日経俳句会第219回例会

最高11点に迷哲句、二席9点は双歩句

40人参加、最多120句の投句

日経俳句会は令和5年の5月例会(通算219回)を5月17日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「夏の月」と「新樹」。40人から120句の投句があり、新入会員の増加を映し、3句投句となってから最多の投句数となった。季節の変わり目で体調を崩す人もいて、句会出席は13人と少なめだったが、真夏日となった陽気に負けず、熱のこもったやりとりが展開された。選句6句(欠席は5句)の結果、中村迷哲さんの「気に染まぬ見合い蹴とばし夏に入る」が11点を獲得し一席を占めた。二席には嵐田双歩さんの「もらい湯は五右衛門風呂や月涼し」が9点で続き、三席8点は向井愉里さんの「手術日の決まり新樹を見上げをり」と中沢豆乳さんの「父に似た羅漢探せば青もみじ」が並んだ。そのほか7点1句、6点1句、5点6句、4点3句、3点11句と高点句が多かった。2点は22句、1点30句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「夏の月」

もらい湯は五右衛門風呂や月涼し           嵐田 双歩

呼び合うやスカイツリーと夏の月           須藤 光迷

谷埋めるテントの影や夏の月             中村 迷哲

夏の月目の高さにて坂の道              鈴木 雀久

縁側にごろり仰向け月涼し              岩田 三代

夏の月毎度の嘘はお見通し              杉山 三薬

同窓会話は尽きず夏の月               高井 百子

潮騒と島の灯りと夏の月               星川 水兎

「新樹」

手術日の決まり新樹を見上げをり           向井 愉里

新樹光窓辺に苺ジャムの瓶              嵐田 双歩

新樹晴十勝連峰まだ白き               廣上 正市

流鏑馬や新樹の杜に響きあり             溝口戸無広

抱きつきぬ新樹欅の太っ腹              大澤 水牛

それぞれの新樹それぞれ色香あり           金田 青水

口開けて高枝鋏新樹光                谷川 水馬

行く人の深く息する新樹かな             向井 愉里

当季雑詠

気に染まぬ見合い蹴とばし夏に入る          中村 迷哲

父に似た羅漢探せば青もみじ             中沢 豆乳

友達が出来たと吾子の五月かな            嵐田 双歩

睡蓮をがばと掻き分け主の鯉             大澤 水牛

大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首            中嶋 阿猿

母の日に娘三人集まれり               旙山 芳之

夏雲の湧いて頼もし大銀杏              今泉 而云

何処よりみずすましきて池の澄む           野田 冷峰

山巓へ続く寺領や竹の秋               廣上 正市

水鏡代田に浮かぶ駅一つ               溝口戸無広

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、中沢豆乳、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加27人】池村実千代、伊藤健史、大沢反平、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

 

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