酔吟会第102回新年句会

酔吟会の平成25年度第1回例会(通算102回)は、1月5日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館会議室で開かれた。

新春最初の土曜日、しかも今年は寒さ厳しい日が続くせいか、出席者が9人と少なかった。しかし、会員の意欲は衰えておらず、7人からの投句があった。

出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、片野涸魚、金指正風、久保田操、澤井二堂、藤村詠悟、星川佳子の各氏。投句参加は大石拍人、岡田臣弘、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、藤野十三妹、吉野光久各氏。

兼題は「去年」と「冴ゆる」、投句はいつも通り5句だったが、選句は投句参加が多かったため9句とした。その結果、最高点は4点で5句、次いで3点が3句、2点が13句、1点が25句となった。兼題別の3点句以上の句は次の通り。

「去年」

うたた寝の大ぐい呑みに去年の酒        大澤 水牛

書き継ぎし三年手帳去年今年          徳永 正裕

「冴ゆる」

冴えわたる米寿の鳶の木遣歌          大澤 水牛

コロラドの万丈の谷月冴える          岡田 臣弘

冴ゆる夜のかくもしづかに妻とゐて       吉野 光久

「雑詠」

賀状書く友ふたり欠けみたり欠け        大澤 水牛

ふゆ晴れを飽かず見上げてひとりゐる      大沢 反平

女来てむんずと掴む福袋            吉野 光久

(まとめ・澤井二堂)

 

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日経俳句会平成24年忘年合同句会

日経俳句会の平成24年の句会活動を締めくくる「忘年合同句会」は12月18日の年次総会後に開催された。兼題「冬温し(ふゆぬくし)」「熊(くま)」の2句と雑詠1句の合計3句を投句、廣上幹事が作成した選句表を会員に送り返し、各人が5句選句して再び廣上幹事に送るという手順で事前に投句・選句を進め、忘年句会そのものは幹事による選句結果の発表で始まった。

最高の9点は杉山智宥さんの「居眠りを眺め居眠り冬温し」だった。次席は7点で、このところ自宅から投句を続けてきた金田青水さんが久しぶりに元気な姿を見せ「極月やどしんと棄てる文庫本」で存在感を発揮した。三席は6点句で、田中頼子さんの「縁談のひとつ起こりて冬ぬくし」と、徳永正裕さんの「詰め合ふて座る都電や冬ぬくし」の2句。続く4点は7句、3点が14句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬温し」

居眠りを眺め居眠り冬温し     杉山 智宥

縁談のひとつ起こりて冬ぬくし   田中 頼子

詰め合ふて座る都電や冬ぬくし   徳永 正裕

冬温し柔らかきかな影法師     大熊 万歩

主治医よりやさしき言葉冬ぬくし  大倉悌志郎

岸壁に釣竿の列冬ぬくし      佐々木 碩

冬ぬくし窓辺に花鉢揃ひけり    廣上 正市

斬る真似と斬られる真似と冬温し  嵐田 啓明

母の家縁側ありて冬温し      今泉恂之介

冬ぬくし醤油の匂ふ渡し跡     大倉悌志郎

冬温し良寛のうた筆の跡      澤井 二堂

「熊」

マンモスの眠る山河や熊眠る    廣上 正市

痩せ熊が海を見ている飢餓半島   大沢 反平

轟音に母熊射手を見据えたり    岡田 臣弘

熊来たる柿をもげとて広報車    高瀬 大虫

着ぶくれて熊めいた人道に寝る   高橋  淳

大騒動主はなんとも小さき熊    杉山 智宥

山女熊除け付けて一列に      野田 冷峰

「雑詠」

極月やどしんと棄てる文庫本    金田 青水

ビルばかり大きくなりて年暮るる  片野 涸魚

風に飛ぶ声訊き返す雪の尾根    深田森太郎

縄暖簾出でて独りの時雨かな    今泉恂之介

師走選挙まじる廃品回収車     大澤 水牛

聖堂をあまねく満たす冬日かな   大下 綾子

透き通る空をほのかに枇杷の花   星川 佳子

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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日経俳句会年次総会・日経俳句会賞発表

日経俳句会は12月18日(火)午後6時、鎌倉橋交差点傍の日経第二別館で平成24年度年次総会を開催した。大澤水牛幹事長が年間を総括する活動報告とともに、平成25年度の活動方針として「例会活動、逆回り奥の細道吟行、英尾先生墓参・桜吟行など前年度並みの行事を実施する」などと説明した。また大平睦子幹事(会計担当)の「日経俳句会の財政は健全」とする報告を全会一致で承認した。

その後に行われた日経俳句会賞の贈賞式では、日経俳句会英尾賞を受けた藤村詠悟氏、日経俳句会賞の植村博明、大石柏人、金田青水、久保田操各氏に賞状と記念品が贈られた。また11月20日亡くなられた酔吟会創設者大留黄鶴氏に「特別賞」が贈呈された。選考委員の今泉恂之介幹事が「講評」を述べ、藤村氏をはじめ受賞者がこもごも受賞の喜びを語った。

平成24年度日経俳句会賞(第8回)受賞作品と受賞者

《日経俳句会英尾賞》

生り年の力まざまざ柿若葉      藤村 詠悟

《日経俳句会賞》

冬の日の赤子のぬくみもらひけり   植村 博明

九十九里風車悠々春動く       大石 柏人

検診のあとは鶯餅ひとつ       金田 青水

掻巻に日の匂ひあり夢に入る     久保田 操

《日経俳句会特別賞》

外泊を許されて見る草の丈      大留 黃鶴

(まとめ 堤てる夫)

 

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番町喜楽会・三四郎句会が合同句会開催

俳句振興NPO法人双牛舎傘下の「きょうだい句会」とも言うべき番町喜楽会と三四郎句会が12月1日(土)午後2時から千代田区五番町の「鮨乃家・市ヶ谷本店」で初の忘年懇親合同句会を開催した。三四郎句会は今泉而雲さんを中心に大学時代の柔道部仲間が主になって結成した句会で、年明けからメンバー全員が双牛舎会員となり新たな出発をする運びとなり、句会としては先輩の番町喜楽会メンバーとの顔合わせ句会を開いたもの。両句会のメンバー合わせて21人が参加し、投句参加含め27人から合計81句が寄せられた。

兼題は「年の暮(としのくれ)」と「帰り花(かえりばな)」で、兼題2句と当季雑詠1句の3句投句、5句選句で句会を進めた結果、最高は6点、河村有弘さんの「生命あり戻りし窓に帰り花」が「天賞」、賞品の大澤水牛作の大皿を獲得した。次席は5点で、石黒賢一さんの「しんしんと霜の降る夜の棚田かな」と、野田冷峰さんの「円空仏一切省略年の暮れ」の2句が「地賞」でやはり水牛さんの大皿を受けた。

続く4点は、岡本崇さんの「年の瀬や床屋で受くる蒸しタオル」、加沼鬼一さんの「見世棚に奇書掘り出しぬ年の暮れ」、須藤光迷さんの「年の瀬や鏡の我に父を見し」と「後継ぎのなき田畑なり帰り花」の2句、山口斗詩子さんの「主なき年は静かに暮にけり」と「こたつ入れ久方ぶりの正座かな」の2句、合計6句が並んだ。

3点句は、石黒賢一さんの「満月の青き光や年の暮」、井上啓一さんの「帰り花群青の空独りじめ」、今泉而雲さんの「枯蟷螂野末睨みて岩の上」、宇佐美論さんの「望郷の花と思へり帰り花」、大澤水牛さんの「年々の不精の山や年の暮」、岡本崇さんの「山城の日射し一手に帰り花」、高井百子さんの「年の暮れ老いの行く末定まらず」、田中白山さんの「野良猫の出てくるあたり帰り花」、野田冷峰さんの「再会の手の温もりや帰り花」と9句がひしめき合った。

参加者は番町喜楽会=今泉而雲、岩沢克恵、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、加沼鬼一、野田冷峰、山口斗詩子

三四郎句会=石黒賢一、印南進、岡本崇、河村有弘、竹居照芳、渡辺信(投句参加)宇佐美論、深瀬久敬

(まとめ・堤てる夫)

 

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日経俳句会第114回例会

日経俳句会は11月20日(火)午後6時半から神田・鎌倉橋交差点傍の日経第二別館(MIFビル)会議室で、平成24年第10回例会(通算114回)を開いた。兼題は「冬の日(ふゆのひ)」「落葉(おちば)」で、投句総数は180句とまた一段とふくらみ、もちろん新記録となった。7句選句で句会を進めた結果、最高は6点で、佐々木碩さんの「落葉道いつか独りになりし音」と、直井正さんの「落葉掃く身辺整理するごとく」の2句。

次席は5点で大澤水牛さんの「冬の日をあつめ壬生菜の叢立ちぬ」、大沢反平さんの「落葉踏むふいに故郷の音がする」、廣上正市さんの「手の中の手の柔らかや落葉踏む」、横井定利さんの「落葉踏む雀の足の小さきこと」、吉野光久さんの「冬の日を奥まで入れて山荘閉づ」と5句が並んだ。以下、4点8句、3点9句、2点11句、1点9句。

この日の例会に、春先から病気療養中だった吉野光久さんが8カ月ぶりに出席、「快気宣言」して盛んな拍手を浴びた。

兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「冬の日」

冬の日をあつめ壬生菜の叢たちぬ     大澤 水牛

冬の日を奥まで入れて山荘閉づ      吉野 光久

冬の日の赤子のぬくみもらひけり     植村 博明

冬の日やブーツのかかと勇ましき     植村 博明

心地良き冬日は淡く布団干し       大平 睦子

冬日暮れ街は切り絵のごとく黒      杉山 智宥

冬の日や終の住処を佐久平        堤 てる夫

ベンチごとに老人ひとり冬日向      大倉悌志郎

冬日向ワゴンセールの古書あまた     大下 綾子

冬の日に影も寄り添う老夫婦       流合研士郎

冬の日や贔屓の葦毛逃げ切れず      藤野十三妹

「落葉」

落葉道いつか独りになりし音       佐々木 碩

落葉掃く身辺整理するごとく       直井  正

落葉踏むふいに故郷の音がする      大沢 反平

手の中の手の柔らかや落葉踏む      廣上 正市

落葉踏む雀の足の小さきこと       横井 定利

またひと葉落葉の上へ落葉かな      嵐田 啓明

振り向いてみたき足音落葉踏む      吉野 光久

振り向けば気配の主は落葉かな      流合研士郎

からからと軽き落葉や心急く       水口 弥生

最後だね学園祭へ落ち葉踏む       村田 佳代

外苑の銀杏落葉を同封す         横井 定利

「雑詠」

リュックから荒巻の尾や御徒町      大澤 水牛

花八手橋の袂の珈琲店          大熊 万歩

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、直井正、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利、吉野光久(投句参加)植村博明、大石柏人、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、来間紘、高石昌魚、田中頼子、徳永正裕、野田冷峰、流合研士郎、藤野十三妹、村田佳代、山田明美

(まとめ・堤てる夫)

 

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酔吟会第101回例会

酔吟会の平成24年度第6回例会(通算101回)は、11月10日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館8階会議室で開かれた。

関東近郊は紅葉の見ごろで、旅行に出かける人も多かったせいか、出席者は10人と少なかったが、今回から日経俳句会の会員である久保田操さんが加わったことで、酔吟会は少し若返った雰囲気となった。

出席者は大澤水牛、大沢反平、片野涸魚、金指正風、久保田操、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、藤村詠悟。投句参加は今泉恂之介、岡田臣弘、吉野光久の3人。

兼題は「酉の市」と「塩鮭」、投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は四点で2句、3点が7句、2点10句、1点句21句となった。兼題別の3点以上の句は次の通り。

「酉の市」

夕空の果てに富士あり三の酉    今泉恂之介

今さらと思ひながらも熊手かな   大澤 水牛

年金で今年も小さき熊手買ふ    澤井 二堂

歯切れよし半纏茶髪の熊手売    岡田 臣弘

「塩鮭」

塩鮭のあはれ見得切る面構へ    吉野 光久

イケメンの世に塩鮭の面構え    金指 正風

塩鮭になほ塩振って老いを知る   大沢 反平

「雑詠」

行く秋や快気祝いの酔あさく    吉野 光久

河豚ちりや雑炊までのもう一本   堤 てる夫

(まとめ・澤井二堂)

 

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第7回逆回り奥の細道・福島編

日経俳句会の恒例行事「逆回り奥の細道」も回を重ねて第7回。今回は11月4,5日の一泊二日で、福島県の飯坂温泉周辺をスタートに白河の関まで、福島県の中通りをマイクロバスで縦断した。

参加者は井上庄一郎、高石昌魚(日帰り)、大澤水牛、今泉恂之介、高瀬大虫、岡田臣弘、堤てる夫(幹事)、徳永正裕、杉山智宥、須藤光迷、玉田春陽子、田中頼子、星川佳子の13人だった。

初日の11月4日(日)は快晴、東北新幹線「やまびこ53号」(東京発8:40)で福島駅に行き、迎えのマイクロバスで北上、桑折町の法圓寺へ行き「奥の細道絵巻」を見る。その後、信夫山羽黒神社、文知摺観音堂、医王寺、大鳥城址などを経由し、飯坂温泉の「なかむらや」旅館へ。200年前からあるという海鼠塀の土蔵造りの由緒ある建物で、明治時代に建てられた「新館」とつなげても全11室というこぢんまりした湯宿だが、女将さんも若女将も客あしらいが上手で、温泉も良く料理も美味く、一同大満足でくつろいだ。

翌5日(月)も上々の天気で、二本松城の菊人形展を見物してから須賀川へ。芭蕉と曾良が訪ねた相楽等窮宅跡、軒の栗庭園、可伸庵跡などを見学しながら市内散策。またバスに乗って、一路、白河へ。名物の蕎麦屋に入り、昼食。午後は三重櫓の聳える白河城(小峰城)公園へ行ったが、昨年三月の東日本大震災で石垣が大きく崩れて修理中のため閉鎖されていた。そこで白河の関へ向かい、途中、田畑、山林の中の硯石磨崖三十三観音に立ち寄り、紅葉が見事な白河の関で旅の締めくくりとした。

帰京後、いつものようにメール句会を行った。今回は福島原発の地を経巡る旅ということもあり、「放射線・放射能」に関係ある言葉を詠み込んだ一句を含め五句を投句、参加者各人の互選で「天」「地」「人」「入選」を選ぶ方式を取った。選句の結果、最高は「天」三つと「人」二つ、「撰」一つの計20点を獲得した玉田春陽子の「城跡や色なき風に放射能」。次いで17点が大澤水牛の「磨崖仏尋ねたづねて刈田道」、三席が13点で徳永正裕「江戸明治貫く宿の冬廊下」だった。参加各人の代表句は次の通り。

訪ね来し白河の関照紅葉      井上庄一郎

阿武隈の流れすすきと光り合ふ   今泉恂之介

にこやかに初冠雪の吾妻山     大澤 水牛

寒空に師弟同舟湯のけむり     岡田 臣弘

菊花展ひつそり戊辰の母の像    杉山 智宥

草紅葉かき分け拝む磨崖仏     須藤 光迷

多宝塔照紅葉背に鎮座せり     高石 昌魚

落葉積む古代の恋の歌枕      高瀬 大虫

カラコロと秋の湯に行く宿の下駄  田中 頼子

大わらぢ仰ぎて秋の信夫山     玉田春陽子

暮早し天守に代はる線量計     堤 てる夫

清盛の幾人もゐて菊花展      徳永 正裕

新豆腐温みほんのりなかむらや   星川 佳子

 

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番町喜楽会第86回例会

番町喜楽会は11月7日(火)午後6時半から千代田区二番町の番町ハイム会議室で、第86回例会を開いた。兼題は「冬浅し(ふゆあさし)」と「葱(ねぎ)」で投句総数は95句。

選句は6句とし進めた結果、この日新規会員として初参加した田中白山(はくさん、本名博)さんの「玄関の主なき杖や秋の風」が6点で「初打席初本塁打」の趣き。次席は5点、今泉而雲さんの「秋燕の溶け込んでゆく空の青」、岩沢克恵さんの「新海苔に息災のふみ添へられて」、前島巌水さんの「茜雲浅間の嶺へ葱の列」の3句が並んだ。

続く4点句も3句で、井上啓一さんの「人肌の湯に葱洗ふ湯澤かな」、三好六甫さんの「葱一本孤独に添えて帰りけり」、山口斗詩子さんの「薄暮にも球追ふ子らよ冬浅し」。以下3点6句、2点17句、1点30句。

新入会の白山さんは上智大学で水牛さんや六甫さんと机を並べていた。同窓会の席で俳句が話題となって互いに「同好の士」と分かり、一気に入会の約束まで進んだ。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬浅し」

薄暮にも球追ふ子らよ冬浅し     山口斗詩子

冬浅し三坪耕し肩で息        大澤 水牛

冬浅し豌豆の芽の一列に       大澤 水牛

冬浅し黄昏色のドッグラン      高橋 楓子

また一つ年寄る心地浅き冬      徳永 正裕

「葱」

茜雲浅間の嶺へ葱の列        前島 巌水

人肌の湯に葱洗ふ湯沢かな      井上 啓一

葱一本孤独に添へて帰りけり     三好 六甫

焼きねぎはしおだタレだと酒二合   谷川 水馬

ひと椀の温みの中に葱香る      山口斗詩子

「雑詠」

玄関の主なき杖や秋の風       田中 白山

秋燕の溶け込んでゆく空の青     今泉 而雲

新海苔に息災のふみ添へられて    岩沢 克恵

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、山口斗詩子(選句参加)笹本塘外

(まとめ・堤てる夫)

 

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日経俳句会第113回例会

日経俳句会は10月17日(水)午後6時30分から内神田・鎌倉橋交差点傍の日経第二別館(MIFビル)8階会議室で、平成24年度第9回例会(通算113回)を開いた。兼題は「夜なべ(よなべ)」「花野(はなの)」で35会員から171句の投句があった。7句選句で句会を進めた結果、佐々木碩さんの「雲の行くその影も行く大花野」が最高の14点を得た。銀鴎・水木会合同後の最高点記録。徳永正裕さんの「ただいまの声木犀の香を運び」が9点で次席。三席は植村博明さんの「車椅子そつと追い越す花野道」の7点句。続く5点句は、大倉悌志郎さんの「縄電車気ままに停まる花野かな」、大沢反平さんの「牛追ひの峠越えれば大花野」、正裕さんの「はやぶさのネジ生む夜なべ町工場」、吉野光久さんの「その先は花野につづく線路跡」の4句が並んだ。4点句は11句、3点句9句。

日経俳句会の創設者である故村田英尾先生の息女の村田佳代さんが入会され、この日は手始めに選句に加わった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「夜なべ」

はやぶさのネジ生む夜なべ町工場      徳永 正裕

溜息や夜なべして書く顛末書        嵐田 啓明

糸通し頼みし祖母の夜なべかな       井上庄一郎

夜なべの灯ビルに積み上げ副都心      佐々木 碩

夜なべ終へ坦々麺の心地かな        澤井 二堂

宿題や夜なべの母のそばにゐて       高石 昌魚

度の合はぬ眼鏡外して夜なべかな      高瀬 大虫

縄を綯ふ夜なべの昔資料館         徳永 正裕

夜なべして機織る影の鶴に似て       大倉悌志郎

刺し子縫ふひと針ずつの夜なべかな     田中 頼子

母夜なべまるく七人家族かな        堤 てる夫

夜なべする母の面影昭和の日        直井  正

コンビニのプリン夜なべの小休止      星川 佳子

 

「花野」

雲の行くその影も行く大花野        佐々木 碩

車椅子そつと追ひ越す花野道        植村 博明

縄電車気ままに停まる花野かな       大倉悌志郎

牛追ひの峠越えれば大花野         大沢 反平

その先は花野につづく線路跡        吉野 光久

難聴の友の福耳花野風           嵐田 啓明

一坪に七種植えてわが花野         大澤 水牛

村あげて花野の中の草競馬         大熊 万歩

花野さきバスの小さく通りけり       井上庄一郎

当てどなくさ迷ふがよし大花野       大倉悌志郎

花野往く芭蕉と曾良の古りし杖       藤野十三妹

 

「雑詠」

ただいまの声木犀の香を運び        徳永 正裕

ドーナツを片目でのぞき秋高し       星川 佳子

蟷螂の鎌をもたげて轢かれけり       嵐田 啓明

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、高橋淳、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利(選句のみ参加)村田佳代(投句参加)植村博明、大石柏人、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、野田冷峰、藤野十三妹、山田明美、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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第85回番町喜楽会例会

番町喜楽会は10月6日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で第85回例会を開催した。兼題は「霧(きり)」と「蟋蟀(こおろぎ)」で、雑詠を含む投句総数は100句ちょうど、20人のメンバーから投句があった。7句選句の句会の結果、今泉而雲さんの「牛の背のひしめき行くや霧の中」が9点という記録的な得点でトップ。次席は5点で、高井百子さんの「名月に駆け足で去る嵐かな」「秋灯り母に戻りて帰路急ぐ」の2句に、玉田春陽子さんの「本棚の不揃ひの闇ちちろ鳴く」の計3句。

次いで4点句が5句。山口斗詩子さんの「尾灯追ふ霧の箱根路九十九折り」「朋友の焼きたる皿に初秋刀魚」の2句と、大澤水牛さんの「天高し焼味噌で食ふ伊那の蕎麦」、須藤光迷さんの「就活に案山子も村を出るといふ」、春陽子さんの「朝霧や用なき下駄の横並び」が並んだ。以下、3点7句、2点17句、1点22句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「霧」

牛の背のひしめき行くや霧の中   今泉 而雲

朝霧や用なき下駄の横並び     玉田春陽子

尾灯追ふ霧の箱根路九十九折り   山口斗詩子

濃淡の霧薄墨の絵となりぬ     野田 冷峰

上る霧留まる霧あり霧の中     野見山恵子

病院の結果待つ間や霧深し     三好 六甫

「蟋蟀」

本棚の不揃ひの闇ちちろ鳴く    玉田春陽子

認知力壊れゆく友ちちろ鳴く    井上 啓一

酔ひざめの水の旨さやちちろ鳴く  玉田春陽子

廃船の主を気取りてちちろ鳴く   三好 六甫

「雑詠」

名月に駆け足で去る嵐かな     高井 百子

秋灯り母に戻りて帰路急ぐ     高井 百子

天高し焼味噌で食ふ伊那の蕎麦   大澤 水牛

就活に案山子も村を出るといふ   須藤 光迷

朋友の焼きたる皿に初秋刀魚    山口斗詩子

曼珠沙華十日遅れて庭の隅     大澤 水牛

参加者(出席)大澤水牛、加沼鬼一、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野見山恵子、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、今泉而雲、岩沢克恵、谷川水馬、野田冷峰、山口斗詩子

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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