日経俳句会と番町喜楽会、合同吟行を開催

秩父の農民ロケット「龍勢祭」見学

雨上がりを待って連句も一巻

日経俳句会と番町喜楽会は10月8,9日の一泊二日で秩父市吉田の椋神社例大祭「龍勢祭」を見る合同吟行会を開催した。17名が参加、明治17年に起こった秩父困民党事件の史跡などを見学し、名物の鉱泉のある民宿「かおる鉱泉」に一泊して懇親会を行い、翌9日には伝統の農民ロケット「龍勢」の打ち上げを見ながら作句する情趣あふれる二日間を過ごした。9日は早暁からかなりの雨。一同やきもきしつつ、連句を巻きながら雨上がりを待ったところ、天の助けか午前9時過ぎに止み、無事に龍勢見物ができた。句会は慣例に従い帰京後幹事に5句投句し、メールで選句選評を送信、それを幹事が取りまとめる方式で行った。総投句数は85句。

今回はユニークな祭を尊重して「龍勢祭」を秋の季語として採用することとした。6句選句のメール句会の結果は、最高点が5点で、「おそらくはこれが見納め龍勢祭 涸魚」「とんぼ飛ぶ今は昔の草の乱 白山」「神の留守巫女は木札を小商い 春陽子」「身にしむや乱の館の大竈 正市」の4句が並んだ。次席4点は3句、三席3点が6句。以下、2点が14句、1点が24句あった。

吟行参加17名の代表句は以下の通り。(最高点句作者4人については別の句を掲載)

四方の田を黃金に染めて秋日和    嵐田 双歩

古民家にひとつふたつのきりん草   池内 健治

山霧に散るも龍勢命かな       大澤 水牛

口上朗々歓喜に酔ふや龍勢舞     大平 睦子

秋雨に白き涙の武甲山        岡田 臣弘

困民の痛みを伝ふ案山子かな     片野 涸魚

秋雨の止むを待ちつつ歌仙巻く    須藤 光迷

龍の子の生まる生まれず秋の空    高瀬 大虫

谷戸の宿名に負ふ雨のみむらさき   田中 白山

七輪が桟敷の主役龍勢祭       谷川 水馬

みそポテト添へて蕎麦屋の新走り   玉田春陽子

醫院の字残る秩父や秋淡し      徳永 正裕

コスモスのおじぎの先に道祖神    中村  哲

龍勢や空のキャンバス七色に     野田 冷峰

龍勢の女口上秋澄めり        廣上 正市

三猿の目の見開いて秋の空      星川 佳子

天へ天へ夫のもとへ龍昇れ      山口斗詩子

(記録報告 大澤水牛)

 

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