日経俳句会第114回例会

日経俳句会は11月20日(火)午後6時半から神田・鎌倉橋交差点傍の日経第二別館(MIFビル)会議室で、平成24年第10回例会(通算114回)を開いた。兼題は「冬の日(ふゆのひ)」「落葉(おちば)」で、投句総数は180句とまた一段とふくらみ、もちろん新記録となった。7句選句で句会を進めた結果、最高は6点で、佐々木碩さんの「落葉道いつか独りになりし音」と、直井正さんの「落葉掃く身辺整理するごとく」の2句。

次席は5点で大澤水牛さんの「冬の日をあつめ壬生菜の叢立ちぬ」、大沢反平さんの「落葉踏むふいに故郷の音がする」、廣上正市さんの「手の中の手の柔らかや落葉踏む」、横井定利さんの「落葉踏む雀の足の小さきこと」、吉野光久さんの「冬の日を奥まで入れて山荘閉づ」と5句が並んだ。以下、4点8句、3点9句、2点11句、1点9句。

この日の例会に、春先から病気療養中だった吉野光久さんが8カ月ぶりに出席、「快気宣言」して盛んな拍手を浴びた。

兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「冬の日」

冬の日をあつめ壬生菜の叢たちぬ     大澤 水牛

冬の日を奥まで入れて山荘閉づ      吉野 光久

冬の日の赤子のぬくみもらひけり     植村 博明

冬の日やブーツのかかと勇ましき     植村 博明

心地良き冬日は淡く布団干し       大平 睦子

冬日暮れ街は切り絵のごとく黒      杉山 智宥

冬の日や終の住処を佐久平        堤 てる夫

ベンチごとに老人ひとり冬日向      大倉悌志郎

冬日向ワゴンセールの古書あまた     大下 綾子

冬の日に影も寄り添う老夫婦       流合研士郎

冬の日や贔屓の葦毛逃げ切れず      藤野十三妹

「落葉」

落葉道いつか独りになりし音       佐々木 碩

落葉掃く身辺整理するごとく       直井  正

落葉踏むふいに故郷の音がする      大沢 反平

手の中の手の柔らかや落葉踏む      廣上 正市

落葉踏む雀の足の小さきこと       横井 定利

またひと葉落葉の上へ落葉かな      嵐田 啓明

振り向いてみたき足音落葉踏む      吉野 光久

振り向けば気配の主は落葉かな      流合研士郎

からからと軽き落葉や心急く       水口 弥生

最後だね学園祭へ落ち葉踏む       村田 佳代

外苑の銀杏落葉を同封す         横井 定利

「雑詠」

リュックから荒巻の尾や御徒町      大澤 水牛

花八手橋の袂の珈琲店          大熊 万歩

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、直井正、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利、吉野光久(投句参加)植村博明、大石柏人、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、来間紘、高石昌魚、田中頼子、徳永正裕、野田冷峰、流合研士郎、藤野十三妹、村田佳代、山田明美

(まとめ・堤てる夫)

 

This entry was posted in 未分類. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>