日経俳句会第180回例会

 

36人参加、「七月」「夏木立」を詠む

三薬さんの「木曽路」が12点、水牛さん「日記帳」で9点

日経俳句会は令和元年の7月例会(通算180回)を7月17日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。降り続いた雨もこの日は上がったが、出足は湿りがち。出席は18人とやや少なかったが、夏空を見ないままに詠んだ夏の句を巡り、活発な議論を交わした。兼題は「七月」と「夏木立」。投句参加者も含め36人から105句の投句があり、6句選の結果、杉山三薬さんの「右木曽路左伊那谷夏木立」が12点を集めて最高位。大澤水牛さんの「七月やぐいと割ったる日記帳」が9点で続き、7点句に水口弥生さんの「ページ繰る小さき風あり夏木立」と岡田鷹洋さんの「採血に夏痩せの腕そっと出し」が入った。6点句には「七月の川濁流を海に吐く 迷哲」と「オルガンにはじまる礼拝夏木立 綾子」、「青梅を煮詰めて母の整腸剤 百子」の3句が並んだ。このほか5点5句、4点8句、3点8句、2点16句、1点26句で、上位集中型の分布となった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「七月」

七月やぐいと割ったる日記帳        大澤 水牛

七月の川濁流を海に吐く          中村 迷哲

七月や帽子揃へて母娘           髙石 昌魚

七月の湿り旧家の養蚕場          廣上 正市

七月の火口の池の碧さかな         大下 綾子

七月やめだかの家族どっと増え       澤井 二堂

七月や出国ロビーの華やぐ夜        向井 ゆり

「夏木立」

右木曽路左伊那谷夏木立          杉山 三薬

ページ繰る小さき風あり夏木立       水口 弥生

オルガンにはじまる礼拝夏木立       大下 綾子

夏木立斜光のなかにマリア像        野田 冷峰

県道に大手広げて夏木立          今泉 而云

夏木立抜けて寿福寺虚子の墓        堤 てる夫

「当季雑詠」

採血に夏痩せの腕そっと出し        岡田 鷹洋

青梅を煮詰めて母の整腸剤         髙井 百子

界隈という文字が好き梅雨晴間       杉山 三薬

口ひらく食虫植物夏ふかし         星川 水兎

雨烟る墓石の脇の百日紅          加藤 明生

甚平や鏡の中に父の顔           髙石 昌魚

ブルースをただ聴き続け夏の夜       髙橋ヲブラダ

百日紅散りて真昼のアスファルト      中嶋 阿猿

はまなすや指呼の国後島(くなしり)茫とあり 廣上 正市

来客の使ふ絵扇京の風           水口 弥生

手花火の燃え殻あつめ朝の庭        向井 ゆり

夏の宴分家の嫁の気働き          植村 博明

末生りは泥にまみれて瓜畑         大倉悌志郎

万緑やヨガの少女の四肢伸びる       徳永 木葉

父さんにハモニカ習った夏の庭       中沢 豆乳

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、髙石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、斉藤早苗、高井百子、高橋ヲブラダ、中沢豆乳、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、横井定利。  (報告・中村迷哲)

 

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