日経俳句会第112回例会

日経俳句会は9月19日(水)午後6時半から、鎌倉橋交差点傍の日経第2別館8階会議室で第112回例会を開いた。兼題は「居待月(いまちづき)」「新米(しんまい)」で参加者は36人(うち投句参加13人)、投句総数は168句に上った。7句選句で進めた結果、最高は、横井定利さんの「居待月去年と同じ飲み薬」の7点だった。次席は5点で、「子の便りくりかへし読む居待月 池村実千代」、「悠然と勝碁確かめ居待月 高石昌魚」、「居待月竹の葉ずれを聴いてをり 星川佳子」、「つつがなき予後疑はず居待月 吉野光久」、「神仏に深く一礼今年米 嵐田啓明」、「荒れ果てし棚田にすくと鶏頭花 田中頼子」と6句。次いで4点が10句、3点11句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「居待月」

居待月去年と同じ飲み薬     横井 定利

子の便りくりかへし読む居待月  池村実千代

悠然と勝碁確かめ居待月     高石 昌魚

居待月竹の葉ずれを聴いてをり  星川 佳子

つつがなき予後疑はず居待月   吉野 光久

居待月伊那のおやきを温めて   今泉恂之介

移りゆく時を眺める居待月    藤野十三妹

母と子の二人綾取り居待月    今泉恂之介

居待月夫の靴音猫の声      大下 綾子

遠ざかる猫の鈴の音居待月    田中 頼子

来ぬ人やミッドタウンの居待月  流合研士郎

人恋しより痩せ始め居待月    星川 佳子

「新米」

神仏に深く一礼今年米      嵐田 啓明

新米を掬ひて厚きたなごころ   今泉恂之介

新米や夫婦の重い口を開け    植村 博明

越後よりどすんと届く今年米   佐々木 碩

絹のごと新米掌よりこぼれけり  大倉悌志郎

幸せやたくあんで食ふ今年米   大倉悌志郎

四つ這ひで草取りたりと今年米  大澤 水牛

新米の文字に赤丸弁当屋     杉山 智宥

くぼませて卵をのせて今年米   星川 佳子

新米を勇んで炊くやひとり膳   水口 弥生

「雑詠」

荒れ果てし棚田にすくと鶏頭花  田中 頼子

度忘れの名前増えたり衣被    大熊 万歩

鰡飛んで尺余の宙に水光る    大沢 反平

谷あひの所を得たり蕎麦の花   堤 てる夫

往還を真一文字に鬼やんま    吉野 光久

伊那谷は大きく晴れて蕎麦の花  吉野 光久

 

参加者(出席)井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利(投句参加)嵐田啓明、池村実千代、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、田中頼子、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、山田明美、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

 

 

 

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酔吟会第100回例会を開催

酔吟会の平成24年度第5回例会が9月8日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経第二別館で開かれた。平成8年(1996年)5月18日に第1回句会を開いて、この日が記念すべき100回目の句会となった。日経社会部OBの句会として原文鶴主催、大留黃鶴幹事長以下12名で発足、国内各地に吟行、中国へも二回出かけるなど活発な活動を繰り広げた。その後、日経俳句会の傘下に入り門戸を広げ、会員が20数名に増加したが、その間、広田耕書(耕司)、立川芳石(芳峯)、大平昭生(昭)、山口詩朗(志朗)の4氏が亡くなるという不幸があった。現在は会員20名(自由会員2名、名誉会員1名含む)を擁している。

9月になったとはいえ東京はまだ残暑の続く蒸し暑い日の句会であった。しかし出席者は11人と、最近ではかなり多い人数となった。この数日前有志で出かけた伊那吟行で星川さんが買い求めた地酒「仙醸」をお土産に持ち込んで下さったのをこれ幸いと、皆で見事100回に到達した酔吟会の今後と一同の健康を祈願して乾杯した。

出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、藤村詠悟の11氏。投句参加は大石拍人、吉野光久の2氏。

兼題は「秋刀魚」と「爽やか」、投句5句、選句6句で句会を行った結果、最高点は4点句で4句、3点が3句、2点12句、1点14句となった。3点以上獲得した句は次の通り。

「秋刀魚」

さんま食ふ器用無器用おのずから    金指 正風

さんま焼き尾頭に分け夫婦たり     今泉恂之介

「爽やか」

爽やかや伊那谷へ落つ風の道      大澤 水牛

爽やかに風の青さや千曲川       大沢 反平

爽やかや牛と目の合ふ牧の朝      吉野 光久

「雑詠」

朴の葉の日影は広しバスを待つ     澤井 二堂

思うことぱちんと閉じて秋扇      今泉恂之介

(澤井二堂記録)

 

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番町喜楽会第84回例会

番町喜楽会は9月3日(月)午後6時半から千代田区九段生涯学習館で第84回例会を開催した。兼題は「野分(のわき)」と「蜩(ひぐらし)」で、雑詠を含めて投句総数は95句、6句選句の句会の結果、最高は須藤光迷さんの7点句「一病を得て蜩の声ふかし」。次席は高瀬大虫さんの「蜩の尾瀬を渡りて風となり」の5点句。三席は4点句で、今泉而雲さんの「こんな日にと言はれて出でし野分中」と、谷川水馬さんの「尻高く伸びする犬や野分晴れ」の2句。以下、3点句は9句、2点14句、1点26句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「野分」

こんな日にと言はれて出でし野分中   今泉 而雲

尻高く伸びする犬や野分晴れ      谷川 水馬

また一人居間に集まる野分かな     笹本 塘外

野分晴ひたと墨打つ宮大工       玉田春陽子

野分過ぐ気うつ薄紙はぐやうに     山口斗詩子

「蜩」

一病をえて蜩の声ふかし        須藤 光迷

蜩の尾瀬を渡りて風となり       高瀬 大虫

蜩や遊び疲れし子等に鳴き       笹本 塘外

蜩や合わせ鏡のなかの顔        高橋 楓子

蜩に後期高齢共振す          前島 巌水

「雑詠」

世の役に立たぬ男と糸瓜かな      今泉 而雲

手旗もて道示さるる残暑かな      今泉 而雲

今朝の秋窓に綿雲ひとつ来て      笹本 塘外

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、高井百子、野田冷峰、山口斗詩子(まとめ・堤てる夫)

 

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伊那高遠吟行─井月を訊ねて

明治初期伊那谷の村々を漂泊した謎の俳人井上井月が最近にわかにブームになっている。双牛舎代表今泉恂之介さんも「子規は何を葬ったのか─空白の俳句史百年」(新潮選書)の中で井月を取り上げ、ブームの一翼を担った。

九月一日、長野県伊那市高遠で地元教育委員会や井月顕彰会などの主催により今泉さんの講演会「子規は井月を葬ったのか」が行われた。これの傍聴を兼ねて、日経俳句会、番町喜楽会の有志が一泊二日で伊那市の井月終焉の地などを訪れた。井月の墓や句碑、井月・山頭火交流のモニュメントなどを巡り、地元の井月研究家の方々と話し合い、さらに高遠城址や江戸時代大奥の老女で当地に流された絵島の所縁の場所などを散策、分杭峠のゼロ磁場体験など句材盛りだくさんの吟行となった。

帰京後いつものようにメール句会を挙行した。五句選句で天五点、地三点、人二点、入選一点で計算した結果、最高点は杉山智宥さんの「秋に来て語る高遠桜かな」が十四点だった。次席は徳永正裕さんの「ほかいびと秋蝶となる手向け酒」の十点。三席は八点、大澤水牛さんの「伊那谷の稲穂分けゆく消防車」「をみなえし揺れて絵島の墓詣」の二句となった。

吟行参加者十二人の人気を呼んだ句は以下の通り。

 

秋風の除幕式なり橋の上      今泉恂之介

御老女の囲屋敷や秋の風      大澤 水牛

井月が人と秋をよぶ師の語り    大平 睦子

三峰川を守る堤の秋茜       澤井 二堂

秋に来て語る高遠桜かな      杉山 智宥

蓮華寺へ急ぐ絵島に秋の風     須藤 光迷

猪弁を喰へば井月甦り       高瀬 大虫

句碑を説く翁がうへに赤とんぼ   谷川 水馬

伊那の秋呉服屋二の日二割引    玉田春陽子

伊那人の井月フィーバー秋あつし  堤 てる夫

ほかいびと秋蝶となる手向け酒   徳永 正裕

ゼロ磁場の神妙な顔秋の風     星川 佳子

(まとめ 堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第111回例会

日経俳句会の銀鴎会・水木会が大合同して2度目の例会(通算111回)が8月15日(水)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第2別館会議室で開かれた。終戦記念日に暑熱を衝いて参集したのは22人、欠席投句11人と合わせ合計33会員から159句の投句があった。

兼題は「盆(ぼん)」「朝顔(あさがお)」で7句選句の句会の結果、最高の11点を集めたのは池村実千代さんの「髪束ね盆のあひだは嫁となる」の句。大型例会にして弾けた大型得点だった。次席も10点で嵐田啓明さんの「燐寸擦るわが手の老いや盆用意」、三席9点の佐々木碩さんの「朝顔のまだ見ぬ色に水をやる」。次いで廣上正市さんの6点句「表札は昔のままに魂迎」、岡田臣弘さんの「空襲の修羅よぎりけり川花火」が5点句と続いた。以下、4点5句、3点10句、2点22句、1点46句。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「盆」

髪束ね盆のあひだは嫁となる    池村実千代

燐寸擦るわが手の老いや盆用意   嵐田 啓明

表札は昔のままに魂迎       廣上 正市

十九で散つた兵士の帰る盆     植村 博明

都心にも鳥がさえずる盆休み    流合研士郎

伊江島は空母のかたち魂祭り    高瀬 大虫

木村家のあんぱんとお茶盆用意   横井 定利

皮切りはエレキサウンド盆櫓    吉野 光久

「朝顔」

朝顔のまだ見ぬ色に水をやる    佐々木 碩

朝顔を数へて今日も始まりぬ    佐々木 碩

朝顔や早起き苦もなし得もなし   杉山 智宥

朝顔や今日はきのふの繰り返し   大澤 水牛

朝顔の蔓の我がまま許しけり    澤井 二堂

朝顔の蔓をたどれば空高し     高橋  淳

朝顔や母の色なる濃紫       廣上 正市

「雑詠」

空襲の修羅よぎりけり川花火    岡田 臣弘

凉新た五輪敗者の笑顔かな     徳永 正裕

渓音の間に間に遠き秋の蝉     大沢 反平

抜け殻も声を合はすか蝉時雨    澤井 二堂

七夕や絶えて久しき願ひごと    吉野 光久

 

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、岡田臣弘、大澤水牛、大沢反平、来間紘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利(投句参加)池村実千代、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、佐々木碩、田中頼子、水口弥生、山田明美、吉野光久             (まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第83回例会

番町喜楽会は8月4日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で第83回例会を開いた。兼題は「夏の果(なつのはて)」と「滝(たき)」で、出席13人、投句参加7人から5句づつ投句、計100句について7句選句で句会を進めた。その結果、最高は5点で4句、次席4点6句、三席3点が10句。以下、2点10句、1点28句。

5点句は「滝行や茶髪の背中に喝の文字 谷川水馬」「ある筈の始めと終り蟻の列 野見山恵子」「絵巻物ひもとくやうに赤目滝 星川佳子」「盆の月貝殻といふ死のかたち 三好六甫」の4句。

4点句は「行く夏や鉄路はるかな赤手旗 今泉而雲」「止めどなき告白に似て滝落ちる 徳永正裕」「変えられぬ己笑ひて夏の果 星川佳子」の3句に、笹本塘外作の「半纏の並び干されて夏の果」「水打てば土黒々と息つけり」「鉾追うて四条は長く八坂まで」の3句が入った。この例会に故山口詩朗氏夫人の斗詩子さんがメールで投句・選句参加した。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の果」

行く夏や鉄路はるかな赤手旗      今泉 而雲

半纏の並び干されて夏の果       笹本 塘外

変えられぬ己笑ひて夏の果       星川 佳子

図書館の慣れたる道や夏終る      岩沢 克恵

果つるともみえぬ照りやう夏の果    大澤 水牛

鬼子母神駄菓子屋の婆夏の果      高井 百子

だんまりの八百屋のおやじ夏の果    高橋 楓子

ゆく夏やつるりと擦るえびす腹     谷川 水馬

吾子の眼の大人びにけり夏終る     徳永 正裕

「滝」

滝行や茶髪の背中に喝の文字      谷川 水馬

絵巻物ひもとくやうに赤目滝      星川 佳子

止めどなき告白に似て滝落ちる     徳永 正裕

尾根道を過ぎて飛瀑の道に入る     加沼 鬼一

滝音を入れて二人のカプチーノ     玉田春陽子

 

「雑詠」

ある筈の始めと終り蟻の列       野見山恵子

盆の月貝殻といふ死のかたち      三好 六甫

水打てば土黒々と息つけり       笹本 塘外

鉾追ひて四条は長く八坂まで      笹本 塘外

上階の送り火の鈴闇の中        岩沢 克恵

土用丑茄子の蒲焼ございます      堤 てる夫

 

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外 高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、野見山恵子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、加沼鬼一、須藤光迷、徳永正裕、星川佳子、山口斗詩子

(まとめ 堤てる夫)

 

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日経俳句会第110回例会

日経俳句会の銀鴎会と水木会が合併、新たに「日経俳句会例会」として句会活動を進めることになり、初例会(水木会の例会開催回数を受け継ぐこととしたため今回が第110回)が7月18日(水)午後6時30分から鎌倉橋交差点そばの日経第2別館8階会議室で開かれた。参加者は投句参加者を含めて31人、投句総数は150句と、ぐんと大型の句会となった。

兼題は「白南風(しろはえ)」「胡瓜(きゅうり)」で、7句選句で句会を進めた結果、最高は高橋淳さんの「キュウリ噛む鼻の奥まで夏となる」の6点句。次席5点は今泉恂之介さんの「あの頃は胡瓜の端が苦かった」、大熊万歩さんの「胡瓜揉むかすかに残る火傷跡」、須藤光迷さんの「白南風に干物ほどよき塩加減」、流合研士郎さんの「白南風や帽子に長き白リボン」と4句。勤務の都合で自由会員だった流合さん、復帰早々の高点句。新入会の来間紘さんが投句、選句に初参加した。

3席4点が7句、続く3点が16句と3点以上の高点句が28句に上った。以下、2点16句、1点42句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「白南風」

白南風に干物ほどよき塩加減         須藤 光迷

白南風や帽子に長き白リボン         流合研士郎

白南風や逃げ足早き磯の虫          嵐田 啓明

白南風や麻のクロスにミントティー      池村実千代

白南風や漂流中の魔法瓶           大熊 万歩

白南風やシーサーの尾の丸くなり       須藤 光迷

白南風の天守閣より阿蘇の見ゆ        嵐田 啓明

白南風や浜過ぎてゆく葬の列         今泉恂之介

白南風や球児の声に砂ぼこり         加藤 明男

白南風やバケツ転がる船着場         植村 博明

白南風や波を知らざる深海魚         佐々木 碩

白南風やスズメ水浴びする轍         杉山 智宥

白南風や素肌だす人かくす人         高瀬 大虫

白南風やうたた寝に聞く遠汽笛        流合研士郎

白南風や女が一人旅立ちて          山田 明美

白南風や裾野に上がる熱気球         吉野 光久

 

「胡瓜」

キュウリ噛む鼻の奥まで夏となる       高橋  淳

あの頃は胡瓜の端が苦かった         今泉恂之介

胡瓜揉むかすかに残る火傷跡         大熊 万歩

取り忘れ胡瓜の笑ふ夜の畑          大澤 水牛

窓おほひまた二つ三つ花胡瓜         金田 青水

胡瓜絶つ博多山笠男衆            嵐田 啓明

もぎたての胡瓜香るや朝の膳         久保田 操

くるくると命は螺旋胡瓜伸ぶ         星川 佳子

うつとりと胡瓜の曲がり見てをりぬ      横井 定利

渓流に胡瓜浸して旅の果て          吉野 光久

 

「雑詠」

小流れにビール沈めて蕎麦の店        今泉恂之介

草むしるむきになるなと呟きて        廣上 正市

 

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大熊万歩、大澤水牛、大平睦子、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子(投句参加)池村実千代、植村博明、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、田中頼子、藤野十三妹、山田明美、吉野光久                   (まとめ・堤てる夫)

 

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酔吟会第99回例会

酔吟会の平成24年度第4回例会(通算99回)は、7月14日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館8階会議室で開かれた。

梅雨の末の豪雨が北九州を襲い、東京はつかの間の晴れで蒸し暑い日だった。出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕の9人。投句参加は藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、吉野光久の4人だった。

兼題は「黄金虫」と「土用」、投句5句、選句7句で句会を行った。その結果、最高点は4点で2句、続く3点が7句、2点7句、1点が18句となった。兼題別の三点句以上は次の通り。

「土用」

土用干しあの世の分までうず高く    岡田 臣弘

土用干しセピア色なる毛語録      岡田 臣弘

どんぶりを穴子に代えて土用かな    金指 正風

牡蠣筏揺りかごとなる土用波      徳永 正裕

猫たちの寝姿ゆるむ土用かな      星川 佳子

「黄金虫」

黄金虫学生下宿古畳          星川 佳子

「雑詠」

憚らず大向日葵の立ち上がる      大沢 反平

もくもくと吊橋渡る毛虫かな      片野 涸魚

気がつけば死の話など夕端居      吉野 光久

(まとめ:澤井二堂)

 

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番町喜楽会第82回例会

番町喜楽会は7月9日(月)午後6時30分、東京・九段下の九段生涯学習館4階集会室で、平成24年度第7回例会(通算82回)を開いた。兼題は「雷(かみなり)」「団扇(うちわ)」で事前投句5句。梅雨の晴れ間のこの日、出席したのは13人、投句参加が5人で投句総数は90句だった。選句6句の句会の結果、最高は記録的な7点を集めた玉田春陽子さんの「団扇の手とまり心のゆれにけり」の句。次席は4点が3句、大澤水牛さんの「それでどうなりましたかと団扇かな」と、春陽子さんの「雷はしる困民党の駈けし尾根」に、谷川水馬さんの「遠雷や静かに閉づる合歓の小葉」が並んだ。続く3点句は13句でここにも水牛・春陽子・水馬句が顔を出した。3点以上の高点句17句のうち3氏の作品は3句づつ、半数を越える9句に上った。

この日の句会に、3月亡くなった故山口詩朗(志郎)さんの夫人斗詩子(俊子)さんが選句参加した。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「雷」

雷はしる困民党の駈けし尾根        玉田春陽子

遠雷や静かに閉づる合歓の小葉       谷川 水馬

稲びかり距離を測りて畑仕舞ふ       高井 百子

迅雷や身をふるわせし風見鶏        玉田春陽子

くくくくと一筆書きやはたた神       谷川 水馬

老妻に怖いものなしはたた神        徳永 正裕

高層ビル見る間に消えて雷雨かな      星川 佳子

 

「団扇」

団扇の手とまり心のゆれにけり       玉田春陽子

それでどうなりましたかと団扇かな     大澤 水牛

浴衣着て団扇を持てばなでしこに      井上 啓一

講堂は団扇の風の坩堝なり         岩沢 克恵

誠とは伯父の書に有り古団扇        岩沢 克恵

潮かほる土俵を仕切る団扇かな       谷川 水馬

 

「雑詠」

掴むもの虚空に捜す瓜の蔓         大澤 水牛

ところてんでさえ太ると娘かな       大澤 水牛

亀の子の岩にすがつて空広し        笹本 塘外

朝顔や起業を目指す子の笑顔        須藤 光迷

 

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野見山恵子、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、高井百子、谷川水馬、野田冷峰(選句参加)山口斗詩子

(まとめ・堤てる夫)

 

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日経俳句会逆回り奥の細道・第6回平泉塩釜松島

日経俳句会は恒例イベントの「逆回り奥の細道吟行大会」の第6回「平泉・塩釜・松島の巻」を6月24・25両日挙行した。参加者は番町喜楽会から特別参加の2名を加えて15名。梅雨の晴れ間の二日間を芭蕉の辿った平泉、塩竃神社、松島を巡り、感慨に耽った。

吟行の締めくくりは恒例メール句会。参加者15人が5句投句、選句は「天」「地」「人」の3句と「入選」3句の6句選とし、天5点、地3点、人2点、入選1点で得点を集計した。その結果、最高点は20点で星川佳子さんの「じゃがいもの花も咲きたり古戦場」が選ばれた。次席は18点の「雲の峰海鳥今日も船を追ふ 加藤明男」、三席は11点で「石段の律儀な刻み梅雨最中 大澤水牛」となった。参加者の代表作品は次の通り。

 

てんと虫背中につけて光堂     今泉恂之介

石段の律儀な刻み梅雨最中     大澤 水牛

瑞巌寺栄枯奏でる岩清水      岡田 臣弘

雲の峰海鳥今日も船を追ふ     加藤 明男

撫で牛に涎頼まむ塩の町      澤井 二堂

復興の夏煮魚は小ぶりなり     杉山 智宥

剥落の佛眺むる日傘かな      高瀬 大虫

青葉風礎石にしのぶ栄華かな    田中 頼子

日盛りや復興市場の鯨缶      玉田春陽子(番町喜楽会)

炎昼や波よけ地蔵沖を見る     谷川 水馬(同上)

色白の悋気な天女木下闇      堤 てる夫

丑年と石牛揃ふ夏社        徳永 正裕

海に島空に夏雲松島や       野田 冷峰

大伽藍の礎石数ふる薄暑かな    廣上 正市

じゃがいもの花も咲きたり古戦場  星川 佳子

(まとめ 堤てる夫)

 

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