酔吟会第105回例会

酔吟会の平成25年度第4回例会(通算105回)が7月13日(土)午後1時から、鎌倉橋交差点そばの日経第二別館で開かれた。東京は6日に例年より15日も早く梅雨明けし、南からと西からの二重の高気圧の張り出しで、連日猛暑に見舞われた。13日も相変わらずの暑さで、年寄りの多い酔吟会とあって何人来られるか懸念されたが、いつもとほぼ同じ10人が参加した。

出席は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟。投句参加は大石拍人、藤野十三妹氏。また、久保田、吉野両氏は大澤水牛幹事にメールで投句していたのだが、行き違いで句会に披露されず残念なことになった。

今回の兼題は「向日葵」と「夏座敷」で、投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は5点で1句、次いで4点が1句、3点4句、2点12句、1点24句となった。兼題別の3点以上の句は次の通り。

「夏座敷」

独鈷山の風を一手に夏座敷    星川 佳子

佃煮の匂ひ佐原の夏座敷     今泉恂之介

夏座敷ぷんぷくりんと孫の足   大沢 反平

「向日葵」

向日葵や瓦礫の浜に逞しく    岡田 臣弘

ひまわりの丘越えゆけば地中海  金指 正風

「雑詠」

托鉢の僧回わり来る梅雨晴間   金指 正風

(まとめ 澤井二堂)

 

 

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平成25年上期合同句会を開催

日経俳句会は6月18日午後6時半、平成25年上期の合同句会を東京・神田鎌倉橋の日経第二別館会議室で開いた。投句者38人、投句総数114句。兼題を含め3句を投句し、事前選句(5句)した。句会当日は蒸し暑い梅雨の最中にもかかわらず、21人が出席し、13人が欠席選句を提出した。幹事が整理した選句集計をもとに、4点以上の作品について参加者全員がこもごも句評、活気ある句会になった。

最高点の8点は大下綾子さんの「バス停に旧き町名麦の秋」。7点は片野涸魚さんの「原節子いずくに在りや麦の秋」が選ばれた。両氏は他の句でもそれぞれ5点句に選ばれている。6点は「肩車して麦秋のど真ん中」( 横井定利)、「飛魚やしばし忘るる船の揺れ」(植村博明)、「父の日の小さくなりし背中かな」(嵐田啓明)の3句。

昨年上期の合同句会は18点句が出現するなど大荒れになったが、今回は選句が全体にばらついた感じがある。また、高点句は時候の季題である「麦の秋」に集中し、「飛魚」には少なかった。そうした中で、金田青水さんの投句した3句すべてが4点句に選ばれれたことが話題になった。兼題別の高点句は以下の通り。

 

「麦の秋」

バス停に旧き町名麦の秋      大下 綾子

原節子いずくに在りや麦の秋    片野 涸魚

肩車して麦秋のど真ん中       横井 定利

麦秋や美瑛の丘の空青し       高石 昌魚

麦の秋手織の機の軽き音      徳永 正裕

国東は鬼さへやさし麦の秋     野田 冷峰

麦秋や就活女子の黒スーツ     金田 青水

麦秋の母を離れぬ仔馬かな     嵐田 啓明

麦秋や前髪ちょきん切ってみる   池村実千代

白馬から信濃は青し麦の秋     大沢 反平

みちくさの子らの石蹴り麦の秋   吉野 光久

 

「飛魚」

飛魚やしばし忘るる船の揺れ    植村 博明

飛魚の眼(まなこ)の先の海と空      大下 綾子

飛魚とんで隠岐へのフェリー先導す 大倉悌志郎

飛魚や黒潮太く蛇行せり      金田 青水

飛魚や後に先にと島航路      大熊 万歩

 

「当季雑詠」

父の日の小さくなりし背中かな   嵐田 啓明

新樹湧くごとし前方後円墳     今泉恂之介

行きゆきて青嶺の奥の無言館    大澤 水牛

どくだみや余生の日々の長きこと  片野 涸魚

古刹から洋食匂う梅雨晴間     杉山 智宥

豆腐屋の昼は閉ぢをり柚子の花   星川 佳子

霧を出てまた霧のなか峠道     大石 柏人

新宿の路地よりぬっと夏の月    大倉悌志郎

曝書の手とめて見入るやクレヨン画 金田 青水

スカイツリー頭かくして梅雨来る  澤井 二堂

百選の町の湧水夏つばめ      廣上 正市

(まとめ 堤てる夫)

 

 

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平成25年双牛舎総会・俳句大会

俳句の普及、振興を目指すNPO法人双牛舎は4月20日午後、市ヶ谷・鮨乃家本店で第6回総会を開催した。日経俳句会、番町喜楽会に加え三四郎句会が双牛舎会員となり、昨年よりも9人多い陣容での開催。総会と同時に開いた俳句大会には44人が参加した。総会は長老、井上庄一郎さん(日経俳句会)の祝辞・乾杯に続いて、共同代表の今泉恂之介(而雲)さんがこの一年間の活動報告を行った。

総会の目玉、俳句大会は兼題の「春風(はるかぜ)」と雑詠の投句2句、選句5句で行われた。メールなどで事前に選句表を作成・発信し、出席者はそれを元に会場に掲げられた作品一覧表に選句シールを貼る方式で進めた。

入賞句の発表前に、昨年4月に行われた第5回総会での俳句大会の入賞句10句が改めて紹介され、書家赤池溪舟師揮毫の短冊が読み上げられ、受賞者に贈られた。

今回の俳句大会で最高の13点を得たのは大澤水牛共同代表の「蝶々にまとひつかれて鍬振るふ」で「天」賞となった。次席の「地」賞は番町喜楽会の田中白山さんで「一人にも二人連れにも春の風」が9点。三席「人」賞も番町喜楽会玉田春陽子さんの「春風に身をふるはせし恋の絵馬」で8点だった。以下、7点1句、6点2句、5点4句で、入選者には水牛さん、須藤光迷さんの陶芸作品が贈呈された。

昨年同様に今年の受賞作10作品は赤池先生に揮毫をお願いし、来年の総会時に贈呈される。今回俳句大会は投句総数が88句にのぼり、そのうち69句に点が入る賑やかさだった。

入賞作品は以下の通り。

「天」  13点 蝶々にまとひつかれて鍬振るふ    大澤 水牛

「地」   9点 一人にも二人連れにも春の風      田中 白山

「人」   8点 春風に身をふるはせし恋の絵馬    玉田春陽子

「入選」  7点 春の日に背より眠気がはいあがり   石黒 賢一

6点 富士見坂名のみとなりて春の風    澤井 二堂

6点 春月に濁点打つやちぎれ雲      谷川 水馬

5点 春風や老人パスを首に掛け      岡田 臣弘

5点 誰かれに声掛けたくて春の風     大澤 水牛

5点 散るものは散りたるけさのさくらかな 廣上 正市

5点 乙女らの黒髪長し春の風       深瀬 久敬

「残念賞( 3点以上句)」

4点

春風やマネキンひそと動きさう    谷川 水馬

春風や億万の恋萌え出る       片野 涸魚

春風や日本へ行くと娘より      井上庄一郎

中庭に春風のある美術展       大沢 反平

鉈彫の仏の笑みや春の風       須藤 光迷

春風やふらり小路のアジフライ    杉山 智宥

恋衣ふはりと春の風にのせ      高橋 楓子

だぶだぶの制服の列春の風      高井 百子

合ふボタン探しあぐねる春の宵    星川 佳子

3点

春風や山門越ゆる一人旅       宇佐美 諭

恐竜の化石つややか春の風      星川 佳子

吊り橋のそこは春風通り道      嵐田 啓明

初蝶の知足の寺に遊びをり      須藤 光迷

バスを待つ言問通り春の風      池村実千代

(まとめ 堤てる夫)

 

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日経俳句会第119回例会

日経俳句会は平成25年第5回例会(通算119回)を5月21日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館で開催した。兼題は「夏めく(なつめく)」「薔薇(ばら)」で投句総数は172句(14人が投句参加)で、選句7句で進めた結果、徳永正裕さんの「夏めくや麻の上着の背中皺」が10点を集めて最高点。次席は大熊万歩さんの「夏めくや重たくなりし付け睫毛」の8点句。三席は佐々木碩さんの「夏めくや風のことばに木のことば」と、田中頼子さんの「ふたとせも人入れぬ町花いばら」の7点2句。

次いで6点は「つる薔薇にもの言ひてより母の朝 恂之介」、「病得て薔薇一輪に励まされ 臣弘」、「夏めくや田水の音のたうたうと てる夫」、「夏めくや子等にでつかい背番号 定利」、「薔薇一輪活けて独りの昼餉かな 光久」の5句が並んだ。続く5点は「夏めきて雑巾ぬつてみたくなる 実千代」の1句。以下4点10句、3点7句、2点17句、1点11句。3点以上の高点句が27句も出て会場は大いに沸いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏めく」

夏めくや麻の上着の背中皺      徳永 正裕

夏めくや重たくなりし付け睫毛    大熊 万歩

夏めくや風のことばに木のことば   佐々木 碩

夏めくや田水の音のたうたうと    堤 てる夫

夏めくや子等にでつかい背番号    横井 定利

夏めきて雑巾ぬつてみたくなる    池村実千代

夏めいて薄暮の似合ふ銀座かな    嵐田 啓明

夏めくやアジアン雑貨の店に入る   植村 博明

夏めくやゼブラ模様のワンピース   大澤 水牛

夏めくやオープンカフェの長話    大沢 反平

夏めくや薄く去年の日焼け跡     高瀬 大虫

夏めくや新潟平野水光る       大倉悌志郎

雲浮かぶ夏めく空に句も浮かぶ    山田 明美

「薔薇」

ふたとせも人入れぬ町花いばら    田中 頼子

つる薔薇にもの言ひてより母の朝   今泉恂之介

病得て薔薇一輪に励まされ      岡田 臣弘

薔薇一輪活けて独りの昼餉かな    吉野 光久

残されて薔薇のはなやぐ空家かな   大沢 反平

青き薔薇蒼穹よりの使者ならん    徳永 正裕

カルメンの運命や赤き薔薇くずる   大倉悌志郎

恩師百われ八十二薔薇盛る      直井  正

「雑詠」

藤棚に乳母車寄せ子と眠る      大倉悌志郎

廃屋や卯の花垣はくずれずに     大倉悌志郎

皿蕎麦や塩田平の新樹光       須藤 光迷

初夏の風入れて電車は大仏へ     大澤 水牛

母の日や里の血縁絶えにけり     大沢 反平

朝顔や谷中往き交ふ介護バス     澤井 二堂

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、水口弥生、村田佳代、山田明美、横井定利(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大石柏人、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、高瀬大虫、高橋淳、田中頼子、藤野十三妹、星川佳子、吉野光久  (まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第92回例会

番町喜楽会は5月13日(月)午後6時半、九段の生涯学習会館で五月例会(通算92回)を開いた。兼題は「新緑(しんりょく)」と「蝸牛(かたつむり)」で、投句総数は90句。6句選句で句会を進めた結果、今泉而雲さんの「枝先にありて夕陽のかたつむり」と、高瀬大虫さんの「新緑や例大祭の五色幕」が5点句で最高だった。次席は4点で、大澤水牛さんの「蕎麦屋まで新緑の道四半刻」、谷川水馬さんの「棟上げや新緑の風男らに」と「夏蝶の五差路に出でて迷ひけり」の二句、高橋楓子さんの「湧水や竹の柄杓に蝸牛」と、星川佳子さんの「大ぶりの湯飲み取り出す立夏かな」の合計5句が並んだ。

3点句もやはり5句あり、須藤光迷さんの「新緑のほつほつとあり五稜郭」、水馬さんの「蟇蛙強面にして子煩悩」、楓子さんの「夕暮れて新緑の香の密になり」、玉田春陽子さんの「蝸牛昔出女関所跡」と「踏切のせわしき音や蝸牛」の2句だった。3点以上の高点句12句の内、水馬さんが3句、楓子さんと春陽子さんがそれぞれ2句入り、プロ野球式に言う「複数安打」の3人の笑顔が目立った。

参加者は(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高橋楓子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、笹本塘外、高瀬大虫 (まとめ・堤てる夫)

 

 

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酔吟会第104回例会

酔吟会の平成25年度第3回例会(通算104回)は、5月11日(土)午後1時から神田・鎌倉橋交差点そばの日経第二別館で開かれた。

立夏というのに東北、北海道では雪が降るという異常気象が続いているが、東京はようやく暖かい日和となった。あいにくこの日は雨だったが、12人と酔吟会としては多数参加となった。出席は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、久保田操、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、藤村詠悟。投句参加は吉野光久。

兼題は「夏の山」と「菖蒲」、投句5句、選句6句で句会を行った結果、最高点は5点で1句、次いで4点が3句、3点が7句、2点8句、1点句18句となった。兼題別の3点以上の句は次の通り。

「夏の山」

夏山の緑を縫ひて郵便車       岡田 臣弘

夏の山木漏れ日弾く早瀬かな     岡田 臣弘

足湯して湖越しの夏の山       大沢 反平

甲斐抜けて山の信濃も夏姿      徳永 正裕

「菖蒲」

菖蒲湯や見るかげもなき力瘤     片野 涸魚

ひらひらと舞ひたちさうに花菖蒲   徳永 正裕

菖蒲青し道場の床磨かれて      今泉恂之介

「雑詠」

完治告げられて飲み干すラムネ哉   吉野 光久

神田祭古き町名よみがへり      大澤 水牛

風の道高き低きをたどる蝶      星川 佳子

花蜜柑母のアルバム古りにけり    吉野 光久

(まとめ 澤井二堂)

 

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平成25年英尾先生墓参桜吟行

村田英尾先生の眠る都営多摩霊園に詣で、隣接の多摩森林科学園で桜狩する日経俳句会恒例行事が4月14日(日)に行われた。麗かな日和に恵まれた多摩丘陵に集ったのは、大澤水牛幹事長を筆頭に、今泉恂之介、田中頼子、高瀬大虫、野田冷峰、徳永正裕、杉山智宥、堤てる夫に、日経俳句会に入会して初参加の村田佳代の計9人。僧籍にある頼子さんに従って読経、お参りをした。

英尾先生没後3周年の平成20年4月に始まった行事で今年が6回目。見慣れた桜保存林ではあるが、毎年、花の盛りは微妙にずれ、今年は染井吉野の姿はなく、遅咲きの八重桜を楽しむだけだった。それでも新しい発見はあるもので、メール句会の作品には新発見や工夫がみられた。

3句選句で「天」5点、「地」3点、「人」2点で計算した結果、高瀬大虫さんの「花人となりて楊貴妃訪ねけり」が13点、野田冷峰さんの「愛娘桜愛でつつ墓参り」が12点、今泉恂之介さんの「花の上渡りゆくなり花吹雪」と徳永正裕さんの「そよ風の花の山行く乳母車」が10点と都合4句が二けた得点した。メール句会で好評を博した参加者各人の句は以下の通り。

 

花の上渡りゆくなり花吹雪    今泉恂之介

水路曲げ外来黄菖蒲隔離策    大澤 水牛

目の端に他人の弁当花吹雪    杉山 智宥

花人となりて楊貴妃訪ねけり   高瀬 大虫

むささびの見下ろしている桜狩  田中 頼子

駅までの街路の桜名残りかな   堤 てる夫

そよ風の花の山行く乳母車    徳永 正裕

愛娘桜愛でつつ墓参り      野田 冷峰

花見には卵焼きよと箸を割る   村田 佳代

結婚を報告墓前にすみれ咲く    同

 

 

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日経俳句会第118回例会

日経俳句会は4月16日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で、平成25年第4回例会(通算118回)を開いた。首都圏の桜はソメイヨシノが盛りを過ぎて八重桜の目立つ頃となった。兼題は「春惜しむ(はるおしむ)」「柳(やなぎ)」で、投句総数は180句。出席者は21人、投句参加が16人。この日、新入会員の北沢淳氏(日経産業地域研究所勤務)が初参加、早速投句、選句にデビューした。

選句7句で句会を進めた結果、最高は大倉悌志郎さんの「春惜しむ一日切符で荒川線」の8点。次席は6点で、大熊万歩さんの「花の名を一つ覚えて春惜しむ」、田中頼子さんの「糸柳やはらかく眉ひきにけり」、水口弥生さんの「オルガンの惜春の音や奏楽堂」の3句が並んだ。続く5点は、野田冷峰さんの「一行の看護日誌や春惜しむ」「その昔川なる土手の柳かな」の2句と、大下綾子さんの「カーテンを洗ひて干して春惜しむ」、吉野光久さんの「芽柳や雨のしづくのうすみどり」の計4句。次いで4点9句、3点12句で、3点以上の高点句が29句も出た。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「春惜しむ」

春惜しむ一日切符で荒川線    大倉悌志郎

花の名を一つ覚えて春惜しむ   大熊 万歩

オルガンの惜春の音や奏楽堂   水口 弥生

カーテンを洗ひて干して春惜しむ 大下 綾子

一行の看護日誌や春惜しむ    野田 冷峰

春惜しむわが道を行く万歩計   井上庄一郎

遺句集に栞はさみて春惜しむ   今泉恂之介

春惜しむ五人になりし同級生   大澤 水牛

齢に合ふ歩数を重ね春惜しむ   高石 昌魚

ふと妻の手に触れ春を惜しみけり 嵐田 啓明

何したと記憶も残らぬ春惜しみ  来間  紘

春惜しむ銀座にどつこい三州屋  杉山 智宥

知床に百花の春を惜しみけり   徳永 正裕

老舗消ゆ神田界隈春惜しむ    水口 弥生

 

「柳」

糸柳やはらかく眉引きにけり   田中 頼子

その昔川なる土手の柳かな    野田 冷峰

芽柳や雨のしづくのうすみどり  吉野 光久

一塁の柳に駈けしゴロ野球    今泉恂之介

閉店の知らせ小さき柳かな    横井 定利

夕ざれて屋根掃く柳蔵の町    水口 弥生

耳遠く柳に風の会話かな     大石 柏人

柳かげ掻揚げ橋善ありし処    大澤 水牛

いにしへの蘇州運河や柳絮舞ふ  岡田 臣弘

新調の眼鏡にゆらぐ青柳     久保田 操

皇宮とビル街分かつ柳かな    徳永 正裕

 

「雑詠」

春深し電車が地下に消えし街   杉山 智宥

故郷なる川をたがはず上り鮎   吉野 光久

さざ波や春過ぎてゆく池の上   今泉恂之介

初花や父退院の日の決まる    大倉悌志郎

 

参加者(出席)池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、大平睦子、岡田臣弘、北沢淳、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、高石昌魚、高橋淳、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)嵐田啓明、井上庄一郎、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高瀬大虫、藤野十三妹、水口弥生、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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第23回三四郎句会

第23回三四郎句会が4月11日、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。会員12人中、11人が出席、1人が欠席投句だった。兼題は花(桜)と朧。「散るたびに覚悟を迫る桜かな」(篠田義彦)、「花筏流れに乗って模様替え」(渡辺信)、「薪はぜシテまかり出ておぼろ月」(河村有弘)が上位の4点で並んだ。次回は6月20日の予定。

(まとめ・今泉恂之介)

 

 

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番町喜楽会第91回例会

番町喜楽会は4月6日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で平成25年第4回例会(通算91回)を開いた。兼題は「桜餅(さくらもち)」「長閑(のどか)」で、欠席投句も含め会員19人から95句の投句があった。

春の暴れ低気圧接近で雲行きあやしい土曜日の昼下がり、会場に姿を見せたのは12人、選句6句(欠席選句は各5句)で句会を進めた結果、最高は9点で大澤水牛さんの「縁談を笑ひ飛ばして桜餅」の1句。水牛さんの句作裏話をきっかけに「最近縁談事情」で合評会が弾んだ。次席は徳永正裕さんの「桜餅たちまち妻の京言葉」の7点句、3席は星川佳子さんの「吹きあぐる風の形に桜散る」で6点句。

5点句は谷川水馬さんの「曳かれゆく浚渫船や湾のどか」、4点句が今泉而雲さんの「茶を淹れて男やもめの桜もち」と続いた。以下、3点は6句、2点13句、1点23句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「桜餅」

縁談を笑ひ飛ばして桜餅      大澤 水牛

桜餅たちまち妻の京言葉      徳永 正裕

茶を淹れて男やもめの桜もち    今泉 而雲

桜餅おさなき恋の話など      須藤 光迷

「長閑」

曳かれゆく浚渫船や湾のどか    谷川 水馬

長閑さや鯉の昼寝に付き合ひて   高瀬 大虫

長閑なるこのひと時のカフェオ―レ 高橋 楓子

のどけしや不動の索もたゆむほど  加沼 鬼一

のどけしや足だけ見える乳母車   高井 百子

「雑詠」

吹きあぐる風の形に桜散る     星川 佳子

相続や田園調布の老桜       高瀬 大虫

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、笹本塘外、高橋楓子、野田冷峰、前島巌水、三好六甫  (まとめ・堤てる夫)

 

 

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