双牛舎年次総会・俳句大会を開催

コロナ開けて4年ぶり、26人集う

NPO法人双牛舎は令和5年6月10日(土)、千代田区二番町の東京グリーンパンレス・ホテルのレストラン「ジャルダン」で令和五年度年次総会を開催し、メンバーである日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会の会員ら二十六人が参加した。大澤水牛代表理事の挨拶に続いて、収支報告と新役員体制が発表され、拍手で承認。その後、恒例の「俳句大会」が4年ぶりに開かれ大いに盛り上がった。

俳句大会は兼題「梅雨」と雑詠の2句を事前投句、32人から64句の投句があった。会場では掲示された大型選句一覧表に「選句シール」を5句ずつ貼付する方式で選句した(欠席選句分は幹事が代行)。最高の天賞に輝いたのは、今泉而云さんの「合掌の肘に傘提げ梅雨の葬」と大澤水牛さんの「処方箋一行増えて梅雨に入る」の11点句の2句。〝双牛〟が天賞を分け合う形となり、大きな拍手が沸いた。地賞には堤てる夫さんの9点句「青梅雨や古社千年の杉木立」、人賞は植村方円さんの「遠雷や壁に向ひて一人飯」の8点句が続いた。入選は6点1句と5点3句の計4句だった。須藤光迷さんと水牛さんの陶芸作品と手造り梅酒が賞品として提供され、天・地・人賞と入選の作者に贈られた。俳句大会の入賞作品は次の通り。

《天賞》

合掌の肘に傘提げ梅雨の葬           今泉 而云

処方箋一行増えて梅雨に入る          大澤 水牛

《地賞》

青梅雨や古社千年の杉木立           堤 てる夫

《人賞》

遠雷や壁に向ひて一人飯            植村 方円

《入選》

細き道愚図る雨戸や梅雨深し          玉田春陽子

夏の浜干されてイリコの顔険し         杉山 三薬

濃紫陽花ゆらしてゆくや鼓笛隊         須藤 光迷

梅雨空にひとり聞き入るジャズ喫茶       深瀬 久敬

《参加者》【出席26人】和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、河村有弘、久保田操、後藤尚弘、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、野田伸也(冷峰氏二男)、廣田可升、服山玲子(三四郎句会事務局)、星川水兎、水口弥生、向井愉里、渡邉信。【投句参加8人】嵐田双歩、池村実千代、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、深瀬久敬、前島幻水、吉田正義。  (報告 谷川 水馬)

 

 

 

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番町喜楽会第206回例会

19人で「梅雨晴」「蛍」詠む

最高7点に水兎句「蛍の夜」

番町喜楽会は令和5年6月例会(通算206回)を6月3日、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。19人から投句があり、句会には13人が顔を揃えた。兼題は「梅雨晴」と「蛍」。選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、星川水兎さんの「あの人もあの人もいた蛍の夜」が7点で一席を飾った。二席には今泉而云さんの「マドンナの老いて目深な夏帽子」の6点句。三席には廣田可升さんの「天に星地には蛍の信濃かな」と「シャボンの香残す少女や夕蛍」の5点句が入った。以下、4点が4句、3点6句、2点15句、1点21句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「梅雨晴」

梅雨晴の遠出や都電一日券              廣田 可升

梅雨晴間猫に小さき出入口              星川 水兎

梅雨晴や庭に陣取る畳職               徳永 木葉

梅雨晴や妻には妻のスケジュール           廣田 可升

「蛍」

あの人もあの人もいた蛍の夜             星川 水兎

天に星地には蛍の信濃かな              廣田 可升

シャボンの香残す少女や夕蛍             廣田 可升

とりあへず両手でつくる蛍籠             嵐田 双歩

蛍の夜踏み外したる道の事              須藤 光迷

蛍やわが胸にきて遊び去る              高井 百子

当季雑詠

マドンナの老いて目深な夏帽子            今泉 而云

土作り半ばのお八つ水羊羹              須藤 光迷

祭衆どつと乗り込む銀座線              玉田春陽子

富士見える駅のホームの夏燕             徳永 木葉

《参加者》【出席13人】今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水、向井愉里。【投句参加5人】嵐田双歩、池内的中、澤井二堂、徳永木葉、星川水兎、山口斗詩子。

(報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第219回例会

最高11点に迷哲句、二席9点は双歩句

40人参加、最多120句の投句

日経俳句会は令和5年の5月例会(通算219回)を5月17日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「夏の月」と「新樹」。40人から120句の投句があり、新入会員の増加を映し、3句投句となってから最多の投句数となった。季節の変わり目で体調を崩す人もいて、句会出席は13人と少なめだったが、真夏日となった陽気に負けず、熱のこもったやりとりが展開された。選句6句(欠席は5句)の結果、中村迷哲さんの「気に染まぬ見合い蹴とばし夏に入る」が11点を獲得し一席を占めた。二席には嵐田双歩さんの「もらい湯は五右衛門風呂や月涼し」が9点で続き、三席8点は向井愉里さんの「手術日の決まり新樹を見上げをり」と中沢豆乳さんの「父に似た羅漢探せば青もみじ」が並んだ。そのほか7点1句、6点1句、5点6句、4点3句、3点11句と高点句が多かった。2点は22句、1点30句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「夏の月」

もらい湯は五右衛門風呂や月涼し           嵐田 双歩

呼び合うやスカイツリーと夏の月           須藤 光迷

谷埋めるテントの影や夏の月             中村 迷哲

夏の月目の高さにて坂の道              鈴木 雀久

縁側にごろり仰向け月涼し              岩田 三代

夏の月毎度の嘘はお見通し              杉山 三薬

同窓会話は尽きず夏の月               高井 百子

潮騒と島の灯りと夏の月               星川 水兎

「新樹」

手術日の決まり新樹を見上げをり           向井 愉里

新樹光窓辺に苺ジャムの瓶              嵐田 双歩

新樹晴十勝連峰まだ白き               廣上 正市

流鏑馬や新樹の杜に響きあり             溝口戸無広

抱きつきぬ新樹欅の太っ腹              大澤 水牛

それぞれの新樹それぞれ色香あり           金田 青水

口開けて高枝鋏新樹光                谷川 水馬

行く人の深く息する新樹かな             向井 愉里

当季雑詠

気に染まぬ見合い蹴とばし夏に入る          中村 迷哲

父に似た羅漢探せば青もみじ             中沢 豆乳

友達が出来たと吾子の五月かな            嵐田 双歩

睡蓮をがばと掻き分け主の鯉             大澤 水牛

大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首            中嶋 阿猿

母の日に娘三人集まれり               旙山 芳之

夏雲の湧いて頼もし大銀杏              今泉 而云

何処よりみずすましきて池の澄む           野田 冷峰

山巓へ続く寺領や竹の秋               廣上 正市

水鏡代田に浮かぶ駅一つ               溝口戸無広

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、中沢豆乳、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加27人】池村実千代、伊藤健史、大沢反平、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

 

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吟行報告 府中くらやみ祭見物と「しりとり連句」

日経俳句会と番町喜楽会合同の5月吟行は「こどもの日」の5月5日、府中に古くから伝わる祭祀、大國魂神社例祭「くらやみ祭」を見物がてら、昼間は「府中の森博物館」を散策、明治天皇府中行幸行在所となった蔵屋敷で「しりとり連句」という珍しい催しに興じた。開催日が連休中ということもあって、旅行に出掛けたり孫のお相手をしたりで「残念ながら」という人が多かったのだが、それでも9人が参加、武蔵野の新緑の森に遊び、夜はテラス席に陣取って勇壮な夜祭を見物しながらワインを楽しんだ。正式な吟行句会は席題「子供の日あるいは子供」と「くらやみ祭」と「当季雑詠」の投句3句・選句5句のメール句会とした。その結果、吟行幹事杉山三薬さんの「連句詠む座敷に青い梅の風」が5点を得て一席となった。二席4点には田中白山さんの「はらわたに響く太鼓や神輿渡御」と中村迷哲さんの「半裸の子池にあふれる子供の日」が入った。参加者の代表作品は以下の通り。

提灯と人の触れ合ふ闇祭          今泉 而云

いなせやな祭太鼓に立つ男         岩田 三代

夜太鼓にスマホひしめく祭りかな      植村 方円

にぎやかに武蔵野黄菅こどもの日      大澤 水牛

豪農の土間にひんやり新樹光        金田 靑水

連句詠む座敷に青い梅の風         杉山 三薬

はらわたに響く太鼓や神輿渡御       田中 白山

連句巻く府中の森やこどもの日       谷川 水馬

半裸の子池にあふれる子供の日       中村 迷哲

(まとめ 大澤水牛・中村迷哲)

 

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酔吟会第162回例会

森下文化センターで13人が「蟇」「新茶」を詠み合う

双歩、可升さんの五点がトップ並立

酔吟会は5月13日(土)、令和5年3回目となる句会を江東区森下の「森下文化センター」で開いた。この日の出席は13人。時々雨がぱらつく日の午後、会場に迷った杉山三薬さんの到着を待って、持ち寄った作品を短冊に書くことから和気あいあいと始まった。例会の兼題は「蟇」と「新茶」、雑詠を含め1人5句、投句総数65句。選句6句で句会を進めた結果、最高は5点で、嵐田双歩さんの「戦争はテレビの中や新茶飲む」と廣田可升さんの「子も孫も去って新茶の夜静か」だった。続く4点句は可升さんの「蟇の鳴く村にコンビニ一号店」と杉山三薬さんの「夏半纏神田淺草隅田川」の2句が入った。3点句は、今泉而云さん、大澤水牛さん、須藤光迷さん、高井百子さん、玉田春陽子さん、それに高得点を制した可升さん、三薬さんの計7句だった。可升さんは投句した5句が「5点、4点、3点、2点、1点」というサイクルヒットを達成した。

会終了後には、午後2時から開店しているという森下交叉点近くの大衆居酒屋「きんちゃん屋森下店」に9名が集結し、今後の酔吟会の在り方、新企画などの俳句談義が楽しく繰り広げられ、午後6時すぎまで大いに盛り上がった。

兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り
「蟇」

蟇の鳴く村にコンビニ一号店        廣田 可升

蟇蛙真夜の環七渡り行く           今泉 而云

大海の海鼠を知るや蝦蟇           杉山 三薬

蟇出でて文句あるかの面構         玉田春陽子

「新茶」

戦争はテレビの中や新茶飲む       嵐田 双歩

子も孫も去って新茶の夜静か       廣田 可升

走り茶としわくちゃばばに差し出さる   大澤 水牛

粉を吹きし羊羹切って新茶かな        須藤 光迷

赤タスキの勧め上手や新茶買ふ        高井  百子

「当期雑詠」

夏半纏神田淺草隅田川             杉山 三薬

浜離宮池に海月の遊ぶ午後          廣田 可升

《出席者13名》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。

(まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第205回例会

「冷奴」と「若葉」を17人で詠む

首位は水馬さん「つるりと冷奴」

番町喜楽会は令和5年5月例会(通算第205回)を8日に東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。兼題は「冷奴」と「若葉」で、雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、首位は谷川水馬さんの「癌とりし喉につるりと冷奴」で6点、次点は玉田春陽子さんの「蔵一つ残す旧家や柿若葉」で5点、三席には大澤水牛さんの「蹴つまづく我を笑ふか踊子草」、徳永木葉さんの「難病の癒ゆる日ありや薄暑光」、廣田可升さんの「水打てば遠く豆腐の喇叭かな」、前島幻水さんの「若葉風スケートボードで塾通ひ」の4句が4点で並んだ。3点は8句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冷奴」

癌とりし喉につるりと冷奴      谷川 水馬

冷奴女将に小さき依怙贔屓      玉田春陽子

懐も手間も端折って冷奴       山口斗詩子

「若葉」

蔵一つ残す旧家や柿若葉       玉田春陽子

若葉風スケートボードで塾通ひ    前島 幻水

日々に増え日々に濃くなる若葉かな  金田 青水

聖橋上に下にと若葉風        玉田春陽子

「当季雑詠」

蹴つまづく我を笑ふか踊子草     大澤 水牛

難病の癒ゆる日ありや薄暑光     徳永 木葉

水打てば遠く豆腐の喇叭かな     廣田 可升

風薫るマチスのダンス回り出す    須藤 光迷

山ひだの影移り行く春夕焼け     高井 百子

いいちこの瓶で生き過ぐ葱坊主    堤 てる夫

鯉幟あにおとうとの半世紀      堤 てる夫

<句会出席者13人>嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。<投句参加者4人>澤井二堂、徳永木葉、向井愉里、山口斗詩子。 (報告 須藤光迷)

 

 

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日経俳句会第218回例会を開催

愉里さん「花吹雪」が最高10点、水牛さん「名残の花」が9点で続く

中野枕流さん、初参加

日経俳句会は4月19日、内神田の日経広告研究所会議室で4月例会(通算218回)を開いた。一気に暖かくなり、あちこちで夏日が観測され、東京もシャツ一枚で過ごせるほどの気温だった。陽気に誘われた訳でもないだろうが17人が出席、いつになく賑やかな句会となった。また、今月から新しく会員になった日経編集局文化部の中野稔さんが、俳号「枕流(ちんりゅう)」を名乗り初参加。拍手で迎えられた。今回の兼題は、「穀雨」と「花」。36人から106句が集まり、選句6句(欠席5句)の結果。一席は向井愉里さんの「花吹雪浴びたくて行きまた戻り」が10点と二桁得点。二席には大澤水牛さんの「番町の名残の花も散りにけり」が9点。三席は「干し若布縺れをほどく風のあり」今泉而云さんと「パンプスで急ぐ穀雨の丸の内」金田青水さんが7点で並んだ。以下6点4句、5点3句、4点6句、3点7句、2点26句、1点28句だった。

兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「穀雨」

パンプスで急ぐ穀雨の丸の内         金田 青水

寛解の報あたたかき穀雨かな         大沢 反平

街路樹の日々艶をます穀雨かな        久保田 操

茄子胡瓜植場所決めて穀雨かな        大澤 水牛

前髪の伸びる速さや穀雨の夜         中嶋 阿猿

麦畑砲弾孔に降る穀雨            篠田  朗

ため池をななめに打ちし穀雨かな       星川 水兎

「花」

花吹雪浴びたくて行きまた戻り        向井 愉里

(黒羽亮一さんを悼む)

番町の名残の花も散りにけり         大澤 水牛

墓誌刻む系譜の絶えて花の下         高井 百子

青空や大坂城は花の陣            溝口戸無広

金髪の遍路過ぎゆく花の下          岩田 三代

城めぐる舟道ふさぐ花筏           中村 迷哲

二眼レフ構える亡父に花八分         大沢 反平

けふもまた車窓の花と対話せり        金田 青水

花の名を忘るる度に教えびと         工藤 静舟

当季雑詠

干し若布縺れをほどく風のあり        今泉 而云

(坂本龍一逝く)

戦メリは昭和の嗚咽月おぼろ         金田 青水

初孫は名付けて翔平鯉のぼり         中沢 豆乳

大口を真上に開けて春の鯉          植村 方円

春昼や待合室のあくびリレー         須藤 光迷

大あくび向かいもつられ春霞         杉山 三薬

晴ればれと後期高齢ミモザ咲く        廣上 正市

ママチャりのヘルメット行く黄砂中      横井 定利

《参加者》【出席17人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村方円、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加19人】伊藤健史、岩田三代、加藤明生、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第204回例会

18人参加で「陽炎」「桜餅」を詠む

迷哲さん高点句三連発

番町喜楽会は令和5年4月例会(通算第204回)を4月1日、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。18人から投句があり、11人が顔を揃えた。兼題は「陽炎」と「桜餅」。選句は6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、中村迷哲さんの「陽炎やジャンボ機ゆらり地を離る」が6点で一席を飾った。二席には嵐田双歩さんの「よくしゃべる女房元気で桜餅」と「残り香のしばらく指に桜餅」、玉田春陽子さんの「仏壇に慶事を報せ桜餅」、中村迷哲さんの「陽炎やどこでも停まる村のバス」と「菜の花や色とりどりのランドセル」、廣田可升さんの「春昼や波郷の町に踏むペダル」の5点句が続いた。また、三席には大澤水牛さんの「陀羅尼助噛みしめてをり菜種梅雨」と廣田可升さんの「喜捨受ける雲水の背の陽炎へり」の4点句が入った。以下、3点が4句、2点12句、1点が21句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「陽炎」

陽炎やジャンボ機ゆらり地を離る          中村 迷哲

陽炎やどこでも停まる村のバス           中村 迷哲

喜捨受ける雲水の背の陽炎へり           廣田 可升

「桜餅」

よくしゃべる女房元気で桜餅            嵐田 双歩

残り香のしばらく指に桜餅             嵐田 双歩

仏壇に慶事を報せ桜餅               玉田春陽子

戦火なき国の幸せ桜餅               須藤 光迷

品の良き金継ぎ九谷桜餅              玉田春陽子

酒気帯びし父の土産や桜餅             山口斗詩子

「当季雑詠」

菜の花や色とりどりのランドセル          中村 迷哲

春昼や波郷の町に踏むペダル            廣田 可升

陀羅尼助嚙みしめてをり菜種梅雨          大澤 水牛

掃除機に跨る少女龍天に              谷川 水馬

≪参加者≫【出席11人】今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、廣田可升、前島幻水。【投句参加7人】嵐田双歩、池内的中、澤井二堂、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、山口斗詩子。

(報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第217回例会

最高9点に三代句と朗句、二席は百子句「春人事」

36人が「彼岸」「囀」詠む

日経俳句会は令和5年の三月例会(通算217回)を3月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。季節変わりで忙しかったり体調を崩す人もいて出席は13人だったが、女性会員の高点句が相次ぎ、桜の開花と呼応したような華やかな句会となった。兼題は「彼岸」と「囀」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、最高9点に岩田三代さんの「故郷へ帰れぬ彼岸重ねけり」と篠田朗さんの「囀や窓を五センチ開けた朝」の2句が並んだ。二席8点は高井百子さんの「見開きの紙面あふれる春人事」、三席7点は池村実千代さんの「山ほどのセーター洗ふ彼岸入り」と中村迷哲さんの「せせらぎに囀交じる峡の宿」がそれぞれ入った。さらに6点に髙石昌魚さんの「小さき手をつなぐ皺の手彼岸道」をはじめ4句が並び、5点4句、4点6句、3点10句と高点句が19句にのぼる活況だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「彼岸」

故郷へ帰れぬ彼岸重ねけり              岩田 三代

山ほどのセーター洗ふ彼岸入り            池村実千代

小さき手をつなぐ皺の手彼岸道            髙石 昌魚

よー来たと小豆煮る祖母入彼岸            中村 迷哲

青錆の腕時計巻く彼岸かな              伊藤 健史

戒名のことひそひそと春彼岸             今泉 而云

サーファーの日毎にふえて彼岸かな          須藤 光迷

薄紅に山の膨らむ彼岸過               向井 愉里

入彼岸墓に愛とか絆とか               嵐田 双歩

父母としばしの会話彼岸かな             堤 てる夫

山門を開け放ちてや彼岸来る             溝口戸無広

「囀」

囀や窓を五センチ開けた朝              篠田  朗

せせらぎに囀交じる峡の宿              中村 迷哲

谷越の囀を聞く朝湯かな               大澤 水牛

囀りに覚める実家の長寝かな             向井 愉里

囀りや一日千歩目標に                横井 定利

囀れば上にはカラス下にネコ             杉山 三薬

囀りの聞こえぬと言ふ老いうらら           高井 百子

「当季雑詠」

見開きの紙面あふれる春人事             高井 百子

空の青大地に散らし犬ふぐり             岩田 三代

山笑ふ草食む牛の大あくび              加藤 明生

卒業式初めましてと言いそうに            杉山 三薬

宇宙への夢挫かれて春の塵              須藤 光迷

雛納め妻の背中が丸くなる              旙山 芳之

春愁を丸め飲込むティータイム            久保田 操

スマホだけポッケに入れて春の町           植村 方円

春昼や人みな吾を追ひ抜きて             金田 青水

春キャベツ耳たぶのよな餃子茹で           中嶋 阿猿

絵手紙は貰ふばかりよ葱坊主             今泉 而云

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、中村迷哲、星川水兎。【投句参加23人】伊藤健史、植村方円、大沢反平、荻野雅史、加藤明生、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、向井愉里、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

 

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酔吟会第161回例会

深川・芭蕉記念館で「春光」「菜飯」を兼題に開催

体調不良を押して参加の木葉さん最高6点で意気軒昂

酔吟会は3月11日(土)、令和5年第2回例会を江東区常盤の「芭蕉記念館」で開いた。同館で開催するのは今年初。この日の出席者は、昨年末から体調を崩していた徳永木葉さんを含めて14人。急に春めいてきた穏やかな日の午後、恒例により持ち寄った作品を短冊に書くことから和気あいあいと始まった。

例会の兼題は「春光」と「菜飯」、雑詠を含め投句は1人5句の計70句、選句6句で進めた結果、最高は木葉さんの「母の忌の菜飯にぎりのほろ苦き」の6点句だった。次席は4点で大澤水牛さんの「春光の隅田河畔にカレーパン」、金田青水さんの「春光や我れ単線の客となる」、玉田春陽子さんの「入彼岸こゑ聞くだけと電話来る」と「のどけしや窯入りを待つ鬼瓦」の二連発、そして廣田可升さんの「湾に満つ大漁旗や春の風」の5句がひしめいた。続く3点句には嵐田双歩さん、青水さん、谷川水馬さん、春陽子さんら手慣れの4句が並んだ。以下2点は13句、1点が20句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春光」

春光の隅田河畔にカレーパン      大澤 水牛

春光や我れ単線の客となる       金田 青水

立読みの列春光の神保町        嵐田 双歩

春光や寝釈迦の起る気配なく      玉田春陽子

「菜飯」

母の忌の菜飯にぎりのほろ苦き     徳永 木葉

百万遍おんなじ話菜飯碗        金田 青水

「当季雑詠」

入彼岸こゑ聞くだけと電話来る     玉田春陽子

のどけしや窯入りを待つ鬼瓦      玉田春陽子

湾に満つ大漁旗や春の風        廣田 可升

春昼や寝落ちてばさり文庫本      谷川 水馬

【参加者14人】嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、金田靑水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井愉里

(まとめ 高井百子)

 

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