日経俳句会第209回例会

38人参加、「夏の山」と「飛魚」を詠む

最高8点に双歩句と水兎句

日経俳句会は令和4年5月例会(通算209回)を5月18日(水)に鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。コロナ感染が落ち着いたこともあり、出席者は17人に増え、初夏の風を会場に入れてにぎやかな句会となった。兼題は「夏の山」と「飛魚」。38人から114句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、最高8点は嵐田双歩さんの「ビニール傘べりべり開く走り梅雨」と星川水兎さんの「飛魚さばく小さき出刃や島の店」が分け合った。二席6点には谷川水馬さんの「にこにことしんがり務め夏の山」と植村方円さんの「初夏や半年ぶりの膝小僧」が並び、三席5点には和泉田守さんの「夏の山逆さに青し田の水面」をはじめ5句が入った。以下、4点10句、3点14句、2点17句、1点28句と続き、3点以上の高点句が33句にのぼる充実ぶりだった。 兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「夏の山」

にこにことしんがり務め夏の山         谷川 水馬

夏の山逆さに青し田の水面           和泉田 守

帽子取り全身に風夏の山            岩田 三代

雲上に神の座のあり夏の山           中村 迷哲

夏山の海よりぬっと神津島           大澤 水牛

魔女たちの健脚自慢夏の山           中嶋 阿猿

夏の山遠く近くに鳶の声            伊藤 健史

車窓から眺むる影絵夏の山           加藤 明生

麦の秋つぎのバスまで三時間          加藤 明生

だしぬけの雨夏山を洗ひをり          髙石 昌魚

風抜ける寺の茶会や夏の山           星川 水兎

「飛魚」

飛魚さばく小さき出刃や島の店         星川 水兎

青き身を一閃宙へつばめ魚           岩田 三代

飛魚の跳ねて航路に幸あれと          嵐田 双歩

紺青の海の千切れてあごの群          中村 迷哲

朝市の飛魚の目のまん丸き           向井 愉里

飛魚や流人の島々後にして           大沢 反平

飛魚(あご)跳ねて玄界灘に夏が来た      篠田  朗

あご飛ぶや知覧の丘は遥かなり         高井 百子

飛び魚のくさや絶品島酒場           中沢 豆乳

飛魚の飛んで初島定期便            廣上 正市

「当季雑詠」

ビニール傘べりべり開く走り梅雨        嵐田 双歩

初夏や半年ぶりの膝小僧            植村 方円

新しきブラウスの白風薫る           髙石 昌魚

お隣りの庭の紫蘇の葉二枚借り         横井 定利

大牡丹崩れ行く間の二三日           今泉 而云

五年越しやっと昇段初夏の空          荻野 雅史

田を植ゑて米一粒の重さ知る          工藤 静舟

土色の蛙飛び出す草いじり           高井 百子

赤牛も黒牛もいて夏野かな           岩田 三代

草笛に令和の子の目輝きぬ           徳永 木葉

カタツムリ老舗旅館の代替わり         中嶋 阿猿

まず振りて土鈴求めし夏初め          星川 水兎

《参加者》【出席17人】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、鈴木雀九、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加21人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、大沢反平、大下明古、荻野雅史、加藤明生、工藤静舟、久保田操、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、野田冷峰、流合水澄、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

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