日経俳句会2017下期合同句会

春陽子さん「電車区」の句が10点、「太陽系」の双歩句が9点

12月20日(水)、日経俳句会の平成29年度下期合同句会(通算25回)が、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、日経俳句会総会に続いて開かれた。兼題は「蒲団」と「帰り花」で38人から114句の投句があった。冒頭、事前選句(五句選)の結果が発表され、1位は10点の春陽子さんの「駅端の電車区詰所蒲団干す」。次点は9点の「蒲団干す太陽系の片隅に」(双歩)と蒲団の句が上位を占めた。以下、8点「鮟鱇の不屈の上目遣ひかな」(而云)、7点「眠る子がふいに笑へり冬銀河」(ゆり)、6点「雪吊りのハープ弾いてよ雪女」(悌志郎)と「住所録ひとりまた消す年の果」(てる夫)など高点句が続いた。以下5点は5句、4点は7句、3点9句、2点24句、1点16句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

なお、杉山智宥さんはこの日から俳号を「三薬」と名乗ることになった。

「蒲団」

駅端の電車区詰所蒲団干す     玉田春陽子

蒲団干す太陽系の片隅に      嵐田 双歩

二次会の二つに折りし宿布団    星川 水兎

夫逝きてダブル蒲団に抱き枕    野田 冷峰

脱け殻の蒲団そのまま朝支度    深田森太郎

冬蒲団重きがよしと祖父の弁    今泉 而云
子ら眠る蒲団平和にふくらみて   岩田 三代

夜勤明けせんべい布団抱きしころ  岡田 臣弘

雪の通夜重き蒲団に泊まりけり   高瀬 大虫

「帰り花」

たらればの恋を語れば忘れ花    向井 ゆり

誘はれて谷中寺町帰り花      久保田  操

よぎりたる遠き日のこと帰り花   廣上 正市

帰り花色なき巷(ちまた)灯しけり      嵐田 双歩

わが身にも狂ひて咲けよ帰り花   高瀬 大虫

城跡の登りくだりや帰り花     星川 水兎

「当季雑詠」

鮟鱇の不屈の上目遣ひかな     今泉 而云

眠る子がふいに笑へり冬銀河    向井 ゆり

雪吊りのハープ弾いてよ雪女    大倉悌志郎

住所録ひとりまた消す年の果    堤 てる夫

おでん種即答の人迷う人      大熊 万歩

年の瀬やシルバーシートに細く座す 玉田春陽子

卓上に冷めた鯛焼き置手紙     中嶋 阿猿

ダイソンの掃除機届く年の暮れ   高井 百子

連山を刹那に浮かべ冬の雷     中村  哲

大腸を廻(めぐ)るカメラも十二月     橫井 定利

おでん酒辛子のせいと涙拭き    嵐田 双歩

後ずさりして見るビルの大聖樹   星川 水兎

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、片野涸魚、澤井二堂、鈴木好夫、高井百子、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)岩田三代、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大平睦子、金田青水、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生。   (まとめ・嵐田双歩)

 

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