番町喜楽会第151回例会を開催

 

19名で「夏至」と「紫陽花」を詠む

投句の3分の2に点が入る大混戦

 

番町喜楽会の平成30年6月例会(通算151回)が、6月2日(土)午後6時から九段下の千代田区立生涯学習館で開かれた。兼題は「夏至」と「紫陽花」で、投句者は19名、投句総数は95句だった。この日の出席者は14名といつもより少なめだったが、句会はいつもと同じように活発な発言があり、盛り上がった。

句会はいつも通り投句5句、選句6句で行われたが、兼題が難しかったせいか、佳句が揃ったせいなのか、票が割れに割れた。最高点が5点で徳永木葉さんの「六月の闇に消えゆく嘘いくつ」のわずか1句。次席4点も高井百子さんの「絹さやの筋引く母の昼下がり」と廣田可升さんの「来ぬ人や不忍口に夏至の雨」の2句に止まった。以下、3点7句、2点16句、1点32句と、何と投句総数の3分の2に点が入るという乱戦であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏至」

来ぬ人や不忍口に夏至の雨        廣田 可升

眉太く描きて夏至の女かな        今泉 而云

平成の最後の夏至やソーキ蕎麦      須藤 光迷

家中の蛇口を磨き夏至ひと日       玉田春陽子

「紫陽花」

強羅まで登山軌道に七変化        中村  哲

「雑詠」

六月の闇に消えゆく嘘いくつ       徳永 木葉

絹さやの筋引く母の昼下がり       高井 百子

初生りの親指ほどの胡瓜かな       大澤 水牛

捨てられぬ万年筆や五月闇        廣田 可升

古本屋ふえし谷中や山法師        星川 水兎

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、大澤水牛、塩田命水、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、氷室冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加5人】池内的中、今泉而云、斉山満智、澤井二堂、須藤光迷。   (報告・谷川水馬)

 

 

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高瀬大虫さんを偲ぶ会開催・5月14日

 

日本記者倶楽部に三句会、書の会、旧友ら42人が集う

 

3月17日に急逝した高瀬大虫(忠重)さんを偲ぶ集いが5月14日(月)の夕刻、東京・日比谷の日本プレスセンターで開催された。俳句振興NPO法人双牛舎、日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会のメンバーと、日経書の会や古い友人など42人が参集した。

開会の挨拶は、双牛舎代表の大澤水牛(水紀雄)さん。平成20年4月の村田英尾先生の墓参・桜狩吟行で、大虫さんが詠んだ「幻や花の根もとの手負武者」の一句を披露するなどして「俳人大虫」を語った。献杯の音頭をとった俳句会長老、高石昌魚(昌弘)先生も「手負武者」の句に感心した想い出を語り「ご遺影のようにいつも優しく微笑んでおられた。(句会での)あの素晴らしい句評をいつまでも伺いたかった。心から残念に思っています」と、杯を捧げた。

大学病院の外来病棟で大虫さんと出会い、俳句会に誘った今泉而云(恂之介)さんは、東大在職中の大虫さんが「大学紛争の学生を助けていた」とヒューマンな一面を明かした。

日経書の会指導の守田恵美子先生は、筆を持たない時にはグラスを交わした飲み仲間。偲ぶ会が「最後のお別れ」になってしまうので「今日と言う日が来なければいい」と思っていた、と心情を明かした。大虫さんのネパール研究を知る山岳ガイドの稲村道子さんは、「日本・ネパール協会では、大虫さん急逝に大ショックを受けています」などと語った。

会場には、守田恵美子先生揮毫の「偲ぶ会」の横断幕が張られ、その下のテーブルには昨年6月の「俳句館旗揚げ式」で撮影された大虫さんの笑顔を嵐田双歩さんがパネルに仕上げてくれた遺影と、大虫さんの絶筆の色紙が飾られた。その横には、書の会のメンバーが行きつけの中華料理店から届けられた生花が添えられた。参会者は遺影の前に献花し、色紙に署名した。

【高瀬大虫さんを偲ぶ会出席者】(双牛舎)大澤水牛、今泉而云、(日経俳句会・番町喜楽会・三四郎句会)嵐田双歩、池村実千代、植村博明、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、池内的中、須藤光迷、斉山満智、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、前島幻水、山口斗詩子、竹居照芳、(日経書の会)守田恵美子、市岡揚一郎、風戸周子、工藤静舟、久保道子、行木虹聲、横須賀久江、吉松絵里、(友人)稲村道子。      (報告 日経俳句会幹事長堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第169回例会

 

34人が「滝」と「新緑」を詠む

岩田さん「ダリのひげ」最高10点

 

日経俳句会は平成30年度5月例会(通算169回)を5月16日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。この日は気温が上がり、まさに夏近し。出席者は18人とやや少なかったが、投句参加も加えると34人になり、熱のこもった句会となった。

兼題は「滝」と「新緑」。投句総数102句、5句選の結果、岩田三代さんの「大空にダリの口ひげ夏つばめ」が最高10点を獲得、廣上正市さんの「ブロンズの弓引く像や風五月」が9点で続いた。6点には今泉而云さんの「新緑や表札に府下豊多摩郡」が入り、5点には澤井二堂さんの「滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも」など3句が並んだ。以下4点6句、3点13句、2点17句、1点23句と続いた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「滝」

滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも     澤井 二堂

夜更けには森も聞くなり滝の音     植村 博明

滝眺むしばし時間の止まりたり     大熊 万歩

神の住む一枚岩から糸の滝       大沢 反平

一人づつ渡る吊り橋滝とどろ      廣上 正市

速ければ動かざるごと滝落ちる     星川 水兎

滝落ちてしづかに一葉押し流す     大下 綾子

山塊に白き一筋神の滝         中村  哲

七滝の転び転んで伊豆の海       野田 冷峰

お屋敷に園丁の瀧楚楚とあり      水口 弥生

ふるさとのちひさきたきをなつかしみ  横井 定利

「新緑」

新緑や表札に府下豊多摩郡       今泉 而云

新緑や吊り橋からの大ジャンプ     加藤 明男

新緑の渡廊下に始業ベル        徳永 木葉

新緑や様になつたねランドセル     谷川 水馬

新緑で覆ひ尽せよ耶蘇の島       嵐田 双歩

新緑やグラデーションは神の筆     岩田 三代

緑さすベンチに水と数独本       大下 綾子

新緑にひとときの雨匂ひ立つ      杉山 三薬

新緑に濃淡のあり山斑         中村  哲

細胞の一つ一つに緑さす        星川 水兎

「当季雑詠」

大空にダリの口ひげ夏つばめ      岩田 三代

ブロンズの弓引く像や風五月      廣上 正市

片言の男女の担ぐ神輿かな       加藤 明男

著莪の雨ボタン一つで人を焼き     横井 定利

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三藥、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。    (報告・中村哲)

 

 

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酔吟会第134回例会

最高が4点で5句、次席3点も5句で白熱

廣田河升さんが初参加

 

酔吟会は5月12日(土)、東京内神田・鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所会議室で、今年3回目の例会(通算第134回)を開催した。兼題は「夏」と「柏餅」。出席14人、投句参加5人で投句総数は94句と大賑わい。またこの日から、番町喜楽会で活躍する廣田可升さんが入会。手慣れたところを見せた。

6句選句で句会を進めた結果、最高点は片野涸魚さんの「柏餅シリアの子等を思ひけり」、今泉而云さんの「祖父またも苦学を話す柏餅」、大平睦子さんの「黄ばみ見ゆ思い出深し夏衣」、大澤水牛さんの「夏来たる揖保三輪島原小豆島」、嵐田双歩さんの「真っ先に太陽描いて図画の夏」の5句が並んだ。次点の3点句は、谷川水馬さんの「気っ風よし妻の大振り柏餅」、徳永木葉さんの「今年また夫婦二人の柏餅」、髙井百子さんの「夏が来た皿いっぱいの生野菜」のほか雑詠2句を加え合計5句だった。以下、2点18句、1点27句となった。兼題別の高得点句(3点以上)は次の通り。

「夏」

夏来たる揖保三輪島原小豆島     大澤 水牛

黄ばみ見ゆ思い出深し夏衣      大平 睦子

真っ先に太陽描いて図画の夏     嵐田 双歩

「柏餅」

柏餅シリアの子等を思ひけり     片野 涸魚

祖父またも苦学を話す柏餅      今泉 而云

気っ風良し妻の大ぶり柏餅      谷川 水馬

今年また夫婦二人の柏餅       徳永 木葉

「雑詠」

嫁がざる叔母とままごと桐の花    星川 水兎

谷根千のへび路ねこ道青すだれ    野田 冷峰

夏が来た皿いっぱいの生野菜     高井 百子

【参加者】(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升(投句参加)、岡田臣弘、久保田操、澤井二堂、藤野十三妹、星川水兎  (まとめ:高井百子)

 

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番町喜楽会第150回例会を開催

 

「夏めく」と「筍」に2点句がひしめく

双歩さんと満智さんが5点句で「天」を分け合う

 

番町喜楽会の平成30年5月例会(通算150回)は、7日午後6時半から「夏めく」と「筍」を兼題として、東京・九段下の千代田区立生涯学習館に16人が出席して行われた。投句参加は5人。投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高の5点には嵐田双歩さんの「宿坊の一汁一菜まがりたけ」と、斉山満智さんの「夏めくや素足の裏の青畳」が並んだ。次席4点は堤てる夫さんの「豊饒の塩田平の鯉のぼり」と、前島幻水さんの「噴水をくぐり抜ける子転げる子」の2句。今回は3点が7句に留まる一方、2点が24句も出るという珍しい現象。実力伯仲というべきか大乱戦というべきか。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏めく」

夏めくや素足の裏の青畳         斉山 満智

夏めくや老いには重き鍬の先       高井 百子

夏めきて素足のびのびゴム草履      山口斗詩子

「筍」

宿坊の一汁一菜まがりたけ        嵐田 双歩

筍の伸びる音かや夜の藪         嵐田 双歩

ふっくらと筍飯の匂ひかな        星川 水兎

「雑詠」

豊饒の塩田平の鯉のぼり         堤 てる夫

噴水をくぐり抜ける子転げる子      前島 幻水

ひょろひょろの茄子苗二本頑張れよ    大澤 水牛

退院し母は食べたか初鰹         斉山 満智

滝音をつつむ新樹の光かな        廣田 可升

【参加者】(出席16人)池内的中、今泉而云、大澤水牛、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、(投句参加5人)嵐田双歩、大下綾子、斉山満智、澤井二堂、山口斗詩子。       (報告・須藤光迷)

 

 

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日経俳句会第168回例会

参加33名、「陽炎」「桜蕊降る」に佳句続々

日経俳句会の平成30年度4月例会(通算168回)は4月18日、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。夜来の雨も夕方には上がったものの、気温が低く花冷え気味。体調優れず急遽欠席の人もいて出席者は18人(欠席投句15人)とやや少かったが、和やかな句会となった。

「陽炎」と「桜蘂降る」の兼題に98句の投句があり5句選の結果、大倉悌志郎さんの「かげろへる線路を都電酔ふやうに」が最高の8点。続いて大下綾子さんの「陽炎や歩けば遠き隣駅」7点、流合研士郎さんの「友逝きて桜蘂降る風の道」と徳永木葉さんの「散りてより仕事始まる桜守」が6点、向井ゆりさんの「島なみもドックの船も陽炎へり」が5点など兼題に高点句が集まった。以下、4点9句、3点12句、2点14句、1点23句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「陽炎」

かげろへる線路を都電酔ふやうに       大倉悌志郎

陽炎や歩けば遠き隣駅            大下 綾子

島なみもドックの船も陽炎へり        向井 ゆり

陽炎にラガーの蹴りし土埃          澤井 二堂

有明の海陽炎の潟がた千里          中村  哲

花街の名残りなき路地陽炎へり        星川 水兎

老身が揺れて行く道かげろひて        大沢 反平

陽炎やひよどり埋めし塚あたり        金田 青水

陽炎につまづく人のをりにけり        橫井 定利

「桜蕊降る」

友逝きて桜蘂降る風の道           流合研士郎

桜蕊降るそして独りとなにけり        大沢 反平

桜蘂降るひとり遊びの上手な子        大下 綾子

ぶかぶかの制服に降る桜蕊          谷川 水馬

桜蘂降る曽我兄弟の力石           廣上 正市

桜蕊引っ越し便の荷に落ちて         向井 ゆり

客一人桜蕊降るバスの屋根          植村 博明

おかっぱの上にちょこんと桜蕊        大熊 万歩

着任す桜蘂降る城下町            金田 青水

「当季雑詠」

散りてより仕事始まる桜守          徳永 木葉

青菜伸ぶ紋白蝶のおほわらは         大澤 水牛

アルプスに燕前線届きたり          今泉 而云

夕暮れの宙そらに浮かぶや柿若葉       岩田 三代

公園の地蔵着替へて春日和          植村 博明

恨みなき闘ひ哀れ鶏合せ           加藤 明男

めでたしで終わる童話や柏餅         星川 水兎

健ちゃんが米寿米寿だ上り鮎         橫井 定利

 

【参加者】(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

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番町喜楽会第149回例会

「花冷え」と「蛙の目借時」を詠む

番町喜楽会の平成30年4月例会(通算149回)が4月7日(土)午後6時から、「花冷え」と「蛙の目借時」を兼題として九段下の九段生涯学習館で開かれた。投句者は20名、そのうち15名が会場に集まり句会を始めた。投句総数96句、投句5句選句6句で選句・披講の結果、玉田春陽子さんの「花冷や細き闇おく京格子」が9点でトップに輝いた。また、塩田命水さんの「登校の列は背の順百千鳥」、玉田春陽子さんの「瀞渡る風に遅れて花吹雪」の5点句が続いた。以下、4点が2句、3点8句、2点18句、1点が23句という結果だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「花冷え」

花冷や細き闇おく京格子           玉田春陽子

山下りて花冷えと知る駅の椅子        大澤 水牛

花冷えの病棟静か母眠る           斉山 満智

お酌する新入社員花の冷え          田中 白山

妹のバス待つ姉や花の冷え          谷川 水馬

朝粥に花冷え癒やす京の宿          徳永 木葉

花の冷え母のまつ毛の白さかな        星川 水兎

「蛙の目借時」

拝啓と書きて続かず目借時          須藤 光迷

授乳する嫁は蛙の目借時           高井 百子

とろけ出す歯科医の声や目借時        須藤 光迷

「雑詠」

登校の列は背の順百千鳥           塩田 命水

瀞渡る風に遅れて花吹雪           玉田春陽子

いかなごの釘煮ください海の駅        徳永 木葉

 

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、氷室冷峰、星川水兎、前島幻水。【投句参加5人】池内的中、大下綾子、中村哲、廣田可升、山口斗詩子。     (報告・谷川水馬)

 

 

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英尾先生墓参・桜吟行を開催

 

多摩から国立まで1万7千歩

村田英尾先生の墓参りを兼ねた桜狩吟行は3月31日(土)に行われた。都立八王子霊園、多摩森林科学園、国立大学通りを、日経俳句会、番町喜楽会の有志10人が元気よく巡った。快晴の花見日和の中、霊園の染井吉野は見頃だったが、英尾先生の墓前では十三回忌の時が流れ、僧籍を持つ高瀬大虫(忠重)さんの急逝を想わずにはいられなかった。定番コースの桜保存林、混み合うでもなくまあまあの人出。老木が増えた感じがした。

ここから全員が集合場所のJR高尾駅に戻り、国立駅へ。地元情報に詳しい杉山三薬さんの提案で、一橋大学や都立国立高校などが並ぶ大学通りの桜並木を歩いた。駅前から南へ一直線、JR南武線谷保駅近くまでの1・5㌔ほど、四車線の大通りの両側に二百本の桜の並木が続く。並木の陰で家族パーティー、路傍ピアノのビニールテント。歩道いっぱいの見物客の列。学園都市らしい穏やかな花見風景だった。この日の仕上げは谷保駅傍の大黒屋、三薬さん馴染みの蕎麦店。漬物、油揚げ、天麩羅などをつまみに、ビール・日本酒。最後は蕎麦で締めて帰途についた。

吟行メール句会は投句3句、選句4句(天、地、人、入選)で実施した。好評を得た作品は、双歩さん「春深し谷保の蕎麦屋の揚げ牛蒡」、而云さん「花吹雪亡き人の背の見え隠れ」、水牛さん「花吹雪三ひら四ひらは口の中」、てる夫さん「花吹雪テントの中のピアニスト」、木葉さん「春や春忘れられたる帽ふたつ」など。

参加者=嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、澤井二堂、塩田命水、杉山三葉、田中白山、徳永木葉、野田冷峰、(幹事)堤てる夫。

(報告 堤てる夫)

 

 

 

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日経俳句会第167回例会

 

32人で「春」と「公魚」を詠む

中村さん「竿の先」で最高9点、7点句に高橋さん「赤子の手」

 

日経俳句会の平成30年度3月例会(通算167回)が3月28日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。この日都内の桜が満開となり春本番。年度替わりを控え忙しい方も多く、出席は18人とやや少なかったが、別用で来合わせた酔吟会・番町喜楽会の玉田春陽子さんが飛び入りで加わり、和気あいあい春の宵に相応しい句会となった。

兼題は「春」と「公魚」。32人から96句の投句があり、5句選の結果、中村哲さんの「公魚のいのち震はす竿の先」が最高9点を獲得、髙橋ヲブラダさんの「春告げる風を掴まん赤子の手」が7点で続いた。6点句には中嶋阿猿さんの「なぜなぜと聞く子のつむじ春の宵」と谷川水馬さんの「お彼岸や祖母の名前はウメとタネ」が並んだ。このほか5点句に3句、4点句に7句、3点句に11句が入り、全体に点数がばらついた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「春」

春告げる風を掴まん赤子の手    髙橋ヲブラダ

旅雑誌いくたびと繰る春の床    徳永 木葉

墨痕に虹色浮かぶ春一字      今泉 而云

歩き神しきりに誘ふ春なかば    大澤 水牛

枝先にまあるい春が着きにけり   大沢 反平

重ねたる春ほど花の名は知らず   杉山 三薬

「公魚」

公魚のいのち震はす竿の先     中村  哲

公魚やぴちぴち喋る中学生     髙石 昌魚

公魚の唐揚げ苦し辞令の日     中嶋 阿猿

公魚の白き命の踊りけり      加藤 明男

公魚や昼の立石コップ酒      金田 青水

公魚の看板寂し山の湖       杉山 三薬

公魚は空が恋しと釣られけり    徳永 木葉

「当季雑詠」

なぜなぜと聞く子のつむじ春の宵  中嶋 阿猿

お彼岸や祖母の名前はウメとタネ  谷川 水馬

だしぬけに友の訃報や寒戻り    髙石 昌魚

春の浜少し動いた砂模様      植村 博明

弥生富士仰いで四股を踏んでみる  岡田 臣弘

鳥帰るスワンボートが池を占め   澤井 二堂

苔庭に紅の斑(ふ)撒くや落椿   徳永 木葉

春愁や明治の玻璃に泡ひとつ    廣上 正市

嘘つきの恋人いとし朧月      藤野十三妹

まどろめばやさしき地球花むしろ  嵐田 双歩

鬼平の密偵の夜春の夜       鈴木 好夫

学食の春キャベツ添えオムライス  野田 冷峰

《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり、横井定利、玉田春陽子=番喜会。(投句参加)池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高石昌魚、高橋ヲブラダ、廣上正市、藤野十三妹。

(報告・中村哲)

 

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酔吟会第133回例会

 

19名参加、「春暁」と「蒲公英」を詠む

春陽子さん6点句でまたまたトップ

 

酔吟会は3月10日(土)午後1時から内神田鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で、平成30年3月例会(通算百三十三回)を開催した。出席者は14名、投句参加5名で投句総数93句。選句7句で句会を進めた結果、玉田春陽子さんの「たんぽぽや溶岩冷えて二百年」が6点で最高だった。次席は5点で堤てる夫さんの「通り過ぎ後戻りして沈丁花」と野田冷峰さんの「鯨尺掠れる祖母の名針供養」の2句。三席は谷川水馬さんの「たんぽぽや石臼並ぶ水車跡」の4点句だった。以下、3点句が6句、2点句11句、1点句38句だった。なお、今句会から岡田臣弘さんが俳号を鷹洋と決めた。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春暁」

春暁や起きてしまへばいいものを    大澤 水牛

春暁や胎児が動き始めしと       須藤 光迷

春暁やおしめ替えからはじまって    野田 冷峰

「蒲公英」

たんぽぽや溶岩冷えて二百年      玉田春陽子

たんぽぽや石臼並ぶ水車跡       谷川 水馬

蒲公英や後ろの正面住宅地       嵐田 双歩

たなほほと呼び名しほらし根は太し   大澤 水牛

「雑詠」

通り過ぎ後戻りして沈丁花       堤 てる夫

鯨尺掠れる祖母の名針供養       野田 冷峰

啓蟄や溢るる青春南口         大沢 反平

《参加者》【出席十四名】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、久保田操、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、星川水兎。【投句参加五名】工藤静舟、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、藤野十三妹。     (報告 谷川水馬)

 

 

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