日経俳句会第117回例会

日経俳句会は3月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館8階会議室で、平成25年第3回例会(通算117回)を開いた。兼題は「余寒(よかん)」「桃の花(もものはな)」、出席者は26人で会議室は「ほぼ満席」、投句参加10人の合計36人から170句の投句があった。

7句選句の結果、大熊万歩さんの「仁王像さらに目をむく余寒かな」が11点を集めて最高点。次席は吉野光久さんの「点滴の管のもつるる余寒かな」が9点、辛い治療にめげない頑張りが今月も続く。三席は佐々木碩さん「一湾の風に骨透く干鰈」の8点句。続く7点句は嵐田啓明さんの「石段に鳩吹き溜まる余寒かな」で、啓明さんはこのほか「大きめの産衣は木綿桃の花」で6点を獲得し、4点句、3点句もあり、投句5句中4句が高点句という快挙。

啓明さん以外の6点句は、植村博明さんの「金貸した男と出会ふ余寒かな」と、星川佳子さんの「しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花」の計3句。5点句には佳子さんの「尼さんによく会ふ日なり春の風」と、佐々木碩さんの「湯煙りの透きとおりたる余寒かな」、須藤光迷さんの「肩車して春風の中を行く」の合計3句。以下、4点6句、3点10句、2点24句、1点12句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「余寒」

仁王像さらに目をむく余寒かな   大熊 万歩

点滴の管のもつるる余寒かな    吉野 光久

石段に鳩吹き溜まる余寒かな    嵐田 啓明

金貸した男と出会ふ余寒かな    植村 博明

湯煙りの透きとおりたる余寒かな  佐々木 碩

丸刈りの頭を撫でる余寒かな    加藤 明男

キリン舎の余寒の空に首ばかり   徳永 正裕

梵鐘の音地に沈む余寒かな     徳永 正裕

裸馬余寒の麓に草食めり      嵐田 啓明

神殿の軋む廊下や余寒あり     加藤 明男

二羽の鳩微動だにせぬ余寒かな   久保田 操

カラ元気伝わる電話余寒かな    杉山 智宥

「桃の花」

大きめの産衣は木綿桃の花     嵐田 啓明

しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花   星川 佳子

上履きに赤の縁取り桃の花     嵐田 啓明

桃のはな弥勒菩薩の指の先     加藤 明男

もめごとはなしにしようね桃の花  池村実千代

山裾の日に日に染まる桃の花    久保田 操

育爺と呼ばれて嬉し桃の花     須藤 光迷

里山の地蔵の笑顔桃の花      高石 昌魚

控え目に泣く子なりけり桃の花   廣上 正市

「雑詠」

一湾の風に骨透く干鰈       佐々木 碩

肩車して春風の中を行く      須藤 光迷

尼さんによく会ふ日なり春の風   星川 佳子

野焼の火長門石見の国ざかひ    大澤 水牛

月朧萬年橋に猫群れて       横井 定利

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)和泉田守、大石柏人、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、高橋淳、田中頼子、村田佳代、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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長門石見吟行

日経俳句会と番町喜楽会の合同吟行として三月十日から十二日まで二泊三日で山口、萩、津和野を回った。山口県立大学教授だった高瀬大虫さんが幹事となり、勝手知ったる山口市の湯田温泉を皮切りに、大内・毛利氏の旧跡、雪舟ゆかりの寺や庭、幕末明治維新の志士たちの旧宅、史跡などを巡遊、これが名残という玄界灘のとらふぐを賞味し、世界一の椿の原生林を巡るなど充実した吟行だった。

忙しい人たちばかりの俳句会だから「二泊」となると途端に参加者が少なくなる。それでも大虫幹事をはじめ、須藤光迷、堤てる夫、徳永正裕、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、大澤水牛の八名が参加した。高井、谷川、玉田三氏は番町喜楽会のメンバーで、残る五人は両方の句会を掛け持ちしている。とにかく気心の知れた仲間だけに和気藹々の俳句旅となり、絶品菜種河豚に感激して連句まで巻き上げてしまった。

帰京後に行ったメール句会には吟行に参加できなかった今泉而雲氏にも選句に加わってもらった。「三句以上いくらでも投句してよろしい」という妙な縛りを設けたところ、一人が八句と頑張ったが、七人が五句投句の常識的な範囲におさまった。七句選の結果最高は五点で、「芽柳や鯉は頬寄せ動かざる」という須藤光迷さんの津和野のメタボ鯉夫婦(?)を詠んだ句と、谷川水馬さんの「連衆の寄り目で掬ふ素魚かな」という萩シーマートでのシロウオ躍り食いに狂奔する一行を詠んだ句が選ばれた。その他人気をあつめた句は以下の通り。

《山口市にて》

菜種河豚発句品良く半歌仙    谷川 水馬

仕舞ふぐ熟女ふたりの箸使ひ   徳永 正裕

猿も訪ふ雲谷庵や紫木蓮     須藤 光迷

春北風の廃寺石垣鳴らしけり   大澤 水牛

春寒しむかし大寺の崩れ垣    徳永 正裕

《萩》

利休の忌萩の七化けてふを買ふ  谷川 水馬

槍さして若布採る人萩の海    高井 百子

扁額に溢れる明治梅の花     堤 てる夫

萩湾へなだるる椿二万本     大澤 水牛

海女の桶すこし流れぬ春の潮   高瀬 大虫

《津和野で》

注連縄を飾る駅舎や山笑ふ    玉田春陽子

 

 

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酔吟会第103回例会を開催

酔吟会の平成25年度第2回例会(通算103回)は、3月9日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館8階会議室で開かれた。

啓蟄の日を5日に迎え、3月も第2土曜日ともなるとだいぶ暖かい日和になる。

出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟、星川佳子の十一名。投句参加は吉野光久、欠席は原文鶴、大石拍人、金指正風、黒須烏幸、田村舟平、野田冷峰、藤野十三妹の7名だった。

兼題は「春愁」と「地虫穴を出づ」、投句5句、選句6句で句会を行った結果、最高点は5点で1句、次いで4点も1句、3点が6句、2点が10句、1点が16句となった。兼題別の3点以上の句は次の通り。

「春愁」

追ふ針に逃げる血管春愁ひ       吉野 光久

春愁を水に流して夕支度        久保田 操

釣り堀に春愁並ぶ背中かな       今泉恂之介

「地虫穴を出づ」

とかげ出づ人工芝にとまどひつ     大澤 水牛

「雑詠」

鳥帰るどこへも行けぬ氷川丸      吉野 光久

春昼や眠りをるかに観覧車       星川 佳子

春なれや笑ふは薬寄席ばやし      徳永 正裕

朝刊の届きし音や春の雪        片野 涸魚

(まとめ・澤井二堂)

 

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番町喜楽会第90回例会を開催

番町喜楽会は3月4日(月)午後6時半から千代田区・九段生涯学習館で、平成25年第3回例会(通算90回)を開いた。兼題は「日永(ひなが)」と「囀(さえずり)」で、投句参加6人を含めて19人から95句が寄せられた。

6句選句で句会を進めた結果、最高は田中白山さんの「囀や人は静かに恋をせり」の7点句。次席5点は3句が並び、その中に白山さんの「挨拶の一つに春の寒さかな」の句が入り、ワン・ツー・フィニッシュの「白山デー」となった。残る5点句2句は岩沢克恵さんの「雨脚の絹糸となり雛納め」と玉田春陽子さんの「永き日や目無し達磨の薄ぼこり」だった。

続く4点は徳永正裕さんの「昼席のはねて日永の上野山」の1句のみ。3点句は井上啓一さんの「永き日に卵を二つ生みにけり」、須藤光迷さんの「春光やアベノミクスという魔球」、星川佳子さんの「廃屋のやうな道具屋暮遅し」の3句。今回は3点以上の高点句が8句にとどまり、2点12句、1点32句と分散した。

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、高橋楓子、野田冷峰、三好六甫、山口斗詩子      (まとめ・堤てる夫)

 

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日経俳句会月報100号記念「双牛百里の会」を開催

日経俳句会は月報100号発行を機会に長年会を引っ張って来られた大澤水牛・今泉恂之介両先生に感謝の気持ちを表そうと謝恩の会を開いた。3月1日夕刻「双牛百里の会」と銘打って、東京・大手町のアーバンネット東京會舘に句友35人が集い、両主賓を囲んで和やかなひとときを過ごした。

高橋淳会長の発案で、会の機関誌である「日経俳句会報」(平成17年6月の創刊号から24年9月の第15号まで)に載った両先生の作品から「私の好きな一句」を会員に募った。これには40人が寄稿し、この会合に花を添える冊子にまとめた。

会は高橋現会長、廣上正市前会長の司会進行で幕を開けた。廣上前会長は「故村田英尾先生が言われたように、この会は皆対等にものを言う自由な会で、それを受けお二人とも宗匠と言われるのを拒まれた。しかし今日は宗匠の気分で気持ちよくお過ごしいただきたい」と挨拶。最長老・井上庄一郎さんから「日経俳句会の活動を支えてきたのはお二人の力以外のなにものでもない。個性の違う二人のコンビを選んだ村田先生の慧眼を改めて思う。ご両人ともいつまでも頑張ってください」との乾杯の発声があり、その後、お酒と料理を楽しみながら出席者による「私の一句」の説明が次々と始まった。

「私の一句」は大勢の選句者があったにもかかわらず、最多票はそれぞれ三人が選句した「初日の出われに十七音詩あり」(水牛)、「八丈の海夕映えて飛魚の鮨」「宇宙より届きし色や茄子の紺」(恂之介)の三句だけだった。会報15冊に載ったお二人の句はそれぞれ150句で、どれを選んでもさすがに名句・秀句ぞろい、皆口々に一句を選ぶのに困ったと前置きしたのがその証と言える。「初日の出…」と「宇宙より…」の句は、書に堪能な澤井二堂さんが短冊に墨書し、記念品の電子辞書・花束とともに贈られた。

宴が進み、両先生が日経俳句会の過去と未来や心境・抱負を語った。

まず大澤水牛師が「『初日の出…』の句は新年詠だったので心が昂ぶっていたのでしょう。虚子まがいの句を詠んだのは恥ずかしいと思っていたのだけど、今こうして皆様にいろいろ言われて感慨深いものがあります。村田先生に句会やりますかと言われて始めたわけですが、やってよかった。やっていなければただの飲んだくれ老人だったなあと、しみじみ思っています。新聞社系の俳句会なのでこれからも今を詠むことをやっていきたい。今を詠むということを少し気を入れてやっていけばユニークな俳句会になる。来週出る俳句会報に『今を詠む』という文を載せましたが、これからも皆様にもまれながら若さを保ってやっていきたい」と述べた。

続いて今泉恂之介師は「私はこの会のために何もやっていません。大澤さんがやっているのを横から見ていただけです。俳句は若いころから好きだった。作ることもさりながら人の句を見ることが好きです。今も江戸時代の句から昭和の句まで読んできて佳句を書きためています。今、プロの俳人の句はレベルが落ちていると思う。アマチュアの方がずっといい。でもアマチュアの句は五十年後、百年後には全部なくなってしまう。個人的に平成のいい句をパソコンにためているので、その頃には著作権も切れるから自由に出せます。それをどなたかに渡して続けてもらいたいと思ってます。日経俳句会の中にもとても感心した句があって、後世に残すリストに既に何十句か入っている。双牛舎というNPO法人のひとつの事業であり、私の趣味でもあり、それをやっていきたい思います」

お開きを前に、幹事を代表して堤てる夫さんが、”あとがき”を述べた。「井上先輩のお話がすべてを語っており、本日の趣旨を簡にして要を得ておっしゃったと思います。これ以上言うことがありません。両先生ありがとうございました」と結んだ。(徳永正裕記)

 

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日経俳句会第116回例会開催

日経俳句会は2月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館で、平成25年第2回例会(通算116回)を開いた。「春は名のみ」と言う通り、寒風厳しい天気のせいか、出席者は21人と少な目だったが、投句参加者が16人あり、投句総数は179句と相変わらずの盛況ぶり。

兼題は「水温む(みずぬるむ)」「クロッカス」で、7句選句の句会の結果、最高は10点を集めた吉野光久さんの「鎌倉やどの径ゆくも藪椿」の一句。再び辛い治療を凌いでいる光久さん、意気軒昂。次席は7点で、大倉悌志郎さんの「捨て鉢の梅さきがけて匂ひけり」と、横井定利さんの「ピアノでも弾いてみようかクロッカス」の二句。続く6点句は定利さんの「ガンだつたんよのほほんと春ショール」と堤てる夫さんの「塩田平降りてきそうな寒の星」の二句。

以下5点句が4句、4点8句、3点9句、2点20句、1点52句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「水温む」

おみくじはみんな中吉水温む     大熊 万歩

いく度も名を変へ大河水温む     廣上 正市

水ぬるむ昔の日記ひろい読み     池村実千代

水温む盆栽展の列につき       大下 綾子

水温む皇居めぐりて神田まで     金田 青水

水遣りの勢い増して水温む      流合研士郎

すみません降りますの声水温む    山田 明美

水温む豊後の海の兜蟹        嵐田 啓明

水温む些細なことに笑ひ声      嵐田 啓明

花屋さん赤いゴム長水温む      植村 博明

水ぬるむ庭師の謡軒端より      岡田 臣弘

雨の文字にはかに優し水温む     徳永 正裕

石仏を巡る一日や水温む       廣上 正市

「クロッカス」

ピアノでも弾いてみようかクロッカス 横井 定利

房総の春は弾けてクロッカス     大沢 反平

幾人も杖を止めたるクロッカス    須藤 光迷

クロッカスほのかに香る脇机     岡田 臣弘

クロッカス小さき芽吹き窓の鉢    来間  紘

バスに香を置いて降りゆくクロッカス 野田 冷峰

空つかむ赤ちゃんの手やクロッカス  嵐田 啓明

幼子の指さす先のクロッカス     植村 博明

「雑詠」

鎌倉やどの径ゆくも藪椿       吉野 光久

捨て鉢の梅さきがけて匂ひけり    大倉悌志郎

塩田平降りてきそうな寒の星     堤 てる夫

ガンだつたんよのほほんと春ショール 横井 定利

恋猫に米を研ぐ手を休めけり     須藤 光迷

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大澤水牛、岡田臣弘、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋淳、徳永正裕、堤てる夫、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、村田佳代、山田明美、横井定利(投句参加)池村実千代、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、田中頼子、直井正、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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番町喜楽会第89回例会を開催

番町喜楽会は2月2日(土)午後1時からNPO法人双牛舎事務所のある千代田区二番町の番町ハイム会議室で、平成25年(2013年)の第2回句会(通算89回)を開催した。この日の兼題は「春光」と「蕗の薹」。出席15名、投句参加4名で、投句総数は95句(一人5句)。選句6句で句会を進めた結果、最高点は7点で猫好き星川佳子さんの「春光やひげだけ動く眠り猫」の1句。次席6点は玉田春陽子さんの「地雷なき国のしあはせ蕗の薹」。三席5点は徳永正裕さんの「春光や鉋吐き出すまろき屑」だった。以下、4点4句、3点7句、2点13句、1点24句と続いた。

夜来の雨も10時前には上がり、午後はお日様も出て18℃になるバカ陽気。梅の花がほころび始めた。例年になく厳しかった冬もなんとなく峠を越した感じだ。句会の後、場所を市ヶ谷駅そばの「鮨乃家」に移し、恒例の「番町連句会」を行った。

この日の句会で3点以上獲得した句は次の通り。

「春光」

春光やひげだけ動く眠り猫       星川 佳子

春光や鉋吐き出すまろき屑       徳永 正裕

春光やキリンに丸き角の先       今泉 而雲

湯上りの赤子の裸春の色        田中 白山

枝つたふ滴に春の光かな        高瀬 大虫

「蕗の薹」

地雷なき国のしあはせ蕗の薹      玉田春陽子

水音の堰越え初めし蕗の薹       玉田春陽子

地の力ほつりほつりと蕗の薹      今泉 而雲

今年また摘むうれしさよ蕗の薹     大澤 水牛

用済みの井戸のまはりや蕗の薹     田中 白山

「雑詠」

病み厭きて寒明けの日を数へたり    岩沢 克恵

降りしきる雪に音消え色も消え     須藤 光迷

干し上げて海苔に生るる五彩かな    今泉 而雲

昼酒や木屋町辺り春時雨        髙橋 楓子

 

(出席者)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、加沼鬼一、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、髙橋楓子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、星川佳子、前島厳水、三好六甫。(投句参加)岩沢克恵、高井百子、野田冷峰、山口斗詩子。

 

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日経俳句会第115回例会

日経俳句会の平成25年初句会は1月22日(火)午後6時半から内神田鎌倉橋交差点そばの日経第二別館会議室で開かれた。出席者は24人だったが、投句参加者が16人に上り、投句総数が193句とまたまた記録更新となった。諸般の事情で句会から遠ざかっていた和泉田守さんと加藤明男さんが復帰するという新春早々嬉しい知らせがあり、この日の句会に句が寄せられた。また、年末年始を残念ながら病院で過ごされた吉野光久さんも元気に投句して来た。

兼題は「寒の水」と「風呂吹」。欠席投句が多かったため選句を7句として句会を進めた結果、最高点は10点で「一病を抱いて一汲み寒の水 正市」と「真っ青な竹柄杓あり寒の水 光迷」の2句だった。次いで7点が「遺影抱く振袖の列成人式 てる夫」の1句、6点が「尖る音水琴窟の寒の水 万歩」の1句。以下、5点が5句、4点8句、3点10句、2点21句、1点が54句という結果になった。3点以上獲得した句は次の通り。

「寒の水」

真っ青な竹柄杓あり寒の水     須藤 光迷

一病を抱いて一汲み寒の水     廣上 正市

尖る音水琴窟の寒の水       大熊 万歩

ひよどりのうまさうに呑む寒の水  金田 青水

菜の屑の残る手桶や寒の水     廣上 正市

寒の水魚捌く手の赤さかな     杉山 智宥

わさび田に根性注ぐ寒の水     髙瀬 大虫

寒の水杜氏一礼して注ぐ      田中 頼子

寒の水青空映し流れけり      流合研士郎

寒の水波紋の芯に花一輪      流合研士郎

それらしき味がするなり寒の水   植村 博明

酒蔵に活気満ちるや寒の水     大熊 万歩

寒の水きりりと指間透りけり    大沢 反平

寒の水含みて神気かけ巡る     野田 冷峰

「風呂吹」

風呂吹にフォークを添える六本木  深田森太郎

風呂吹や今宵みちのく純米酒    嵐田 啓明

ぬる燗に合うものふろふき古女房  大石 柏人

風呂吹や小皺のふえし片笑窪    髙石 昌魚

風呂吹きや老眼鏡が邪魔になり   堤 てる夫

風呂吹や柚子の香運ぶ赤き椀    水口 弥生

「当季雑詠」

遺影抱く振袖の列成人式      堤 てる夫

病廊にうなづき交はす年の礼    吉野 光久

遥かなるものにつながれ凧     吉野 光久

しばらくは雪積む貨車と並走し   大下 綾子

老いし目に白さ眩しき残り雪    久保田 操

またひとつパゴダ浮き出す初日かな 髙瀬 大虫

一月や小銭を貯めし布袋尊     徳永 正裕

(まとめ 大澤水牛)

 

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新春恒例七福神吟行

日経俳句会は番町喜楽会と合同で1月12日(土)新春恒例の七福神巡り吟行を行った。平成25年は徳永正裕幹事のお膝元、千葉県・佐倉の七福神巡りと歴史博物館探訪。19人の大所帯で、ぽかぽか日和の佐倉市内を経巡った。

午前10時に京成佐倉駅に集合、午前中は佐倉城址にある歴博を見学。昼食後、七福神巡りを始める。佐倉七福神と銘打って売り出してから今年が十周年だそうである。だから、まだ彫りたてで石肌がきらきら輝いている福禄寿や布袋尊が鎮座ましましている。後発組だけに地元の売り出し熱意は大変なものだ。京成佐倉駅前には「佐倉七福神」と染め抜いた幟が掲げられ、街中あちこちに幟や看板が眼につく。手拭いやバッジ、煎餅、人形焼など七福神グッズもあれこれ売り出している。メインストリートにある歴史生活資料館では、七福神全部を回りきれなかった人のために、色紙に抜けた社寺の御朱印スタンプを一つ二百円で押すサービスまでやっている。時間が足りない我々一行も神社一つ、寺二つで時間になってしまい、抜けた御朱印を押してもらった。

吟行の締め括りは「最後の佐倉藩主」堀田正倫が明治二十三年に建てた邸宅。庭園とともに明治期の高級住宅として今に残る貴重な文化遺産だ。最後の殿様のお屋敷は作りはしっかりしており、最高品質の材木で作られていることが素人眼にも分かる。たぶん旧佐倉城にあったものだろう、立派な御影石のつくばいに山雀がきてとまった。明けましておめでとうとでも言うように首を上下に振って、形の良い松の枝に飛び移った。うらうらと冬の陽射しは早くも傾き始めている。

三時半を回った頃、山を下って元の町並みに戻り川瀬屋という蕎麦屋で懇親会。帰京後、徳永幹事が捌き手となり、メールによる投句・選句で句会を行った。投句は5句で、選句は「天(5点)」「地(3点)」「人(2点)「入選(1点)」の4句で行ったメール句会の結果は、最高点が20点で「山雀の御慶に来たる殿の庭 大澤水牛」、次席が13点で「冬ぬくし腹に小銭の布袋尊 今泉恂之介」「福詣ふわっとふくをしょひにけり 池村実千代」の2句、次いで「福めぐり花簪のひともゐて 大石柏人」が10点を獲得した。参加者の人気を呼んだ句は以下の通り。

道たずねせんべいもらふ初吟行   池村実千代

木漏れ日や鳥の声する枯葎     今泉恂之介

八十路越えやっと歩けり福めぐり  大石 柏人

冬ぬくし槙の垣根の武家屋敷    大澤 水牛

弁天は引き戸の向う寒の内     大沢 反平

寒紅梅藩主の偉業香ぐはしく    岡田 臣弘

福詣心は青き空にあり       久保田 操

医の集ふ蘭学通り寒椿       澤井 二堂

縄文の土偶ぺちゃくちゃ冬温し   須藤 光迷

福詣〆は猫飼ふジャズの店     玉田春陽子

福詣りひとつの寺に福ふたつ    田中 白山

家苞は亀甲もなか福詣       谷川 水馬

鉤の手の佐倉冬町武道具屋     徳永 正裕

日の本を知るよすがなり福巡り   野田 冷峰

山茶花の赤く彩る武家屋敷     藤村 詠悟

犬待たせ集合写真冬日射し     星川 佳子

喜楽人佐倉に集ひ福詣       前島 厳水

布袋腹賽銭こぼし冬日和      水口 弥生

(まとめ 大澤水牛)

 

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番町喜楽会第88回例会(平成25年初句会)

番町喜楽会は平成25年(2013年)の幕開け句会を1月7日(月)午後6時半から九段下の千代田区立生涯学習館会議室で行った。

この日の兼題は「屠蘇」と「冬の蝶」。出席14名、投句参加2名。投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高点は5点で星川佳子さんの「酒飲まぬ家にもありし屠蘇道具」の1句。次席4点はやはりわずか1句で笹本塘外さんの「屠蘇なめてまづは目出度き祖母の笑み」。次いで3点が7句、2点17句、1点25句だった。お屠蘇気分のせいか、選句は票が分散し、投句総数80句のうち51句に点が入るというまずはお目出度い結果になった。

3点以上獲得した句は次の通り。

 

「屠蘇」

酒飲まぬ家にもありし屠蘇道具     星川 佳子

屠蘇なめてまづは目出度き祖母の笑み  笹本 塘外

なみなみとお屠蘇代りの大吟醸     堤 てる夫

遥かなる三三九度や屠蘇の盃      徳永 正裕

「冬の蝶」

冬の蝶近衛連隊ありし跡        玉田春陽子

ひそやかに冬の蝶抱く溝落葉      山口斗詩子

日の当る地を這ふごとく冬の蝶     田中 白山

「雑詠」

それぞれに今年の顔や初句会      高瀬 大虫

鴇色のちりめん暖簾冬温し       星川 佳子

 

(出席者)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島厳水。(投句参加)堤てる夫、前島厳水。

(まとめ 大澤水牛)

 

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