例会

酔吟会の平成25年度第6回例会(通算107回)が11月9日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館8階会議室で開かれた。

今年は秋がほんとに短く、それも雨がちで、天高くの感じを十分味わえないうちに立冬(7日)を迎え、この日も曇りで日中18℃、夕方になると肌寒いくらいになった。

この日の出席者は今泉恂之介、大澤水牛、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、藤村詠悟、星川佳子の8氏。投句参加は大沢反平、金指正風、徳永正裕、野田冷峰、藤野十三妹氏の5氏。

兼題は「短日」と「焼芋」、投句5句、選句8句で句会を行った。その結果、最高点は5点で1句、次いで4点が1句、3点4句、2点9句、1点24句となった。句会出席者が少なく、しかも選句の票が割れたため、3点句以上がわずか6句だった。そこで今回は2点9句も合評会の対象とした。兼題別の2点以上の句は次の通り。

「短日」

短日の妻正座して針に糸         今泉恂之介

短日やこれはどうやら古墳あと      星川 佳子

短日の夕照雲にそそり立つ        大沢 反平

短日や日ごとに伸びる影法師       金指 正風

 

「焼芋」

焼芋をくるむ夕刊拾ひ読み        岡田 臣弘

夕暮の藁火あかあか藷焼ける       大澤 水牛

生きてゐる限りは戦後芋を焼く      今泉恂之介

焼芋や少年の日の赤バット        金指 正風

焼芋の差し入れ匂ふ夕稽古        徳永 正裕

焼芋を風ふく路地で割る二人       澤井 二堂

和菓子屋の横に屋台の焼芋屋       星川 佳子

 

「雑詠」

やはらかに日の動きをり敷松葉      星川 佳子

秋の蚊に刺されてかゆし薬指       今泉恂之介

穏やかな日差しあつめて秋の薔薇     金指 正風

熟柿(うれがき)の艶めく朱や剥き惜しみ 藤野十三妹

(まとめ 大澤水牛)

 

 

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第123回日経俳句会例会

日経俳句会は平成25年第9回例会(通算123回)を10月15日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で開いた。この日は十年に一度という大型の台風26号が関東地方に上陸する恐れありという予報で、朝から雲行き怪しく、幹事宛に「句会やるのですか」の問い合わせしきり。「欠席します」との連絡も続々届いた。正午過ぎ幹事団協議の結果、(1)今から中止の連絡をしても既に外出してしまっている人もいるだろうから連絡が徹底できない(2)暴風雨が来るとしても今夜半、句会の時間はまだ大丈夫─という判断で予定通り決行することにした。これはまさに正解で、句会を早目に切り上げた8時少し前は多少雨が強まってきたかなという程度で、参会者一同無事に帰れた。

“台風句会”の出席者は16名、欠席投句が17名、投句総数163句ということになった。この日の兼題は「秋(秋一般)」「蚯蚓鳴く(みみずなく)」で、6句選句で句会を進めた。最高点は6点で高瀬大虫さんの「空(うろ)の眼の秋を吸込む埴輪かな」と嵐田啓明さんの「曲がるたび路面電車の秋軋む」の2句。次席5点は「朱といふを終の色とし烏瓜 吉野光久」「肋骨のひびの疼きや蚯蚓鳴く 大澤水牛」の2句。

次いで4点が8句、3点12句、2点21句、1点が39句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋一般」

空の眼の秋を吸込む埴輪かな      高瀬 大虫

曲がるたび路面電車の秋軋む      嵐田 啓明

うがひして空向く口の中も秋      今泉恂之介

山の影恐竜に似て秋夕焼        今泉恂之介

交差点他人の空似秋の空        大熊 万歩

振返り振返り行く秋の犬        金田 靑水

どうですか満腹ですと返す秋      山田 明美

秋ぬって貨物列車の長い列       植村 博明

秋深き終のすみかを定めかね      大倉悌志郎

秋晴の空へうがひの音高し       金田 靑水

秋遍路後ろ姿に入り日さす       岡田 臣弘

秋風や翼を持たぬ風見鶏        佐々木 碩

 

「蚯蚓鳴く」

肋骨のひびの疼きや蚯蚓鳴く      大澤 水牛

こんな日は蚯蚓鳴くらし月まつ赤    嵐田 啓明

終バスを待てど来ぬ闇みみず鳴く    澤井 二堂

蚯蚓鳴く声も届かぬ歳となり      井上庄一郎

病室にゐるはずのなき蚯蚓鳴く     吉野 光久

落武者の鎧脱ぐ夜や蚯蚓鳴く      今泉恂之介

富士見えぬ富士見坂なり蚯蚓鳴く    星川 佳子

「雑詠」

朱といふを終の色とし烏瓜       吉野 光久

芭蕉忌や四年がかりの旅終へむ     堤 てる夫

風が来て陽が来て丘の秋桜       大沢 反平

いつも行くいつもの道の赤まんま    金田 靑水

取つときの石鹸下ろす雨月かな     横井 定利

 

参加者(出席16名)嵐田啓明、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、徳永正裕、直井正、野田冷峰、星川佳子(投句参加17名)池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大下綾子、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、田中頼子、堤てる夫、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、山田明美、横井定利、吉野光久

(まとめ・大澤水牛)

 

 

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