日経俳句会第225回例会

 

初句会、「息白し」と「羽子板」に37人から投句

光迷句「二刀流と八冠」が最高7点

日経俳句会は令和6年の初句会(通算225回)を1月17日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。寒波で外出を控えた人もいて、出席は11人にとどまったが高点句が相次ぎ、熱気のこもった句会となった。兼題は「息白し」と「羽子板」。37人から109句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、須藤光迷さんの「羽子板に二刀流をり八冠も」が最高7点を獲得した。二席6点には今泉而云さんの「走り来て子ら告げ口の息白し」をはじめ、高井百子さん「寸止めの決まりし杖や息白し」、金田青水さん「羽子板は生れ変りて猫の墓」、大澤水牛さん「菜園の白菜太り寒に入る」、中村迷哲さん「ぼけ封じ互ひに願ふ冬温し」の5句が並んだ。さらに三席5点には徳永木葉、迷哲、而云、植村方円、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬の7氏7句が入る活況。以下、4点6句、3点10句と続き、高点句が29句にのぼった。そのほかは2点18句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「息白し」

走り来て子ら告げ口の息白し             今泉 而云

寸止めの決まりし杖や息白し             高井 百子

息白く始発待つ人みな無言              徳永 木葉

揺れる地や息白き人立ち尽くす            中村 迷哲

絵馬に書く志望校名息白し              嵐田 双歩

能登に雪雪よりもなお息白し             澤井 二堂

托鉢の四条大橋息白し                谷川 水馬

野の鳥に何かを言へば息白し             中嶋 阿猿

白ら息を見ること稀に温暖化             大澤 水牛

息白し厚着足踏み始発待ち              篠田  朗

「羽子板」

羽子板に二刀流をり八冠も              須藤 光迷

羽子板は生れ変りて猫の墓              金田 青水

羽子板や娘は栄転の支店長              今泉 而云

羽子板や裏を表に変えた絵師             植村 方円

羽子板の大谷・藤井・えびす様            加藤 明生

大谷の羽子板買うてもんじゃ焼            谷川 水馬

色褪せし羽子板二枚捨てられず            中村 迷哲

羽子板と睦みて姉妹八十路かな            水口 弥生

当季雑詠

菜園の白菜太り寒に入る               大澤 水牛

ぼけ封じ互ひに願ふ冬温し              中村 迷哲

不都合は補聴器のせい日向ぼこ            岡田 鷹洋

ベランダのセリを加えて七草粥            澤井 二堂

火の用心目白御殿の今むかし             杉山 三薬

むさぼらず我欲捨てよと初神籤            中沢 豆乳

元日に言葉失う大地震                旙山 芳之

冬晴れや龍翔ぶジェットコースター          岩田 三代

大吉に心も弾む初みくじ               久保田 操

三日はや朝食パンにハムエッグ            須藤 光迷

いつのまに目を覚ましてや庭水仙           中嶋 阿猿

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、池村実千代、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加26人】今泉而云、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生。

(報告 中村迷哲)

 

 

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