英尾先生墓参桜吟行

日経俳句会は4月15日(日)、村田英尾先生の墓参と多摩森林科学園の桜保存林吟行を開催した。徳永正裕さんが幹事役を引き受け、嵐田啓明、今泉恂之介、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、高瀬大虫、田中頼子、廣上正市の計10人の顔ぶれとなった。

平成17年3月2日に英尾先生が亡くなってからもう満7年が過ぎた。先生が基礎を固めて下さった日経俳句会は順調に発展し続けている。毎年、有志が申し合わせて高尾の都立八王子霊園にある村田家の墓にお参りし、俳句会のことを報告しているのだが、これも今やすっかり年中行事の一つとして定着した。

この日は前日の嵐のような吹き降りが嘘のように晴れ上がり、絶好の墓参吟行日和となった。桜吹雪の下、田中頼子(蓮誓)さんの読経に一同唱和、お祈りを捧げた。

この後、歩いて多摩森林科学園へ。上天気の日曜とあって、例年に無い混雑で桜保存林の山道は人が切れ目無く続く。今年は冬が寒く、春になっても寒い日が続いたため、桜の開花がすっかり遅れ、この山の春も昨年に比べると約二週間ずれているようだ。去年は今年とほぼ同じ4月16日に来たのだが、その時は既にすっかり葉桜になっていたソメイヨシノが、今年はちょうど満開だった。その換わり、去年は賑やかに咲いていた普賢象、御車返しなどの八重桜がまだ蕾のまま。もちろん鬱金や御衣黄といった遅咲きの黄花、緑花の蕾は固い。

桜山のてっぺん近くに自然木のベンチを半円形に並べた昼食場所があるが、今年はここも満員。一同、空いているところに潜り込み、弁当を広げた。

句会はこれまた恒例のメールでのやり取り。徳永幹事のもとに各自3句送信、それがまとめられた選句表が幹事から配信されると、天地人と入選の計4句を選びコメントをつけて幹事に送り返す方式。その結果、最高点は今泉恂之介さんの「歓声のまた来ては去る花吹雪」の14点、次席は嵐田啓明さんの「懐かしき人の笑顔や春キャベツ」の12点、廣上正市さんの「振り返る染井吉野でありしかな」の10点だった。参加者の代表句は以下の通り。

懐かしき人の笑顔や春キャベツ   嵐田 啓明

歓声のまた来ては去る花吹雪    今泉恂之介

猪のはしゃぎし跡も花の下     大澤 水牛

さんざめく山路に床し豆桜     岡田 臣弘

暖かきさくら日和や師の心     澤井 二堂

十念を唱え戻るや花馬酔木     鈴木 好夫

いずれはと眺む墓石に花の散る   高瀬 大虫

谷越えてなほも飛びゆく落花かな  田中 頼子

酒なくば花の雅名にて酔はん    徳永 正裕

振り返る染井吉野でありしかな   廣上 正市

 

 

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水木会第108回例会

水木会は4月18日(水)午後6時30分から東京・大手町の日経本社7階会議室で、平成24年度第4回例会(通算108回)を開いた。「朧(おぼろ)」「花疲れ」が兼題のこの日、出席者は13人といつになく小人数だったのは、春たけなわの陽気のせいだったか。欠席投句者が12人居たため、投句総数は123句となり、いつもと変わらぬレベルだった。

出席者が少ないために7句選句とし、メール選句(6句選)を加えた結果、最高得票は7点で、星川佳子さんの「花疲れ唄のやうなる欠伸かな」の1句。前週の番町喜楽会で7点句、6点句と高点句を連発した佳子さん、週をまたいで話題を作った。次席は金田青水さんの「老木のそつと息する朧かな」の6点句。三席は5点句で「朧夜の汽笛こぼるる鉄路かな 嵐田啓明」「それではと別れてひとり花疲れ 植村博明」「仏壇に香り放つや春苺 久保田操」の3句が並んだ。続いて4点4句、3点11句と高点句が多め、2点16句、1点29句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「朧(おぼろ)」

老木のそつと息する朧かな         金田 青水

朧夜の汽笛こぼるる鉄路かな        嵐田 啓明

ぽつぽつと語ることあり朧月        高橋  淳

ゆくりなく向き合ふ告知朧にて       吉野 光久

花街のことに小路の朧かな         今泉恂之介

草朧信濃に多き道祖神           大澤 水牛

ママチャリがタマネギ落とす朧かな     杉山 智宥

亡き人と行き逢ひさうな朧の夜       徳永 正裕

大川もスカイツリーも朧にて        直井  正

見えぬ手に誘はれ歩く朧かな        山田 明美

「花疲れ」

花疲れ唄のやうなる欠伸かな        星川 佳子

それではと別れてひとり花疲れ       植村 博明

副菜で足るる夕餉や花疲れ         大下 綾子

花疲れ駅まで長き商店街          杉山 智宥

花疲れ連れの手探るバスの席        水口 弥生

花疲れなじみの宿に帯を解く        水口 弥生

「雑詠」

仏壇に香り放つや春苺           久保田 操

花の名を言ひつつひと山巡りけり      廣上 正市

堀の水二色にわけて花筏          星川 佳子

らんまんの春をへだてる窓一枚       吉野 光久

参加(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、廣上正市、星川佳子、水口弥生(投句参加)大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、杉山智宥、高橋淳、直井正、藤野十三妹、山田明美、横井定利、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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第79回番町喜楽会例会

番町喜楽会は4月14日(土)午後1時から千代田区五番町の「鮨之家」で、第79回例会を開いた。定例会場としている「九段生涯学習館」の手当てが付かなかったため、句会後の懇親会場に使うことが多い寿司屋での例会となった。春驟雨をついての出席者は17人で、大広間を細長く仕切った一角、掘り炬燵式のテーブルをぐるりと囲んで一杯いっぱい。職務繁多で1年ほどご無沙汰だった和田沙羅さんがこの輪に加わった。

兼題は「木の芽和(きのめあえ)」と「鰆(さわら)」で、事前投句方式で用意された選句表に登載されたのは90句。6句選句の結果、最高は「襟足にほくろ見つける花衣」の7点句。「いやですね、男のひとは」など声高な講評が飛び交ったが、作者は星川佳子さん。その星川さんが「上へ上へ桜散るなりビル谷間」の句で次席6点、すっかり賑やかな席となった。3席は5点で笹本塘外さんの「箸先になほ春の香や木の芽和」と、玉田春陽子さんの「壁際に手酌の男木の芽和」の2句。

続く4点は5句、3点5句で次の通り。

「4点句」

客途切れ陶芸展の日永かな      大澤 水牛

刀紋の凄み背負ひし鰆かな      谷川 水馬

歳月を語らふ夫婦木の芽和      徳永 正裕

木の芽和え船宿に雨あがりたる    野見山恵子

水打つて斑の際立てり銀鰆      野見山恵子

「3点句」

初蝶や聖アンデレのミサの鐘     大澤 水牛

定食屋鰆味噌漬け酒一合       高橋 楓子

品書きのいの一番の鰆かな      玉田春陽子

魚久の鰆到来酒支度         徳永 正裕

鰆焼く隣の猫と眼が合ひぬ      星川 佳子

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、岩沢克恵、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、野見山恵子、星川佳子、前島巌水(投句参加)加沼鬼一、高橋楓子(選句のみ参加)和田沙羅

(まとめ・堤てる夫)

 

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銀鴎会第81回例会

4月11日(水)午後6時半から東京・大手町の日経ビル会議室で第81回銀鴎会例会が開かれた。出席者は井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、久保田操、佐々木碩、澤井二堂、高石昌魚、田中頼子、直井正、野田冷峰、廣上正市の12名。大沢反平、金田青水、須藤光迷、高瀬大虫、藤野十三妹の5名が投句参加した。

この日の兼題は「麗らか」と「木ノ芽和」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は5点で、「うららかや河馬の歯みがく動物園 悌志郎」「ガン告知されて見上げる夕桜 光迷」の二句だった。次いで4点が4句、3点4句、2点17句、1点27句と続いた。兼題別に3点以上獲得句を掲載する。

「麗らか」

うららかや河馬の歯みがく動物園   大倉悌志郎

身を引くと決めて麗らか古希の朝   野田 冷峰

うららかや新書片手にまどろめり   須藤 光迷

うららかや網干す浜にトンビ鳴く   久保田 操

「躑躅」

共にゐて向きそれぞれの躑躅かな   野田 冷峰

丘ひとつ埋め尽くしけり大躑躅    井上庄一郎

揺るぎなきものに従ひ躑躅咲く    野田 冷峰

けもの道抜けて絶壁岩つつじ     廣上 正市

「雑詠」

ガン告知されて見上げる夕桜     須藤 光迷

春耕の一人となりて風掴む      廣上 正市

 

 

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水木会第107回例会

水木会の平成24年度第3回例会(通算107回)は3月21日(水)午後6時半、日経本社7階会議室で開かれた。闘病中の山口詩朗さんが14日に急逝、この句会に早速四句の追悼句があった。そのうちの2句が大澤水牛さんの作品で、一つはこの日最高の9点を集めた「飯粒ぽろぽろ熱弁詩朗卒業す」であった。もう一句は「梅が香に乗りて好漢逝きにけり」の4点句。春には冷たい日和の通夜・葬儀、週が明けての句会は詩朗さんを悼む空気が溢れた。

兼題は「春眠」と「卒業」で、水牛さんの9点句に次いで、次席は佐々木碩さんの「春眠や足の先まで日曜日」が7点句。続く6点は、今村聖子さんの「みちのくに生きると決めて卒業歌」、植村博明さんの「卒業の寄せ書きにあるわがくせ字」の2句。次いで5点句が横井定利さんの「知らぬ子が会釈していく卒業期」、須藤光迷さんの「菜の花の海をゆるゆる乳母車」、徳永正裕さんの「バリバリと春キャベツ喰む身重かな」の3句が並んだ。

以下4点3句、3点9句、2点24句、1点25句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春眠」

春眠や足の先まで日曜日        佐々木 碩

春眠の起きなくてよい寂しさよ     杉山 智宥

「卒業」

飯粒ぽろぽろ熱弁詩朗卒業す      大澤 水牛

みちのくに生きると決めて卒業歌    今村 聖子

卒業の寄せ書きにあるわがくせ字    植村 博明

知らぬ子が会釈して行く卒業期     横井 定利

「卒業」を見し映画館今はなく     大熊 万歩

卒業や古稀になりても同級生      金田 青水

待ち合わせ明日からはなし卒業日    高橋  淳

「雑詠」

菜の花の海をゆるゆる乳母車      須藤 光迷

バリバリと春キャベツ喰む身重かな   徳永 正裕

梅が香に乗りて好漢逝きにけり     大澤 水牛

沈丁花女の支度門で待つ        星川 佳子

島浮かべ鰆の海のまさをなる      吉野 光久

ながながと伸びする春の駄犬かな    嵐田 啓明

対岸に並ぶ釣り人風光る        今村 聖子

つくしんぼスカイツリーも仲間かな   大熊 万歩

墨堤の春の日統べて天空樹(スカイツリー)  吉野 光久

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句・選句参加)今村聖子、植村博明、大熊万歩、金田青水、久保田操、高橋淳、直井正、藤野十三妹、山田明美。(投句参加)小林豊彦、須藤光迷、吉野光久。  (まとめ・堤てる夫)

 

 

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山口詩朗さん逝去

NPO法人双牛舎理事で、日経俳句会、番町喜楽会会員の山口詩朗(本名志朗)さんが、3月14日未明、入院先の病院で胆管癌のため亡くなった。72歳だった。翌15日には練馬区春日町の愛染院会館で通夜、16日正午に告別式が行われた。葬儀には親戚縁者はもとより高校大学時代の友人、俳句の仲間など200人を越える参列者が詰めかけ詩朗さんの冥福を祈った。

詩朗さんは昭和37年、早稲田大学新聞学科を卒業、日本経済新聞に入社、東京編集局政治部を振り出しにジャーナリストの道を踏み出した。福井支局長はじめ支局勤務の後、大阪社会部、東京編集局資料部長などを経て日経事業出版社常務を務めた。

俳句を本格的に始めたのは、平成8年に発足した社会部OB中心の「酔吟会」に発足メンバーとして加わって以来。その後、日経俳句会の銀鴎会に参加、精力的に句作に励み、やがて水木会の例会にも出るようになった。番町喜楽会には平成17年8月に入会した。その旺盛な作句力と鋭い観察眼、批評精神を発揮し、句会を終始リードした。平成22年12月には「ひと電車待つ間のつるべ落としかな」の作品で第6回日経俳句会賞を受賞した。

 

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酔吟会第97回例会開催

酔吟会の平成24年度第2回例会(通算97回)が、3月10日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経第2別館で開かれた。

春は名のみの雨模様の寒い日であったこともあり、出席者は12人と少なく、投句参加者が5人になった。

出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、黒須烏幸、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟、吉野光久の各氏。投句参加は原文鶴、大石拍人、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子の5氏。

兼題は「春風」と「蛤」、投句は5句、選句7句で句会を行った。その結果、最高点は5点で「春風に柾目の下駄をおろしけり 柏人」の1句だった。次いで4点が4句、3点が4句、2点句が15句、1点句が20句と分散した。兼題別の3点以上獲得句は次の通り。

 

「春風」

春風に柾目の下駄をおろしけり    大石 拍人

春風や花になる芽と葉になる芽    大澤 水牛

春風や回らぬ舌の満二歳       徳永 正裕

 

「蛤」

大蛤の殻捨てがたし祝膳       徳永 正裕

はまぐりの値を聞いてゐるお婆さん  今泉恂之介

江の島ははまぐり汁の薄ぐもり    今泉恂之介

蛤鍋の湯気の香に沁む送別会     星川 佳子

 

「雑詠」

閏日やおまけのやうな雪が降る    金指 正風

飾り馬車春の駅より大使出づ     徳永 正裕

(まとめ澤井二堂)

 

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番町喜楽会第78回例会

番町喜楽会は3月5日(月)午後6時半から千代田区九段下の九段生涯学習会館3階学習室で、平成24年度第3回例会(通算78回)を開いた。梅の開花が遅れ気味の中、「東風(こち)」と「地虫穴を出づ(じむしあなをいづ)」がこの日の兼題。投句と選句表の事前配布方式にも慣れてきて、6句選句の披講が円滑に進んだ。投句数94句のうち最高点は高橋楓子さんの「亜麻色に髪染めてみむ雲雀東風」の6点句。次席は4点で3句あり、笹本塘外さんの「自動ドア開けばたちまち東風の街」、高井百子さんの「しくしくと疼く奥歯よ地虫出づ」、徳永正裕さんの「あるじなき娘の部屋の雛飾り」が並んだ。次いで3点句は10句がひしめいた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「東風」

亜麻色に髪染めてみむ雲雀東風        高橋 楓子

自動ドア開けばたちまち東風の街       笹本 塘外

東風の香や出稼ぎの父帰るころ        今泉 而雲

梅東風の今年は遅し港町           大澤 水牛

朝の東風絵馬の三千打ち鳴らす        玉田春陽子

夕東風や遠き岬に灯の点る          前島 巌水

 

「地虫穴を出づ」

しくしくと疼く奥歯よ地虫出づ        高井 百子

穴出でてふともの思ふ地虫かな        笹本 塘外

穴を出て蜥蜴まどろむ石の上         須藤 光迷

くしゃみする犬の鼻先地虫出づ        高橋 楓子

 

「雑詠」

あるじなき娘の部屋の雛飾り         徳永 正裕

肌寒といえど祝ぎ春ショール         岩沢 克恵

啓蟄や鼻毛を切つて家を出る         加沼 鬼一

カピバラの髭に湯の花春遅し         谷川 水馬

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、高井百子、山口詩朗 (まとめ 堤てる夫)

 

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第106回水木会例会

日経俳句会の水木会は2月15日(水)午後6時半から、東京・大手町の日経本社17階会議室で、平成24年度第2回例会(通算106回)を開いた。「春暁(しゅんぎょう)」と「パンジー」の兼題句を含めて5句投句、6句選句を事前に済ませるメール活用方式で実施した。

投句総数は149句で、水木会の例会としては過去最多を記録。欠席者のメール選句が拡がって出席者と合わせ都合28人が選句に参加した。故郷の新潟県弥彦村で米作に専念して来た小林豊彦さんが平成18年以来の復活投句で句会再登場を果たした。

最高は6点2句で、いずれも佐々木碩さんの「春暁や子馬誕生立ちあがる」と「パンジーやみんな先生大好きで」。次席5点は今村聖子さんの「パンジーやフランス窓を開け放ち」の1句。続く4点句は、「春暁や眠りこけたる鳩時計 大熊万歩」「春暁の座禅堂にて肩打たる 徳永正裕」「月光に匂ひあるらし春の宵 星川佳子」「パンジーを二鉢提げてバスの客 吉野光久」「浮くとなく流るるとなく春鴎 光久」の5句。以下3点11句、2点24句、1点41句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春暁」

春暁や子馬誕生立ちあがる        佐々木 碩

春暁や眠りこけたる鳩時計        大熊 万歩

春暁の座禅堂にて肩打たる        徳永 正裕

春暁のしづかな雨に目覚めけり      今村 聖子

春暁の鐘打つ僧の反り身かな       廣上 正市

春暁やブンと鳴り出す冷蔵庫       星川 佳子

春暁や波止場に残るテープ屑       山口 詩朗

春暁や横町の匂ひ始まりぬ        横井 定利

「パンジー」

パンジーやみんな先生大好きで      佐々木 碩

パンジーやフランス窓を開け放ち     今村 聖子

パンジーを二鉢提げてバスの客      吉野 光久

パンジーのほんの少しの匂ひかな     池村実千代

職退きてパンジーを見る朝となり     今泉恂之介

パンジーが四方八方向く日向       杉山 智宥

「雑詠」

月光に匂ひあるらし春の宵        星川 佳子

浮くとなく流るるとなく春鴎       吉野 光久

白き田に我が影伸びる寒の暮       小林 豊彦

梅の香や江ノ電停まる駅ごとに      山口 詩朗

忘れたい忘れたくない春が来た      横井 定利

 

参加者(出席) 嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、広上正市、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句・選句)今村聖子、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋淳、直井正、山口詩朗、山田明美、吉野光久(投句参加)小林啓子、小林豊彦、深田森太郎

(まとめ・堤てる夫)

 

 

 

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銀鴎会第80回例会

銀鴎会は2月8日(水)、日経本社718会議室で平成24年度第1回例会(通算80回)を開催した。この会から欠席投句者も選句に参加する方式がスタートし、2名がメールで参加した。

出席者は井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、佐々木碩、澤井二堂、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、直井正、廣上正市の12名。投句参加は金田青水、須藤光迷、田中頼子、野田冷峰、藤野十三妹、山口詩朗の6名で、総投句数は88句。選句6句で句会を進めた(金田、須藤両氏からメール選句あり)。

最高点は大沢反平さんの「行く末の見えざる日々や建国日」の8点、次いで澤井二堂さんの「地面から飛び出す色やクロッカス」、金田青水さんの「検診のあとは鶯餅ひとつ」など4点句が3句続いた。3点句は山口詩朗さんの「千代紙で箸置つくる紀元節」、大倉悌志郎さんの「クロッカスともに植ゑし子はや十五」など九句も出た。このほか、2点5句、1点が24句あった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「紀元節(建国日)」

行く末の見えざる日々や建国日    大沢 反平

千代紙で箸置きつくる紀元節     山口 詩朗

建国日乳房大きな土偶たちと     山口 詩朗

「クロッカス」

地面から飛び出す色やクロッカス   澤井 二堂

芝庭に色生れにけりクロッカス    今泉恂之介

小庭にも青空のありクロッカス    今泉恂之介

クロッカスともに植ゑし子はや十五  大倉悌志郎

不合格の子にはやさしきクロッカス  大澤 水牛

咲き継ぎて家族のやうにクロッカス  佐々木 碩

卓上にワイングラスやクロッカス   直井  正

クロッカス森の小人の集ひかな    直井  正

「雑詠」

検診のあとは鶯餅ひとつ       金田 青水

如月の淋しさ犬の腹撫でて      山口 詩朗

 

 

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