首位6点に千虎・朗・三薬句
37人が「麦秋」を詠む
日経俳句会は令和8年5月例会(通算249回)を5月17日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。五月の爽やかな風に誘われ外出した人が多かったのか、出席は8人にとどまったが、ルビの可否をめぐる議論など熱のこもった句会となった。兼題は「麦秋」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、首位には岩田千虎さんの「麦秋や猫バス通る風の道」、篠田朗さんの「村の子は征きて還らず麦の秋」、杉山三薬さんの「五月晴れ綱引き女子の尻力」の3句が6点で並んだ。二席は5点で須藤光迷さん「麦秋の峠越えれば光る海」、増田浩志さん「麦秋や昭和の香り笠智衆」、久保田操さん「賑やかに老女集ひし五月かな」、高井百子さん「今年また田水入らぬ田の二反」の4句が分け合った。三席4点には坂部富士子さんの「宙へゆく支度整ふ葱坊主」をはじめ10句が目白押し。以下、3点10句、2点25句、1点25句と大きく点がばらける結果となった。ルビや前書きの付いた句が多かったのも特徴で、合評会では「ルビは無い方が、何だろうと思って調べる」とか「前書きがあっても分からない句は分からない」など、不要論が多かった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「麦秋」
麦秋や猫バス通る風の道 岩田 千虎
村の子は征きて還らず麦の秋 篠田 朗
麦秋の峠越えれば光る海 須藤 光迷
麦秋や昭和の香り笠智衆 増田 浩志
京終の次駅帯解麦の秋 嵐田 双歩
麦秋や黄金の禾天を刺す 岩田 千虎
落日の影にたゆたふ麦の秋 久保田 操
麦秋を貫くローマ古街道 中村 迷哲
そよ風が教科書めくる麦の秋 溝口戸無広
麦秋や町の端まで風渡る 向井 愉里
穂の先に透ける青空麦の秋 中野 枕流
ふるさとと決めて美瑛は麦の秋 水口 弥生
当季雑詠
五月晴れ綱引き女子の尻力 杉山 三薬
賑やかに老女集ひし五月かな 久保田 操
今年また田水入らぬ田の二反 高井 百子
宙へゆく支度整ふ葱坊主 坂部富士子
墓移す話も出たり額の花 須藤 光迷
苗待ちし代田つかのま水鏡 中野 枕流
神妙にゼロ磁場に座し若葉風 星川 水兎
満目の緑背にして白牡丹 大澤 水牛
勾玉の雲ひとつあり五月晴れ 大沢 反平
洗い髪タオル巻きつけビール干す 久保 道子
風炉点前引けば澄みゆく水の音 坂部富士子
幾万のシラスの黒眼競りの声 徳永 木葉
雑草の蔓のたちまち夏めけり 廣上 正市
山道にたっぷりと聞く時鳥 星川 水兎
セロハンのやうに日の透く若葉かな 溝口戸無広
《参加者》【出席8人】嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、杉山三薬、中村迷哲、向井愉里、溝口戸無広。【投句参加29人】安彦真弓、池村実千代、伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、篠田朗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、増田浩志、水口弥生、横井定利。
(報告 中村迷哲)



