英尾先生墓参・八王子城跡吟行

没後十三年、英尾師墓参に十人

悲劇の八王子城跡を吟行

春の恒例行事、英尾先生墓参は没後十三年目の今年、近隣の八王子城跡散策を合わせて4月8日(土)に実施、日経俳句会、番町喜楽会の10人が参加した。時折雨のちらつく曇天で、集合場所のJR中央線高尾駅の人だかりは、いつになく少なめ。定刻の10時過ぎ、駅前バス停で乗車、都立八王子霊園に向かう。沿道の桜並木、霊園の染井吉野はしっかり開花していた。

墓前に供花、線香を焚いて一同祈りを捧げ、霊園の北側門から出て、八王子城跡の城山を目指す。緩やかな上り道は住宅地の中。各戸の庭の草花、桜や桃の花が目を引く。途中、北条氏照(落城時の城主)の墓や城跡管理棟、ガイダンス施設に寄って八王子城大手門跡に辿り着く。

城跡は昭和26年に国の史跡に指定され、発掘調査、復元工事が実施された。江戸時代の廃城で、失われた遺構も多い。大手門の位置は推定、城内に入る曳橋も想定で造られた。居館跡の冠木門も「御主殿」の礎石や庭園なども推定の復元工事という断り書き付き。虎口の石垣は鋭い断面、石段の石も摺り減った丸みはない。この城は戦国時代関東一円を治めた後北条氏の北西部を守る堅城だが、築城開始から10年足らずで天下統一を目指す豊臣秀吉軍に攻められ落城した(天正18年=1590年)。

城山頂上の本丸跡まで40分ほどの行程というが、雨で足元が危ないと判断し、御主殿跡の広場で昼食。大阪からの「百名城ツアー」の団体客がどっと来たりの賑わい広場だ。御主殿広場の坂を下った先に落城時、北条方の武将、婦女子の自決の場になったという「御主殿の滝」がある。小田原攻めの豊臣勢(上杉景勝、前田利家、真田昌幸ら)に囲まれ、氏照正室・比佐をはじめ城内の婦女子が自刃、あるいは滝に身を投げた。滝から城山川にかけて三日三晩血に染まったという。目の前の滝は渇水期で、水量は極めて少なかったが、崖の砂岩は鋭く切立っていた。落城は小田原の北条一族を一気に滅亡に追い込んだ。

昨年は、氏照のもう一つの居城、滝山城址公園の桜吟行だった。二年続きで「後北条家」の歴史を辿る吟行、ともに印象深く記憶に刻まれた。

同日の参加者は、大澤水牛、今泉而云両顧問に田中白山、岡田臣弘、野田冷峰、澤井二堂、杉山智宥、徳永正裕、中村哲各氏と堤てる夫幹事。

恒例のメール句会は3句投句・5句選句で、「天」(5点)、「地」(3点)、「人」(2点)、「入選」(1点)で採点した。その結果、最高は「天」三つの15点を得た田中白山さんの「氏照の墓への道の初音かな」だった。次席は11点で、中村哲さんの「春の城盛衰語る古陶片」。三席は9点で杉山智宥さんの「風渡る主従の墓石すみれ草」となった。参加10人の代表句は次の通り(天地人句の作者の場合はそれ以外の作品を掲げる)。

戦国の悲劇の城址花を見ず      今泉 而云

花に影氏照いやす呼子鳥       岡田 臣弘

姫君の自決の巌や藪椿        大澤 水牛

御主殿の滝清らかに花筏       澤井 二堂

城址に春の気満載バスツアー     杉山 智宥

花曇り本丸あたり靄の中       田中 白山

春の雨上がり十三年忌かな      堤 てる夫

ありったけの御香くゆらせ春の墓   徳永 正裕

英尾忌や枝垂桜の誘ひをり      野田 冷峰

落城の悲話ある滝に藪椿       中村  哲

(報告 堤てる夫)

 

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番町喜楽会第138回例会

「春愁」と「土筆」を詠む

番町喜楽会の平成29年4月例会(通算138回)は、4月1日(土)午後6時から、「春愁」と「土筆」を兼題として九段下の割烹「味さと」で開いた。投句者は19名、投句総数91句。当夜は14名が九段下の会場“味さと”に集まり句会を開催した。選句6句で句会を進めた結果、玉田春陽子さんの「片づかぬ書架に春愁いすわりぬ」が6点でトップに輝いた。また、同じく玉田春陽子さん、廣田可升さん、嵐田双歩さん、星川佳子さんの5点句が続いた。以下、4点が4句、3点も4句、2点13句、1点が29句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春愁」

片づかぬ書架に春愁いすわりぬ     玉田春陽子

春愁を炭酸で割る午後のバル      廣田 可升

我が妻に春愁のありパンを焼く     高井 百子

春愁も入れて独りのミルクテイ     玉田春陽子

「土筆」

礎は国分寺跡つくしんぼ        玉田春陽子

吾子の手の土筆湿りて温かし      嵐田 双歩

恐竜の踏みし丘辺や土筆摘む      大澤 水牛

つくし野の名のみ残りし相模の野    前島 幻水

「雑詠」

蛇口より春の水出る厨かな       嵐田 双歩

しゃがみこむ子を待つ母の四月かな   星川 佳子

航空機ぐらりと着地春一番       今泉 而云

春の泥どかどかと来る選手達      田中 白山

遠富士や方里埋めて芝桜        谷川 水馬

〈参加者〉

【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子。【投句参加5人】池内健治、大下綾子、齊山満智、澤井二堂、前島幻水。

(報告・谷川水馬)

 

 

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三四郎句会第47回例会

岡本さんの「初つばめ」が最高点獲得

宇野木さん、三句高点の好成績

三四郎句会の2017年3月例会(第47回)は16日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は前回と同じ顔ぶれの12人。欠席投句・選句の2人を加えて参加者は14人となった。兼題は「春の空(春の雲)」と「木の芽」。選句の結果、「駅長の肩掠めたる初つばめ」(岡本崇)が最高点の6点。「たんぽぽを手みやげにして車椅子」(宇野木敦子)、「春の雲分け入り逝し紫電改」(河村有弘)、「老木も目覚めて木の芽そつと出し」(竹居照芳)の3句が4点で続いた。宇野木さんは4点句のほか、2句が3点を獲得する活躍ぶりだった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春の空」(「春の雲」も可)

春の雲分け入り逝し紫電改       河村 有弘

羽田沖機影まばゆき春の空       深瀬 久敬

田興しの農夫見やりし春の雲      吉田 正義

「木の芽」

老木も目覚めて木の芽そっと出し    竹居 照芳

一山を木の芽の包み始めたり      今泉 而云

まんまると頬膨れたる木の芽かな    宇佐美 諭

うこぎの芽摘みてふる里想ふ味     宇野木敦子

木々の芽の妻の介護の窓辺かな     岡本  崇

春ですよ小さな声で木の芽たち     田村 豊生

「当季雑詠」

駅長の肩掠めたる初つばめ       岡本  崇

たんぽぽを手みやげにして車椅子    宇野木敦子

雛の日の引き潮に乗り友が逝く     宇野木敦子

戸惑いを三寒四温の陽だまりに     渡邊  信

◇出席者 石黒賢一 石丸雅博 今泉而云 宇佐美論  宇野木敦子 河村有弘  後藤尚弘 竹居照芳 田村豊生  深瀬久敬 吉田正義 渡邉信=12人

◇欠席投句選句者 印南進 岡本崇=2人

(報告 今泉而云)

 

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日経俳句会第157回例会

「春一番」「草餅」に39人から投句190句

反平さん、断トツの13点句

 

日経俳句会は3月15日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で3月例会(通算157回)を開いた。彼岸入りを目前にして寒さがぶり返す中、39人から190句もの投句があった。投句者数、総句数ともこれまでの最高。

兼題は「春一番」と「草餅」。最高点は大沢反平さんの「病妻に野を分けたくて蓬餅」で、13点というかつてない高点を獲得した。次点は8点で加藤明男さんの「カタカタと絵馬のいななき春一番」。その後、嵐田双歩さんの「バンダナの似合ふ母なり草の餅」(7点)、大澤水牛さんの「あめつちの気を搗き込んで草の餅」(6点)と続いた。5点は植村博昭さんの「半鐘の鳴り出しさうな春一番」など3句、4点は大下綾子さんの「手のぬくみ大地のぬくみ草の餅」など6句が並んだ。以下3点16句、2点23句、1点47句と続いた。兼題別高点句(3点句以上)は以下の通り。

「春一番」

カタカタと絵馬のいななき春一番    加藤 明男

半鐘の鳴り出しさうな春一番      植村 博明

自転車をなぎ倒しゆく春一番      岩田 三代

春一番ひとの名前がでてこない     大下 綾子

春一番起立せし君髪が舞う       高橋ヲブラダ

春一番初球ずしんとストライク     徳永 正裕

春一番何処(いずこ)へ往かむ一人旅       井上庄一郎

閉店の貼り紙ちぎれ春一番       植村 博明

息子の手妻がたぐりて春一番      植村 博明

巨木の葉すべて返るや春一番      大熊 万歩

春一番しぶきの洗礼いるかショ―    岡田 臣弘

春一番自堕落暮らし持ってって     岡田 臣弘

占いの看板飛ばし春一番        中嶋 阿猿

ベランダに風紋の朝春一番       水口 弥生

「草餅」

病妻に野を分けたくて蓬餅       大沢 反平

バンダナの似合ふ母なり草の餅     嵐田 双歩

あめつちの気を搗き込んで草の餅    大澤 水牛

故郷に母は健やか蓬餅         大倉悌志郎

手のぬくみ大地のぬくみ草の餅     大下 綾子

草餅や大地の息吹き閉じ込めて     岩田 三代

火箸もて草餅炙る老婆かな       髙瀨 大虫

風光る塵一つ無き平林寺        堤  てる夫

故郷の山河包める蓬餅         中村  哲

蓬餅すり鉢おさえて手伝う子      村田 佳代

「当季雑詠」

啓蟄の町に就活溢れ出る        大沢 反平

四肢伸ばしまた春眠にもどりたる    須藤 光迷

春光や印花彫る手に泥の跡       須藤 光迷

犬ふぐり持ち上げ今朝のもぐら塚    谷川 水馬

卒業証書肘伸ばす手の高きかな     廣上 正市

傘ささぬ人も過ぎゆく春の雨      星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、中嶋阿猿、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、(投句参加)池村実千代、岩田三代、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、村田佳代、水口弥生、横井定利

(まとめ・廣上正市)

 

 

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酔吟会第127回例会

 

参加15人で「若鮎」「山笑ふ」を詠む

酔吟会は3月11日午後1時、東京・千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、平成29年度第2回例会(通算127回)を開催した。兼題は「若鮎」と「山笑ふ」で、出席者12名、投句参加は3名、投句総数は75句だった。

投句5句、選句7句で句会を進めた結果、最高点は4点、片野涸魚さんの「噴水を横に飛ばして春一番」の1句であった。兼題句の「若鮎」では藤野十三妹さんと谷川水馬さんの3点句が並び立ち、「山笑ふ」では、徳永正裕さんが3点句を2句ものにした。以下2点句が16句、1点句は27句と票が分かれた中で、投句参加の大石柏人さんは、投句した5句すべてに点が入り、春になって好調な滑り出し。兼題別3点以上の高点句は次の通り。

「若鮎」

放流の子らの手滑る稚鮎かな     谷川 水馬

若鮎の命の苦み酒に溶く       藤野十三妹

「山笑ふ」

鬱の字をやつと書けたり山笑ふ    徳永 正裕

なで地蔵すり減るあたま山笑ふ    徳永 正弘

「雑詠」

噴水を横に飛ばして春一番      片野 涸魚

ブランコを取り払ひけり老団地    大石 柏人

長閑しや埴輪の馬の尻丸く      谷川 水馬

霞立つ鯨の背といふ埠頭       玉田春陽子

 

参加者(出席)今泉而云,大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子

(投句参加)大石柏人、澤井二堂、藤野十三妹

(記録報告 高井百子)

 

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番町喜楽会第137回例会

 

参加21人で「朧」と「おたまじゃくし」を詠む

 

番町喜楽会の平成29年3月例会(通算137回)は、3月6日(月)午後6時30分から、「朧」と「おたまじゃくし」を兼題に、九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。出席者は19名、投句参加者は2名、投句総数104句と相変わらずのにぎやかな句会となった。選句6句で句会を行った結果、最高点は7点で、嵐田双歩さんの「朧夜の大地うごめく気配かな」と前島幻水さんの「ふくらんで空へ空へと花こぶし」が並んだ。次席は5点で山口斗詩子さんの「帰りきて雛に挨拶する夕べ」と「涅槃会の空億万の杉花粉 水牛」の雑詠句2句が肩を並べ、さらに三席4点には5句がひしめき合った。以下、3点が6句、2点11句、1点35句という結果になった。最近の番町喜楽会は激戦が続き得票が分散、2点句、1点句がとても多くなる。今回もそれが顕著になった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「朧」(「朧夜」も可とする)

朧夜の大地うごめく気配かな        嵐田 双歩

ちょと来いと鳴く鳥のいて草朧       大澤 水牛

傘寿会はなからおぼろ朧かな        田中 白山

朧夜や連れ立ちて行く通夜の家       高井 百子

朧夜や喪服にかすかナフタリン       玉田春陽子

前山寺未完の塔や朧月           堤 てる夫

「おたまじゃくし」

叱られて蝌蚪の卵を捨てにけり       高井 百子

おたまじゃくしみんな兄弟水たまり     徳永 正裕

蛙の子流れに出でて流れけり        今泉 而云

おたまじゃくし進まぬやうに泳ぎをり    大澤 水牛

曾孫待つ父から便り蝌蚪に足        谷川 水馬

「当季雑詠」

ふくらんで空へ空へと花こぶし       前島 幻水

涅槃会の空億万の杉花粉          大澤 水牛

帰りきて雛に挨拶する夕べ         山口斗詩子

ぽあぽあと春の噴き出る里の山       高井 百子

 

〈参加者〉【出席19人】嵐田双歩、池内健治、井上啓一、大澤水牛、大下綾子、齋山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島幻水、山口斗詩子、【投句参加2人】今泉而云、澤井二堂

(報告・大澤水牛)

 

 

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日経俳句会第156回例会

 

178句の投句に高得点句続出

 

日経俳句会は2月15日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で2月例会(通算156回)を開いた。立春後、北風が吹き春浅い日々が続く中、22人が出席した。

兼題は「春浅し」と「梅」。投句参加14人を加え、36人から合計178句とこれまでの最高投句数を記録した。7句選(欠席選句は5句)で句会を進めた結果、最高点は10点で大澤水牛さんの「禿頭をすべりゆく風春浅し」。水牛さんは先月に続き一席連発。二席は9点で谷川水馬さんの「正座する盲導犬や梅日和」。三席は岩田三代さんの「汁椀を両手で包む余寒かな」と大石柏人さんの「山歩く足の裏から春が来た」が7点と高得点句が続出した。以下、「飛梅や転勤辞令唐突に」(直井正)6点、「脳血管珊瑚の如し冴え返る」(而云)、「掛けなおす子どものふとん春浅し」(ヲブラダ)5点と続き、4点8句、3点13句、2点28句、1点44句だった。高点句(3点句以上)は以下の通り。

「春浅し」

禿頭をすべりゆく風春浅し     大澤 水牛

掛けなおす子どものふとん春浅し  高橋ヲブラダ

藁葺きの屋根より蒸気春浅し    大熊 万歩

春浅し新キャプテンの声あをし   金田 青水

乗り手待つボートの群れや春浅し  中村  哲

春浅し胸ポケットに救命丸     橫井 定利

浅春や鯉の尾動く神田川      植村 博明

リビングに淡き陽の影春浅し    久保田 操

春浅し声には出さず経を読む    須藤 光迷

薄ら日に溶け込む塔や春浅し    高瀬 大虫

浅春や身震い一つ猫の黙      水口 弥生

「梅」

正座する盲導犬や梅日和      谷川 水馬

飛梅や転勤辞令唐突に       直井  正

救急車音なく来たる夜の梅     今泉 而云

盆栽の小さき宇宙梅かをる     久保田 操

縮む背を叩き伸ばして梅日和    大澤 水牛

縁切りの寺に盛るや梅の花     久保田 操

鬼逃げし窓より入りぬ夜の梅    須藤 光迷

「当季雑詠」

汁椀を両手で包む余寒かな     岩田 三代

山歩く足の裏から春が来た     大石 柏人

脳血管珊瑚の如し冴え返る     今泉 而云

喜寿傘寿米寿息災初句会      大倉悌志郎

恋愛に正解の無き薄氷       橫井 定利

春立つや涙の似合ふ相撲取     嵐田 双歩

如雨露からそっと取り出す薄氷   井上庄一郎

朝市の青菜の中の花菜かな     大熊 万歩

立春や秩父連山淡く映ゆ      髙石 昌魚

どことなく腰の据わらぬ二月かな  谷川 水馬

 

【参加者】(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、髙瀨大虫、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利

(投句参加)植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、直井正、中村哲、藤野十三妹

(まとめ・嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第136回例会

参加20人で「立春」と「鶯」を詠む

番町喜楽会の平成29年2月例会(通算136回)は、2月4日(土)午後6時から、「立春」と「鶯」を兼題として九段下の割烹「味さと」で行われた。出席者は16名、投句参加者は4名、投句総数97句。選句6句で句会を行った結果、山口斗詩子さんの「頼りなき歩幅も伸びて春立つ日」が6点でトップに輝いた。次いで、須藤光迷さんの「もう何も欲しいものなし日向ぼこ」が5点を獲得した。以下、4点3句、3点9句、2点14句、1点が33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立春」

頼りなき歩幅も伸びて春立つ日     山口斗詩子

立春の土やはらかく湿りけり      嵐田 双歩

白冨士に笠雲のせて春立てり      星川 佳子

顔ほどの肉饅立春中華街        大澤 水牛

春立つや祖父から届くランドセル    高井 百子

立春や胡桃の新芽ぷくぷくり      谷川 水馬

春立つや鉋の削る檜の香        玉田春陽子

「鶯」

鶯や一筆箋で詫ぶ無沙汰        広田 可升

存分に鶯鳴くや一揆の地        玉田春陽子

鶯の声近うして遙かなり        嵐田 双歩

「雑詠」

もう何も欲しいものなし日向ぼこ    須藤 光迷

足跡はあの黒猫か庭の雪        高井 百子

父と子の肩車行く春の駅        谷川 水馬

勤行の止みて始まる猫の恋       廣田 可升

〈参加者〉【出席16人】嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島幻水、山口斗詩子、【投句参加4人】池内健治、齊山満智、澤井二堂、野田冷峰

(報告・谷川水馬)

 

 

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三四郎句会平成29年幕開け句会

 

「どんど焼き」や「新年」「枯草」を詠む

三四郎句会の2017年1月例会(第46回)は19日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は12人。欠席投句・選句の2人を加えて参加者は14人となった。今回の兼題は「どんど焼き」「枯草」「新年一般」で、選句の結果、「のど飴を含みて独り寒座禅」(今泉而云)が最高点の6点を獲得。「獅子舞に赤子を噛ませ皆笑顔」(田村豊生)と「厄年はもう来ぬ齢燗熱し」(岡本崇)が4点。3点句は9句が賑やかに並んだ(下記参照)。

◇出席者 石黒賢一 石丸雅博 今泉而云 宇佐美論  宇野木敦子 河村有弘  後藤尚弘 竹居照芳 田村豊生  深瀬久敬 吉田正義 渡邉信=12人

◇欠席投句選句者 印南進 岡本崇=2人

第46回三四郎句会兼題別高点句(三点以上)

「どんど焼き」

どんど焼き火柱天を突き抜けり     宇佐美 諭

流木も泡を噴きそむ浜とんど      岡本   崇

天かけて龍立ち昇るどんど焼き     吉田 正義

「枯草」

枯草の田畑原野に戻りつつ       今泉 而云

枯草や大地にいのち宿しけり      宇佐美 諭

枯草の匂ひ振りまき子らまろぶ     河村 有弘

枯草や轍の間にうずくまり        石黒 賢一

「新年一般」

乾きける柏手の音初社          吉田 正義

「当季雑詠」

のど飴を含みて独り寒座禅       今泉 而云

厄年はもう来ぬ齢燗熱し         岡本  崇

獅子舞に赤子を噛ませ皆笑顔     田村 豊生

武蔵野の枯葉を浴びて郷の墓     印南  進

 

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日経俳句会第155例会・新年句会

「寒」「ラグビー」に最多の百七十四句

而云・水牛両氏が最高点の揃い踏み

日経俳句会は1月18日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で1月例会(通算155回)を開いた。「寒」と「ラグビー」の兼題と雑詠に、例会としてはこれまでで最多の35人から174句が集まった。今にも雪になりそうな空模様にも関わらず23人が出席。新たにメンバーに加わった岩田三代さんの自己紹介の後、句会に入った。

この日の最高点は8点で、今泉而云さんの「ラグビーの一人たちまち風となる」と、大澤水牛さんの「初鶏や英尾師逝きて一巡り」が並んだ。而云さんは「しめ縄に残る青さや寒に入る」「ラガーメン押すや二頭の牛と化し」もそれぞれ6点を獲得し面目躍如。次席の7点句は岡田臣弘さんの「寒銭湯老いし刺青泣きさうな」。6点句は髙石昌魚さんの「丸き背の連なる寒の交差点」と星川佳子さんの「あら塩の浮く梅干や寒の入」が選ばれた。

このほか、5点句は「涙拭くラガーの太き腕(かいな)かな」(大下綾子)、「老人のどれも似合ひの冬帽子」(嵐田双歩)など5句。4点句は「寒に入る競歩のごときサラリーマン」(髙橋ヲブラダ)、「地球から水吸い上げて霜柱」(岩田三代)など5句。以下、4点6句、3点8句、2点26句、1点43句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「寒」

寒銭湯老いし刺青泣きさうな      岡田 臣弘

しめ縄に残る青さや寒に入る      今泉 而云

丸き背の連なる寒の交差点       髙石 昌魚

あら塩の浮く梅干や寒の入          星川 佳子

本堂の床の軋みや寒の寺                  嵐田 双歩

堂歩む僧の素足や寒の行              中村 哲

寒に入る競歩のごときサラリーマン   髙橋ヲブラダ

寒夕焼水上バスを飲み込みぬ      横井 定利

孫たちが帰りわが家も寒に入る     井上庄一郎

寒行の一行もをり夜行バス       今泉 而云

蛇口から水細く出す寒の内       岩田 三代

寒晴れや陽だまりに妻丸くゐて     大沢 反平

クラナハの笑はぬ瞳寒の入       星川 佳子

「ラグビー」

ラグビーの一人たちまち風となる    今泉 而云

ラガーメン押すや二頭の牛と化し    今泉 而云

涙拭くラガーの太き腕かな         大下 綾子

包帯をざっと巻きたるラガーかな    星川 佳子

いい嫁になりそうラガー見つめる眼   髙瀨 大虫

わがラガーに弁当三つ持たせけり      池村実千代

観戦もスクラム姿勢や元ラガー     澤井 二堂

「当季雑詠」

初鶏や英尾師逝きて一巡り       大澤 水牛

老人のどれも似合ひの冬帽子      嵐田 双歩

地球から水吸い上げて霜柱       岩田 三代

鴨の来て池の景色の整ひぬ       澤井 二堂

駅伝の人波ほどけ御空澄む       水口 弥生

どんど焼きいたづらつ子も手を合わせ  井上庄一郎

《参加者》(出席二十三人)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大熊万歩、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句参加十二人)植村博明、大石柏人、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、藤野十三妹。    (報告 廣上正市)

 

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