酔吟会第165回例会

13人が深川・芭蕉記念館で「芭蕉忌」と席題「銭」詠む

酔吟会は11月11日(土)、令和5年6回目となる句会(通算165回)を江東区・深川の芭蕉記念館で開いた。席題は須藤光迷さんから提示された「銭」。兼題は、芭蕉記念館で行う句会にふさわしいと、大澤水牛さんからあらかじめ提示された「芭蕉忌」だった。参加者は、席題、兼題、雑詠合せて5句を投句。選句は、その日一番と思う句を特選句(3点)として加え、計6句選とした。この日の参加者は13名。このところ続いた異常気象の夏日とは打って変わって北風が吹く寒い日となったが、黒板に席題「銭」が張り出されると、参加者は即座に作句に入り、午後1時半句会開始となった。投句合計64句で進めた結果、玉田春陽子さんの「行く雲も風も過客よ翁の忌」が最高8点を獲得、2票の特選が付いた。二席6点は廣田可升さんの「時雨忌や橋のたもとの由緒書」で、これにも2票の特選付き。続く三席は特選各1票の計5点が2句で、春陽子さん「神の旅成層圏はいつも晴」と須藤光迷さん「小春日や戦火の絶えぬ星なれど」が並んだ。合評会は4点5句、3点8句を含めて行い、午後四時三十分に散会となった。次回の「席題」選定者は、くじ引きの結果高井百子さん。兼題・席題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「芭蕉忌」

行く雲も風も過客よ翁の忌             玉田春陽子

時雨忌や橋のたもとの由緒書            廣田 可升

まづたのむ熱燗二本翁の忌             嵐田 双歩

芭蕉忌や佐渡には多き能舞台            須藤 光迷

芭蕉忌やその道行くもやぶのなか          久保 道子

芭蕉忌を芭蕉庵で詠むてれもせず          杉山 三薬

大川は風の通ひ路翁の忌              谷川 水馬

「銭」

小銭交換五十枚迄冬ざるる             大澤 水牛

甦る銭形平次夜鷹蕎麦               金田 青水

銭湯を出て振り仰ぐ冬の虹             金田 青水

銭函という駅過ぎぬ夕時雨             須藤 光迷

銭惜しみ熊手は小振り酉の市            廣田 可升

「当季雑詠」

小春日や戦火の絶えぬ星なれど           須藤 光迷

神の旅成層圏はいつも晴              玉田春陽子

酉の市はぐれて熊手道しるべ            岡田 鷹洋

竹の花消えて朽ち行く暮の秋            高井 百子

冬あさし片足立ちを二十秒             玉田春陽子

【参加者13人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田靑水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、向井愉里。 (報告 高井百子)

 

 

 

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