第29回三四郎句会は4月24日、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。会員12人中、10人が出席、印南進さんの「昭和の世語る仲間や花の宴」と、腰痛のため急きょ欠席した田村豊生さんの「今しばし眺めてゐたき春の海」が最高点の5点を獲得した。
4点句はなく、3点の3句はすべて田村さんの作品であった。そのため田村さんが高点5句中の4句を占めるという空前の快挙を達成した。
合評会では2点句も対象にした。しかし2点は16句にも及んだため、合評対象句は高点句作者を除き各人1句ずつとした。
合評会にかけられた作品は次の通り。
「潮干」
潮干潟子等の笑顔は泥まみれ 田村 豊生
潮干潟ひとでうみうし玉手箱 深瀬 久敬
夕干潟白鷺一羽ひそと立つ 竹居 照芳
白波の遠くに見ゆる潮干かな 後藤 尚弘
潮干かご横目で量る日暮れ道 河村 有弘
「麗か」
うららかや段畑どこも人のゐて 岡本 崇
春うらら雷門に車夫群れて 篠田 義彦
麗らかや江南の子は牛を曳く 今泉恂之介
「雑詠」
昭和の世語る仲間や花の宴 印南 進
今しばし眺めてゐたき春の海 田村 豊生
引き揚げを生きて盤寿や春衣 田村 豊生
ランドセル弾む野道や風光る 田村 豊生
花冷えや客が列なす鯛焼き屋 石黒 賢一
(記録 今泉恂之介)