一席10点に愉里句「盆用意」、二席迷哲句「北信濃」
新会員も交え42人が「新涼」を詠む
日経俳句会は令和8年8月例会(通算251回)を8月19日(水)午後6時半から鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。熊本地震から3週間、千葉豪雨から1週間。被災地は残暑が厳しく、その惨状を反映した投句も目立った。この日の会場周辺は、日が落ちると昼間の熱気がやや収まり幾分しのぎやすく、出席者16人と活況を呈した。
兼題は「新涼」。42人から126句の投句があった。6句選(欠席は5句)の結果、向井愉里さんの「好物を思ひ数へて盆用意」が10点を獲得し堂々の一席。次いで中村迷哲さんの「穂高より新涼下る北信濃」が8点で二席に。三席は金田青水さんの「新涼やとんぼと歩く大手町」、高橋ヲブラダさんの「ショベルカー仕事の姿勢の盆休」、玉田春陽子さんの「かなかなや関所に今も土下座石」、廣上正市さんの「花木槿こともなき日の暮れにけり」の4句が7点で並んだ。以下、6点3句、5点8句、4点4句、3点10句と前回同様高点句が31句に上った。そのほか2点23句、1点26句だった。この日、安彦さんの紹介で営業推進室の天野さやかさんが見学に訪れ選句に参加、これを機に入会の意向という。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「新涼」
穂高より新涼下る北信濃 中村 迷哲
新涼やとんぼと歩く大手町 金田 青水
船べりを叩く波音秋涼し 岩田 千虎
新涼や夜が夜となりし夜 高橋ヲブラダ
新涼やお洒落なひとの七分袖 池村実千代
新涼やふと骨壷を抱いてみる 斉山 満智
新涼や花殻を摘む朝餉前 廣上 正市
ケーブルカー降り新涼の懐に 星川 水兎
秋涼し耳にあてたる虚貝 嵐田 双歩
秋涼し昨日と違ふ今朝の風 加藤 明生
新涼や微笑む羅漢寝る羅漢 中沢 豆乳
新涼や二時間長く眠りけり 中野 枕流
土手の草五分刈りとなり涼新た 杉山 三薬
新涼や妻の背丈の少し伸び 横井 定利
当季雑詠
好物を思ひ数へて盆用意 向井 愉里
ショベルカー仕事の姿勢の盆休 高橋ヲブラダ
かなかなや関所に今も土下座石 玉田春陽子
花木槿こともなき日の暮れにけり 廣上 正市
大輪は五秒の命揚花火 植村 方円
いつまでも既読とならぬ盆休み 植村 方円
敗戦日すり足で来る国家主義 須藤 光迷
鎮魂の八月おほふ熱地獄 徳永 木葉
新涼や花殻を摘む朝餉前 廣上 正市
墓参り逆転に沸く甲子園 伊藤 誠一
用足せば壁なきほどに虫の秋 伊藤 健史
兵器積みドローン飛ぶや終戦日 岩田 千虎
遠雷にさつさと降れと怒鳴つてる 大澤 水牛
終戦日あってこの俺八十一 杉山 三薬
いわし雲バゲット頭からかじる 中嶋 阿猿
蝉時雨ハタと途絶えて雨の音 藤野十三妹
蜩や四方にさざなみ聞くごとし 水口 弥生
《参加者》【出席16人】安彦真弓、嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、中野枕流、中村迷哲、廣田可升、溝口戸無広、星川水兎、向井愉里、(選句参加)天野さやか、澤井二堂。【投句参加28人】池村実千代、伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉山満智、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、前島幻水、増田浩志、水口弥生、山口斗詩子、横井定利。
(報告 嵐田双歩)





