首位10点に迷哲句と阿猿句、二席に斗詩子句
43人が「秋の日」を詠む
日経俳句会は令和8年9月例会(通算252回)を9月20日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。この日は台風接近で大雨が心配されたにもかかわらず8人が顔を揃え、雨音に負けぬ活発なやり取りの句会となった。兼題は「秋の日」。43人から129句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、中村迷哲さんの「嫁ぐ子のあいさつを聞く秋日かな」と中嶋阿猿さんの「継ぐほどの家にはあらず秋風鈴」が10点で並び、首位を分け合った。二席8点には山口斗詩子さんの「敬老日努めて老人顔をする」が続き、三席6点には高井百子さんの「我が足のこんなに長し秋日影」が入った。さらに5点6句、4点9句、3点16句と高点句が目白押しだった。そのほか2点19句、1点22句だった。8月例会で見学に訪れた日経社員の天野さやかさんが今月から入会、早速3点句をものにする好スタートを切った。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「秋の日」
嫁ぐ子のあいさつを聞く秋日かな 中村 迷哲
我が足のこんなに長し秋日影 高井 百子
けんけんぱおかっぱ頭に秋日差す 岩田 千虎
燦々と秋の日注ぐ棚田かな 溝口戸無広
待ち人の足音を待つ秋日かな 安彦 真弓
秋の日や突然空から「喝」三つ 伊藤 誠一
枝払ひ秋日の見える空となり 植村 方円
秋の日の天まで響く太鼓かな 溝口戸無広
秋の日にじっくり選ぶモンブラン 天野さかや
既読待つ友へのメール秋入日 和泉田 守
サーカスを見ぬこと久し秋入日 大澤 水牛
秋の日や今も憎らし北の湖 金田 青水
秋の日の豊かに暮れてひとりかな 斉山 満智
秋の日の背中温か根津の坂 澤井 二堂
ドーナツの穴射貫きたる秋日かな 中嶋 阿猿
古里の歯抜けの墓地や秋日燦 廣上 正市
当季雑詠
継ぐほどの家にはあらず秋風鈴 中嶋 阿猿
敬老日努めて老人顔をする 山口斗詩子
いが栗の青きが一つ草の上 伊藤 健史
ヒグラシが駅長になる無人駅 中沢 豆乳
墓掃除お疲れさまと曼珠沙華 篠田 朗
デパ地下の弁当迷路秋の旅 中村 迷哲
残さるる日々の彩り初紅葉 久保田 操
月満天あいつそっちへ行ったきり 杉山 三薬
秋出水書き出し難し見舞状 高井 百子
朝焼いて夕餉には煮る秋茄子 廣上 正市
そろそろをいつにしようか夕月夜 星川 水兎
天高し来賓席のパイプ椅子 嵐田 双歩
秋出水路上にたぬき追われけむ 和泉田 守
夜半の秋音立てて切る足の爪 植村 方円
編笠のあぎとの白き風の盆 加藤 明生
卒寿超え皿鉢を囲む四姉妹 斉山 満智
秋刀魚食う妻子に腸(わた)を貰い受け 須藤 光迷
秋霖やタンスの前で迷う朝 中野 枕流
AIの変なニホンゴ獺祭忌 廣田 可升
《参加者》【出席8人】嵐田双歩、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、中村迷哲、溝口戸無広。【投句参加35人】天野さやか、安彦真弓、池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、久保道子、久保田操、斉山満智、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、前島幻水、増田浩志、水口弥生、向井愉里、山口斗詩子、横井定利。 (報告 中村迷哲)






実は、今泉恂之介さんのご住所を教えていただきたく(関わっている俳句の出版社(株)ウエップの書籍の献本〈西池冬扇・著『子規『俳諧大要』私抄』。今泉さんの『子規は何を葬ったのか』に共感し、著者なりに要約紹介した箇所があるのです〉を希望)、双牛舎へお電話したところ、現在使用されていない旨のアナウンスがあり、お送りしたメールは戻ってきてしまいました(メールは、私の側に問題があるかも、です)。それで、不純(?)な理由で恐縮ですが、この欄からご一報をと思いました。もし可能でしたら、今泉さまへご転送いただけますと幸いです。
長いお願いにて失礼いたしました。
さて、上記のことから、思いがけず双牛舎および俳句会を知ることができました。
NPO法人という志の高さ、また、日経俳句会を始めとする各俳句会のご活動、ともども爽やかで、よき出会いを頂戴しました。
私自身はほぼ俳句を作らず、フリーランスでもあるのですが、それでもいわゆる〝俳壇〟というものを前提にして仕事をしたり鑑賞したりいたします。
ところが、ほんのさわりの鑑賞で恐縮ですが、皆さまの句を拝見しますと、それぞれのかたが実にのびのびと句づくりを楽しまれていることが伝わってきて、こちらまで何だか嬉しくなりました。第一義はそれだと、大切なことを思い出させてくださいました。
下手だと申しているのではありません。無理のなさ、の素晴らしさを感じたということなのです。それぞれのかたの個性で、回顧・懐古あり、現在あり。大構え・トリミングあり。…… いくつか挙げさせていただきます。
秋の日や突然空から「喝」三つ 張本さんですね!
秋の日にじっくり選ぶモンブラン 充実の日々が感じられます。モンブランがおしゃれだし、はっとしました。
サーカスを見ぬこと久し秋入日 思わず、そうだなあ、と。
継ぐほどの家にはあらず秋風鈴 しみじみと、いい句だと思います。(私は60代前半ですが、数年前実家じまいをしました。)
デパ地下の弁当迷路秋の旅 「旅」が大仰で、とても効いていると思います。これで「迷路」がしっくり嵌まるし、日常の買い物のみならず、銘々の旅先を同時に想像したくなります。
駄文、ご寛恕くださいませ。
土田由佳