日経俳句会第224回例会

参加40人で「立冬」と「おでん」を詠む

日経俳句会は令和5年11月例会(通算224回)を11月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「立冬」と「おでん」で、40人から118句の投句があった。前日に木枯し一号が吹き、冬の気配が濃くなったこの日は13人が出席、寒さを感じさせない熱いやり取りの句会となった。出席者6句(欠席は5句)で選句を進めた結果、廣上正市さんの「しくじりし日々の記憶やおでん喰ふ」が最高10点を獲得した。二席9点には中沢豆乳さんの「冬の陽で電車の床に指影絵」が入り、三席8点には中村迷哲さんの「最終版降ろし屋台のおでん酒」と岩田三代さんの「ガラス戸の中で爪切る小春かな」が並んだ。このほか7点1句、6点3句、5点1句、4点8句、3点9句と高点句が17句を数え、2点21句、1点42句を加えると、全投句の75%に点が入った。全体にまんべんなく点が入ったことにより、無得点の人がいないという嬉しい結果になった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「立冬」

立冬や靴箱にまだ父の靴               星川 水兎

加湿器と痒み軟膏冬来る               工藤 静舟

冬来たる古傷疼くバイクのり             久保 道子

立冬や常と変わらぬジャム三種            須藤 光迷

沢庵の歯ごたへ確か今朝の冬             徳永 木葉

立冬やまた重くなる菜漬け石             中沢 豆乳

富士箱根丹沢碧き今朝の冬              廣上 正市

のら猫の塀に陽射しや今朝の冬            今泉 而云

鳥の声高く響きて冬に入る              岩田 三代

乾きたる魚板の音やけさの冬             谷川 水馬

竹輪麩のありなしを問うおでん酒           中野 枕流

「おでん」

しくじりし日々の記憶やおでん喰ふ          廣上 正市

最終版降ろし屋台のおでん酒             中村 迷哲

叡山を下りて俗世のおでん酒             溝口戸無広

作り置くおでんの増える妻の留守           高井 百子

相席を乞ふ客と酌むおでん酒             金田 青水

おでん屋の暖簾に三角丸四角             横井 定利

当季雑詠

冬の陽で電車の床に指影絵              中沢 豆乳

ガラス戸の中で爪切る小春かな            岩田 三代

湯豆腐や相棒おらず湯気ばかり            藤野十三妹

浮島に甲羅干す亀小六月               嵐田 双歩

白菜は四等分で店に出る               工藤 静舟

下仁田の甘きみのりの根深汁             徳永 木葉

落葉吊る蜘蛛の古糸二三本              伊藤 健史

フルートの日に日にうまし窓の秋           高井 百子

草履の子ペタペタ歩く七五三             中野 枕流

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加27人】和泉田守、伊藤健史、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。 (報告 中村迷哲)

 

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