日経俳句会第164回例会

 

参加35名で「小春」と「障子」を詠む

日経俳句会の平成29年度11月例会(通算164回)は11月15日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で行われた。本格的な冬の訪れを前に小春日が続く中、20人が顔を揃え、和やかな雰囲気の句会となった。

兼題は「小春」と「障子」。投句参加を加え35人から105句の投句があり、5句選句の結果、今泉而云さんの「更地また更地みちのく夕時雨」が最高の9点を集めた。次いで杉山智宥さんの「百歳がお店に出てる小六月」が8点を獲得、6点句には杉山さんの「口実を使い尽くして障子貼り」と横井定利さんの「立冬や平たき顔のお豆腐屋」が入った。このほか5点に3句、4点に4句と続き、3点に17句が並ぶなど点がバラつく形となった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「小春」

百歳がお店に出てる小六月       杉山 智宥

小春日や懐紙に包む金平糖       大下 綾子

小春日や山歩きせし日々のこと     井上庄一郎

唐突に窓を拭くなり小春空       植村 博明

物干しにあれもこれもと小春の日     植村 博明

昼コーヒー持って歩けば小春かな    鈴木 好夫

小春日の岬に立てば鳶の笛       谷川 水馬

小春日の読経のびやかのびやかに    徳永 正裕

洗い場のおしゃべり果てぬ小春かな   中村  哲

小春日や街路に鳩のふくみ声      野田 冷峰

師の手紙読み返したる小春かな      流合研士郎

小春日に臥し居る心ただ痛き       藤野十三妹

「障子」

口実を使い尽くして障子貼り      杉山 智宥

母眠り障子の桟の薄埃          今泉 而云

破れ障子おまけのシール貼ってある   大下 綾子

病癒ゆ朝日に障子開け放つ       大倉悌志郎

手を合はす障子明かりの菩薩像     徳永 正裕

父母の声まだ残る障子の間       横井 定利

その奥に秘密あるらし障子穴      植村 博明

今朝の日を諸手で開く白障子       廣上 正市

「当季雑詠」

更地また更地みちのく夕時雨       今泉 而云

立冬や平たき顔のお豆腐屋       横井 定利

捨ぶねの藻のあをあをと冬ざるる    金田 青水

枯芒日は陸奥湾に落ちんとす      岩田 三代

冬めくや眼厳しき修復師        大沢 反平

鳥渡る約束の地のあるごとく      大下 綾子

白雲を拭ひ続ける枯れ薄        高瀬 大虫

山茶花のあるかなきかの風に散る     星川 水兎

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、直井正、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、向井ゆり、横井定利。(報告・中村哲)

 

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