操句「ランチ会」が最高10点獲得
36人参加、「燕」「花水木」詠む
日経俳句会は令和6年3月例会(通算227回)を3月20日(水)午後に鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。春分の日の祝日のため、時間と場所をいつもと変えて開催。春とは思えない冷え込みが続いたこともあり、出席は10人にとどまったが、高点句が相次ぎ、にぎやかな句会となった。兼題は「燕」と「花水木」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、久保田操さんの「春うらら傘寿揃ひてランチ会」が10点を得て一席に輝いた。二席9点には谷川水馬さんの「花水木白いヴェールの修道女」、三席8点には中嶋阿猿さんの「春闘のたたかひの文字軽くなり」が続いた。さらに7点句に中沢豆乳さんの「海砂を掻いて浅蜊の夢破る」、5点句に大沢反平さんの「九十九里無限の空へ初燕」など4句が入った。以下、4点8句、3点9句、2点18句、1点31句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「燕」
九十九里無限の空へ初燕 大沢 反平
被災地は静かに飛べよつばくらめ 加藤 明生
燕来て街はちょっぴり元気づく 大澤 水牛
人老いて燕戻りし鄙の宿 中嶋 阿猿
江ノ電の鎌倉駅舎つばくらめ 廣上 正市
燕来る外国人来る古長屋 伊藤 健史
つばめ来る移住一家の古民家に 金田 青水
燕来る店仕舞いせし万屋に 須藤 光迷
大仏の肩に憩ふや夕燕 谷川 水馬
観覧車かすめて燕雲を裂く 中沢 豆乳
「花水木」
花水木白いヴェールの修道女 谷川 水馬
花水木袴キリリと講堂へ 溝口戸無広
ポトマックの桜のお返し、百十年
震災も戦災も見し花水木 須藤 光迷
分譲より四半世紀や水木咲く 廣上 正市
花水木見下ろすビルの喫茶店 星川 水兎
光降るこの道白き花水木 水口 弥生
声だしてプレート読む子花水木 向井 愉里
月明り白さ際立つ花水木 篠田 朗
当季雑詠
春うらら傘寿揃ひてランチ会 久保田 操
春闘のたたかひの文字軽くなり 中嶋 阿猿
海砂を掻いて浅蜊の夢破る 中沢 豆乳
春うらら乳母車にはペット乗り 岩田 三代
まだやるの五輪万博万愚節 須藤 光迷
半島の市民マラソン風光る 中村 迷哲
ぶらんこが待ってるからと寄り道し 向井 愉里
《参加者》【出席10人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、中村迷哲、向井愉里。【投句参加26人】池村実千代、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、篠田朗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。
(報告 中村迷哲)