番町喜楽会第134回例会

賑やかに忘年句会

「鮟鱇」と「小春」で冷峰、幻水トップ分け合う

番町喜楽会の平成28年12月の例会(通算134回)は、12月3日(土)午後6時から、「鮟鱇」と「小春」を兼題に、九段下の割烹「味さと」で開かれた。投句者20名(投句総数98句)のうち19名が出席するという賑やかな忘年句会となった。6句選句で句会を進めた結果、野田冷峰さんの「鮟鱇の身に覚えなき吊るし切り」と前島幻水さん(厳水を改名)の「小春日や子犬の待てぬ長話」が5点でトップに輝いた。以下、4点が4句、3点12句、2点11句、1点が36句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「鮟鱇」

鮟鱇の身に覚えなき吊るし切り     野田 冷峰

鮟鱇や風評といふ向う傷        徳永 正裕

鮟鱇鍋妻と迎える定年日        池内 健治

鮟鱇をぶらさげてゆく渚かな      井上 啓一

鮟鱇鍋百年超えし下足札        今泉 而云

快癒あり入籍のあり鮟鱇鍋       大下 綾子

鮟鱇鍋煮立ちて噂ばなし止む      廣田 可升

「小春」

小春日や子犬の待てぬ長話       前島 幻水

テラスより埋まる小春のカフェーかな  嵐田 双歩

水牛に休養日あり島小春        今泉 而云

瀬戸内の小島大島小春凪        嵐田 双歩

Sの字に孫駆け回る小春かな       高瀬 大虫

小春日や空席待ちのテラス席      玉田春陽子

「雑詠」

涙目で挨拶さるる焚火かな       嵐田 双歩

鴨泳ぐずっと前から居る顔で      大澤 水牛

たぷたぷと君に注ぎましょ今年酒    齊山 満智

職を引き何もせぬまま菊盛ん      高井 百子

日にかかげ風にかざすや干し大根    玉田春陽子

〈参加者〉

【出席19名】嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大下綾子、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、前島幻水、星川佳子、横山恭子(選句参加)

【投句参加2名】池内健治、山口斗詩子

(報告・谷川水馬)

 

 

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三四郎句会第45回例会

 

石丸雅博さん「深谷葱」の句が最高点6点

 

三四郎句会の11月例会(第45回)は17日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は10人。欠席投句、選句を加えて参加者は14人となった。選句の結果、「深谷葱箱ごと背負う老婆かな」(石丸雅博)が最高点の6点を獲得。続いて「枯葉踏み又踏み幼児したり顔」(竹居照芳)と「秋の陽と雲切り取りし水たまり」(深瀬久敬)の2句が5点で続いた。

◇出席者 石丸雅博、今泉而云、宇佐美諭、宇野木敦子、河村有弘、後藤尚弘、竹居照芳、深瀬久敬、吉田正義、渡邉信。◇欠席投句者 印南進、岡本崇、田村豊生、石黒賢一。

第45回例会での兼題別高点句(3点以上)は以下の通り。

「十一月」

陽を映す十一月の障子かな         宇佐美 諭

十一月色うつろひの盛りかな        石丸 雅博

「葱」

深谷葱箱ごと背負う老婆かな        石丸 雅博

葱だけが背のびをしたりレジ袋       石黒 健一

マイガーデン泥ねぎ寄せて鍬仕舞う     印南  進

地酒酌む下仁田葱の焼き加減        岡本  崇

「当季雑詠」

枯葉踏み又踏み幼児したり顔        竹居 照芳

秋の陽と雲切り取りし水たまり       深瀬 久敬

冬うらら稲村ケ崎トビの舞う        印南  進

胡弓哭く月の影踏み風の盆         河村 有弘

鶏頭や子規が見つめし生命立つ       河村 有弘

(報告 今泉而云)

 

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日経俳句会第154回例会

 

岡田さん、断トツの十一点句

弥生さんも「冬浅し」の佳句連発

日経俳句会は11月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で11月例会(通算154回)を開いた。「冬浅し」「納豆」の兼題に34人が166句出句した。急に寒さが増したせいか、体調を崩された方が多く、欠席選句が13人にも達した。

最高点は岡田臣弘さんの「酉の市巫女の英語の達者なる」が11人もの支持を得た。これが際立っており、次席は7点の3句。「お日様の香りを添へて藁納豆」(嵐田双歩)、「自慢げに歯抜けの跡を七五三」(今泉而云)、街路樹の日毎に痩せて冬めけり」(流合研士郎)が選ばれた。6点句も「立て衿のか細き首や冬浅し」(水口弥生)、「納豆に朝日の入る山の宿」(植村博昭)の2句にとどまった。5点句は「山なみを紫紺に沈め冬浅し 弥生」、「冬薔薇座る人なきテラス席 阿猿」、「水鳥の足裏黄色き小春かな 正市」の3句。4点、3点が目立って多く、それぞれ6句、11句あった。2点は24句、1点は35句だった。兼題別の高点句(三点句以上)は以下の通り。

「冬浅し」

立て衿のか細き首や冬浅し       水口 弥生

山なみを紫紺に沈め冬浅し      水口 弥生

冬浅し膝関節のきしきしと          横井 定利

途切れつつとんかちの音冬浅し    大下 綾子

冬浅し長袖半袖七分袖        金田 青水

衿元に衣(きぬ)の膨らみ冬浅し       高石 昌魚

もり蕎麦に七味一振り冬浅し      徳永 正裕

「納豆」

お日様の香りを添へて藁納豆     嵐田 双歩

納豆に朝日の入る山の宿       植村 博昭

納豆や幼馴染は子沢山        今泉 而云

納豆に砂糖入れるも吾が故郷      徳永 正裕

ままならぬ憂き世に納豆かき回し   岡田 臣弘

納豆や卓袱台囲む日のありき     高石 昌魚

納豆をあてに晩酌妻の留守      堤 てる夫

山谷をともに越え来て納豆汁     中村  哲

「当季雑詠」

酉の市巫女の英語の達者なる      岡田 臣弘

自慢げに歯抜けの跡を七五三      今泉 而云

街路樹の日毎に痩せて冬めけり     流合研士郎

冬薔薇座る人なきテラス席       中嶋 阿猿

水鳥の足裏黄色き小春かな       廣上 正市

大根干す櫓の先に薩摩富士       須藤 光迷

群れなして冬野に降りる鴉かな     堤 てる夫

水底に雑魚の影なす冬日差       廣上 正市

柿すだれ慣れぬ手つきのそのまんま   堤 てる夫

相席の客も鍋焼き湯気二つ        徳永 正裕

木枯の行って帰らぬ浪江沖       中村  哲

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、廣上正市、星川佳子(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生、横井定利

(報告・廣上正市)

 

 

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酔吟会第125回例会

「不機嫌がゐる」反平句八点と「冬の蠅連れて」水馬句七点が競り合う

酔吟会は11月12日(土)午後1時、東京・千代田区内神田の日経広告研究所会議室で平成28年納めの例会(第125回)を開催した。出席者13人、投句参加4人。兼題は「時雨(しぐれ)」と「鰤(ぶり)」で、投句5句、総計85句について7句選で句会を進めた。最高は大沢反平さんの「しぐるるや不機嫌がゐる台所」の8点句。次席は谷川水馬さんの「冬の蠅車窓に連れて五能線」の7点句だった。反平さん、水馬さんの作品に点が吸い取られたわけでもないだろうが、6、5、4点句が零で、三席は一気に3点句に跳び、計8句がずらりという珍しい結果になった。以下2点が9句、1点34句。3点以上の高点句のうち、兼題句は「鰤」3句、「時雨」3句の計6句。兼題別3点以上の高点句は次の通り。

「時雨」

しぐるるや不機嫌がゐる台所        大沢 反平

初時雨濃い目の紅とすれ違ふ        今泉 而云

山ノ芋もう掘りごろと時雨来る       大澤 水牛

「鰤」

鰤の網干してどこまで佐渡の浜       今泉 而云

鰤おこし立山連峰胴震ひ          岡田 臣弘

鰤の口真一文字の覚悟かな         久保田 操

「雑詠」

冬の蠅車窓に連れて五能線         谷川 水馬

虫食ひの穴ばかりなりわが冬菜       大澤 水牛

凩や今も銀座に活版屋           玉田春陽子

菊人形根が背の中にある秘密        片野 涸魚

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、高井百子、星川佳子(投句参加)大石柏人、澤井二堂、野田冷峰、藤野十三妹

(報告・堤てる夫)

 

 

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番町喜楽会第133回例会

 

「冬めく」と「熊」を詠む

 

番町喜楽会の平成28年11月例会(通算第133回)は、7日午後6時半から東京・九段下の割烹「味さと」で開かれた。通常、奇数月の会場は「生涯学習館」なのだが、千代田区のイベントのため利用できず、会場変更となったもの。兼題のひとつは「冬めく」で、ちょうど7日が立冬、東京の最高気温は15度に達しなかった。もうひとつの兼題は「熊」で、各地で出没、人に危害を加えて厄介者扱いされている(棲息地を人が荒らしたことなど棚に上げて)可哀相な存在。

句会は、投句5句、選句6句で行った。最高は玉田春陽子さんの「冬めくや駅に手作り小座布団」で8点、小道具遣いの名手ぶりがいかんなく発揮された。次席は田中白山さんの「午後からは時の駆け出す暮の秋」で7点、釣瓶落としの季節感を鋭敏にとらえて好評。三席は高井百子さんの「妻が先吾は後ろや熊の道」で6点、男と女の世界の戯画化ぶりが笑いを誘った。続く5点句は二つ、4点句は一つ、3点句は五つと、少な目。その一方、2点句が15、1点句が36と末広がりの様相だった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬めく」

冬めくや駅に手作り小座布団          玉田春陽子

冬めくやポトフことこと昼下がり        谷川 水馬

禿頭の冬めく風に触れにけり          田中 白山

日没を前にともる灯冬めきぬ          徳永 正裕

冬めくや老猿岩に座すばかり          星川 佳子

「熊」

妻が先吾は後ろや熊の道            高井 百子

大山の御師の館の熊談義            大澤 水牛

番小屋の裏を子連れの熊のゆく         須藤 光迷

「雑詠」

午後からは時の駆け出す暮の秋         田中 白山

頼りなき日差し求めて布団干す         山口斗詩子

赤き実をあさる鵯腹太し            高井 百子

《参加者》

【出席16人】嵐田双歩、井上啓一、池内健治、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、【投句参加4人】齊山満智、澤井二堂、高瀬大虫、山口斗詩子

(報告・須藤光迷)

 

 

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日経俳句会第153回例会

 

星川さんのシャンプー句が7点でトップ

二堂さん、友のノーベル賞大隅さんを詠む

 

日経俳句会は10月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で十月例会(通算153回)を開いた。兼題の「秋の日」に相応しい好日とあって、出席は23人(投句参加者9人)と賑やかな句会となった。席上、澤井二堂さんの句「基礎科学楽しむ友にノーベル賞」で、今年のノーベル賞を受賞した大隅良典さんが二堂さんの学友だと判明。この句で、日経俳句会はノーベル賞を秋の季語とみなすことになった。

7句選(欠席選句5句)の結果、最高点は7点で星川佳子さんの「龍勢吟行」での嘱目「みな同じシャンプーの香や秋の宿」が選ばれ、次席の6点は岡田臣弘さんの「浜風をたてがみで聴く秋の馬」と須藤光迷さんの「綾取りの老と幼の十三夜」の2句。続く5点は大倉悌志郎さんの「われは喜寿傘寿の君に今年酒」が選ばれた。4点は「巫女舞ひて鈴音わたる秋日かな」研士郎、「新酒汲む裏目にでたる日も暮れむ」佳子、「工場の狭間といへど稲の秋」綾子、「藁塚に日暮れを知らぬ隠れ鬼」水馬、「日銀の屋根蒼蒼と十三夜」定利の5句。

4点以上の句が少なかった反面、3点がなんと20句もあり、2点32句、1点38句と続き、実力伯仲で高得点が出にくい傾向が顕著だった。 高点句(3点句以上)は以下の通り。

「秋の日」

巫女舞ひて鈴音わたる秋日かな   流合研士郎

秋の日の靴の色数保育園      今泉 而云

窓広き個展会場秋日和       大熊 万歩

秋入日毛虫も急ぐ遊歩道      杉山 智宥

秋の日の軽ろき手桶や女坂     谷川 水馬

能登の海秋の日まさに溺れゆく   直井  正

秋の日や肺呼吸する幸せよ     中嶋 阿猿

秋の日やバスの座席の温かさ    中嶋 阿猿

組体操影も胸張る秋日かな     中村  哲

足音の絶えて秋日の百貨店    流合研士郎

古本の背を滑り落つ秋日かな    流合研士郎

「新酒」

われは喜寿傘寿の君に今年酒    大倉悌志郎

新酒汲む裏目にでたる日も暮れむ  星川 佳子

困民のはかなき夢や古酒新酒    嵐田 双歩

ともかくも傘寿を迎へ今年酒    大倉悌志郎

喜寿一つ越えて一献新走り     大沢 反平

星の色宿す瓶より新走り      大下 綾子

新酒です注がれて下戸と言い出せず 杉山 智宥

片小鼻かすかにひくと新走り    金田 青水

「当季雑詠」

みな同じシャンプーの香や秋の宿  星川 佳子

浜風をたてがみで聴く秋の馬    岡田 臣弘

綾取りの老と幼の十三夜      須藤 光迷

工場の狭間といへど稲の秋     大下 綾子

藁塚に日暮れを知らぬ隠れ鬼    谷川 水馬

日銀の屋根蒼蒼と十三夜      橫井 定利

花街の紅さす地蔵秋ざくら     大倉悌志郎

もう二度と駆けぬデゴイチ赤とんぼ 大下 綾子

萩こぼる咳(しわぶき)ひとつ座禅堂      須藤 光迷

秋霖に千古を想う高麗の郷     中村  哲

 

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生

(投句参加)植村博明、大熊万歩、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、横井定利

(まとめ・嵐田双歩)

 

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日経俳句会と番町喜楽会、合同吟行を開催

秩父の農民ロケット「龍勢祭」見学

雨上がりを待って連句も一巻

日経俳句会と番町喜楽会は10月8,9日の一泊二日で秩父市吉田の椋神社例大祭「龍勢祭」を見る合同吟行会を開催した。17名が参加、明治17年に起こった秩父困民党事件の史跡などを見学し、名物の鉱泉のある民宿「かおる鉱泉」に一泊して懇親会を行い、翌9日には伝統の農民ロケット「龍勢」の打ち上げを見ながら作句する情趣あふれる二日間を過ごした。9日は早暁からかなりの雨。一同やきもきしつつ、連句を巻きながら雨上がりを待ったところ、天の助けか午前9時過ぎに止み、無事に龍勢見物ができた。句会は慣例に従い帰京後幹事に5句投句し、メールで選句選評を送信、それを幹事が取りまとめる方式で行った。総投句数は85句。

今回はユニークな祭を尊重して「龍勢祭」を秋の季語として採用することとした。6句選句のメール句会の結果は、最高点が5点で、「おそらくはこれが見納め龍勢祭 涸魚」「とんぼ飛ぶ今は昔の草の乱 白山」「神の留守巫女は木札を小商い 春陽子」「身にしむや乱の館の大竈 正市」の4句が並んだ。次席4点は3句、三席3点が6句。以下、2点が14句、1点が24句あった。

吟行参加17名の代表句は以下の通り。(最高点句作者4人については別の句を掲載)

四方の田を黃金に染めて秋日和    嵐田 双歩

古民家にひとつふたつのきりん草   池内 健治

山霧に散るも龍勢命かな       大澤 水牛

口上朗々歓喜に酔ふや龍勢舞     大平 睦子

秋雨に白き涙の武甲山        岡田 臣弘

困民の痛みを伝ふ案山子かな     片野 涸魚

秋雨の止むを待ちつつ歌仙巻く    須藤 光迷

龍の子の生まる生まれず秋の空    高瀬 大虫

谷戸の宿名に負ふ雨のみむらさき   田中 白山

七輪が桟敷の主役龍勢祭       谷川 水馬

みそポテト添へて蕎麦屋の新走り   玉田春陽子

醫院の字残る秩父や秋淡し      徳永 正裕

コスモスのおじぎの先に道祖神    中村  哲

龍勢や空のキャンバス七色に     野田 冷峰

龍勢の女口上秋澄めり        廣上 正市

三猿の目の見開いて秋の空      星川 佳子

天へ天へ夫のもとへ龍昇れ      山口斗詩子

(記録報告 大澤水牛)

 

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番町喜楽会第132回例会

 

「赤い羽根」と「秋思」を詠む

番町喜楽会の平成28年10月例会(通算132回)は、10月1日(土)午後6時から、「赤い羽根」と「秋思」を兼題として九段下の割烹「味さと」で開かれた。霧雨がそぼ降る暗い日ではあったが、総勢17名の参加者が集結した。

投句5句、選句6句で句会を行った結果、玉田春陽子さんの「秋冷や神棚高き醤油蔵」が断トツ最高点の8点を獲得した。また、須藤光迷さんの「会社売りひとり飲む夜の衣被」が6点で続いた。以下、4点が5句、3点8句、2点句13句、1点33句という結果で、欠席投句を含めての投句合計は98句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「赤い羽根」

生かされて今年も胸に赤い羽根     野田 冷峰

飛び乗つて息つく少女赤い羽根     玉田春陽子

先生はいつもジャージー赤い羽根    大下 綾子

駅頭に立つも三代赤い羽根         今泉 而云

「秋思」

神保町野積みの百科秋あはれ      野田 冷峰

付箋紙の小口にのぞく秋思かな     玉田春陽子

秋さびし八十路の姉に電話する     堤 てる夫

不意打ちに降り来る秋思すべもなく   齊山 満智

行間に割り込んでくる秋思かな     玉田春陽子

「雑詠」

秋冷や神棚高き醤油蔵         玉田春陽子

会社売りひとり飲む夜の衣被      須藤 光迷

水害の泥つき稲を焼きし跡       今泉 而云

伊那谷の風をいなして女郎花      玉田春陽子

秋の蝶箱根八里の歌碑の上       谷川 水馬

秋冷やピアノの蓋に小さき鍵      星川 佳子

〈参加者〉【出席17人】嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、前島巌水【投句参加3人】大下綾子、星川佳子、山口斗詩子。 (記録・報告 谷川水馬)

 

 

 

 

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三四郎句会第44回例会

 

田村豊生さん「妻の背」で最高の6点獲得

 

三四郎句会の2016年9月例会(第44回)は12日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席者は10人。欠席投句、選句を加えて参加者は14人となった。今回の兼題は「墓参」と「蕎麦の花」。選句の結果、「妻の背を流すがごとく墓洗う」が最高点の6点を獲得。「戒名の彫をなぞりて墓洗う」(宇佐美諭)、「江戸捨てた一茶迎えてそばの花」(河村有弘)が5点、「賽の神祀る三叉路蕎麦の花」(岡本崇)、「雲南の見渡す限り蕎麦の花」(竹居照芳)が4点で続いた。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「墓参」

妻の背を流すがごとく墓洗う     田村 豊生

戒名の彫をなぞりて墓洗う      宇佐美 諭

瀬戸の海靜かな一日墓参り      石丸 雅博

水は川花は野菊の墓参り       後藤 尚弘

「蕎麦の花」

江戸捨てた一茶迎えてそばの花    河村 有弘

賽の神祀る三叉路蕎麦の花      岡本  崇

雲南の見渡す限り蕎麦の花      竹居 照芳

祖父生家眺めて帰る蕎麦の花     今泉 而云

痩せた地に健気に白しそばの花    河村 有弘

「当季雑詠」

霧迅し船を消し去り島を消し     岡本  崇

◇出席者 石丸雅博、今泉而云、宇佐美諭、宇野木敦子、河村有弘、後藤尚弘、竹居照芳、深瀬久敬、吉田正義、渡邉信、石黒賢一の11人。

◇欠席投句者 印南進、岡本崇、田村豊生の3人。

次回は11月17日(木)午後1時半から神田・宗安第二ビル内で。兼題は「十一月」と「葱(ねぎ)」。

(記録・報告 深瀬久敬)

 

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日経俳句会第152回例会

 

参加34人で「秋彼岸」「鹿」を詠む

 

日経俳句会は9月21日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で9月例会(通算152回)を開いた。太平洋岸を北上した大型台風16号が過ぎ去ったばかりの夕刻、20人が句会場に集まった。「秋彼岸」「鹿」の兼題と雑詠合わせて、投句参加者も加えて34人から167句の出句があり、いつものように選句をもとにした活発な批評会が行われた。

最高点の8点を得たのは廣上正市さんの「ひと畝を均して秋の暮れにけり」。次席6点は大下綾子さんの「秋彼岸小さき草は残しおき」と、今泉而云さんの「化(あだし)野(の)や鹿振り向けば人の顔」。5点句は4句あり、「訪へば小豆煮る香や秋彼岸」(星川佳子)、「闇の夜の篠笛に似て鹿の声」(今泉而云)、「クレーンも月を指しをる良夜かな」(髙瀨大虫)、「一の字に大きさ同じ初秋刀魚」(徳永正裕)と佳句が出そろった。4点は4句、3点は12句。3点以上入った句についてみると、当季雑詠が二つの兼題の各6句の倍近い11句と最も多くなっている。このほか、2点は28句、1点は46句あった。

兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「秋彼岸」

秋彼岸小さき草は残しおき     大下 綾子

訪へば小豆煮し香や秋彼岸     星川 佳子

雨叩く都電に一人秋彼岸      岡田 臣弘

自転車に袈裟翻る秋彼岸      髙石 昌魚

参るべき墓は蝦夷の地秋彼岸    徳永 正裕

秋彼岸兄の好みし冷おろし     大澤 水牛

「鹿」

化野や鹿振り向けば人の顔     今泉 而云

闇の夜の篠笛に似て鹿の声     今泉 而云

傷つきし鹿伝説の湯に浸かる    嵐田 双歩

東京に一族集ふ秋彼岸       今泉 而云

明日切らる角で地を突く雄鹿かな  直井  正

眼が合ひて時止まりたり神の鹿   中嶋 阿猿

「当季雑詠」

ひと畝を均して秋の暮れにけり   廣上 正市

クレーンも月を指しをる良夜かな  髙瀨 大虫

一の字に大きさ同じ初秋刀魚    徳永 正裕

こほろぎの宿追い立てり庭仕事   中村  哲

広島のナイン野に咲け赤のまま   嵐田 双歩

秋霖やちび猫と居る四畳半     大澤 水牛

蓮折れてぬっくと花托の黒々と   澤井 二堂

萩の道乗馬娘の胸尖る       杉山 智宥

秋雨やまた読み始む水滸伝     須藤 光迷

蔓伸びて初露まとふ夜明け哉    谷川 水馬

蟷螂や網戸に三日三晩居て     堤 てる夫

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、髙瀨大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利

(投句参加)池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹

(まとめ・廣上正市)

 

 

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