日経俳句会第13回合同句会

日経俳句会は12月21日(水)、日経本社会議室で平成23年度の下期合同句会(通算13回)を開いた。総会、懇親会と同時開催の句会にふさわしく、水木、銀鴎、酔吟会から29人が顔をそろえ、投句総数は120句に達した。欠席投句者は11人。

兼題は「年惜しむ」と「夜着(よぎ、掻巻・褞袍・丹前も可)」。投句3句、選句5句。参加者は事前投句を元に作られた淸記用紙をメール受信、それにより前もって選句して幹事に通知、句会では幹事が選句集計結果を発表し、高得点句から順に感想を述べ合う方式で進めた。

最高点は15点で「褞袍着てマルクス読みし頃のこと 廣上正市」、次席は11点で「掻巻に日の匂ひあり夢に入る 久保田操 」、三席は「母縫ひし夜着ほころぶも捨てきれず 片野涸魚」の8点だった。以下、7点が2句、5点が4句、4点9句、3点8句、2点15句、1点37句と続いた。

<出席者>

嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、岡田臣弘、大澤水牛、大下綾子、大平睦子、片野涸魚、久保田操、小林啓子、澤井二堂、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、髙瀬大虫、高橋淳、田中頼子、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、山口詩朗、横井定利、吉野光久

<投句参加者>

今村聖子、植村博明、大熊万歩、大沢反平、金田青水、佐々木碩、杉山智宥、田村舟平、堤てる夫、深田森太郎、山田明美。

三点句以上獲得した句は以下の通り

「夜着」

褞袍着てマルクス読みし頃のこと    廣上 正市

掻巻に日の匂ひあり夢に入る       久保田 操

母縫ひし夜着ほころぶも捨てきれず   片野 涸魚

ポケットは魔法の小箱爺の夜着     吉野 光久

掻巻に猫とくるまる生家かな      今村 聖子

婿殿に丹前を貸す里帰り        大沢 反平

祭りはねどてら着こめる猿田彦     岡田 臣弘

退院す娘呉れたる小夜着背に      堤 てる夫

褞袍着て文士気取りの缶ピース     大熊 万歩

どてら着てよろしくと書く今年また   大澤 水牛

掻巻や月に地球の影を見る       田中 頼子

「年惜しむ」

猫金魚愉快な妻と年惜しむ       横井 定利

年惜しむみちのくのこと友のこと    吉野 光久

年惜しむシャンパン色の街灯り     今村 聖子

一病と組んず解れつ年惜しむ      澤井 二堂

手を引きし子に手を引かれ年惜しむ   星川 佳子

辛きことすこし吉きこと年惜しむ    嵐田 啓明

地下鉄の席に憩うて年惜しむ      小林 啓子

小さくとも佳き事ありし年惜しむ    徳永 正裕

「雑詠」

大富士へ空一枚や冬菜畑        廣上 正市

ウィンドに映りて一人イヴの街     今村 聖子

山茶花やいくども笑ふ女学生      嵐田 啓明

鬼瓦眉にとまりし雪蛍         大熊 万歩

蓮枯れて真鴨の波紋広がりぬ      澤井 二堂

病窓に母ありしころ冬銀河       田中 頼子

曹操が魏に逃れたる枯野かな      今泉恂之介

寒天に欠けゆく月の刃先見る      深田森太郎

(まとめ廣上正市)

 

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