酔吟会第138回例会

 

参加17人、シャンパンで平成最後の初句会祝う

最高5点句に双歩「初電車」、水兎「初髪」

 

都心に初雪が舞った1月12日(土)昼下がり、酔吟会の平成31年初句会が開かれた。会場の日経広告研究所の会議室に集まったのは、大澤水牛、今泉而云両先生を筆頭に17人、投句参加の2人を加えて95句の新年詠が寄せられた。司会の水牛先生の大盤振る舞いで選句を7句として句会を進めたところ、案に相違して票が散った。最高点が5点で、嵐田双歩さんの「乗り過ごすこれもめでたや初電車」と、星川水兎さんの「ほぐしたる初髪ピンのあまたかな」の2句。

次席4点が7句にのぼり、双歩さんの「往来に音の途絶えて今朝の春」、久保田操さんの「頑張らない一年の計初雀」、須藤光迷さんの「松明けぬ豆腐屋店をたたみしと」、玉田春陽子さんの「五色豆色それぞれの淑気かな」「人世の放課後にゐて日向ぼこ」、徳永木葉さんの「廃れしは車の鼻の注連飾」、廣田可升さんの「悪筆の元気ですかと問ふ賀状」とひしめいた。

さらに3点も7句並び、「ひよどりも烏も鳴かず雪催 水牛」、「冬蝿や図書館ひとりシルバー席 岡田鷹洋」、「初夢やあの世この世を行き来して 片野涸魚」、「用水の微かに流る根白草 高井百子」、「元旦や患者ラッシュの当番医 堤てる夫」、「年ごとに小ぶりや棚の鏡餅 木葉」、「捻っても尖らぬ糸や針始 水兎」と大賑わい。これに2点句15句、1点句が22句続いた。

酔吟会の「お燗番」、谷川水馬さんが欠席したが、星川水兎さんがお屠蘇代わりのシャンパンを差し入れてくれて乾杯。幹事役の大平睦子さんが煎餅を色とりどり振るまってくださり、初句会は大いに盛り上がった。

《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、久保田操、工藤静舟、須藤光迷、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、星川水兎(投句参加)谷川水馬、藤野十三妹。

(報告・堤てる夫)

 

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池上七福神吟行で平成31年の幕開け

日経俳句会・番町喜楽会の22人参加

最高は可升さんの「神籤売る寺の子」8点句

平成最後の新春、恒例七福神詣は東急池上沿線の「池上七福神」が舞台。1月5日(土)午後1時、池上駅北口に集結したのは、大澤水牛、今泉而云両長老と日経俳句会、番町喜楽会のメンバー合わせて22人。日蓮宗の巨大伽藍、本門寺を囲むように点在する七福神に「七難即離七福即生」を祈り、巡った。夕陽がまだ高いうちに池上駅近くの居酒屋「きさらぎ」で新年懇親会。アルコールに弱い人など3人が早退、残る19人で鰻、焼き鳥、釜飯で歓談した。物足りない人が何人か、二次会で頑張ったという情報は翌日以降の話題となった。

《参加者》嵐田双歩、池内的中、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、片野涸魚、澤井二堂、塩田命水、杉山三薬、須藤光迷、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、廣田可升、星川水兎。

《メール句会の結果》

七福神詣のメール句会は、投句5句、選句5句で実施した。「天、地、人」などの順位なしに得点を集計した結果、最高点は廣田可升さんの「寺の子の二人並んで神籤売る」が8点を集めた。第二位は中村哲さんの「入寂の静けき谷や冬紅葉」の7点句。第三位は玉田春陽子さんで「福詣姉弟あきなふ猫みくじ」の6点句。続く5点句には「一心に無病息災福詣 双歩」、「福神の宴会仕切る弁財天 而云」、「空だけは江戸と変らぬ七巡り 涸魚」、「名刹の墓地にも空家冬日和 三薬」と4句が並んだ。4点句には、「池上の井戸ある露地の寒椿 双歩」、「小さき頃父と来た坂福詣り 実千代」、「カフェありと招く小春の養源寺 命水」の3句。3点句は、「徳待といふ町めぐる福詣 実千代」、「老友の足取りうれし初吟行 反平」、「慶長の塔に冬日のやはらかに 光迷」、「七福神めぐり巡りて茜空 哲」、「廃堂や忘れ去られた冬帽子 研士郎」、「冬晴れの空や法華の声に張り 可升」の6句だった。以下2点9句、1点21句と続いた。

(記録報告・堤てる夫、高井百子)

 

 

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第14回日経俳句会賞決定

英尾賞に入会2年目の岩田三代氏

俳句会賞は向井、片野、高橋、須藤の4氏

12月19日の日経俳句会年次総会、下期合同句会に続いて第14回日経俳句会賞の発表と贈賞式が行われた。英尾賞には岩田三代氏、日経俳句会賞には、向井ゆり、片野涸魚、高橋ヲブラダ、須藤光迷の四氏が選ばれた。岩田氏と向井氏は初受賞。片野、高橋、須藤の3氏は2回目の受賞となった。

昨年から選考委員会方式による選考となり今年は6人が担当。幹事の嵐田委員から「過去3年の受賞者を除くなどのルールに沿って、140句を対象に公平、公正に選考した」との選考経緯の説明があり、中沢会長から5氏に賞状と記念品が贈られた。

引き続き大澤水牛、今泉而云両顧問が掛け合いの形で5氏の作品を講評。軽妙なやり取りと含蓄のある内容に、会場は笑顔に包まれた。

受賞者がそれぞれ喜びの言葉を語ったが、特に初受賞の女性二人と、酔吟会最高齢の片野さんにひときわ大きな拍手が贈られた。

《日経俳句会賞英尾賞》

大空にダリの口ひげ夏つばめ    岩田 三代

《日経俳句会賞》

眠る子がふいに笑へり冬銀河    向井 ゆり

蚊帳の中君は蛍を放ちけり     片野 涸魚

春告げる風掴まんと赤子の手    高橋 ヲブラダ

底知れぬ嘘と忖度木下闇      須藤 光迷

 

 

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日経俳句会平成30年下期合同句会

39人が参加、投句総数117句

双歩句「散らかる十二月」が空前の17点を獲得

日経俳句会は平成30年度下期合同句会(通算27回)を12月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。酔吟会のメンバーも加わり投句参加者は39人と多く、「風邪」と「クリスマス」の兼題に117句が集まった。一年の納めの句会とあって、久しぶりに顔を出した金田青水さんや大阪から駆けつけた高橋ヲブラダさんをはじめ、25人が出席(欠席投句14人)し熱気溢れる句会となった。

5句選の結果、嵐田双歩さんの「一年が散らかつている十二月」が過去最高の17点を獲得、日経俳句会の記録を塗り替えた。次点は加藤明男さんの「風邪の児の目が追ひかける母の背」と鈴木好夫さんの「聖樹下にギフトを置いて親となる」の2句が8点で並び、三席に中村哲さんの「風邪の子の額確かめ母出勤」が7点で続いた。以下、6点2句、5点4句、4点8句、3点14句、2点10句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「風邪」

風邪の児の目が追ひかける母の背     加藤 明男

風邪の子の額確かめ母出勤        中村  哲

言訳の風邪本物となりにけり       大澤 水牛

風邪篭り座敷障子の白さかな       片野 涸魚

ただの風邪医者の処方は三日分      堤 てる夫

風邪ですとメールで済ます月曜日     大平 睦子

咳ひとつ風邪に怯える齢かな       久保田 操

口ぐせは風邪を引くなよ転ぶなよ     高井 百子

犬猫も萬年筆も風邪をひき        嵐田 双歩

風邪ごこち街はモノクロ歪みたり     大熊 万歩

「クリスマス」

聖樹下にギフトを置いて親となる     鈴木 好夫

病室に小さきツリーのクリスマス     髙石 昌魚

聖夜とて普段と同じ老夫婦        井上庄一郎

クリスマス過ぎてケーキの白い箱     嵐田 双歩

厨立つ常と変わらぬ聖夜かな       岩田 三代

ちっぽけなケーキ二つのクリスマス    植村 博明

夜汽車過ぐ野の一軒家クリスマス     片野 涸魚

菓子も樹も子としつらえし聖夜かな    須藤 光迷

星ひとつ握りて嬰のクリスマス      玉田春陽子

「当季雑詠」

一年が散らかつている十二月       嵐田 双歩

ちちははに詫びたきあまた冬銀河     廣田 可升

百までもスマホは持たず寒雀       杉山 三薬

不可思議といふ数字あり冬銀河      今泉 而云

手拍子を家まで運び三の酉        植村 博明

元号の波間漂ふ都鳥           加藤 明男

平成の芥投げ入れ焚火かな        徳永 正裕

落葉掃く心の澱も共に掃く        片野 涸魚

冬三日月父なき日々が始まりぬ      髙橋ヲブラダ

上州の風は韋駄天寒の月         玉田春陽子

閉店の張り紙白し雪催          中嶋 阿猿

吊し柿心の傷は乾かない         藤野十三妹

ひとめぐりして気がつきし冬桜      星川 水兎

《参加者》(出席)=嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大下綾子、片野涸魚、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)和泉田守、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明男、久保田操、谷川水馬、中嶋阿猿、廣田可升、藤野十三妹、水口弥生。     (報告 嵐田双歩)

 

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平成30年年次総会・下期合同句会を開催

「わたしの俳句館」順調に始動──堤幹事長が活動報告

平成30年の年次総会、俳句会賞授賞式、合同句会など、日経俳句会の年間活動を締めくくる行事が12月19日(水)午後5時半、日経広告研究所会議室で行われた。年間の句会活動を総括する幹事長報告は①月例句会、合同句会、吟行句会が計画通り行われた②広報活動は月報発信が計画を上回る13回を記録、故高瀬大虫さん追悼号の編集・制作など精力的に活動した③会報の編集・制作は当初計画より半年遅れの発信となり、課題を残した──などと指摘した。

また双牛舎の新規事業である「わたしの俳句館」は、9月1日の開設時点で、日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会メンバーなどが登録し、18人、337句を掲載し順調な歩みを始めている。

総会、合同句会の出席者は、中沢義則会長、大澤水牛、今泉而云両顧問のほか、嵐田双歩、岩田三代、大下綾子、大倉悌志郎、片野涸魚、金田青水、澤井二堂、杉山三楽、須藤光迷、高石昌魚、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、星川佳子、向井ゆりの各氏。    (報告 堤てる夫)

 

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番町喜楽会第157回例会

 

「冬の月」と「焼芋」を詠む

木葉さん六点句で今年を締めくくる

 

番町喜楽会は平成30年掉尾を飾る12月例会(通算157回)が12月1日(土)午後6時から、九段下の九段生涯学習館で開かれた。今回の兼題は「冬の月」と「焼芋」で、投句者20名、投句数は合計99句。そのうち15名が会場に集まった。投句5句、選句6句で句会を行った結果、徳永木葉さんの「来し方の悔いは山ほど落葉掃く」が6点でトップに輝いた。次席は今泉而云さんの「老人の顔とはこれか冬帽子」と玉田春陽子さんの「寒月や海風上る信濃川」の5点句、さらに而云さんの「焼芋や女性四代団結す」の4点句が続いた。以下、3点7句、2点22句、1点24句という分散した結果になった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬の月」

寒月や海風上る信濃川          玉田春陽子

塾の子の背中の丸し冬の月        嵐田 双歩

「焼芋」

焼芋や女性四代団結す                     今泉 而云

英字紙にくるむ焼芋基地の街               徳永 木葉

「当季雑詠」

来し方の悔いは山ほど落葉掃く             徳永 木葉

老人の顔とはこれか冬帽子                 今泉 而云

街中に電飾あふれ十二月                   嵐田 双歩

気短は短日のせい年のせい                 大澤 水牛

靴紐の結び目堅し今朝の冬                 塩田 命水

鰤薄く葱は乱切り一人鍋                   須藤 光迷

小春日の一塁守るポニーテール             廣田 可升

《参加者》【出席15人】今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、

野田冷峰、廣田可升、前島幻水、【投句参加5人】嵐田双歩、池内的中、澤井二堂、星川水兎、山口斗詩子。     (報告・谷川水馬)

 

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三四郎句会第57回例会

岡本さん、深瀬さんの句、6点で並ぶ

三四郎句会の2018年11月例会(第57回)は11月22日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第2ビル内で行われた。出席者は14人。介護のため欠席の岡本さんを除いて全員が出席した。兼題は「冬夕焼(冬茜)」と「切干(切干大根)」。選句の結果、岡本崇さんの「菊なます酒田に残る京ことば」、深瀬久敬さんの「帰らざるおもひかさねし冬茜」が6点を獲得した。宇佐美諭さんの「故郷に夢置き忘れ冬夕焼」、河村有弘さんの「切干しのくらし匂ひし過疎の村」の2句が5点、岡本崇さんの「字小字干菜吊して留守ばかり」、後藤尚宏さんの「冬夕焼林も燃える散歩道」の2句が4点で続いた。兼題別高点句(3点以上)は以下の通り。

「冬夕焼」

帰らざるおもひかさねし冬茜      深瀬 久敬

故郷に夢置き忘れ冬夕焼        宇佐美 諭

冬夕焼林も燃える散歩道        後藤 尚弘

雲雲の神々しさや冬夕焼        印南  進

山並へ向かうカラスに冬夕焼      小泉 基晴

なにげなく冬の夕日に掌を合せ     吉田 正義

「切干」

切干しのくらし匂ひし過疎の村     河村 有弘

切干や那須三山に日が沈む       印南  進

「当季雑詠」

菊なます酒田に残る京ことば      岡本  崇

字小字干菜吊して留守ばかり      岡本  崇

声明の重き読経や蔦紅葉         宇野木敦子

べったら市江戸もかくやと賑わいし   竹居 照芳

◇出席 石黒賢一 石丸雅博 今泉而云 印南進 宇佐美諭 宇野木敦子 河村有弘 小泉基靖 後藤尚弘 竹居照芳 田村豊生 深瀬久敬 吉田正義 渡邉信=14人。◇欠席投句選句 岡本崇=1人。   (報告 今泉而云)

 

 

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日経俳句会第174回例会

 

35人で「木枯」「鴨」詠む

綾子さん「イヤリング」最高9点、鷹洋・水牛・反平氏、高点句続く

 

日経俳句会は平成30年度11月例会(通算174回)を11月21日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。兼題に合わせるように木枯が到来。風邪を引いた方もいて参加者は18人とやや少なかったが、高点の佳句が多く、合評会も多彩なやりとりが交わされた。兼題は「木枯」と「鴨」。35人から105句の投句があり、5句選の結果、大下綾子さんの「木枯やイヤリングより冷え初むる」が最高9点を獲得。8点に「木枯らしや日めくり痩せて八十路越え」(鷹洋)、7点に「何千里飛び来て鴨の吊るさるる」(水牛)、6点に「木枯らしや猫背叱られまた猫背」(反平)と高点句が続いた。5点句には「一湾の暮れてかすかに鴨の声」(昌魚)はじめ5句が入ったほか、4点7句、3点7句、2点17句、1点27句だった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「木枯」

木枯やイヤリングより冷え初むる    大下 綾子

木枯らしや日めくり痩せて八十路越え  岡田 鷹洋

木枯らしや猫背叱られまた猫背     大沢 反平

木枯や路地に描かれたけんけんぱ    嵐田 双歩

木枯や部室のガラス割れたまま     今泉 而云

「鴨」

何千里飛び来て鴨の吊さるる      大澤 水牛

一湾の暮れてかすかに鴨の声      髙石 昌魚

口衝くはふるさとの歌詞鴨来る     和泉田 守

宗達の鴨飛び立つや江戸の空      岩田 三代

吊るされし鴨の細頚深き青       大熊 万歩

鴨の波磐梯山を揺らしけり       谷川 水馬

番い鴨拳ひとつの距離で浮き      中嶋 阿猿

鴨の池めぐりて言葉なき二人      大倉悌志郎

鴨の陣しづしづ過ぐる鯉の上      大下 綾子

「当季雑詠」

踏切の点滅長し冬の月         植村 博明

カーテンの襞の谷間の冬日かな     大熊 万歩

足指を手指でまわす冬の風呂      金田 青水

トンネルに葡萄酒眠る小春かな     水口 弥生

ひそやかな介護ホームに帰り花     中村  哲

木の葉髪本に落ちれば銀の色      井上庄一郎

寄鍋や卓袱台しきる父の声       髙石 昌魚

落葉かき気まぐれ風にからかはれ    堤 てる夫

咲き残り実らず散るか野のなすび    藤野十三妹

《参加者》(出席)池村実千代、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川水兎、水口弥生、向井ゆり。(投句参加)嵐田双歩、井上庄一郎、和泉田守、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。

(報告・中村哲)

 

 

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酔吟会第137回例会報告

 

「枯野」「冬の日」で今年の酔吟会締めくくり

 

酔吟会は11月10日(土)午後1時から東京・内神田の日経広告研究所会議室(MIFビル)で、平成30年第6回例会(通算137回)を開催した。寒暖の変化著しい日和だったが、出席14人に投句参加6人が加わって一年の最終例会に相応しい賑わい。清記作業も大忙しだった。兼題は「枯野」「冬の日」で、投句総数は100句ちょうど、選句を8句にして句会を進めた。

その結果、最高は5点、玉田春陽子さんの「枯野行く風のうしろに風の音」の1句だった。次席は4点句で、大澤水牛さんの「冬の日や客一組の観覧車」「爪割るる十一月となりにけり」の2句と、工藤静舟さんの「うとうとと揺れる妻みて冬日向」「七五三頭押されて畏まる」の2句の計4句。

続く3点句は、須藤光迷さんの「恋ひとつ失くして桜落葉蹴る」「冬の日や小走りでゆくランドセル」の2句と、廣田可升さんの「ひれ酒にマッチ擦る手の容よき」「円空仏だれかに似たり暮の秋」2句に、「廃田の果てて枯野や主逝く 大沢反平」、「堅焼きの煎餅かりっと冬日和 久保田操」、「冬の日の婦警は帽を目深にし 徳永木葉」、「燃え尽きて散りし枯葉のなほ朱し 藤野十三妹」の合計8句。

3点以上の高点句に、4人が2句づつ送りこんだ。兼題別の高点句は次の通り。

「枯野」

枯野行く風のうしろに風の音     玉田春陽子

廃田の果てて枯野や主逝く      大沢 反平

「冬の日」

冬の日や客一組の観覧車       大澤 水牛

うとうとと揺れる妻見て冬日向    工藤 静舟

堅焼きの煎餅かりっと冬日和     久保田 操

冬の日や小走りでゆくランドセル   須藤 光迷

冬の日の婦警は帽を目深にし     徳永 木葉

「雑詠」

爪割るる十一月となりにけり     大澤 水牛

七五三頭押されて畏まる       工藤 静舟

恋ひとつ失くして桜落葉蹴る     須藤 光迷

ひれ酒にマッチする手の容よき    廣田 可升

円空仏だれかに似たり暮の秋     廣田 可升

燃え尽きて散りし枯葉のなほ朱し   藤野十三妹

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、工藤静舟、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、廣田可升(投句参加)嵐田双歩、須藤光迷、澤井二堂、徳永木葉、藤野十三妹、星川佳子

(報告 堤てる夫)

 

 

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番町喜楽会第156回例会

 

「セーター」と「枯蓮」を詠む

双歩さん「老の矜持」7点でトップ

 

番町喜楽会の平成30年11月例会(通算156回)は、5日午後6時半から「セーター」と「枯蓮」を兼題として東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。投句5句、選句6句の結果、首位は嵐田双歩さんの「枯蓮や老には老の矜持あり」で7点。次席は5点で、高井百子さんの「霧の降る里から届く走り蕎麦」、玉田春陽子さんの「婦長にも私服の日あり黒セータ」、中村哲さんの「仕事着の厚きセーター漁師町」の3句が並んだ。4点、3点が各5句で、かなり点数がばらけた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「セーター」

婦長にも私服の日あり黒セータ     玉田春陽子

仕事着の厚きセーター漁師町      中村  哲

女子校の坂賑やかに紺セーター     廣田 可升

セーターの胸ふくらんで十三歳     徳永 木葉

「枯蓮」

枯蓮や老には老の矜持あり       嵐田 双歩

枯蓮のオブジェとなりて池暮れる    斉山 満智

老が老いたはるベンチ枯はちす     廣田 可升

弁天堂かこむ枯蓮茜雲         須藤 光迷

行く雲も風も過客よ枯蓮        玉田春陽子

枯蓮のくの字への字に乱れけり     徳永 木葉

「雑詠」

霧の降る里から届く走り蕎麦      高井 百子

足して貼る二円切手や冬隣       嵐田 双歩

陽に染まる桜紅葉や都電待つ      廣田 可升

初冬やめくる暦の頼りなき       塩田 命水

【参加者】(出席十四人)嵐田双歩、池内的中、大澤水牛、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、星川水兎、前島幻水。(投句参加七人)今泉而云、大下綾子、斉山満智、澤井二堂、野田冷峰、廣田可升、山口斗詩子。     (報告・須藤光迷)

 

 

 

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