「夏の山」と「心太」を詠む
てる夫さん「梅雨の雲」、可升さん「桜桃忌」が6点で並ぶ
番町喜楽会は、令和元年七月例会(通算第百六十三回)を、一日の午後六時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行った。兼題は「夏の山」と「心太」。投句五句、選句六句の結果、堤てる夫さんの「梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな」と、廣田可升さんの「すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌」がともに六点でトップを分け合った。次席は四点句で、徳永木葉さんの「ところてん酢の香にむせる初デート」と、中村迷哲さんの「稜線に原色の列夏の山」の二つ。三点句は七つを数えたものの、稀にみる点のばらけ方だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「夏の山」
稜線に原色の列夏の山 中村 迷哲
踏切を渡ればいよよ夏の山 野田 冷峰
忽然と岬あらはる夏の尾根 廣田 可升
「心太」
ところてん酢の香にむせる初デート 徳永 木葉
蒸しますねなどと言ひ合ひ心太 大澤 水牛
豆腐屋の隅っこ暮らし心太 須藤 光迷
「雑詠」
梅雨の雲すっぽりかぶる信濃かな 堤 てる夫
すぐ詫びる男の狡さ桜桃忌 廣田 可升
栗の花レゲエを刻むギタリスト 谷川 水馬
水打つて赤提灯の灯りけり 玉田春陽子
昨日とは違う風吹き未草 星川 水兎
参加者(出席14人)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。(投句7人)池内的中、大下綾子、澤井二堂、徳永木葉、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子 (報告・須藤光迷)