日経俳句会令和3年度下期合同句会

22人出席し賑やかに年納め

一席10点は「息災」迷哲句、「検査」正市句が二席9点

日経俳句会は12月15日(水)、令和3年度下期合同句会を内神田の日経広告研究所会議室で開催した。別の会場を使った昨年の合同句会当日の全国感染者数は2431人。一方、この日は175人という激減ぶり。オミクロン株の広がりは気になるものの、22人が出席し賑やかな納めの句会となった。兼題は「冬の日」。40人から118句の投句があり、5句選の事前選句の結果、中村迷哲さんの「息災の二文字の重さ年暮るる」が10点獲得で第一席。二席は廣上正市さんの「番号で呼ばるる検査冬の雨」が9点で続き、三席は玉田春陽子さんの「冬の日のぬくみを膝に靴磨き」と嵐田双歩さんの「日記買ふ良い事ばかり書きたくて」が8点で並んだ。以下、6点2句、5点3句、4点6句、3点14句、2点12句、1点38句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冬の日」

冬の日のぬくみを膝に靴磨き          玉田春陽子

冬の日の動物園は尻ばかり           廣田 可升

冬の日の縁側祖父と七並べ           中村 迷哲

冬の日や眠り続ける猫八歳           高井 百子

公園は雀ばかりの冬日向            今泉 而云

冬の日の輪郭線の濃き並木           大下 明古

冬の日や山並み越しの富士白し         篠田  朗

冬の日や虎の鼻梁を描きあぐね         須藤 光迷

冬の日を向かふのビルが捉ふ刻         髙橋ヲブラダ

冬の日や賽の河原の石の音           谷川 水馬

当季雑詠

息災の二文字の重さ年暮るる          中村 迷哲

番号で呼ばるる検査冬の雨           廣上 正市

日記買ふ良い事ばかり書きたくて        嵐田 双歩

何センチ髪を切ろうか冬日和          大平 睦子

不意をつく何も語らぬ喪の葉書         植村 方円

先生の卒寿の冬や我ら喜寿           澤井 二堂

気嵐や立山遠く朝焼ける            岩田 三代

教室にストーブ弁当匂ひ出す          金田 青水

暗闇にマスクが並ぶロードショー        深田森太郎

冬山河パールハーバー八十年          堤 てる夫

焼芋や女系家族のケセラセラ          向井 ゆり

太ももの静脈青き柚子湯かな          嵐田 双歩

枯れ蓮は幾何学模様夕日さす          岩田 三代

もの枯れの中にかがやく鷹の爪         大澤 水牛

寛解の兄と海老重年流る            岡田 鷹洋

かたづかぬままの人生煤払           玉田春陽子

吊革に無賃乗車や冬の蠅            玉田春陽子

暖色の白もあるのだ蕪煮る           中嶋 阿猿

十二月パンタグラフの火花散る         星川 水兎

《参加者》【出席22人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、荻野雅史、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。【投句参加18人】和泉田守、大沢反平、大下明古、大平睦子、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、篠田朗、須藤光迷、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、中沢豆乳、中嶋阿猿、深田森太郎、藤野十三妹。

(報告 嵐田双歩)

 

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