日経俳句会第159回例会

投句を3句に絞り、句会運営がスムーズに

35人が「薄暑」と「牡丹」で競う

日経俳句会の平成29年度5月例会(通算159回)は5月17日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で22人が出席して開かれた。今回から投句数を3句に減らし、35人から絞りぬいた105句が寄せられ、充実した句会となった。

兼題は「薄暑」と「牡丹」。5句選(欠席選句も5句)の結果、大澤水牛さんの「オリーブの銀の葉裏の薄暑かな」と嵐田双歩さんの「大牡丹風に遅れて揺れにけり」がともに最高の7点を得た。二席は星川佳子さんの「灯台の白さましたる夕薄暑」と今泉而云さんの「母の日の残業終へて母走る」、岩田三代さんの「柿若葉まぶしきほどの生命かな」の3句が6点で並んだ。三席は水牛さんの「散りぎはも王者の気品白牡丹」が5点。以下、4点7句、3点15句、2点16句、1点33句となった。

句会では投句・選句数を減らしたことに対し、「ゆとりを持って句作・選句ができた」と好意的な感想が多く、各句への目配りがきき、合評会も盛り上がった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「薄暑」

オリーブの銀の葉裏の薄暑かな      大澤 水牛

灯台の白さましたる夕薄暑        星川 佳子

徒歩なれば色や音ある夕薄暑       金田 青水

大太鼓欅振るわす夕薄暑         杉山 智宥

夕薄暑音立ててゆく耕耘機        堤 てる夫

しじら織帽子の軽き薄暑かな       澤井 二堂

最後尾札持つ人の薄暑かな        鈴木 好夫

蝶の影小路に躍る薄暑かな        谷川 水馬

すれ違ふ着物の異人京薄暑        徳永 正裕

御柱訪ねて仰ぐ空薄暑          水口 弥生

「牡丹」

大牡丹風に遅れて揺れにけり       嵐田 双歩

散りぎはも王者の気品白牡丹       大澤 水牛

夕闇を払いのけるや白牡丹        岩田 三代

せせらぎを挟み月夜の白牡丹       金田 青水

大広間がらんとしてて白牡丹       植村 博明

大輪の細き項や白牡丹          大熊 万歩

やはらかく人遠ざくる牡丹かな      大下 綾子

散る牡丹栄華は他人に語らせよ      岡田 臣弘

白牡丹神話の里の薄明り         谷川 水馬

観音に微笑み返す夕牡丹         流合研士郎

ビロードの光たたへし黒牡丹       星川 佳子

「当季雑詠」

母の日の残業終へて母走る        今泉 而云

柿若葉まぶしきほどの生命かな      岩田 三代

母の日や母になる日を母に告げ      嵐田 双歩

ほの暗き森の奥へと水芭蕉        中村  哲

遠浅の首夏の冷たき干潟かな       金田 青水

畦塗りの老夫一日の賃仕事        堤 てる夫

風知るや蜜柑の花の咲き初めし      廣上 正市

《参加者》(出席)池村実千代、井上庄一郎、今泉而雲、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句参加)嵐田双歩、植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田清水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正一、向井ゆり。

(まとめ・中村哲)

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