番町喜楽会第164回例会を開催

 

「夏の果」と「冷奴」を詠む

春陽子さんが単独トップの5点句

 

番町喜楽会は令和元年8月例会(通算164回)を、8月3日(土)午後6時から、「夏の果」と「冷奴」を兼題として九段下の千代田区立生涯学習館で開いた。投句者は20名で、投句総数98句。そのうち15名が会場に集まり、投句5句、選句6句で句会を進めた結果、玉田春陽子さんの「釣堀の疲れし水や夏の果」が5点でトップに輝いた。また、今泉而云さんの「折紙に凝りて真夏を閉じこもる」、高井百子さんの「尻もちで蟻と出会ふや一歳児」、谷川水馬さんの「ふぞろいの踵の減りや夏の果」、そして玉田春陽子さんの「湧水に踊るトマトや奥会津」の4点句4句が続いた。以下、3点句が13句、2点11句、1点28句であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の果」

釣堀の疲れし水や夏の果              玉田春陽子

ふぞろいの踵の減りや夏の果            谷川 水馬

つないだ手だれが離した夏の果て          斉山 満智

ひと去りて浜に風紋夏終わる            中村 迷哲

わんぱくのひとかどの顔夏の果て          野田 冷峰

「冷奴」

沈黙を苦にせぬ仲や冷奴              嵐田 双歩

おねえさん冷奴まだ来てないよ           嵐田 双歩

山水の桶より出でて冷奴              今泉 而云

夫婦して遊び呆けて冷奴              田中 白山

悠々でなけれど自適冷奴              玉田春陽子

冷奴氷山めきて鉢の中               徳永 木葉

「雑詠」

折紙に凝りて真夏を閉じこもる           今泉 而云

尻もちで蟻と出会ふや一歳児            高井 百子

湧水に踊るトマトや奥会津             玉田春陽子

青栗の毬(いが)きらきらと雨上がり        谷川 水馬

真っ直ぐに伸びて不揃ひ立葵            玉田春陽子

むきだしの命漂ふ水母かな             廣田 可升

屋上に住民集ふ遠花火               前島 幻水

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。【投句参加5人】大下綾子、斉山満智、澤井二堂、星川水兎、山口斗詩子。   (報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第180回例会

 

36人参加、「七月」「夏木立」を詠む

三薬さんの「木曽路」が12点、水牛さん「日記帳」で9点

日経俳句会は令和元年の7月例会(通算180回)を7月17日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。降り続いた雨もこの日は上がったが、出足は湿りがち。出席は18人とやや少なかったが、夏空を見ないままに詠んだ夏の句を巡り、活発な議論を交わした。兼題は「七月」と「夏木立」。投句参加者も含め36人から105句の投句があり、6句選の結果、杉山三薬さんの「右木曽路左伊那谷夏木立」が12点を集めて最高位。大澤水牛さんの「七月やぐいと割ったる日記帳」が9点で続き、7点句に水口弥生さんの「ページ繰る小さき風あり夏木立」と岡田鷹洋さんの「採血に夏痩せの腕そっと出し」が入った。6点句には「七月の川濁流を海に吐く 迷哲」と「オルガンにはじまる礼拝夏木立 綾子」、「青梅を煮詰めて母の整腸剤 百子」の3句が並んだ。このほか5点5句、4点8句、3点8句、2点16句、1点26句で、上位集中型の分布となった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「七月」

七月やぐいと割ったる日記帳        大澤 水牛

七月の川濁流を海に吐く          中村 迷哲

七月や帽子揃へて母娘           髙石 昌魚

七月の湿り旧家の養蚕場          廣上 正市

七月の火口の池の碧さかな         大下 綾子

七月やめだかの家族どっと増え       澤井 二堂

七月や出国ロビーの華やぐ夜        向井 ゆり

「夏木立」

右木曽路左伊那谷夏木立          杉山 三薬

ページ繰る小さき風あり夏木立       水口 弥生

オルガンにはじまる礼拝夏木立       大下 綾子

夏木立斜光のなかにマリア像        野田 冷峰

県道に大手広げて夏木立          今泉 而云

夏木立抜けて寿福寺虚子の墓        堤 てる夫

「当季雑詠」

採血に夏痩せの腕そっと出し        岡田 鷹洋

青梅を煮詰めて母の整腸剤         髙井 百子

界隈という文字が好き梅雨晴間       杉山 三薬

口ひらく食虫植物夏ふかし         星川 水兎

雨烟る墓石の脇の百日紅          加藤 明生

甚平や鏡の中に父の顔           髙石 昌魚

ブルースをただ聴き続け夏の夜       髙橋ヲブラダ

百日紅散りて真昼のアスファルト      中嶋 阿猿

はまなすや指呼の国後島(くなしり)茫とあり 廣上 正市

来客の使ふ絵扇京の風           水口 弥生

手花火の燃え殻あつめ朝の庭        向井 ゆり

夏の宴分家の嫁の気働き          植村 博明

末生りは泥にまみれて瓜畑         大倉悌志郎

万緑やヨガの少女の四肢伸びる       徳永 木葉

父さんにハモニカ習った夏の庭       中沢 豆乳

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、髙石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、斉藤早苗、高井百子、高橋ヲブラダ、中沢豆乳、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、横井定利。  (報告・中村迷哲)

 

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酔吟会第141回例会

「梅雨明」と「梅干」を詠む

水牛さん、天・地・人を独り占め

 

酔吟会は7月13日(土)午後1時、東京・内神田の日経広告研究所会議室(MIFビル)で、令和元年第2回例会(通算141回)を開いた。時折雨のぱらつくはっきりしない日和で、兼題は「梅雨明け(つゆあけ)」と「梅干(うめぼし)」。出席14人、投句参加7人計21人の105句について選句8句で句会を進めた。その結果、最高は水牛さんの「梅雨明けや五ミリの蜘蛛が背伸びする」の5点句1句だった。水牛さんは次席の4点句「梅干の漬かりゆくなり雨の音」、三席の3点句「滔々と坂東太郎梅雨明くる」と高点3句を綺麗に並べ「天」「地」「人」の“満天賞”を記録した。

次席4点句は他に3句、今泉而云さんの「梅干の種もてあそぶ舌の上」、片野涸魚さんの「梅干に浮かぶ戦後の日々のあり」、須藤光迷さんの「梅雨明けや襁褓の一歳スクワット」と熟達の作者が並んだ。三席の残る2句は、工藤静舟さんの「夏燕奔放に切る蒼い空」、玉田春陽子さんの「玄関に居間に客間に花菖蒲」。次いで2点は26句、1点は30句で合計56句に点が入ったが、3点以上の高点句は8句に止まった。高点句を巡って「あと一点」の重みが際立った句会だった。

この日のに合わせ、水牛さんがお手製の梅干、梅酒、花梨酒をキャリーバッグに積み込んで差し入れ。年代ものの梅酒は、濃厚で、上物の味わい。本来なら成績順に贈呈されるところ、製作・提供者のご本人が記録的な成績とあって「逆順」での分配になった。兼題別の高得点(3点以上)は次の通り。

「梅雨明」

梅雨明けや五ミリの蜘蛛が背伸びする    大澤 水牛

梅雨明けや襁褓の一歳スクワット      須藤 光迷

滔々と坂東太郎梅雨明くる         大澤 水牛

「梅干」

梅干の種もてあそぶ舌の上         今泉 而云

梅干の漬かりゆくなり雨の音        大澤 水牛

梅干に浮かぶ戦後の日々のあり       片野 涸魚

「当季雑詠」

夏燕奔放に切る蒼い空           工藤 静舟

玄関に居間に客間に花菖蒲         玉田春陽子

【参加者】(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、久保田操、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井ゆり(。投句参加)岡田鷹洋、工藤静舟、澤井二堂、須藤光迷、野田冷峰、藤野十三妹、星川水兎。    (報告 堤てる夫)

 

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番町喜楽会第163回例会

 

「夏の山」と「心太」を詠む

てる夫さん「梅雨の雲」、可升さん「桜桃忌」が6点で並ぶ

 

番町喜楽会は、令和元年七月例会(通算第百六十三回)を、一日の午後六時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行った。兼題は「夏の山」と「心太」。投句五句、選句六句の結果、堤てる夫さんの「梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな」と、廣田可升さんの「すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌」がともに六点でトップを分け合った。次席は四点句で、徳永木葉さんの「ところてん酢の香にむせる初デート」と、中村迷哲さんの「稜線に原色の列夏の山」の二つ。三点句は七つを数えたものの、稀にみる点のばらけ方だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の山」

稜線に原色の列夏の山         中村 迷哲

踏切を渡ればいよよ夏の山       野田 冷峰

忽然と岬あらはる夏の尾根       廣田 可升

「心太」

ところてん酢の香にむせる初デート   徳永 木葉

蒸しますねなどと言ひ合ひ心太     大澤 水牛

豆腐屋の隅っこ暮らし心太       須藤 光迷

「雑詠」

梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな    堤 てる夫

すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌       廣田 可升

栗の花レゲエを刻むギタリスト     谷川 水馬

水打つて赤提灯の灯りけり       玉田春陽子

昨日とは違う風吹き未草        星川 水兎

参加者(出席14人)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。(投句7人)池内的中、大下綾子、澤井二堂、徳永木葉、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子     (報告・須藤光迷)

 

 

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NPO法人双牛舎 第12回総会を開催

 

29名出席、俳句大会には45名参加

俳句の普及振興を事業目的とするNPO法人双牛舎は6月29日(土)、東京・二番町の東京グリーンパンレスのレストラン「ジャルダン」で第12回年次総会を開催。メンバーである日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会の会員ら29名が出席した。総会は同会理事の高井百子さんの司会で行われ、まず一年を総括する大澤水牛代表理事の挨拶に続いて、堤てる夫理事が双牛舎の運営状況などの報告を行った。続いて、昨年度俳句大会の上位入賞者に赤池渓舟先生揮毫の短冊が贈呈され、その後は恒例の「俳句大会」が開催されて総会は大いに盛り上がった。

俳句大会は第2回総会から実施され、今回が11回目。総会出席者29名と投句参加者16名の計45名から、兼題の「夏」の句および当季雑詠各2句の合計90句が集まった。句会は、事前投句された90句を並べた大型選句一覧表を会場に張り出し、出席者が「選句シール」を選んだ5句に貼付する例年通りの方式で行った。欠席投句・選句の人たちの選句シールは幹事が貼付した。

その結果、最高の「天」賞に輝いたのは、岩田三代さんの「亡き父母の声残りをり夏の家」の12点句。「地」賞は7点で嵐田双歩さんの「椰子蟹が路上をのそり島の夏」、印南進さんの「家じゅうの網戸を洗う夏来る」、大沢反平さんの「夏座敷寝っころがって志賀直哉」、深瀬久敬さんの「緑蔭のひかり濃淡万華鏡」であった。また、「人」賞6点は池村実千代さんの「六月やお洒落談義は傘の色」と須藤光迷さんの「越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ」の2句だった。「入選」5点句は11句も出た。「天」「地」「人」「入選」の作者はじめ高点獲得者には須藤光迷さんの陶芸作品や大澤水牛さんの手造り梅干、梅酒などが賞品として贈られた。また今回の入賞作(天、地、人及び入選)は書家の赤池溪舟さん揮毫の短冊に仕立て、来年の俳句大会でそれぞれの作者に贈られる予定。

第11回俳句大会入賞作品は次の通り。

「天」

亡き父母の声残りをり夏の家      岩田 三代

「地」

椰子蟹が路上をのそり島の夏      嵐田 双歩

家じゅうの網戸を洗う夏来る      印南  進

夏座敷寝っころがって志賀直哉     大沢 反平

緑蔭のひかり濃淡万華鏡               深瀬 久敬

「人」

六月やお洒落談義は傘の色       池村実千代

越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ     須藤 光迷

「入選」

サンダルの赤きマニュキュア夏はじめ  池村実千代

夏帽子もすこし生きたし妻ともに    岡田 鷹洋

宵の水そそぐ出窓の茄子に花      金田 青水

時刻表栞をくわえ夏に入る       玉田春陽子

蟻の列寝釈迦の蝉を運びくれ      田村 豊生

バス待ちの列楽しませ濃紫陽花     廣田 可升

結ひ上げし黒髪凛々し夏女       深瀬 久敬

百年の茅葺き屋根の夏炉かな      星川 水兎

移ろへる国のゆくすえ南天花      星川 水兎

痩せすぎのいかでこの夏乗り切らむ   山口斗詩子

逆上がり靴先に広がる夏の空      渡邉  信

(記録・報告 谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第28回上期合同句会

 

博明さん「守衛室の紫陽花」が10点

反平さん「妻の夏」9点ほか7点、4点句と “サイクルヒット”

 

日経俳句会は6月19日(水)、令和元年上期合同句会(通算28回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。梅雨の晴れ間が数日続き、やや蒸すものの凌ぎやすい夕べ。半年に一度の合同句会は、「梅雨」と「螢」の兼題に37人から111句が寄せられた。5句選の事前選句の結果、植村さんの「紫陽花をコップに生けて守衛室」が10点でトップ。二席は大沢反平さんの「一歩ずつ杖と帽子の妻の夏」が9点。反平さんは「また一つ書店の消えし梅雨の町」が7点、「故郷へ母の蛍に会いたくて」が4点と大谷祥平ばりの “サイクルヒット”を放った。このほか7点句に木葉さんの「いろはにほ闇に描いて蛍舞う」が入り、6点句に三代さんの「幼子の拳開けばてんと虫」、水牛さんの「大太鼓合羽かけられ走り梅雨」、可升さんの「梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草」が続いた。以下、5点4句、4点4句、3点12句、2点16句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「梅雨」

また一つ書店の消えし梅雨の町   大沢 反平

大太鼓合羽かけられ走り梅雨    大澤 水牛

梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草    廣田 可升

母と子の自転車速し梅雨晴れ間   谷川 水馬

目白には古書店二店梅雨晴れ間   鈴木 好夫

梅雨に入る二本杖の身傘させず   井上庄一郎

ブレーキの音も重たし梅雨のバス  岩田 三代

梅雨のなか色香漂ふ蛇の目傘    久保田 操

大橋も小橋もけぶる梅雨最中    廣田 可升

ぎぎと鳴る雨戸なだめて梅雨の朝  星川 水兎

「螢」

いろはにほ闇に描いて蛍舞う    徳永 木葉

螢火や闇深ければ水にほふ     嵐田 双歩

背中せなの声寝息となりて蛍の夜    谷川 水馬

故郷へ母の蛍に会いたくて     大沢 反平

蛍舞ふ縄文人の住居跡       加藤 明生

蛍火やあの世信じてみたき夜    廣田 可升

老ひし母幼女となりて蛍呼ぶ    岩田 三代

蛍来る大虫さんの破顔かな     堤 てる夫

「当季雑詠」

紫陽花をコップに生けて守衛室   植村 博明

一歩ずつ杖と帽子の妻の夏     大沢 反平

幼子の拳開けばてんと虫      岩田 三代

お揃いのリボン跳ね行く更衣    中村 迷哲

食べて寝て笑って泣いて今日は夏至 嵐田 双歩

霧晴るる会津への道桐の花     大倉悌志郎

可愛いと言われる妻や夏の月    須藤 光迷

万緑や愛憎すべて包み込む     髙石 昌魚

緑縫う仙石線のホタテ飯      中沢 豆乳

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、藤野十三妹、政本理恵、横井定利。(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第162回例会

 

「入梅」と「水馬」を詠む

春陽子さん、「蛇の衣」でトップ7点句

 

番町喜楽会は令和元年6月例会(通算162回)を6月1日(土)午後6時から、「入梅」と「水馬」を兼題として九段下の千代田区立九段生涯学習館で開いた。投句者は20名で、投句数は98句。そのうち14名が会場に集まり句会を始めた。投句5句、選句6句で行った結果、玉田春陽子さんの雑詠句「ゆるやかに脱ぎすててあり蛇の衣」が7点でトップに輝いた。これに、須藤光迷さんの「ミッキーの傘が先頭梅雨に入る」と「金色の鯉の背を越す水馬」、谷川水馬さんの「畝合(うねあい)を泳ぐ合鴨梅雨に入る」の4点3句が続いた。以下、3点6句、2点19句、1点が39句と選句が大きく分かれた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「入梅」

ミッキーの傘が先頭梅雨に入る          須藤 光迷

畝合(うねあい)を泳ぐ合鴨梅雨に入る     谷川 水馬

田圃たんぼ越後くまなく梅雨に入る       堤 てる夫

入梅や独鈷の帯の締まる音            廣田 可升

「水馬」

金色の鯉の背を越す水馬            須藤 光迷

あめんぼう流され前へ前へ行く         田中 白山

あめんぼのレガッタ始まる水たまり       前島 幻水

「雑詠」

ゆるやかに脱ぎすててあり蛇の衣        玉田春陽子

朝焼を見て満ち足りし二度寝かな        嵐田 双歩

原っぱの大樹に集ふ夏帽子           塩田 命水

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加6人】池内的中、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、徳永木葉、山口斗詩子。     (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第179回例会

37人が「五月」「風薫る」を詠む

定利さん「香水びん」11点、双歩さん「水切り石」10点

日経俳句会は令和元年の初開催となる五月例会(通算179回)を5月15日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。兼題に合わせたように爽やかな風の吹くこの日は21人が出席、令和新時代の幕開けにふさわしく新旧メンバーが活発に議論を交わす句会となった。

兼題は「五月」と「風薫る」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、横井定利さんの「空つぽの香水のびん百二歳」が11点を集め最高。これに嵐田双歩さんの「水切りの石の眩しき五月かな」が10点で続き、8点句に加藤明生さんの「ジーンズの似合ふ少女や風五月」が入った。

7点句には「就職の次女のアパート風五月 芳之」と「さん付けで妻呼ぶ朝の新樹光 反平」が、6点句に「薫風や港見下ろす風見鶏 水馬」と「初鰹皿は小鹿田(おんた)の飛び鉋 双歩」がそれぞれ並んだ。このほか5点2句、4点7句、3点11句、2点21句、1点38句で、八割近い句に点が入った。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「五月」

水切りの石の眩しき五月かな     嵐田 双歩

ジーンズの似合ふ少女や風五月    加藤 明生

就職の次女のアパート風五月     旙山 芳之

匂ひ立つ故郷の五月笹だんご     大倉悌志郎

烏賊刺に生姜醤油の五月かな     今泉 而云

風五月つるりと光る椿の葉      澤井 二堂

五月来て青き葉擦れの渡りけり    水口 弥生

連休が明けて五月は元の顔      杉山 三薬

風五月空き家の貝塚伊吹かな     廣上 正市

「風薫る」

薫風や港見下ろす風見鶏       谷川 水馬

薫風や一羽の飛べば一羽追ひ     大下 綾子

薫風に空飛ぶ菩薩平等院       久保田 操

風薫る庭のパーティー三家族     堤 てる夫

掃き立ての団地緑道風薫る      旙山 芳之

「当季雑詠」

空つぽの香水のびん百二歳      横井 定利

さん付けで妻呼ぶ朝の新樹光     大沢 反平

初鰹皿は小鹿田(おんた)の飛び鉋  嵐田 双歩

蹴りあげたボールの向こう夏の雲   岡田 鷹洋

叱られて漕ぐぶらんこの空にじむ   大倉悌志郎

夏祭寄り眼で笑ふ狐面        谷川 水馬

行李から緋鯉目をむく五月晴れ    中沢 豆乳

自転車で来て緑陰の読書かな     今泉 而云

吊革に白き腕の薄暑かな       髙石 昌魚

堰上げや水路田毎に生き返る     堤 てる夫

紫陽花を描くパレット万華鏡     中沢 豆乳

空豆を噛めば故郷の野山見ゆ     中村 迷哲

振り返りなほ振り返る桐の花     廣上 正市

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高井百子、髙石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、水口弥生。(投句参加)岩田三代、植村博明、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、政本理恵、向井ゆり、横井定利。      (報告・中村迷哲)

 

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酔吟会第140回例会

令和元年の初例会、「麦秋」「雹」を詠む

水牛さん、最高の四点二句、三点一句

酔吟会は5月11日(土)午後1時から、令和の初句会(通算140回)を東京・内神田の日経広告研究所(MIFビル)で開催した。出席17人、投句参加3人、兼題は「麦秋(ばくしゅう)」「雹(ひょう)」で、5句投句、7句選で句会を進めた。その結果、最高の4点に6句が並び、この内2句が大澤水牛さんの作。続く3点句は7句で、うち水牛作が1句あり、酔吟会の令和は「水牛デー」でスタートした感じ。2点句は16句、1点句は34句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「麦秋」

麦秋の野に大の字のずる休み      大澤 水牛

麦秋や白黒がよし小津映画       片野 涸魚

陽に浮かぶゴッホの髭や麦の秋     久保田 操

道草を今日も叱られ麦の秋       谷川 水馬

麦秋や満蒙帰国開拓地         玉田春陽子

「雹」

木々の葉を雹打ち鳴らしパーカッション 藤野十三妹

雹過ぎて行くや酒場の安普請      今泉 而云

「雑詠」

メーデーを茄子苗植うる日と決める   大澤 水牛

母の日や電話に妻の晴れやかさ     大沢 反平

句会果てて野の花残る夏座敷      廣田 可升

薫風のひと日江東橋めぐり       大澤 水牛

ホームレスの顔彫り深し木下闇     廣田 可升

えごの花陽の暮れのこる跨線橋     星川 水兎

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井ゆり。(投句参加)澤井二堂、星川水兎、藤野十三妹。

(まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第161回例会

旧中川沿い吟行及び廣田可升亭句会

初めての席題方式で「立夏」と「橋」を詠む

双歩、木葉、水兎、5点句でトップを分ける

 

元号が平成から令和に改まった初回の番町喜楽会第161回例会は、10連休最後の一日、令和元年5月6日(月)に開催した。振替休日に当たりいつもの九段下・生涯学習館が閉館、一時は例会中止の案がだされたが、廣田可升さんのご好意により、江東区旧中川沿いの吟行と廣田可升亭を会場とした吟行句会を開催することができた。

午前十時、都営新宿線東大島駅大島口に15名が集合。亭主可升が席題「立夏」「橋」を発表、いよいよ江戸の歴史をたどる吟行がスタート。まずは江戸の水運の玄関口に置かれた関所、中川船番所跡に出来た資料館を訪問、キュレーターから当時の江戸湾、荒川、中川、そして隅田川に繋がる小名木川の様子などを聞いた。その後は川の駅で水陸両用バス「スカイダック」が水しぶきを上げて川に飛び込む情景を見物、小松川公園を経由して旧中川沿いをふれあい橋まで、土手に群れ咲く晩春初夏の野の草花を愛でつつ吟行した。凡そ一万歩強の散策後、廣田可升亭で昼食、句会を始めた。

投句3句、選句5句で句会を行った結果、嵐田双歩さんの「大橋を三つ並べて夏の川」、徳永木葉さんの「水陸車上がるしぶきも夏の入り」、星川水兎さんの「野の花を摘んで立夏の川の道」の3句が5点でトップに輝いた。以下、4点句が3句、3点句が6句、2点句が7句、1点句が16句という結果だった。席題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立夏」

水陸車上がるしぶきも夏の入り      徳永 木葉

野の花を摘んで立夏の川の道       星川 水兎

水滑るオールの先に夏来る        嵐田 双歩

一人乗り蛇行カヌーの立夏かな      堤 てる夫

逆上る立夏の潮や小名木川        今泉 而云

駅出て青龍像の立夏かな         玉田春陽子

「橋」

大橋を三つ並べて夏の川         嵐田 双歩

夏帽子飛んで追いかけ亀小橋       星川 水兎

初夏のふれあい橋でおり返す       高井 百子

「雑詠」

川またぐ駅は五月の川の駅        田中 白山

薫風や江東江戸川くまたがり       大澤 水牛

連休は父の子守や初夏の風        高井 百子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、澤井二堂、高井百子、田中白山、

谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、

星川水兎、前島幻水、山口斗詩子(以上15名)    (報告・谷川水馬)

 

 

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