日経俳句会第197回例会

3カ月連続でメール句会、「陽炎」「蛙」を詠む

日経俳句会の令和3年3月例会(通算197回)は、緊急事態宣言の延長に伴い3カ月連続のメール句会となった。兼題は「陽炎」と「蛙」。35人から105句の投句があり、5句選の結果、大沢反平さんの「久々に妻笑ひけり桜餅」が最高8点に輝いた。二席7点には嵐田双歩さんの「昼蛙次の札所へ誘へり」と水口弥生さんの「灯を消せば俄かに近く蛙聞く」が並び、三席6点には大澤水牛さんの「横浜にまだ田舎あり昼蛙」と杉山三薬さんの「行く春に車と免許手放せり」が入った。このほか5点2句、4点7句、3点12句と高点句が26句に及び、2点21句、1点20句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「陽炎」

陽炎や二輪エンジン機嫌よし           岡田 鷹洋

突堤に釣り人二人陽炎へる            岩田 三代

整へし畝くろぐろと陽炎ひぬ           大澤 水牛

母の椅子押し行く庭の陽炎へり          中村 迷哲

この辺り太古は海やかげろへる          廣上 正市

海よ凪ぐ3・11の陽炎へる           水口 弥生

かぎろへる浅瀬を渡る水牛車           嵐田 双歩

陽炎やスコアボードの点変はる          大下 明古

陽炎やジャンボ機やつと離陸せり         加藤 明生

「蛙」

昼蛙次の札所へ誘へり              嵐田 双歩

灯を消せば俄かに近く蛙聞く           水口 弥生

横浜にまだ田舎あり昼蛙             大澤 水牛

婆さんの連弾の技春の風             池村実千代

黙々と給食の子ら蛙鳴く             杉山 三薬

小蛙の金環の目に見つめられ           今泉 而云

戯画なれど国宝ですと蛙言ふ           堤 てる夫

初蛙理科の教師の白衣より            徳永 木葉

「当季雑詠」

久々に妻笑ひけり桜餅              大沢 反平

行く春に車と免許手放せり            杉山 三薬

蒲公英やくるくる回る立ち話           嵐田 双歩

春異動送別の辞もオンライン           荻野 雅史

ワクチンを打つも打たぬも四月馬鹿        須藤 光迷

春の風十年前の癌手術              髙橋ヲブラダ

川沿いの子供マラソン花菜風           中村 迷哲

剪定の音のいろいろ暖かし            水口 弥生

焼夷弾降りし深川花を待つ            横井 定利

《参加者三十五人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 中村迷哲)

 

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