首位に実千代句「ミントティー」、二席に可升句「気楽独身」
44人参加「土用」を詠む
日経俳句会は令和8年7月例会(通算250回)を7月19日(日)午後2時から、鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。この日は梅雨明け直前の青空が広がり都内は30度を超す暑さだったが、9人が顔を揃えて楽しく句を論じ、活気ある句会となった。兼題は「土用」。番町喜楽会から転入の会員が増えたこともあり、44人から132句と空前の投句数となった。6句選(欠席は5句)の結果、池村実千代さんの「土用にはバジルサンドにミントティー」が10点を獲得して首位を占めた。二席8点には廣田可升さんの「独身が気楽といふ子土用凪」が座り、三席7点には植村方円「大暑なり難しい事抜きにして」、篠田朗「二千年眠りて紅の古代蓮」、中村迷哲「帰る家売りし故郷盆の月」の3句が並んだ。さらに6点6句、5点3句、4点7句、3点10句と続き、高点句が31句の豊作となった。そのほか2点18句、1点30句だった。なお6月の合同句会席上、俳号を二堂から「五堂」に変える意向を示した澤井さんは、酔った勢いだったので撤回したいと表明、従来通り二堂を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「土用」
独身が気楽といふ子土用凪 廣田 可升
土用干返し忘れの友の本 徳永 木葉
鷺三羽微動だにせず土用照 中嶋 阿猿
原油高円安インフレ土用波 流合 水澄
石組みも軋みはせむか土用照り 溝口戸無広
散髪の熱きタオルや土用入り 嵐田 双歩
土用丑夢に源内微笑んで 澤井 二堂
丸き地球見える丘あり土用東風 中村 迷哲
当季雑詠
土用にはバジルサンドにミントティー 池村実千代
大暑なり難しい事抜きにして 植村 方円
二千年眠りて紅の古代蓮 篠田 朗
帰る家売りし故郷盆の月 中村 迷哲
湯上りの髪をほどけば月涼し 安彦 真弓
蝋淚の太きひとすぢ原爆忌 嵐田 双歩
涼風の奥へと抜ける京町屋 金田 青水
干瓢の簾を分けて風通る 篠田 朗
梵鐘の残響冴えて梅雨明ける 中沢 豆乳
百日紅さくらでんぶのお弁当 星川 水兎
水底に冷やし西瓜と揺れる陽と 溝口戸無広
AIに名店を聞く鰻の日 伊藤 誠一
線香の煙ゆらりと夏座敷 岩田 千虎
雲の峰太極拳の動と静 加藤 明生
葡萄たわわ背負ふ古木の枝細し 高井 百子
核ボタン握るAI広島忌 前島 幻水
今日もまた病院通いの半夏生 大沢 反平
打水や芸妓小走り神楽坂 加藤 明生
雲海を破り日の輪のせり上がる 徳永 木葉
葉の裏でホルン奏でるカタツムリ 中沢 豆乳
七夕や机上の骨壺ただ白き 藤野十三妹
まったりと日帰り温泉土用照 向井 愉里
ゆびきりげんまんうそつきは缶ビール 横井 定利
《参加者》【出席9人】嵐田双歩、植村方円、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、中沢豆乳、中村迷哲、溝口戸無広。【投句参加35人】安彦真弓、池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉山満智、坂部富士子、篠田朗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中野枕流、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、前島幻水、増田浩志、水口弥生、向井愉里、山口斗詩子、横井定利。
(報告 中村迷哲)



