酔吟会第152回例会

東京五輪直前メール句会

最高6点三薬句、4点、3点計20句

東京2020五輪開幕寸前のコロナ緊急事態宣言中とあって、7月の酔吟会は今年三回目のメール句会となった。兼題は「片蔭(かたかげ)」「汗(あせ)」で、23人が投句、115句が集まった。6句選句の結果、最高は6点を集めた杉山三薬さんの「雨止んで迷いミミズを蟻が引く」の1句。次席は4点が6句並び、続く3点は14句に上った。昨年の酔吟会は3月例会から9月例会まで4回連続でメール句会だった。今年も3回連続でメール句会となり、句友と対面しない句会が続く状況にうんざりという気分が満ちている。兼題の「片蔭」はなかなか手強い。我らが「水牛歳時記」は「片蔭」だが、投句には「片蔭」「片陰」「片影」の表記が混じり多様であった。恒例に従って、「3点以上」の兼題別高点句を並べる。「片蔭」、「汗」、「雑詠」の高点句がいずれも7句で揃い踏みしている。なお、2点は11句、1点は24句であった。

「片蔭」

帯ほどの片蔭伝ひ歩くなり           大澤 水牛

片影の路地静もれる西の京           星川 水兎

僅かなる片蔭に待つ赤信号           久保田 操

片蔭やロバのパン屋のチンカラリン       谷川 水馬

奥深き明治の杜の片陰り            堤 てる夫

手を合はす京の片蔭地蔵尊           廣田 可升

片蔭にワゴンを漁る古書の街          廣田 可升

「汗」

面外し碧眼剣士玉の汗             玉田春陽子

尾根わたる風に額の汗さらす          廣田 可升

寝ぐずりの止みておでこに汗の粒        向井 ゆり

遅れ毛に汗うっすらと歯科の女医        須藤 光迷

ワクチンや二度目の夜の妙な汗         谷川 水馬

旋盤の刃先追ふ眼や滲む汗           廣田 可升

汗拭いて母は一日台所             星川 水兎

「当季雑詠」

雨止んで迷いミミズを蟻が引く         杉山 三薬

梅干しを見せられ唾液採る検査         高井 百子

ひるがへるシャツよパンツよ梅雨晴間      大澤 水牛

風呂上がり孫の逃げ足天花粉          杉山 三薬

冷奴まずは醤油ののの字かな          玉田春陽子

ビール酌む戦力外の男達            玉田春陽子

翅黒蜻蛉ゆるりゆるゆる能舞台         堤 てる夫

【参加者23人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり。

(報告 高井百子)

 

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