番町句会第61回例会

第61回番町句会が9月4日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で行われた。キチガイ沙汰の暑い夏は一向に去る気配もなく、この日も35℃のがんがん照り。しかし番町句会の面々は涼しい顔で、ジュネーブ帰りの井上啓一はじめ、今泉而雲、大澤水牛、高瀬大虫、高橋楓子、野見山恵子、前島厳水、三好六甫、山口詩朗に喜楽会の玉田春陽子を加えた10人が集まった。チベット旅行中の高井百子は高山病でダウンしたそうだがさすがはど根性の持主、同行者に頼んでケータイ投句してきた。加沼鬼一も投句参加した。

この日の兼題は「秋の声」と「南瓜」の2題。投句5句、選句6句で句会を行った結果、最高点は4点で「千代紙折るかそけき音も秋の声 詩朗」「峠越え仏の国や秋の声 百子」「蜩や女一人の野天風呂 六甫」の3句が並んだ。以下3点が3句、2点9句、1点22句と続いた。兼題別3点以上獲得句は次の通り。

「秋の声」

峠越え仏の国や秋の声        高井 百子

千代紙折るかそけき音も秋の声    山口 詩朗

秋の声伸びたる蔓の先あたり     玉田春陽子

「南瓜」

女房をたよりに老ゆるどて南瓜    三好 六甫

「雑詠」

蜩や女一人の野天風呂        三好 六甫

水飲めと一言添へる残暑かな     加沼 鬼一

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喜楽会第15回例会を開催

第15回喜楽会句会は8月19日(木)午後6時半から千代田区二番町・番町ハイムの双牛舎事務所で開かれた。兼題の「新涼」にそぐわぬ猛烈な残暑の中、笹本研一、須藤光迷、玉田春陽子、谷川透、大澤水牛、今泉而雲に、事務所移転の多忙から解放された岩澤克惠が約1年ぶりに出席、7人のフルメンバーによる初めての句会となった。

いつも通り1人6句の選句によって、「門出れば覚悟の決まる猛暑かな 水牛」が断然の人気を集め、最高点の5点句となった。続いて「篭の柿種ありますと主婦の店 春陽子」、「新涼やぐんと張りたる舫ひ綱 透」、「新涼やゆったり羽織る七部袖 透」、「水平線大きくたわめ秋入日 光迷」がそれぞれ3点を獲得した。参加者7人という小さな句会なので、兼題別に2点獲得句も含めて掲げる。

「新涼」

新涼やぐんと張りたる舫ひ綱    谷川  透

新涼やゆったり羽織る七分袖    谷川  透

新涼やまだ一つある隠し事     須藤 光迷

聖橋新涼一瞬メトロかな      玉田春陽子

新涼や我が身をつつむ鐘一打    岩澤 克惠

ものがたりといふ名の松や秋涼し  大澤 水牛

「柿」

篭の柿種ありますと主婦の店    玉田春陽子

深酒を少し悔いつつ柿齧る     須藤 光迷

子規の倍生きて柿むく汝かな    今泉 而雲

柿むくや大内宿の囲炉裏婆     大澤 水牛

「雑詠」

門出れば覚悟の決まる猛暑かな   大澤 水牛

水平線大きくたわめ秋入日     須藤 光迷

夕立や音も匂ひも遥かから     笹本 研一

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水木会第91回例会開催

水木会の第91回例会が、8月18日(水)午後6時半から東京大手町・日本経済新聞社会議室で開かれた。夏休みの真っ最中であり、ことに連日の猛暑で果たしてどれほどの人数が集まるのか危ぶまれたが、定刻には16人が元気な顔を見せ、暑さもものかはいつも通り活発な合評会を繰り広げた。

この日の兼題は「秋の燈」と「糸瓜」。投句は3句以上5句以内。選句は投句参加者が12人と多かったため7句とした。3点以上獲得した句は以下の通り。

「秋の燈」

秋の燈や母のメールの一行詩     橫井 定利

秋の燈や我が顔映すガラス窓     和泉田 守

秋の燈や買置き本の山二つ      堤 てる夫

長江や人住む船の秋ともし      今泉恂之介

指で拭くメガネの曇り秋灯下     加藤 明男

「糸瓜」

人知れず骸となりし糸瓜かな     加藤 明男

碁敵をぶらりと訪ひし糸瓜かな    今泉恂之介

逡巡もどこ吹く風の糸瓜かな     吉野 光久

糸瓜棚母の話はあちこちへ      星川 佳子

何もなきよき日なりけり糸瓜垂るる  今村 聖子

「雑詠」

雲の上に雲の流るる今朝の秋     吉野 光久

句読点なきがごとくの炎暑かな    今村 聖子

甕棺の中にかなかな木霊せり     大熊 万歩

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「みんなの俳句」来訪者2万人突破

8月13日(金)正午頃、双牛舎ブログ「みんなの俳句」の累計訪問者が2万人を突破しました。この日は仕事で朝から家を空け、夜は納涼飲み会ですっかりご機嫌になって10時半頃に帰宅、メールを開くと、「みんなの俳句」共同管理者の恂之介氏から「訪問者が2万人越えたよ」とのお知らせが入っていました。

平成20年(2008年)1月1日に「初酉や我が干支にして七めぐり」という故村田英尾先生の句を発信して以来、二年八ヶ月936日目での記録達成です。一日平均22人の来訪者ということになります。これが多いか少ないか。地味な俳句のページだし、取り立てて宣伝しているわけでもないブログとしてはまずまずなのではないかと恂之介氏ともども勝手に満足しています。

ともあれこうして続けて来られたのも、皆様の御愛読と熱心にコメントをお寄せ下さるご親切のおかげです。あらためて主催者として御礼申し上げます。

「みんなの俳句」には日経俳句会(銀鴎会、水木会、酔吟会)と番町句会、喜楽会の方々の作品を水牛、恂之介両人が毎週交代で選び出し、コメントをつけて発信しています。「ひとの句を勝手に肴にしてあれこれ言うのはけしからん」とご不快の念を抱かれる向きもあろうかと、最初はびくびくしていたのですが、二年半以上たっても「止めてくれ」というお叱りもないので、これからも当分はこの形で続けさせていただきます。何かご意見ございましたら、ご遠慮なくこのページか、「みんなの俳句」ページでコメントをお寄せ下さい。なお、8月13日までに紹介した皆様の作品は総計548句にのぼっています。2010.8.14. 水牛敬白。

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銀鴎会第74回例会

8月11日(水)午後6時半から東京大手町・日本経済新聞社会議室で銀鴎会の第74回例会が開かれた。立秋を過ぎて二日ばかりはちょっと涼しくなったのだが、今日はまた「日はつれなくも」カンカン照りの典型的な残暑。この夜の句会の兼題はその「残暑」と「蜩(ひぐらし)」。出席者15人、投句参加者3人の計90句から各人6句選句で句会を行った結果、最高点は6点が1句、次いで4点が2句、3点8句、2点14句、1点24句ということになった。季語別高点句は以下の通り。

「残暑」

電柱の上に人ゐる残暑かな      今泉恂之介

鉄を切りコンクリ砕く残暑かな    広上 正市

気短を叱られてゐる残暑かな     大沢 反平

「蜩」

かなかながかなかなを呼ぶ谷深し   大沢 反平

かなかなのふつと止みたる虚空かな  澤井 二堂

カナカナや暮れ切るまでの時惜しむ  山口 詩朗

ひぐらしの声渡り来る山幾重     佐々木 碩

ひぐらしや一番星のセレナーデ    直井  正

ひぐらしや思春期いよようつくしく  金田 青水

蜩や隣の島は暮れ残る        今泉恂之介

「雑詠」

マリア像埴輪の目して長崎忌     今泉恂之介

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番町句会第60回例会

8月7日(土)午後1時から、麹町・番町ハイム会議室で第60回番町句会が開かれた。今日は立秋だが、相変わらずの猛暑。都心でも35度くらいになった。

この日の句会には喜楽会の2人も加えて11人が出席、投句参加が2人。兼題は「新涼」と「コスモス」。投句5句、選句6句で行った句会の結果は、最高点が4点で2句、3点6句、2点10句、1点20句となった。個性派ぞろいの句会だけに選句の好みがさまざまで、毎回得票が分散する。3点以上を獲得した句は次の通り。

「新涼」

新涼や夫にかけたる丁寧語     恵子

鳶の空新涼の風渡るらし      水牛

雨上がる風爽涼と大伽藍      啓一

新涼の湖底に見ゆるフライパン   而雲

「コスモス」

コスモスや真正面なる八ヶ岳    春陽子

コスモスの原を漂ふ日傘かな    大虫

児とあれば母はおさなし秋桜    而雲

「雑詠」

逝く夏の香なりけりカルバドス   研一

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水木会第90回例会

七月二十一日(水)午後六時半、日経本社七階会議室で水木会の平成二十二年第六回例会(通算九十回)が開かれた。梅雨明けと同時に猛暑日続きとなったせいか、出席者はいつもより少なめの十六人。しかし投句参加が十四人、投句総数も百四十三句のにぎやかさ。

兼題は「夏深し」「トマト」で、選句の結果最高の六点は一句、五点句は無く、四点四句、三点九句という結果になった。当夜の評判の句は次の通り。

夏深し冒険一つし残して        大熊 万歩

夏深しいのち溢るる干潟かな      金田 青水

糖度札つけてトマトは誇らしげ     小林 啓子

桃太郎名のるトマトの玉の汗      高橋  淳

夏爛けり日暮らし門の眠り猫      徳永 正裕

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激励多謝

「お待たせしました」の記事に対して、綾子さん、詩朗さんから温かい励ましのお言葉を頂戴しました。まことに有難うございます。詩朗さんは「なかなか使い勝手が良い」とお褒めいただきましたが、まだまだ改良の余地は山積していると思っています。今後はご指摘のように「連句」や「双牛舎出版物の紹介」などコンテンツを増やし、ホームページ自体にも磨きをかけて行くつもりです。どうぞ末永く御愛読下さい。水牛

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*第88回酔吟会

7月10日(土)午後1時、鎌倉橋・日経第二別館。出席者12名、投句参加8名。兼題「花火」「鮓」。選句がばらばらになり得点が分散、何とかの背比べの様相を呈した。好評を博した句は次の通り。

手花火や明るき顔の一つずつ     吉野 光久

そっと掌が肩に置かるる遠花火       山口 詩朗

満点を埋めて花火の終りけり     今泉恂之介

花火終え暑き夜道となりにけり    大平 昭生

鼠花火いつもわが足狙ひ来る         片野 涸魚

火の滝や天筒花火の仁王立ち         徳永 正裕

一瞬を一生とした妻花火             野田 冷峰

大花火少し残りて星となる           星川 佳子

ロボットの握る寿司食ふ世となりぬ  大澤 水牛

窓開けて溪音入れて鮎の鮨      大沢 反平

これがわが脳の写真か梅雨寒し    大石 柏人

ゲリラ雨くぐり朝顔市あける         堤 てる夫

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*第59回番町句会

7月3日(土)午後4時から麹町の番町ハイム会議室で開催。11名出席、兼題「夕焼」「蝉」を詠み合う。好評の句は次の通り。

夕焼の後に宇宙の深き青     高瀬 大虫

はやぶさの還りし地球夕焼けて  前島 厳水

鳥海山てふ独立峰や大夕焼    野見山恵子

瀬戸夕焼古きことから思ひ出し  三好 六甫

降り立てば桟橋すでに蝉時雨   今泉 而雲

初蝉に箸を止めたる朝餉かな   山口 詩朗

草刈りやひと雨ありて整へり   井上 啓一

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