酔吟会は5月10日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で平成26年度第3回例会(通算110回)を開いた。朝晩はまだ少々肌寒さを感ずることもあるが、日中は25度を記録する夏が到来、この日も朝から晴れ上がり上々の天気だった。
今回から日経俳句会水木会の大平睦子さんが正式参加、清新な風を吹き込んでくれた。この日の出席者は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟、星川佳子の10名、投句参加が片野涸魚、金指正風、野田冷峰の3名だった。
兼題は「初夏」と「月見草」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は4点で、長老藤村詠悟さんの「黄海に沈む若者初夏の難」という痛ましい韓国船沈没事故を詠んだ時事句だった。続く3点はこれまた長老片野涸魚さんの「垂れ下がるメランコリイや藤の花」をはじめ7句も並んだ。以下、2点10句、1点が22句となった。。兼題別の2点以上獲得句は次の通り。
「初夏」
黄海に沈む若者初夏の難 藤村 詠悟
初夏や網戸かがりに日は暮れて 岡田 臣弘
初夏の小松菜育つ早さかな 大澤 水牛
登りけり真田山城初夏の風 大澤 水牛
初夏の背ばかり伸びる少女かな 今泉恂之介
ナマ足で初夏を蹴り上げ原宿や 野田 冷峰
瓶の栓ぽんと抜きたる初夏の朝 星川 佳子
迷ひなく水玉シャツで初夏の朝 大平 睦子
初夏の露店で試すサングラス 岡田 臣弘
「月見草」
月見草陸軍伍長の墓の裏 大沢 反平
月見草雫一滴野辺送り 野田 冷峰
裏路地にゲタ屋頑張り月見草 星川 佳子
「雑詠」
垂れ下がるメランコリイや藤の花 片野 涸魚
柿若葉力余って庭占拠 藤村 詠悟
夏つばめ山河きらめくものばかり 今泉恂之介
少子化に揺れる行末鯉のぼり 金指 正風
初つばめ老いまた少し進む朝 大沢 反平
花林檎さかんに香る信濃かな 堤 てる夫
(まとめ 大澤水牛)