日経俳句会第188回例会

緊急事態宣言下、三月に続くメール句会

「朧」と「入学」を詠む

水牛「見る人の無き夜桜」が7点で一席、

博明「貨物船」、三薬「誰が誰」、定利「足ぶらぶら」6点で続く

日経俳句会は4月15日(水)、令和2年度4月例会(通算188回)を3月に続きメール句会で開いた。新型コロナウィルスの感染者が急速に増加し、「ステイホーム」が合言葉に。やむを得ないメール句会もいつまで続くか見通せない状況下、先月と同じ32人から96句の投句があった。兼題は「朧」と「入学」。5句選の結果、「見る人の無き夜桜や冷えまさる」の水牛句が7点を獲得、一席に輝いた。二席は「貨物船少し進みて朧月(博明)」、「新入生みんなマスクで誰が誰(三薬)」、「椅子に掛け足ぶらぶらと入学す(定利)」の3句が6点で並んだ。以下5点6句、4点も6句と続き、3点11句、2点8句、1点32句と票がばらけた。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「朧」

貨物船少し進みて朧月       植村 博明

春おぼろ水琴窟の独り言      谷川 水馬

人類は何処へも行けず朧月     嵐田 双歩

志村けん朧月夜の再放送      堤 てる夫

土の香が重く漂ふ朧かな      岩田 三代

海峡の落暉散じて夕朧       大沢 反平

朧夜や今日も聞こえるレクイエム  加藤 明生

朧月好きな映画をまた観てる    杉山 三薬

癌という朧なものと共に生き    須藤 光迷

朧夜の姉の横顔祖母ゆずり     水口 弥生

「入学」

新入生みんなマスクで誰が誰    杉山 三薬

椅子に掛け足ぶらぶらと入学す   横井 定利

欠けた歯を舌で確かめ入学す    嵐田 双歩

入学の吾より若き教授かな     大下 綾子

入学の日より道草おぼえたり    金田 青水

入学の子の声上がる兎小屋     星川 水兎

吾子は今つくり笑顔で入学す    池村実千代

「当季雑詠」

見る人の無き夜桜や冷えまさる   大澤 水牛

川沿いを行ったり来たり春暮るる  植村 博明

年寄りの庭にはびこる犬ふぐり   堤 てる夫

寂寞と春の夜更けてポトフ煮る   中嶋 阿猿

母子草ほかに九種の咲く更地    大下 綾子

夕厨浅蜊汐吹く気配あり      中村 迷哲

この春は神ウィルスを蒔き給ふ   今泉 而云

コロナ禍をよそに花咲き花散りぬ  岩田 三代

散る桜スーパームーン観てますか  大平 睦子

通勤も立派な花見これでよし    髙橋ヲブラダ

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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