日経俳句会第215回例会

水兎句「糸三つ葉」が最高7点、二席に水牛・双歩・木葉句

初句会に38人から112句の投句

日経俳句会は令和5年の初句会(通算215回)を1月18日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。大寒間近で風邪を引いた人もいて出席は14人だったが、高点句が相次ぎ、寒さを忘れる句会となった。兼題は「雑煮」と「左義長」。38人から112句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、星川水兎さんの「糸三つ葉ゆるりと結ぶ雑煮椀」が最高7点を得た。二席6点には大澤水牛さんの「日は既に青空にあり雑煮膳」と嵐田双歩さん「左義長や火の粉に混じる一等星」、徳永木葉さん「初みくじ裏を返せば英字版」の3句が並んだ。三席5点には植村方円さんの「この顔を五十年見て雑煮食ふ」をはじめ9句が入る盛況だった。以下、4点6句、3点11句と続き、高点句が30句にのぼった。そのほかは2点18句、1点30句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「雑煮」

糸三つ葉ゆるりと結ぶ雑煮椀             星川 水兎

日は既に青空にあり雑煮膳              大澤 水牛

この顔を五十年見て雑煮食ふ             植村 方円

観戦の合間につくる雑煮かな             中嶋 阿猿

一口の小さき雑煮に老母(はは)の笑み         岩田 三代

焼餅がぷつと息吐く雑煮椀              水口 弥生

今年また雑煮の朝も妻癒えず             大沢 反平

焼き鯊は父のこだわり雑煮出汁            中村 迷哲

雑煮喰う数競い合う子沢山              横井 定利

「左義長」

左義長や火の粉に混じる一等星            嵐田 双歩

浜風にちぎれ飛ぶ火やどんど焼            大下 明古

左義長の火の粉に人の輪の崩れ            須藤 光迷

縄文の遺伝子目覚むどんど焼             中村 迷哲

左義長の残り火で焼く蜜柑かな            中嶋 阿猿

竹の香の振舞い酒やどんどの火            廣上 正市

どんど焼き見つめる子らの瞳燃ゆ           久保田 操

どんど焼き縁起達磨も火達磨に            杉山 三薬

左義長やコロナ払いの願い込め            堤 てる夫

左義長やどんどと燃やせ過ぎし日を          藤野十三妹

 

「当季雑詠」

初みくじ裏を返せば英字版              徳永 木葉

転ぶなよ分ってるわよ今朝の霜            岡田 鷹洋

警策の硬き響きや寒の寺               中村 迷哲

「酌みたし」のくせ字ゆかしき賀状かな        廣上 正市

蝋梅や肌のぬくみの帯を解く             星川 水兎

野を走る一輛なれど初電車              加藤 明生

転寝(うたたね)や夕刊の来ぬ三が日          須藤 光迷

不機嫌が障子ぴしりと閉めにけり           嵐田 双歩

冬晴れやこの大窓のこの青さ             大沢 反平

寒風よここまでおいで大江戸線            杉山 三薬

七日粥食ひて治まる妻の咳              谷川 水馬

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、澤井二堂、篠田朗、鈴木雀九、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加24人】池村実千代、伊藤健史、大沢反平、大下明古、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

 

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