日経俳句会第208回例会開催

豆乳、迷哲、守、水兎の四氏が9点で並立

トップが4句ひしめくは空前にして多分絶後

日経俳句会は4月20日(水)、令和4年度4月例会(通算208回)を、内神田の千代田区立スポーツセンターの第二集会室で開いた。この日は、春にしてはやや肌寒い曇天ではあったが、15人が出席、和やかな句会となった。兼題は「行く春」と「菜の花」。欠席者を含め36人から108句が集まった。6句選(欠席5句)の結果、中沢豆乳さんの「路地遊びチヨコレイトで春はゆく」、中村迷哲さんの「百船の行き交ふ瀬戸や花菜風」、和泉田守さんの「戦争を知らぬ雑踏春渋谷」、星川水兔さんの「花冷えのホットミルクのうすき膜」の4句が9点で並ぶという珍しい結果となった。次いで、今泉而云さんの「春逝くやこれで終りのクラス会」と中村迷哲さんの「駄菓子屋に迷ふ子のゐる遅日かな」が7点で並んだ。以下、6点3句、5点3句、4点6句、3点7句、2点12句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「行く春」

路地遊びチヨコレイトで春はゆく    中沢 豆乳

春逝くやこれで終わりのクラス会    今泉 而云

余命一つ減らして春は逝きにけり    大沢 反平

行く春や階段整列谷中猫        岡田 鷹洋

切花の捨てどき迷う春の果       星川 水兔

行く春や弓手にワイン右手にピザ    大澤 水牛

行く春や老いの小足の追ひつけず    高井 百子

行く春を車窓に惜しむ湖西線      中村 迷哲

「菜の花」

百船の行き交ふ瀬戸や花菜風      中村 迷哲

菜の花を裾野に抱え薩摩富士      流合 水澄

菜の花や日に数回の列車あり      向井 愉里

菜の花や昭和の味の五目寿司      池村実千代

菜の花を見納めにして特攻機      今泉 而云

菜の花をかきわけ列車入線す      徳永 木葉

菜の花や房総の道ペダル踏む      篠田  朗

人住まぬ妻の故郷花菜雨        横井 定利

「当季雑詠」

戦争を知らぬ雑踏春渋谷        和泉田 守

花冷えのホットミルクのうすき膜    星川 水兔

駄菓子屋に迷ふ子のゐる遅日かな    中村 迷哲

パソコンにスリープ機能目借時     嵐田 双歩

重さ無く昇り行くなり春の月      髙橋ヲブラダ

生きてるぞこの満開の花の下      大沢 反平

富士蒼し浜一面の桜蝦         須藤 光迷

寝たままの友の微笑みフリージア    髙石 昌魚

なにごともささらほうさら花は散る   藤野十三妹

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加21人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、大沢反平、加藤明生、工藤静舟、久保田操、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

 

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