番町喜楽会第136回例会

参加20人で「立春」と「鶯」を詠む

番町喜楽会の平成29年2月例会(通算136回)は、2月4日(土)午後6時から、「立春」と「鶯」を兼題として九段下の割烹「味さと」で行われた。出席者は16名、投句参加者は4名、投句総数97句。選句6句で句会を行った結果、山口斗詩子さんの「頼りなき歩幅も伸びて春立つ日」が6点でトップに輝いた。次いで、須藤光迷さんの「もう何も欲しいものなし日向ぼこ」が5点を獲得した。以下、4点3句、3点9句、2点14句、1点が33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立春」

頼りなき歩幅も伸びて春立つ日     山口斗詩子

立春の土やはらかく湿りけり      嵐田 双歩

白冨士に笠雲のせて春立てり      星川 佳子

顔ほどの肉饅立春中華街        大澤 水牛

春立つや祖父から届くランドセル    高井 百子

立春や胡桃の新芽ぷくぷくり      谷川 水馬

春立つや鉋の削る檜の香        玉田春陽子

「鶯」

鶯や一筆箋で詫ぶ無沙汰        広田 可升

存分に鶯鳴くや一揆の地        玉田春陽子

鶯の声近うして遙かなり        嵐田 双歩

「雑詠」

もう何も欲しいものなし日向ぼこ    須藤 光迷

足跡はあの黒猫か庭の雪        高井 百子

父と子の肩車行く春の駅        谷川 水馬

勤行の止みて始まる猫の恋       廣田 可升

〈参加者〉【出席16人】嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島幻水、山口斗詩子、【投句参加4人】池内健治、齊山満智、澤井二堂、野田冷峰

(報告・谷川水馬)

 

 

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三四郎句会平成29年幕開け句会

 

「どんど焼き」や「新年」「枯草」を詠む

三四郎句会の2017年1月例会(第46回)は19日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は12人。欠席投句・選句の2人を加えて参加者は14人となった。今回の兼題は「どんど焼き」「枯草」「新年一般」で、選句の結果、「のど飴を含みて独り寒座禅」(今泉而云)が最高点の6点を獲得。「獅子舞に赤子を噛ませ皆笑顔」(田村豊生)と「厄年はもう来ぬ齢燗熱し」(岡本崇)が4点。3点句は9句が賑やかに並んだ(下記参照)。

◇出席者 石黒賢一 石丸雅博 今泉而云 宇佐美論  宇野木敦子 河村有弘  後藤尚弘 竹居照芳 田村豊生  深瀬久敬 吉田正義 渡邉信=12人

◇欠席投句選句者 印南進 岡本崇=2人

第46回三四郎句会兼題別高点句(三点以上)

「どんど焼き」

どんど焼き火柱天を突き抜けり     宇佐美 諭

流木も泡を噴きそむ浜とんど      岡本   崇

天かけて龍立ち昇るどんど焼き     吉田 正義

「枯草」

枯草の田畑原野に戻りつつ       今泉 而云

枯草や大地にいのち宿しけり      宇佐美 諭

枯草の匂ひ振りまき子らまろぶ     河村 有弘

枯草や轍の間にうずくまり        石黒 賢一

「新年一般」

乾きける柏手の音初社          吉田 正義

「当季雑詠」

のど飴を含みて独り寒座禅       今泉 而云

厄年はもう来ぬ齢燗熱し         岡本  崇

獅子舞に赤子を噛ませ皆笑顔     田村 豊生

武蔵野の枯葉を浴びて郷の墓     印南  進

 

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日経俳句会第155例会・新年句会

「寒」「ラグビー」に最多の百七十四句

而云・水牛両氏が最高点の揃い踏み

日経俳句会は1月18日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で1月例会(通算155回)を開いた。「寒」と「ラグビー」の兼題と雑詠に、例会としてはこれまでで最多の35人から174句が集まった。今にも雪になりそうな空模様にも関わらず23人が出席。新たにメンバーに加わった岩田三代さんの自己紹介の後、句会に入った。

この日の最高点は8点で、今泉而云さんの「ラグビーの一人たちまち風となる」と、大澤水牛さんの「初鶏や英尾師逝きて一巡り」が並んだ。而云さんは「しめ縄に残る青さや寒に入る」「ラガーメン押すや二頭の牛と化し」もそれぞれ6点を獲得し面目躍如。次席の7点句は岡田臣弘さんの「寒銭湯老いし刺青泣きさうな」。6点句は髙石昌魚さんの「丸き背の連なる寒の交差点」と星川佳子さんの「あら塩の浮く梅干や寒の入」が選ばれた。

このほか、5点句は「涙拭くラガーの太き腕(かいな)かな」(大下綾子)、「老人のどれも似合ひの冬帽子」(嵐田双歩)など5句。4点句は「寒に入る競歩のごときサラリーマン」(髙橋ヲブラダ)、「地球から水吸い上げて霜柱」(岩田三代)など5句。以下、4点6句、3点8句、2点26句、1点43句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「寒」

寒銭湯老いし刺青泣きさうな      岡田 臣弘

しめ縄に残る青さや寒に入る      今泉 而云

丸き背の連なる寒の交差点       髙石 昌魚

あら塩の浮く梅干や寒の入          星川 佳子

本堂の床の軋みや寒の寺                  嵐田 双歩

堂歩む僧の素足や寒の行              中村 哲

寒に入る競歩のごときサラリーマン   髙橋ヲブラダ

寒夕焼水上バスを飲み込みぬ      横井 定利

孫たちが帰りわが家も寒に入る     井上庄一郎

寒行の一行もをり夜行バス       今泉 而云

蛇口から水細く出す寒の内       岩田 三代

寒晴れや陽だまりに妻丸くゐて     大沢 反平

クラナハの笑はぬ瞳寒の入       星川 佳子

「ラグビー」

ラグビーの一人たちまち風となる    今泉 而云

ラガーメン押すや二頭の牛と化し    今泉 而云

涙拭くラガーの太き腕かな         大下 綾子

包帯をざっと巻きたるラガーかな    星川 佳子

いい嫁になりそうラガー見つめる眼   髙瀨 大虫

わがラガーに弁当三つ持たせけり      池村実千代

観戦もスクラム姿勢や元ラガー     澤井 二堂

「当季雑詠」

初鶏や英尾師逝きて一巡り       大澤 水牛

老人のどれも似合ひの冬帽子      嵐田 双歩

地球から水吸い上げて霜柱       岩田 三代

鴨の来て池の景色の整ひぬ       澤井 二堂

駅伝の人波ほどけ御空澄む       水口 弥生

どんど焼きいたづらつ子も手を合わせ  井上庄一郎

《参加者》(出席二十三人)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大熊万歩、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句参加十二人)植村博明、大石柏人、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、藤野十三妹。    (報告 廣上正市)

 

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酔吟会第126回例会

「新年」と「炬燵」で幕開け

中沢義則、岡田陽々さんが初参加

 

酔吟会は1月14日午後1時、千代田区内神田の日経広告研究所会議室において、平成29年度初例会(通算126回)を開催した。兼題は「新年一般」と「炬燵」。出席者14名、投句参加5名。今回から日経文化部編集委員の中沢義則氏が参加、また双牛舎のホームページ見て句会見学を申し出ていた秋田県湯沢市観光協会(東京事務所)の岡田陽々さんが見学参加した。

投句5句、選句7句で句会を進めた結果、最高点は五点で岡田臣弘さんの「うたた寝の炬燵の母の小さきこと」の1句。臣弘さんは「雌鶏の小言で新年迎えをり」も次点の4点を獲得した。4点句は他に高井百子さんの「末っ子の位置は角っこ掘炬燵」、野田冷峰さんの「初富士や東久留米の駅舎から」「御代の春濠の漣退位論」の2句。初参加の岡田陽々さんの「書初の子の字の「走」走り出す」、堤てる夫さんの「家中がものぐさになる炬燵かな」、片野涸魚さんの「地吹雪に鍛え磨かれ津軽弁」の計7句と多く、逆に3点句は3句と少なかった。兼題別3点句以上は以下の通り。

「新年一般」

雌鶏の小言で新年迎えをり      岡田 臣弘

初富士や東久留米の駅舎から     野田 冷峰

書初め子の字の「走はしる」走り出す  岡田 陽々

初詣大股でゆく晴れ着かな      野田 冷峰

腹八分老いて六分や七草粥      玉田春陽子

「炬燵」

うたた寝の炬燵の母の小さきこと   岡田 臣弘

末っ子の位置は角っこ掘炬燵     高井 百子

家中がものぐさになる炬燵かな    堤 てる夫

小料理屋湯たんぽを置く炬燵かな   高井 百子

「雑詠」

地吹雪に鍛え磨かれ津軽弁      片野 涸魚

御代の春濠の漣退位論        野田 冷峰

参加者(出席)今泉而云,大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田陽々、片野涸魚、久保田操、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中沢義則、野田冷峰、(投句参加)大石柏人、岡田臣弘、澤井二堂、藤野十三妹、星川佳子

(記録高井百子)

 

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番町喜楽会第135回例会

 

「冬の日」と「雪女」を詠む

 

番町喜楽会の平成29年幕開け句会(通算第135回例会)は、成人の日の1月9日午後1時半から東京・九段下の「千代田区生涯学習館」で開かれた。祝日のうえ、通常は夜に行っていたものを昼に移したことや風邪の流行もあり、欠席投句参加が6人に上った。兼題は「冬の日」と「雪女」。「雪女」は投句33句のうち17句が得点なしという、難題ぶりを物語る結果になった。

句会は、投句5句、選句6句で行った。最高は玉田春陽子さんの「冬の日の空降りてくる硝子拭」と徳永正裕さんの「老桜の余さず浴びる冬日かな」でともに6点。5点は廣田可升さんの「淋しけりや一杯やらんか雪女郎」と田中白山さんの「煤払床(ゆか)に娘のピアノ跡」、山口斗詩子さんの「餅も菜も小さく刻み雑煮膳」が並び、4点は大下綾子さんの「いっせいにビル輝ける初日の出」と「身の上は知らぬいつもの雪女 可升」「冬の日や一坪ほどの白洲跡 春陽子」の3句。3点も5句と少な目。その一方、2点が16句、1点が三十句にも上った。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬の日」

冬の日の空降りてくる硝子拭        玉田春陽子

老桜の余さず浴びる冬日かな        徳永 正裕

冬の日や一坪ほどの白洲跡         玉田春陽子

冬の日の一句ベンチに置き忘れ        今泉 而云

「雪女」

淋しけりや一杯やらんか雪女郎       廣田 可升

身の上は知らぬいつもの雪女        廣田 可升

雪女郎監視カメラに影のこし        玉田春陽子

「雑詠」

煤払床(ゆか)に娘のピアノ跡       田中 白山

餅も菜も小さく刻み雑煮膳         山口斗詩子

いっせいにビル輝ける初日の出       大下 綾子

補助輪の外れ晴れやか春近し        須藤 光迷

風抜けて塩田平に凧揚がる         高井 百子

初参り産土神へ一里半           堤 てる夫

《参加者》

(出席十五人)嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、前島厳水。(投句参加六人)池内健治、大下綾子、澤井二堂、野田冷峰、星川佳子、山口斗詩子。(報告・須藤光迷)

 

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新春恒例行事・浅草名所七福神吟行

 

25人で快晴の浅草を闊歩

 

日経俳句会と番町喜楽会合同の新春七福神巡りは1月7日(土)午前9時、浅草雷門・浅草寺を起点に、ゴールは大根祭で賑わう待乳山聖天まで合計9寺社を訪れるコースで行われた。参加者は25人、高齢者の「らくらくコース」組と健脚向けの「フルコース」組に分かれたのが奏功して、全員が午後1時、打ち上げ懇親会場の言問橋西詰の老舗天麩羅屋「金泉」に到着した。

浅草七福神巡りは日経の旧酔吟会が平成19年1月に挙行、季節外れの豪雨に見舞われ「途中断念」という苦い体験をした。びしょ濡れで「金泉」に掛け込んだ十年前と違って、今回は冬晴れの穏やか日和に恵まれ「完歩」の宿願を果たした。

福詣句会は恒例により、メール句会方式で投句選句とも5句で実施した。作品には天・地・人に入選の格付けをした。その結果、今泉而云さんの「福詣昔紅蓮の空の下」に天賞が四つ、同じく「平和とは斯くなるものか福詣」にも天賞三つが付いた。また廣田可升さんの「道具屋の鍋に陽のさす御慶かな」にも天賞三つ、可升さんには「風呂吹きの湯気そつと吹く唇の紅」(天5、地3、人2、選+選=12点)もある。参加25人の代表句は下記の通り。

【参加者】「フルコース」(浅草寺、浅草神社、矢先神社、鷲神社、吉原神社、石浜神社、橋場不動尊、今戸神社、待乳山聖天)には、リーダー大澤水牛、嵐田双歩、池内健治、池村実千代、今泉而云、岡田臣弘、大下綾子、杉山智宥(自転車利用)、田中白山、谷川水馬、徳永正裕、廣田可升、中村哲=13人。「らくらくコース」(浅草寺、浅草神社、鷲神社、吉原神社、今戸神社、待乳山聖天)にはリーダー澤井二堂、井上啓一、大平睦子、片野涸魚、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、堤てる夫、野田冷峰、藤野十三妹、前島幻水、水口弥生=12人。

《七福神参加者代表句》

ふろふきや神も仏も相和して    嵐田 双歩(待乳山聖天の大根祭)

初夢を客に托した演芸場      池内 健治(浅草奥山風景)

七福神ついでに鍋を見る私     池村実千代(合羽橋道具街)

猫二匹縁をとりもち冬ぬくし    井上 啓一(今戸神社の招き猫)

福詣昔紅蓮の空の下        今泉 而云(吉原弁天界隈)

楽コースといふのもありて福詣   大澤 水牛(健脚組とらくらく組)

颯爽と自転車とばす年男      大下 綾子(レンタサイクルだとか)

寒の空下町の神上機嫌       大平 睦子(浅草は九福神で賑やか)

弓初め矢先はぴたり福禄寿     岡田 臣弘(矢先稲荷は弓と馬の神)

いつの世も祈りは絶えず寒椿    片野 涸魚(浅草寺境内に)

猪牙仕立て吉原遊びの夢詣     澤井 二堂(こういう夢見るのも浅草)

福禄寿ここにもちゃっかり招き猫  杉山 智宥(今戸神社は福禄寿)

福詣雷門を振り出しに       須藤 光迷(朝9時出発)

風呂吹きの長蛇の列やスカイツリー 高井 百子(聖天さんから向島を眺む)

仲見世の開く音くぐり福詣     高瀬 大虫(ようやく店が開き始めた)

冬晴や影向堂の金の鴟尾      田中 白山(浅草寺の大黒天が鎮座)

オクトパスボールの屋台福詣    谷川 水馬(なるほどタコヤキですか)

山谷堀むかし知らぬ子日向ぼこ   堤 てる夫(今は埋め立てられ公園に)

冬うらら今戸の絵馬の円き山    徳永 正裕(縁結びの絵馬はまん丸)

巡り終え年の酒汲むえびす顔    中村  哲(打上げは老舗天麩羅屋)

七福神苦界の池の錦鯉       野田 冷峰(吉原弁天には優美な鯉)

風呂吹きの湯気そつと吹く唇の紅  廣田 可升(確かに若い美人がいた)

福大根抱きし句友の顔眩し     藤野十三妹(お下がり大根にニコニコ)

浅草の元気をもらふ福詣      前島 幻水(浅草は活気づいている)

福禄寿あまたの願ひ長頭に     水口 弥生(皆の願いが詰まって・・)

(まとめ・報告 堤てる夫)

 

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 日経俳句会平成28年度下期合同句会(通算23回)

「雪」と「河豚」を詠む

日経俳句会は12月21日の年次総会の後、下期合同句会(通算23回)を開催した。兼題は「雪」と「河豚」で雑詠句を合わせて3句投句、4句選句で、事前に選句までメールで済ませる日経俳句会方式を採用した。参加者は出席24人、投句参加13人の合計37人。投句総数は110句。

その結果、最高は今泉而云さんの「ふぐ刺の透けて浮かびし海の青」の9点句。次席は植村博明さんの「降る雪やビニール傘の小宇宙」の8点句。三席は6点句で、澤井二堂さんの「宅急便街の寒さも届きけり」、玉田春陽子さんの「ふぐ刺や皿一面に青海波」、徳永正裕さんの「世の音を吸込み雪の降りしきる」、中嶋阿猿さんの「悪口も愚痴も尽きたり河豚雑炊」の4句が並んだ。5点句は1句、4点5句、3点句8句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「雪」

降る雪やビニール傘の小宇宙        植村 博明

世の音を吸込み雪の降りしきる       徳永 正裕

お父さんやっぱり雪と妻の声        今泉 而云

雪原に満天の星こぼれ落つ         久保田 操

外は雪胸に冷たき聴診器          澤井 二堂

傘に聞く雪から雨にかはる音        玉田春陽子

俎板の音軽やかに雪の朝          須藤 光迷

雪睨む伍長の像や八甲田          谷川 水馬

越後路や瞽女の声聞く雪の中        野田 冷峰

「河豚」

ふぐ刺の透けて浮かびし海の青       今泉 而云

ふぐ刺や皿一面に青海波          玉田春陽子

悪口も愚痴も尽きたり河豚雑炊       中嶋 阿猿

ひと箸で河豚刺しさらふ野郎かな      廣上 正市

河豚鍋や運否天賦の八十年         大澤 水牛

河豚鍋やたのしき仲間と悪口と       大沢 反平

「雑詠」

宅急便街の寒さも届きけり         澤井 二堂

はじまりは冬満月の拾い物         横井 定利

小春日や昼席で聞く艶話          大倉悌志郎

年の市老舗で求む夫婦箸          岡田 臣弘

数へ日の喪中葉書を繰る夜かな       徳永 正裕

《参加者》(出席二十四人)池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大石柏人、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高井百子、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、横井定利、(投句参加十三人)嵐田双歩、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、流合研士郎、水口弥生

(報告・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第134回例会

賑やかに忘年句会

「鮟鱇」と「小春」で冷峰、幻水トップ分け合う

番町喜楽会の平成28年12月の例会(通算134回)は、12月3日(土)午後6時から、「鮟鱇」と「小春」を兼題に、九段下の割烹「味さと」で開かれた。投句者20名(投句総数98句)のうち19名が出席するという賑やかな忘年句会となった。6句選句で句会を進めた結果、野田冷峰さんの「鮟鱇の身に覚えなき吊るし切り」と前島幻水さん(厳水を改名)の「小春日や子犬の待てぬ長話」が5点でトップに輝いた。以下、4点が4句、3点12句、2点11句、1点が36句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「鮟鱇」

鮟鱇の身に覚えなき吊るし切り     野田 冷峰

鮟鱇や風評といふ向う傷        徳永 正裕

鮟鱇鍋妻と迎える定年日        池内 健治

鮟鱇をぶらさげてゆく渚かな      井上 啓一

鮟鱇鍋百年超えし下足札        今泉 而云

快癒あり入籍のあり鮟鱇鍋       大下 綾子

鮟鱇鍋煮立ちて噂ばなし止む      廣田 可升

「小春」

小春日や子犬の待てぬ長話       前島 幻水

テラスより埋まる小春のカフェーかな  嵐田 双歩

水牛に休養日あり島小春        今泉 而云

瀬戸内の小島大島小春凪        嵐田 双歩

Sの字に孫駆け回る小春かな       高瀬 大虫

小春日や空席待ちのテラス席      玉田春陽子

「雑詠」

涙目で挨拶さるる焚火かな       嵐田 双歩

鴨泳ぐずっと前から居る顔で      大澤 水牛

たぷたぷと君に注ぎましょ今年酒    齊山 満智

職を引き何もせぬまま菊盛ん      高井 百子

日にかかげ風にかざすや干し大根    玉田春陽子

〈参加者〉

【出席19名】嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大下綾子、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、前島幻水、星川佳子、横山恭子(選句参加)

【投句参加2名】池内健治、山口斗詩子

(報告・谷川水馬)

 

 

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三四郎句会第45回例会

 

石丸雅博さん「深谷葱」の句が最高点6点

 

三四郎句会の11月例会(第45回)は17日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は10人。欠席投句、選句を加えて参加者は14人となった。選句の結果、「深谷葱箱ごと背負う老婆かな」(石丸雅博)が最高点の6点を獲得。続いて「枯葉踏み又踏み幼児したり顔」(竹居照芳)と「秋の陽と雲切り取りし水たまり」(深瀬久敬)の2句が5点で続いた。

◇出席者 石丸雅博、今泉而云、宇佐美諭、宇野木敦子、河村有弘、後藤尚弘、竹居照芳、深瀬久敬、吉田正義、渡邉信。◇欠席投句者 印南進、岡本崇、田村豊生、石黒賢一。

第45回例会での兼題別高点句(3点以上)は以下の通り。

「十一月」

陽を映す十一月の障子かな         宇佐美 諭

十一月色うつろひの盛りかな        石丸 雅博

「葱」

深谷葱箱ごと背負う老婆かな        石丸 雅博

葱だけが背のびをしたりレジ袋       石黒 健一

マイガーデン泥ねぎ寄せて鍬仕舞う     印南  進

地酒酌む下仁田葱の焼き加減        岡本  崇

「当季雑詠」

枯葉踏み又踏み幼児したり顔        竹居 照芳

秋の陽と雲切り取りし水たまり       深瀬 久敬

冬うらら稲村ケ崎トビの舞う        印南  進

胡弓哭く月の影踏み風の盆         河村 有弘

鶏頭や子規が見つめし生命立つ       河村 有弘

(報告 今泉而云)

 

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日経俳句会第154回例会

 

岡田さん、断トツの十一点句

弥生さんも「冬浅し」の佳句連発

日経俳句会は11月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で11月例会(通算154回)を開いた。「冬浅し」「納豆」の兼題に34人が166句出句した。急に寒さが増したせいか、体調を崩された方が多く、欠席選句が13人にも達した。

最高点は岡田臣弘さんの「酉の市巫女の英語の達者なる」が11人もの支持を得た。これが際立っており、次席は7点の3句。「お日様の香りを添へて藁納豆」(嵐田双歩)、「自慢げに歯抜けの跡を七五三」(今泉而云)、街路樹の日毎に痩せて冬めけり」(流合研士郎)が選ばれた。6点句も「立て衿のか細き首や冬浅し」(水口弥生)、「納豆に朝日の入る山の宿」(植村博昭)の2句にとどまった。5点句は「山なみを紫紺に沈め冬浅し 弥生」、「冬薔薇座る人なきテラス席 阿猿」、「水鳥の足裏黄色き小春かな 正市」の3句。4点、3点が目立って多く、それぞれ6句、11句あった。2点は24句、1点は35句だった。兼題別の高点句(三点句以上)は以下の通り。

「冬浅し」

立て衿のか細き首や冬浅し       水口 弥生

山なみを紫紺に沈め冬浅し      水口 弥生

冬浅し膝関節のきしきしと          横井 定利

途切れつつとんかちの音冬浅し    大下 綾子

冬浅し長袖半袖七分袖        金田 青水

衿元に衣(きぬ)の膨らみ冬浅し       高石 昌魚

もり蕎麦に七味一振り冬浅し      徳永 正裕

「納豆」

お日様の香りを添へて藁納豆     嵐田 双歩

納豆に朝日の入る山の宿       植村 博昭

納豆や幼馴染は子沢山        今泉 而云

納豆に砂糖入れるも吾が故郷      徳永 正裕

ままならぬ憂き世に納豆かき回し   岡田 臣弘

納豆や卓袱台囲む日のありき     高石 昌魚

納豆をあてに晩酌妻の留守      堤 てる夫

山谷をともに越え来て納豆汁     中村  哲

「当季雑詠」

酉の市巫女の英語の達者なる      岡田 臣弘

自慢げに歯抜けの跡を七五三      今泉 而云

街路樹の日毎に痩せて冬めけり     流合研士郎

冬薔薇座る人なきテラス席       中嶋 阿猿

水鳥の足裏黄色き小春かな       廣上 正市

大根干す櫓の先に薩摩富士       須藤 光迷

群れなして冬野に降りる鴉かな     堤 てる夫

水底に雑魚の影なす冬日差       廣上 正市

柿すだれ慣れぬ手つきのそのまんま   堤 てる夫

相席の客も鍋焼き湯気二つ        徳永 正裕

木枯の行って帰らぬ浪江沖       中村  哲

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、廣上正市、星川佳子(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生、横井定利

(報告・廣上正市)

 

 

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