日経俳句会平成30年下期合同句会

39人が参加、投句総数117句

双歩句「散らかる十二月」が空前の17点を獲得

日経俳句会は平成30年度下期合同句会(通算27回)を12月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。酔吟会のメンバーも加わり投句参加者は39人と多く、「風邪」と「クリスマス」の兼題に117句が集まった。一年の納めの句会とあって、久しぶりに顔を出した金田青水さんや大阪から駆けつけた高橋ヲブラダさんをはじめ、25人が出席(欠席投句14人)し熱気溢れる句会となった。

5句選の結果、嵐田双歩さんの「一年が散らかつている十二月」が過去最高の17点を獲得、日経俳句会の記録を塗り替えた。次点は加藤明男さんの「風邪の児の目が追ひかける母の背」と鈴木好夫さんの「聖樹下にギフトを置いて親となる」の2句が8点で並び、三席に中村哲さんの「風邪の子の額確かめ母出勤」が7点で続いた。以下、6点2句、5点4句、4点8句、3点14句、2点10句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「風邪」

風邪の児の目が追ひかける母の背     加藤 明男

風邪の子の額確かめ母出勤        中村  哲

言訳の風邪本物となりにけり       大澤 水牛

風邪篭り座敷障子の白さかな       片野 涸魚

ただの風邪医者の処方は三日分      堤 てる夫

風邪ですとメールで済ます月曜日     大平 睦子

咳ひとつ風邪に怯える齢かな       久保田 操

口ぐせは風邪を引くなよ転ぶなよ     高井 百子

犬猫も萬年筆も風邪をひき        嵐田 双歩

風邪ごこち街はモノクロ歪みたり     大熊 万歩

「クリスマス」

聖樹下にギフトを置いて親となる     鈴木 好夫

病室に小さきツリーのクリスマス     髙石 昌魚

聖夜とて普段と同じ老夫婦        井上庄一郎

クリスマス過ぎてケーキの白い箱     嵐田 双歩

厨立つ常と変わらぬ聖夜かな       岩田 三代

ちっぽけなケーキ二つのクリスマス    植村 博明

夜汽車過ぐ野の一軒家クリスマス     片野 涸魚

菓子も樹も子としつらえし聖夜かな    須藤 光迷

星ひとつ握りて嬰のクリスマス      玉田春陽子

「当季雑詠」

一年が散らかつている十二月       嵐田 双歩

ちちははに詫びたきあまた冬銀河     廣田 可升

百までもスマホは持たず寒雀       杉山 三薬

不可思議といふ数字あり冬銀河      今泉 而云

手拍子を家まで運び三の酉        植村 博明

元号の波間漂ふ都鳥           加藤 明男

平成の芥投げ入れ焚火かな        徳永 正裕

落葉掃く心の澱も共に掃く        片野 涸魚

冬三日月父なき日々が始まりぬ      髙橋ヲブラダ

上州の風は韋駄天寒の月         玉田春陽子

閉店の張り紙白し雪催          中嶋 阿猿

吊し柿心の傷は乾かない         藤野十三妹

ひとめぐりして気がつきし冬桜      星川 水兎

《参加者》(出席)=嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大下綾子、片野涸魚、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)和泉田守、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明男、久保田操、谷川水馬、中嶋阿猿、廣田可升、藤野十三妹、水口弥生。     (報告 嵐田双歩)

 

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