番町喜楽会第188回

 

兼題「秋の水」「紅葉」に20名が投句

玉田春陽子さん7点でトップ

番町喜楽会は、令和3年10月例会(通算188回)を10月2日(土)に「秋の水」と「紅葉」を兼題に開催した。投句者20名で、投句総数は100句であった。選句6句で句会を進めた結果、玉田春陽子さんの「秋の水荒縄まるめ鍬洗ふ」が7点でトップに輝いた。次席は嵐田双歩さんの5点句「懇ろに艇庫閉めをり水の秋」と谷川水馬さんの「藍染の色を深めて秋の水」、三席は中村迷哲さんの4点句「城仰ぐ町縦横に秋の水」であった。以下、3点句が5句、2点句が19句、1点句が33句と、選句が大いに割れた句会となった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立秋」

秋の水荒縄まるめ鍬洗ふ           玉田春陽子

懇ろに艇庫閉めをり水の秋          嵐田 双歩

藍染の色を深めて秋の水           谷川 水馬

城仰ぐ町縦横に秋の水            中村 迷哲

手水舎の龍の口吐く秋の水          徳永 木葉

「紅葉」

手術終へ妻と眺むる紅葉かな         塩田 命水

紅葉映ゆ琵琶湖疎水の煉瓦橋         徳永 木葉

「雑詠」

自販機の釣銭こぼす星月夜          玉田春陽子

枝豆や愚痴に疲れし男たち          廣田 可升

【参加者】(出席12人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升。(欠席投句8人)金田青水、澤井二堂、谷川水馬、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・谷川水馬)

 

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酔吟会第153回例会

緊急事態下メール句会が続く

「爽やか」「花野」に115句

最高6点に青水句と春陽子句

コロナ緊急事態宣言の中、酔吟会の9月例会(通算153回)は11日に今年4回目のメール句会を開催した。これ即ち今年に入ってから対面での句会が一回も行われていない寂しさ。しかし会員の作句意欲は旺盛で、兼題の「爽やか」「花野」に23会員から115句の投句。6句選の結果、最高は6点句で、金田青水さんの「爽やかに医師寛解と告げにけり」と、玉田春陽子さんの「風神も寝返りを打つ花野かな」の2句。次席は5点句で、嵐田双歩句の「知っている花の名少し大花野」、今泉而云句の「爽やかに手を振り合へる別れかな」、堤てる夫句の「別所線に案山子百体新風景」、徳永木葉句の「林檎むく正座の母のなつかしき」と4句並んだ。続く4点句は3句、3点句11句、2点15句、1点31句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「爽やか」

爽やかに医師寛解と告げにけり         金田 青水

爽やかに手を振り合へる別れかな        今泉 而云

角乗りの声爽やかに木場の朝          廣田 可升

徒長枝を切って爽やかレモンの樹        大澤 水牛

爽やかや赤子に笑みをくれる人         廣田 可升

「花野」

風神も寝返りを打つ花野かな          玉田春陽子

知っている花の名少し大花野          嵐田 双歩

花野かな量子になると逝きし人         高井 百子

大花野ゆび指す先にオホーツク         徳永 木葉

それも良し花野に宿る山頭火          藤野十三妹

「雑詠」

別所線に案山子百体新風景           堤 てる夫

林檎むく正座の母のなつかしき         徳永 木葉

妻も子もほっこりにっこり栗ご飯        須藤 光迷

秋の暮駆け戻りたきふるさとへ         向井 ゆり

アフガンの流るる星に井戸の夢         工藤 静舟

鶏鳴のわたる校庭秋桜             須藤 光迷

木槿咲くアパートの名は寿荘          久保田 操

石飛んで川渡りけり秋日傘           玉田春陽子

水澄むや一の鳥居を湖に据え          玉田春陽子

秋雨や袋小路の老いの先            藤野十三妹

≪参加者23人≫ 嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋

金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子

谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり。  (報告 高井百子)

 

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日経俳句会第202回例会

9ヵ月連続のメール句会に

35人で「野分」「相撲」を詠む

一席8点に而云・阿猿・鷹洋句など高点続々

日経俳句会の令和3年9月例会(通算202回)は、緊急事態宣言の延長に伴い9カ月連続のメール句会となった。兼題は「野分」と「相撲」。35人から105句の投句があり、15日締め切りで5句選の結果、一席8点には今泉而云さんの「ガラス戸に木の葉一枚野分去る」と中嶋阿猿さん「野分あと海岸の石みな光る」、岡田鷹洋さん「敬老日おしゃべりロボと夜は更けて」の3句が並んだ。二席7点は堤てる夫さんの「秋黴雨水木楊氏の著作読む」が獲得、三席6点には嵐田双歩さんの「燐寸擦る硫黄のにほひ秋彼岸」が入った。このほか5点4句、4点5句、3点11句と3点以上の高点句が25句にのぼった。以下2点12句、1点31句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「野分」

ガラス戸に木の葉一枚野分去る         今泉 而云

野分あと海岸の石みな光る           中嶋 阿猿

隣家よりソプラノ練習野分晴          大下 明古

野仏の影くつきりと野分あと          加藤 明生

野分晴海の上ゆくモノレール          星川 水兎

憂きことも野分も過ぎて朝来たる        向井 ゆり

空き家には殊更強く野分吹く          植村 方円

野分後満艦飾となる団地            須藤 光迷

「相撲」

物陰で褌(へこ)直す子や草相撲        嵐田 双歩

相撲取消えゆく四股名海と山          加藤 明生

砂かぶり和装のママは桔梗柄          杉山 三薬

宮相撲都会から来た子の本気          中嶋 阿猿

幼子の白き腕や草相撲             和泉田 守

はじめから足取るつもり子ども相撲       大下 明古

米一俵担いで帰る村相撲            中村 迷哲

「当季雑詠」

敬老日おしゃべりロボと夜は更けて       岡田 鷹洋

秋黴雨水木楊氏の著作読む           堤 てる夫

燐寸擦る硫黄のにほひ秋彼岸          嵐田 双歩

静かなり白磁の皿の黒葡萄           藤野十三妹

秋めくや享年見やる訃報欄           和泉田 守

畑に立つ父の背小さく秋夕焼け         岩田 三代

焼き菓子の即売ありて栗林           植村 方円

三省堂ビルも仕舞うか秋ともし         杉山 三薬

芋の露まろびまろびて転び落つ         高井 百子

角刈りで風切る庭師秋手入れ          谷川 水馬

《参加者三十五人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。  (報告 中村迷哲)

 

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番町喜楽会187回

「釣瓶落し」と「松茸」を詠む

水牛さんが「瓜棚」8点でトップ

迷哲さん「海の果て」で次席6点に

番町喜楽会の令和3年9月の例会(通算第187回)は6日、東京・九段下の千代田区生涯学習館で対面で開催した。21人から投句があったものの、コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されていることもあり、欠席者が12人に上った。兼題は「釣瓶落し」と「松茸」、投句は3句以上5句以内、選句は6句(欠席者は5句)とした結果、大澤水牛さんの「瓜棚のすがれて釣瓶落しかな」が8点でトップ、次席6点に中村迷哲さんの「故郷は釣瓶落しの海の果て」が入り、三席は4点で今泉而云さんの「薄紅を武骨に齧る新生姜」、谷川水馬さんの「鞍はずす駱駝に釣瓶落しかな」、中村迷哲さんの「信濃では焼松茸に赤ワイン」、廣田可升さんの「ため息で閉じる短編衣被」、前島幻水さんの「晩酌の父の笑顔や土瓶蒸し」の5句が並んだ。3点は6句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「釣瓶落し」

瓜棚のすがれて釣瓶落しかな       大澤 水牛

故郷は釣瓶落しの海の果て        中村 迷哲

鞍はずす駱駝に釣瓶落しかな       谷川 水馬

一乗谷そめあげ釣瓶落としかな      須藤 光迷

「松茸」

信濃では焼松茸に赤ワイン        中村 迷哲

晩酌の父の笑顔や土瓶蒸し        前島 幻水

腰に縄松茸山の急斜面          嵐田 双歩

松茸膳樹脂板越しの笑顔かな       大澤 水牛

松茸の時価の二文字濃く太く       玉田春陽子

「雑詠」

薄紅を武骨に齧る新生姜         今泉 而云

ため息で閉じる短編衣被         廣田 可升

両の手を広げて測る秋の雲        塩田 命水

町を裂く稲妻見たり羽田便        須藤 光迷

【出席者】(9人)今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升。【投句参加者】(12人) 嵐田双歩、池内的中、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、徳永木葉、野田冷峰、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。  (報告・須藤光迷)

 

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日経俳句会第201回例会

反平句「気短」10点で一席

二席8点は「蝉の骸」双歩句

日経俳句会の令和3年8月例会(通算201回)は、感染爆発が止まらず、8カ月連続のメール句会となった。今年の8月は、コロナ、大雨、残暑と三重苦が続き、オリンピックの余韻は雲散霧消。そんな鬱陶しい猛暑のさなか、「残暑」と「蜻蛉」の兼題に先月と同じ36人から108句の投句があった。五句選で18日に選句を締め切った結果、大沢反平さんの「夫婦して気短となる残暑かな」が二桁得票の10点で一席、反平さんは「蜻蛉に空の広さや草千里」が6点と両方の兼題でトップだった。二席には嵐田双歩さんの「地に伏せる蝉の骸や敗戦日」が8点、三席は荻野雅史さんの「すれ違い日陰譲りて残暑かな」が7点で続いた。このほか6点3句、5点3句、4点8句、3点4句とめずらしく三点句が少なかった。以下、2点22句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「残暑」

夫婦して気短となる残暑かな            大沢 反平

すれ違い日陰譲りて残暑かな            荻野 雅史

西窓の日除けほころび残暑かな           徳永 木葉

挨拶文飛ばして読んで秋暑し            嵐田 双歩

亡き友の残暑見舞ひの太き文字           加藤 明生

夕刻のコロナの数字秋暑し             高石 昌魚

妻の手に馴染むバリカン秋暑し           谷川 水馬

還暦へ残暑乗り越へ辿り着く            向井 ゆり

「蜻蛉」

蜻蛉に空の広さや草千里              大沢 反平

赤蜻蛉記憶の空を乱舞する             久保田 操

トンボ来る七階屋上水瓶に             澤井 二堂

教室をぐるり一周赤とんぼ             谷川 水馬

清流のしぶきを浴びて糸蜻蛉            荻野 雅史

軽やかに生きたし喜寿の赤とんぼ          高井 百子

すれ違ふひとなき古道蜻蛉群る           廣上 正市

青信号渡って来たる鬼やんま            今泉 而云

当季雑詠

地に伏せる蝉の骸や敗戦日             嵐田 双歩

折鶴のひとつひとつの原爆忌            水口 弥生

扁額の傾きしまま夏座敷              高井 百子

勤行の声の確かさ秋来る              中村 迷哲

新涼こぼるゝ産直段ボール             金田 青水

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告・嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第186回例会

コロナ緊急事態宣言下で出席者わずか7人、投句13人

廣田可升さんの「虫」の句が8点でトップ、

次席に中村迷哲さんの5点句

番町喜楽会は、令和3年8月例会(通算186回)を8月7日(土)に「立秋」と「虫」を兼題とした句会を開催した。デルタ型新型コロナウイルスの影響もあり、出席者わずか7名の句会となったが投句者は20名で、投句総数は98句であった。投句5句、選句7句で句会を進めた結果、廣田可升さんの「相続のはなし重たし虫すだく」が群を抜いた8点でトップに輝いた。出席者全員が採るという珍しいことが起こった。次席は中村迷哲さんの5点句「窯場にも風の抜け道秋来る」。以下、4点句が3句、3点8句、2点16句、1点23句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立秋」

窯場にも風の抜け道秋来る             中村 迷哲

秋立つや新顔ずらり和菓子店            金田 青水

秋立や筋雲被く遠浅間               玉田春陽子

秋立ちぬ父の享年想ふ夜              徳永 木葉

「虫」

相続のはなし重たし虫すだく            廣田 可升

窓開けて虫の音聞きて長湯かな           澤井 二堂

行間にわり込んでくる虫時雨            玉田春陽子

「雑詠」

こみあげる一言呑みて盆の月            山口斗詩子

炎熱をかてに南瓜はぐんぐんと           大澤 水牛

三伏や棚にキンカン正露丸             大澤 水牛

エレベータ晩夏の街へ急降下            玉田春陽子

気がつけば宇宙の場末冷し酒             廣田 可升

忘れじと語り継ぎ行く原爆忌              山口斗詩子

【出席者7名】今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、田中白山、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升。【投句参加13名】嵐田双歩、池内的中、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第200回例会

 

最高8点に三代句と水牛句

メール句会に高点句目白押し

日経俳句会の令和3年7月例会(通算200回)は、4度目の緊急事態宣言の発令に伴い7カ月連続のメール句会となった。兼題は「三伏」と「団扇」。36人から108句の投句があり、7月21 日締め切りで5句選のメール句会を実施した結果、岩田三代さんの「三伏や抱く赤子さえ疎ましき」と大澤水牛さんの「絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな」が共に最高8点を獲得した。二席7点は中嶋阿猿さんの「蝉しぐれまとひて山の郵便夫」が入った。三席6点には澤井二堂さんの「三伏にオクラの伸びのためらわず」、旙山芳之さんの「さりげなく団扇で換気立ち話」など4句が並んだ。このほか5点4句、4点6句、3点9句と、3点以上の高点句が26句を数えた。以下2点が15句、1点27句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「三伏」

三伏や抱く赤子さえ疎ましき           岩田 三代

三伏にオクラの伸びのためらわず         澤井 二堂

三伏をねじ伏せ米寿視野に入る          杉山 三薬

三伏の草伸びること伸びること          大澤 水牛

三伏や「わだつみのこえ」読みかえす       堤 てる夫

三伏の太鯖おろし酢にひたす           徳永 木葉

三伏やシャワー熱めに朝まだき          和泉田 守

三伏や自動扉が開かない             横井 定利

「団扇」

絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな          大澤 水牛

寝入るまで祖母の団扇と物語り          中村 迷哲

さりげなく団扇で換気立ち話           旙山 芳之

幼子に撫でるがごとく団扇風           和泉田 守

細き手や団扇の先に子の寝息           篠田  朗

みちのくの鬼面の睨む渋団扇           加藤 明生

団扇手に西イル下ル碁盤の目           谷川 水馬

アマビエの団扇であふぐ憂き世かな        中嶋 阿猿

「当季雑詠」

蝉しぐれまとひて山の郵便夫           中嶋 阿猿

物忘れしない日はなし夏深む           和泉田 守

老ひし父母手を振る道に夏の雲          岩田 三代

サングラス二つ三つほど若返る          大沢 反平

角取れぬそれも人生冷奴             加藤 明生

コンクリの裂け目にずらり月見草         金田 青水

荒梅雨のこれぞ水陸両用車            今泉 而云

梅雨明けや白の眩しき交差点           髙石 昌魚

国境の川越えてゆく夏の雲            星川 水兎

黒アゲハ裏原宿の路地の端            向井 ゆり

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。  (報告・中村迷哲)

 

 

 

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酔吟会第152回例会

東京五輪直前メール句会

最高6点三薬句、4点、3点計20句

東京2020五輪開幕寸前のコロナ緊急事態宣言中とあって、7月の酔吟会は今年三回目のメール句会となった。兼題は「片蔭(かたかげ)」「汗(あせ)」で、23人が投句、115句が集まった。6句選句の結果、最高は6点を集めた杉山三薬さんの「雨止んで迷いミミズを蟻が引く」の1句。次席は4点が6句並び、続く3点は14句に上った。昨年の酔吟会は3月例会から9月例会まで4回連続でメール句会だった。今年も3回連続でメール句会となり、句友と対面しない句会が続く状況にうんざりという気分が満ちている。兼題の「片蔭」はなかなか手強い。我らが「水牛歳時記」は「片蔭」だが、投句には「片蔭」「片陰」「片影」の表記が混じり多様であった。恒例に従って、「3点以上」の兼題別高点句を並べる。「片蔭」、「汗」、「雑詠」の高点句がいずれも7句で揃い踏みしている。なお、2点は11句、1点は24句であった。

「片蔭」

帯ほどの片蔭伝ひ歩くなり           大澤 水牛

片影の路地静もれる西の京           星川 水兎

僅かなる片蔭に待つ赤信号           久保田 操

片蔭やロバのパン屋のチンカラリン       谷川 水馬

奥深き明治の杜の片陰り            堤 てる夫

手を合はす京の片蔭地蔵尊           廣田 可升

片蔭にワゴンを漁る古書の街          廣田 可升

「汗」

面外し碧眼剣士玉の汗             玉田春陽子

尾根わたる風に額の汗さらす          廣田 可升

寝ぐずりの止みておでこに汗の粒        向井 ゆり

遅れ毛に汗うっすらと歯科の女医        須藤 光迷

ワクチンや二度目の夜の妙な汗         谷川 水馬

旋盤の刃先追ふ眼や滲む汗           廣田 可升

汗拭いて母は一日台所             星川 水兎

「当季雑詠」

雨止んで迷いミミズを蟻が引く         杉山 三薬

梅干しを見せられ唾液採る検査         高井 百子

ひるがへるシャツよパンツよ梅雨晴間      大澤 水牛

風呂上がり孫の逃げ足天花粉          杉山 三薬

冷奴まずは醤油ののの字かな          玉田春陽子

ビール酌む戦力外の男達            玉田春陽子

翅黒蜻蛉ゆるりゆるゆる能舞台         堤 てる夫

【参加者23人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり。

(報告 高井百子)

 

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番町喜楽会185回例会

久しぶりの対面句会、「雷」と「向日葵」を詠む

幻水さんの「無人駅」7点、水牛さん「ひやざけ」次席6点

番町喜楽会の令和3年7月の例会(通算第185回)は5日夕、久し振りに九段下の千代田区生涯学習館で対面で開催した。21人から投句があったものの、コロナウイルスの蔓延防止等重点措置が取られていることもあり、欠席者が10人に上った。兼題は「雷」と「向日葵」、投句は3句以上5句以内、選句は6句(欠席者は5句)とした結果、前島幻水さんの「向日葵が迎へてくれし無人駅」が7点でトップ、次席6点に大澤水牛さんの「ひやざけの長命泉といふひびき」が入り、三席は5点で池内的中さんの「妹の背伸びのおしゃれ日傘かな」と、斉山満智さんの「なめらかな母の頬なり雨の通夜」の2句が並んだ。4点は5句、3点も5句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「雷」

雷の品定めする電話越し          斉山 満智

はたた神街を一喝してゆけり        玉田春陽子

竿捨てて逃げ出す子らに雷とどろ      中村 迷哲

遠雷や化粧落せし我が素顔         田中 白山

九十九里遠き沖には夜の雷         星川 水兎

雷に祖母は電気を消しにけり        星川 水兎

「向日葵」

向日葵が迎へてくれし無人駅        前島 幻水

向日葵の海アルプスを浮かべおり      中村 迷哲

「雑詠」

ひやざけの長命泉といふひびき       大澤 水牛

妹の背伸びのおしゃれ日傘かな       池内 的中

なめらかな母の頬なり雨の通夜       斉山 満智

一滴の雨後の雫や合歓の花         田中 白山

五輪硬貨はじく自販機缶ビール       須藤 光迷

半夏生友より届く吟醸酒          堤 てる夫

【出席者】(11人)大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。【投句参加】(10人) 嵐田双歩、池内的中、今泉而云、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)

 

 

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日経俳句会令和3年度上期合同句会

 

またまたメール句会。38人参加「麦秋」と「蝸牛」を詠む

「梅漬ける」水牛句11点、二席に「銀座の蝸牛」水馬句

日経俳句会は6月16日、令和3年度の上期合同句会をメール句会として開いた。何回目かの非常事態宣言が何回目かの延長になって、またまたメール句会を余儀なくされた。今年になって一度も対面句会は開けていない。ワクチン接種が広がり、現役を含め会員の大半が2回目を打ち終えるころには、なんとかリアル句会が復活してほしいものだ。通算32回目の合同句会の兼題は「麦秋」と「蝸牛」。38人から114句の投句があり5句選の結果、大澤水牛さんの「梅漬ける八十四年の皺深し」がダントツ一位の11点を獲得した。二席は谷川水馬さんの「切り花に揺れて銀座の蝸牛」が7点、三席は嵐田双歩さんの「鮎宿の画鋲でとめし時刻表」と久保田操さんの「落日の余光残せり麦の秋」が6点で並んだ。続いて5点句は和泉田守さんの「一汁と一菜でよし夏暖簾」など7句、以下4点5句、3点11句、2点17句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「麦秋」

落日の余光残せり麦の秋             久保田 操

麦秋の知らない町を途中下車           嵐田 双歩

麦秋の香り遥かな疎開の地            今泉 而云

麦秋や出番いつかと旅鞄             植村 方円

麦秋のきらめき掬う水車かな           星川 水兎

麦の秋祖父の詩集を読み返す           和泉田 守

麦秋や夕陽は金の針となり            岩田 三代

南総の海へ海へと麦の秋             大沢 反平

麦秋や一直線の畑道               髙石 昌魚

絵手紙の色を重ねて麦の秋            池村実千代

「蝸牛」

切り花に揺れて銀座の蝸牛            谷川 水馬

蝸牛余生は殻を持て余し             向井 ゆり

かたつむり読経聴くか塀の上           澤井 二堂

蝸牛電動アシストいりますか           杉山 三薬

葉の裏に家あり目あり蝸牛            髙橋ヲブラダ

かたつむり雨降山はけふも雨           廣上 正市

当季雑詠

梅漬ける八十四年の皺深し            大澤 水牛

鮎宿の画鋲でとめし時刻表            嵐田 双歩

一汁と一菜でよし夏暖簾             和泉田 守

石段を数へて登る薄暑かな            加藤 明生

ウイグルの断種かなしや花柘榴          金田 青水

五歳児と二万五千歩五月晴            杉山 三薬

襁褓とれ脚にょっきりと衣更え          高井 百子

夏シャツやコロナワクチン打ち終える       髙石 昌魚

ぐつたりと干されサーフィンスーツかな      玉田春陽子

白靴のトラック野郎は女なり           中嶋 阿猿

田水張る一番星のひかりかな           廣上 正市

《参加者38人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、廣田可升。藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

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