日経俳句会第228回例会

一席は十三妹句「痛き色」の13点

38人が「春惜しむ」「躑躅」詠む

日経俳句会は4月17日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で4月例会(通算228回)を開いた。これまでの花冷えの日々から一変、この日は、一気に夏のような気温になって、身体が反応できないほどの夕べ。熱心な句友12人が集まって、気温に負けない暑い議論が繰り広げられた。

「春惜しむ」と「躑躅」の兼題に、38人から112句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、一席は13点と断トツの人気を集めた藤野十三妹さんの「病む身には痛き色なり紅つつじ」だった。二席は須藤光迷さんの「来世また連れ添いゆかん花筏」が7点で続き、三席6点句は水兎句「練切の小さき花びら春惜しむ」、三代句「絶壁を穿ちて紅き山躑躅」、方円句「満開の桜車内をどよめかす」、迷哲句「ひび割れし棚田潤す穀雨あり」の4句が並んだ。以下、5点4句、4点6句、3点7句、2点24句、1点30句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春惜しむ」

練切の小さき花びら春惜しむ             星川 水兎

惜春や宵のカーテン閉めかねる            溝口戸無広

春惜しむ免許返納迷ふ日々              中嶋 阿猿

惜春や明治男の消えたりと              大澤 水牛

薹のたつ庭のルッコラ春惜しむ            岡松 卓也

淡き陽に淡き浮雲春惜しむ              久保田 操

向き合ひて言葉少なに春惜しむ            中野 枕流

「躑躅」

病む身には痛き色なり紅つつじ            藤野十三妹

絶壁を穿ちて紅き山躑躅               岩田 三代

植込のつつじ昭和の富士銀行             嵐田 双歩

山裾に刺繍編み込む躑躅かな             溝口戸無広

テーブルのやうに真四角花躑躅            星川 水兎

つつじ垣四角四面のきゅうきゅうと          廣上 正市

当季雑詠

来世また連れ添いゆかん花筏             須藤 光迷

満開の桜車内をどよめかす              植村 方円

ひび割れし棚田潤す穀雨あり             中村 迷哲

眠る子のズシリと腕に花疲れ             嵐田 双歩

NHK「坂本龍一ラストデーズ」観て

桜散るまさにその時指タクト             堤 てる夫

鰊来ぬ浜に名残の御殿かな              岩田 三代

様変はる街に変はらぬ桜かな             久保田 操

小座敷に残り香ゆかし桜餅              中沢 豆乳

花柄の杖の見上げる夕桜               星川 水兎

紫木蓮拳ひらくよ今日佳き日             水口 弥生

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、今泉而云、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加26人】池村実千代、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉藤早苗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

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