日経俳句会第124回例会

日経俳句会は平成25年第10回例会(通算124回)を11月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で開いた。兼題は「七五三(しちごさん)」「鮪(まぐろ)」で、出席20人、投句参加15人からの171句をめぐり7句選句で句会を進めた。

その結果、廣上正市さんの「杖立てて動かぬ人や冬薔薇」が8点の最高点。次席は7点で、水口弥生さんの「着疲れて父の背温し七五三」と、吉野光久さんの「田仕舞の風かぐはしき信濃かな」の2句。次いで6点句は、金田青水さんの「写真館つかひまはしの千歳飴」、澤井二堂さんの「鴨来る勝手知ったる顔をして」の2句。続く5点句は、大澤水牛さんの「にぎやかに母系の仕切る七五三」、杉山智宥さんの「手で開けて降りる電車よ風寒し」、徳永正裕さんの「人住めぬ地を棄てし子や七五三」、流合研士郎さんの「中空をにらみすえたる鮪の眼」の4句が並んだ。以下、4点5句、3点11句と続き、2点は18句、1点が56句に上った。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「七五三」

着疲れて父の背温し七五三    水口 弥生

写真館つかひまはしの千歳飴   金田 青水

にぎやかに母系の仕切る七五三  大澤 水牛

人住めぬ地を棄てし子や七五三  徳永 正裕

七五三横目で睨む少年期     大熊 万歩

父の背に笑顔で眠る七五三    久保田 操

七五三照れる男児と笑む女児   高石 昌魚

七五三記憶の底に幣の音     今泉恂之介

おてんばも姫となりきる七五三  佐々木 碩

七五三子にしてやれず孫にする  高瀬 大虫

七五三祝うからやからも華やぎて 水口 弥生

主役より取り巻き多き七五三   吉野 光久

 

「鮪」

中空をにらみすえたる鮪の眼   流合研士郎

口数の少なき男鮪船       植村 博明

大鮪とるはロマンと老漁師    大倉悌志郎

骨の身も刮ぎ喰はるる鮪かな   高瀬 大虫

 

「雑詠」

杖立てて動かぬ人や冬薔薇    廣上 正市

田仕舞の風かぐはしき信濃かな  吉野 光久

鴨来る勝手知ったる顔をして   澤井 二堂

手で開けて降りる電車よ風寒し  杉山 智宥

冬瓜の透けて伊万里の絵皿かな  田中 頼子

冬帽子竹馬の友と気づかざり   徳永 正裕

老いの身の置き所なき時雨道   藤野十三妹

冬来たる動物園に猫眠る     横井 定利

今日からは歯ブラシ二本小鳥くる 横井 定利

 

参加者(出席)井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大熊万歩、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、星川佳子、山田明美。(投句参加)嵐田啓明、池村実千代、大沢反平、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、高瀬大虫、田中頼子、野田冷峰、流合研士郎、深田森太郎、村田佳代、横井定利、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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