日経俳句会令和4年2月例会

またまたメール句会、38人投句

阿猿さんの「金平糖」が一席、双歩さん「嫁が来た」が二席

日経俳句会の令和4年2月例会(通算206回)は、今年初のメール句会となった。オミクロン株の感染拡大は凄まじく、あっという間に全国で10万人を超えた。新たな会場を確保して開催の予定だったが、〝安心、安全〟を考慮してメール句会とした。とはいえ、みなさんの創作意欲は高く、38人から113句が集まった。兼題は「春暁」と「耕」。2月16日締切で5句選の結果、中嶋阿猿さんの「春きざす金平糖の甘さほど」が9点で一席、嵐田双歩さんの「春耕や一人息子に嫁が来た」が8点で二席だった。三席は高井百子さんの7点句「春暁や鉄路点検影二つ」が続いた。以下、5点8句、4点8句、3点5句、2点21句、1点32句だった。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。なお、今月から流合研士郎さんは「水澄(すいちょう)」の俳号を名乗る。「流れが合うところ、水澄めり」の意で、水牛さん命名とか。

「春暁」

春暁や鉄路点検影二つ         高井 百子

春暁や竹林なにか生む気配       徳永 木葉

春暁の浜より夫婦出漁す        中村 迷哲

春暁を纏いて看護師入室す       深田森太郎

春暁や東に向かふ寝台車        植村 方円

釣宿にぽっと明かりのつく春暁     杉山 三薬

春暁の闇を染め上ぐ水平線       久保田 操

春暁や腹式呼吸して二度寝       大下 明古

春暁や厨の妻の小さき声        髙石 昌魚

春暁や二人の一日始まりぬ       横井 定利

「耕」

春耕や一人息子に嫁が来た       嵐田 双歩

二人して拝むが如く耕せり       植村 方円

耕して耕し続け日の暮るる       流合 水澄

耕や起こした螻蛄に土着せて      谷川 水馬

海と空つなぐ棚田を耕せり       中村 迷哲

耕せる小さきベランダ小さき鉢     星川 水兎

「当季雑詠」

春きざす金平糖の甘さほど       中嶋 阿猿

眼鏡掛け眼鏡を探す朧月        久保田 操

胸薄き少女マネキン春を着る      中沢 豆乳

名残り日を病夫生き抜き春の雪     藤野十三妹

雪解けに男ぶり良し武甲山       岡田 鷹洋

春一番また暴れ出す癌細胞       須藤 光迷

会ふたびの阿修羅の眉に春愁ひ     水口 弥生

父母逝きて天井裏に雛の箱       岩田 三代

《参加者38人》嵐田双歩、池村実千代、伊藤健史、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、深田森太郎、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井愉里、横井定利。 (報告 嵐田双歩)

 

 

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