酔吟会の平成26年幕開け句会が1月11日(土)午後1時から内神田・鎌倉橋交差点そばの日経第二別館(MIFビル)で行われた。2ヵ月に1回開催の酔吟会だが、回を重ねてこれが第108回、平成8年春に発足して18年目になる。
七草も済み、今日は鏡開き。暖冬とは言え、大陸から押し寄せた寒気が日本列島を覆い、東京近辺でもめずらしく氷が張り霜柱が立つ。寒さの中を長老の藤村詠悟さん、片野涸魚さんはじめ10人が出席、2人が投句参加した。
この日の兼題は「初日」と「大根」。投句5句、選句7句として句会を行った。出席者が少ないせいか、はたまた佳句が多数あったためか、選句はばらばらに分散した。最高点が4点で大沢反平さんの「老骨の塑像なりけり日向ぼこ」の1句のみ。次席3点も「冬晴れや空の広さや田の広さ 反平」「大根の抜いてくれろと飛び出せり 佳子」「煮直して飴色深き大根かな 恂之介」「言問の民家にひそと大根注連 十三妹」の4句に止まった。これではお正月早々淋しいし、兼題の「初日」の句に3点以上の句が無いというので、今回は2点句10句も取り上げることにした。なお1点は27句もあり、投句総数60句のうち42句に点が入るという、大混戦の幕開け句会となった。兼題別の2点以上獲得句は次の通り。
「初日」
産土の杜より出でし初日かな 徳永 正裕
発電の風車の間合初日の出 大澤 水牛
初日はや南に回る寝坊ぐせ 大澤 水牛
まだまだか頬のしばれる初日の出 堤 てる夫
今見てる今だけの富士初日影 久保田 操
胃と生きて今年も初日拝みけり 澤井 二堂
「大根」
大根の抜いてくれろと飛び出せり 星川 佳子
煮直して飴色深き大根かな 今泉恂之介
大根の刃に透き通る桂剥き 久保田 操
冬大根双肌脱いで風の中 大沢 反平
「雑詠」
老骨の塑像なりけり日向ぼこ 大沢 反平
冬晴れや空の広さや田の広さ 大沢 反平
言問の民家にひそと大根注連 藤野十三妹
数の子を仕舞ひ込まれし三箇日 堤 てる夫
初御空ひと影絶えし中禅寺 堤 てる夫
(まとめ 大澤水牛)