29名出席、俳句大会には45名参加
俳句の普及振興を事業目的とするNPO法人双牛舎は6月29日(土)、東京・二番町の東京グリーンパンレスのレストラン「ジャルダン」で第12回年次総会を開催。メンバーである日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会の会員ら29名が出席した。総会は同会理事の高井百子さんの司会で行われ、まず一年を総括する大澤水牛代表理事の挨拶に続いて、堤てる夫理事が双牛舎の運営状況などの報告を行った。続いて、昨年度俳句大会の上位入賞者に赤池渓舟先生揮毫の短冊が贈呈され、その後は恒例の「俳句大会」が開催されて総会は大いに盛り上がった。
俳句大会は第2回総会から実施され、今回が11回目。総会出席者29名と投句参加者16名の計45名から、兼題の「夏」の句および当季雑詠各2句の合計90句が集まった。句会は、事前投句された90句を並べた大型選句一覧表を会場に張り出し、出席者が「選句シール」を選んだ5句に貼付する例年通りの方式で行った。欠席投句・選句の人たちの選句シールは幹事が貼付した。
その結果、最高の「天」賞に輝いたのは、岩田三代さんの「亡き父母の声残りをり夏の家」の12点句。「地」賞は7点で嵐田双歩さんの「椰子蟹が路上をのそり島の夏」、印南進さんの「家じゅうの網戸を洗う夏来る」、大沢反平さんの「夏座敷寝っころがって志賀直哉」、深瀬久敬さんの「緑蔭のひかり濃淡万華鏡」であった。また、「人」賞6点は池村実千代さんの「六月やお洒落談義は傘の色」と須藤光迷さんの「越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ」の2句だった。「入選」5点句は11句も出た。「天」「地」「人」「入選」の作者はじめ高点獲得者には須藤光迷さんの陶芸作品や大澤水牛さんの手造り梅干、梅酒などが賞品として贈られた。また今回の入賞作(天、地、人及び入選)は書家の赤池溪舟さん揮毫の短冊に仕立て、来年の俳句大会でそれぞれの作者に贈られる予定。
第11回俳句大会入賞作品は次の通り。
「天」
亡き父母の声残りをり夏の家 岩田 三代
「地」
椰子蟹が路上をのそり島の夏 嵐田 双歩
家じゅうの網戸を洗う夏来る 印南 進
夏座敷寝っころがって志賀直哉 大沢 反平
緑蔭のひかり濃淡万華鏡 深瀬 久敬
「人」
六月やお洒落談義は傘の色 池村実千代
越えて来し槍よ穂高よ夏の暮れ 須藤 光迷
「入選」
サンダルの赤きマニュキュア夏はじめ 池村実千代
夏帽子もすこし生きたし妻ともに 岡田 鷹洋
宵の水そそぐ出窓の茄子に花 金田 青水
時刻表栞をくわえ夏に入る 玉田春陽子
蟻の列寝釈迦の蝉を運びくれ 田村 豊生
バス待ちの列楽しませ濃紫陽花 廣田 可升
結ひ上げし黒髪凛々し夏女 深瀬 久敬
百年の茅葺き屋根の夏炉かな 星川 水兎
移ろへる国のゆくすえ南天花 星川 水兎
痩せすぎのいかでこの夏乗り切らむ 山口斗詩子
逆上がり靴先に広がる夏の空 渡邉 信
(記録・報告 谷川水馬)